大雨のニュースを見て「うちの近くはどこが危ないんだろう」と思ったとき、いちばん先に当たるべき資料があります。国土交通省が出している「道路冠水注意箇所リスト」です。
ここには、過去に浸かった、あるいは浸かりやすいと国が判断した道が、住所つきで並んでいます。1か所ごとに説明表があり、管理者、警察と消防の電話番号、排水ポンプや水位センサーの有無、そして現地の写真まで載っています。
ただ、この資料は1枚にまとまっていません。地方整備局ごとにばらばらの形で置かれていて、県によっては表ですらありません。そこで、市ごとに中身を数えて記事にしています。いまのところ39都道府県・52市ぶん。下に全部並べました。
この記事でわかること
- ✓ 国の「道路冠水注意箇所リスト」は地方整備局ごとに置き場も形も違う
- ✓ 52市を1件ずつ数えた結果を、市ごとの記事にまとめている
- ✓ いちばん多かったのは新潟市の288か所、いちばん少ないのは那覇市の1か所
箇所数はすべて、公表されている一覧を1行ずつ数えたものです。標高は住所を国土地理院の標高データで引いた参考値で、その地点そのものの高さではありません。リストは年に1回ほど更新されるので、実際に出かける前は必ず最新版をご確認ください。
調べた52市の一覧
市の名前をクリックすると、その市の記事に飛びます。うしろの一文は、その市を数えていちばん驚いたことです。
北海道・東北(4市)
- 青森市(青森県) 14か所のうち13か所が市道、法定の内水地図はまだありません
- 盛岡市(岩手県) 県内80か所のうち、国が管理する道は2か所だけです
- 秋田市(秋田県) 市が名指しする地下道は17か所と、映像で見られる6か所
- 山形市(山形県) 15か所は市の一覧と1つ残らず同じでした
関東(10市)
- 高崎市(群馬県) 群馬県50か所のうち19か所が高崎市 場所は線路と高速をくぐる道に並んでいます
- 前橋市(群馬県) 県の一覧は2か所です
- さいたま市(埼玉県) 国が数えた41か所は岩槻区13、浦和区は0
- 越谷市(埼玉県) 国のリストは3か所だけ、うち2か所は地下道ですらない
- 習志野市(千葉県) 国のリストは4か所、8月13日に浸かったのは29の町丁でした
- 松戸市(千葉県) 市の想定が1時間71ミリから153ミリに変わりました
- 千葉市(千葉県) 16か所のうち11か所が中央区で、進入を止められるのは4か所だけです
- 船橋市(千葉県) 市の記録には、総雨量11ミリで浸かった日があります
- 横浜市(神奈川県) 30か所のうち6か所は、標高60メートルより高い場所です
- 川崎市(神奈川県) 12か所のうち10か所は鉄道の下、北の3区にはありません
中部(13市)
- 新潟市(新潟県) 288か所のうち、市が人を張り付けているのは31か所
- 富山市(富山県) 県の一覧は64か所です
- 金沢市(石川県) 市が「1メートル以上つかる」と書いた道が13か所あります
- 福井市(福井県) 県の一覧は38か所です
- 松本市(長野県) 21か所のうち20か所は市道です
- 上田市(長野県) 国のリストは7か所です
- 長野市(長野県) 国のリスト29か所、26か所は市道です
- 大垣市(岐阜県) 県の一覧は17か所です
- 沼津市(静岡県) 国が数えたのは3か所だけ、3つとも沼津駅のそばの「ガード」です
- 磐田市(静岡県) 12か所のうち11か所が地下道とアンダー、標高は2.6メートルから81メートルまでばらばらです
- 浜松市(静岡県) 国のリスト39か所は県内最多、34か所が標高6.5メートル以下の南側にあります
- 安城市(愛知県) 台地の上なのに県内4番目の14か所、新幹線の下が1か所あります
- 名古屋市(愛知県) 104.5ミリが降った千種区は、40か所に1つもありません
近畿(7市)
- 津市(三重県) 県内239か所の半分は、くぐる道ではありません
- 大津市(滋賀県) 県内100か所のうち85か所に、排水ポンプがあります
- 京都市(京都府) 44か所のうち34か所は、線路の下をくぐる道です
- 大阪市(大阪府) 65か所のうち43か所に「冠水実績あり」と書いてあります
- 東大阪市(大阪府) 5か所のうち4か所は、大阪市との境の2キロにあります
- 奈良市(奈良県) 9か所とも、標高56メートル以上の場所です
- 和歌山市(和歌山県) 5か所ぜんぶに排水ポンプ、うち4か所に冠水実績があります
中国・四国(9市)
- 鳥取市(鳥取県) 内水の地図を出している、全国63市町村の1つです
- 松江市(島根県) 8か所とも、何の下をくぐるのか書いてあります
- 岡山市(岡山県) 国の位置図は25か所です
- 広島市(広島県) 国の一覧は21か所です
- 山口市(山口県) 6か所の呼び名が「地下道」と「ずい道」に割れています
- 徳島市(徳島県) 5か所のうち1つは、標高がマイナスです
- 高松市(香川県) 県の一覧は22か所です
- 松山市(愛媛県) 4か所だけ、そのうち3つはJRか空港の下です
- 高知市(高知県) 国の資料は空欄、県のページに全部載っていました
九州・沖縄(9市)
- 久留米市(福岡県) 国のリスト9か所は、全部が線路か道路をくぐる道でした
- 福岡市(福岡県) 国のリスト45か所に、中央区は1つもありません
- 佐賀市(佐賀県) 10か所のうち6か所が、兵庫町という1つの町にあります
- 長崎市(長崎県) 2か所だけ、想定は長崎大水害の約2倍の雨です
- 熊本市(熊本県) 国のリストは11か所、市民が作った地図は462枚
- 大分市(大分県) 国のリストは8か所、市のリストは16か所でちょうど倍です
- 宮崎市(宮崎県) 16か所のうち5か所は、地先名が「ポンプ場」です
- 鹿児島市(鹿児島県) 県内142か所のうち、遮断機があるのは1か所だけです
- 那覇市(沖縄県) 1か所だけ、8月の全国点検で異常が見つかった県です
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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国の資料は、地方整備局ごとに置き場が違います
同じ「道路冠水注意箇所リスト」でも、見え方はこれだけ違いました。
- 近畿・中部などは、県ごとの一覧表がそのまま画面に出ます(大阪府なら181か所、愛知県なら262か所)
- 関東地方整備局だけは表がありません。都県ごとに1本の資料にまとめられていて、神奈川県は「神奈川県・川崎市・横浜市・相模原市」で1本です
- 県が自分で出しているほうが詳しいこともあります(高知県、大分市など)
入口をいくつか置いておきます。

