国が道路冠水注意箇所として名前を出しているのは、大阪府内に181か所。そのうち東大阪市は5か所です。府内では9番目で、隣の八尾市の6か所より少ない数でした。
5か所の住所を地図に落とすと、4か所が大阪市との境ぎわに寄っていました。いちばん離れた2つでも、直線で2キロありません。残る1か所だけが、6キロほど東の生駒山(いこまやま)のふもとにあります。
ただし、この5か所を見ただけで東大阪の水を語ることはできません。市は自分の資料に、川があふれるより先に下水があふれる、と書いています。
この記事でわかること
- ✓ 国の道路冠水注意箇所は大阪府181か所、東大阪市は5か所
- ✓ うち4か所は大阪市との境ぎわ、2キロの中に収まる
- ✓ 市の下水道が受けられるのは1時間50ミリ、指定された想定は147ミリ
箇所数は国土交通省 近畿地方整備局「道路冠水注意箇所リスト【大阪府】」を1行ずつ数えたものです。181行=181件のリンクで一致しました。標高は住所を国土地理院の標高データで引いた参考値で、その地点そのものの高さではありません。
5か所は徳庵・稲田・森河内と、西石切です

| 名称 | 住所 | 参考標高 | 設備 |
|---|---|---|---|
| 五ヶ六郷川橋梁(市道 楠根北1号線) | 稲田上町2丁目 | 1.8m | 排水ポンプ・冠水探知機 |
| JR片町線地下道(市道 楠根西1号線) | 稲田本町1丁目 | 1.8m | 排水ポンプ・水位センサー |
| 森河内架道橋(市道 森河内7号線) | 川俣2丁目 | 4.5m | 排水ポンプ・冠水警報表示版・冠水探知機 |
| 徳庵地下道(府道 石切大阪線) | 鴻池徳庵町 | 6.7m | 排水ポンプ・警報情報板・水位センサー |
| 第二阪奈有料道路 西石切(国道308号) | — | 22.7m | — |
上の4か所は、すべて鉄道の構造物をくぐる道です。稲田上町の五ヶ六郷川橋梁には「けた下制限高2.6M」の標識が出ていて、車がやっと1台通れる幅しかありません。川俣の森河内架道橋は、擁壁(ようへき)で両側を固めて掘り下げた、教科書どおりの箱です。
中身が確認できる4か所は、4か所とも排水ポンプ付きでした。ポンプを置くのは、放っておけば水がたまる形だからです。

冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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5か所のうち1か所は、資料が開けません
国のリストは、1か所ごとに「個別箇所説明表」がぶら下がっています。住所、管理者、警察と消防の電話番号、備考、現地の写真が載っている紙です。
ところが第二阪奈有料道路 西石切の説明表だけ、リンクを開くとサイトのリニューアル案内に飛ばされます。大阪府の181か所ぜんぶを機械で開いてみたところ、中身が出てこないのはこの1か所だけでした。
この場所の住所も管理者も設備も、国の資料からは分かりません。標高の22.7メートルは、西石切町の代表点で引いた参考の値です。
市は「川より先に下水があふれる」と書いています
東大阪市の上下水道局は、雨水の対策を説明するページの冒頭でこう書いています。
大部分が平坦な平地で、降った雨が自然に川へ流れない地域特性を持つ東大阪市
さらに、今年公開された資料には、もっとはっきりした一文があります。
東大阪市では基本的に外水氾濫より先に内水氾濫が発生します(例外あり)
外水氾濫は川があふれること、内水氾濫は下水道や水路から水が逆にあふれることです。川の水位を見ているうちに、足元から来るということです。国のリストにある5か所は、そのいちばん低い受け皿にあたります。
下水道は50ミリ、指定された想定は147ミリです

市は下水道の整備目標を「10年に1度くらいの雨」として、1時間50ミリ程度に置いています。いっぽう、去年指定された内水の想定は1時間147ミリです。
市はこの差を、実際に降った雨と比べて説明しています。令和6年11月1日から2日にかけての大雨が1時間46.5ミリ。147ミリはその約3倍にあたります。
ちなみに川があふれるほうの想定は1時間138.1ミリで、内水の147ミリより少なめです。雨の降る範囲が違うためで、川は流域268平方キロ、内水は東大阪市の62平方キロだけを見ています。

区域は指定されましたが、地図はまだありません
東大阪市は令和7年10月1日、水防法にもとづいて「雨水出水浸水想定区域」を指定しました。下水道が受けきれずに水があふれたとき、どこがどれくらい浸かるかを示した区域です。
ただ、市はこう続けています。
現時点で、今回指定した雨水出水浸水想定区域に基づくハザードマップは未作成となります
家を借りたり買ったりするときの説明には、これが効いてきます。市は宅地建物取引業者向けに、水防法第15条にもとづく地図があるかどうかを表にして公開していて、そこには洪水は「有」、雨水出水と高潮は「無」と書かれています。
洪水と土砂災害の地図にも雨水出水の想定は入っていますが、市は「水防法に基づいておりません」と注記しています。説明されなかったからといって、そこが浸からないという意味にはなりません。
この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
校庭に雨を貯めている学校が27校あります
市が何もしていないわけではありません。平成3年度から雨水増補管を入れ、駅や学校の地下に貯留施設を作り、校庭そのものを浅いプールにして雨を受けています。
校庭貯留は第二寝屋川より西で16校、東で11校。あわせて27校の校庭が、大雨のあいだ水を預かる場所になっています。
市のページには、昭和32年6月の台風5号で浸かったときの白黒写真も載っています。写っているのは第七中学