この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
このリストに載るのは「掘り下げた道」です
52市を数えて、いちばんはっきりしたのはこれでした。リストに並ぶのは、線路や道路の下をくぐるために地面を掘り下げた道です。アンダーパス、ガード下、地下道、隧道(ずいどう)。呼び名は市によって割れますが、形は同じです。
水は、海からの高さではなく、まわりと比べて低いところへ集まります。だから標高が高くても関係ありません。横浜市には標高69.1メートルの箇所があり、奈良市は9か所とも56メートル以上でした。
裏を返すと、このリストに載っていない場所が安全という意味にはなりません。掘り下げた道が無い区や町は、載りようがないだけです。実際、名古屋市で1時間104.5ミリを観測した千種区は、市内40か所のどこにも出てきませんでした。
市が出している地図は、法律に基づくものと、そうでないものがあります
もう1つ、市ごとに大きく違ったのが「内水(下水道があふれること)の地図」の位置づけです。
水防法にもとづいて指定された区域なら、家を借りたり買ったりするときの重要事項説明で必ず出てきます。ところが、市が自分の判断で作っただけの地図だと、その対象になりません。川崎市は自分のサイトに「水防法に基づかないハザードマップになります」と書いています。東大阪市は区域の指定こそ済ませましたが、それにもとづく地図はまだ作られていません。
説明されなかったからといって、そこが浸からないという意味にはなりません。
8月に国が全国のアンダーパスを点検しています

令和8年8月13日、国道16号の千葉市中央区村田町のアンダーパスが冠水し、車に乗っていた人が亡くなりました。国土交通省によると、原因は「非常用電源設備の不作動」。停電したときに非常用電源が立ち上がらず、排水ポンプが動いていませんでした。
これを受けて8月14日から、全国の直轄国道にあるアンダーパスなど102か所が緊急点検されました。異常が見つかったのは3か所です。
ただし、この点検の対象は国が直接管理している国道だけです。52市を数えた実感でいうと、リストに載る道の大半は市道と県道で、見ているのは市や県です。
この住所は浸水しやすい場所ですか
洪水・内水・土砂・地震で、見る資料はそれぞれ別に置かれています。1枚ずつ確かめるのは手間なので、住所を入れるだけでまとめて確認できるページを用意しています。
もし車で水に入ってしまったら

アンダーパスに共通しているのは「まわりより低い」ことです。たまった水は上から見ると平らなので、入るまで深さが分かりません。
JAF(ジェイエーエフ)のテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほとんど同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。割れるのは横の窓です。フロントガラスは合わせガラスなので、脱出用ハンマーでも割れません。
水深がひざ下でも、流れがあれば大人でも歩けなくなります。50センチより深いときは、無理に移動せず、高いところで助けを待つほうが安全です。
まだ調べていないところ
いま抜けているのは、北海道・宮城県・福島県・茨城県・栃木県・東京都・山梨県・兵庫県の8つです。順に足していきます。
市の名前がここに無くても、国の一覧そのものは上の入口から見られます。自分の市の名前で探してみてください。
この記事のまとめ
道路が冠水しやすい場所は、国土交通省の「道路冠水注意箇所リスト」に住所つきで載っています。ただし置き場と形が地方整備局ごとに違うので、39都道府県・52市ぶんを1件ずつ数えて市別の記事にしました。
載るのは掘り下げた道だけです。載っていない場所が安全という意味にはならず、内水の地図も法律に基づくものとそうでないものが混ざっています。自分の住所で確かめるのがいちばん早い方法です。
公式出典
- 国土交通省 各地方整備局「道路冠水注意箇所リスト」および個別箇所説明表
- 国土交通省「国道16号村田町アンダーパス冠水事案を踏まえた緊急点検結果及び今後の取組について」別紙1(令和8年8月21日)
- ハザードマップポータルサイト「内水浸水想定区域 掲載状況一覧」
- 国土地理院 住所検索API・標高API
- JAF ユーザーテスト「水深何cmまでドアは開くのか」「何を使えば窓が割れるのか」
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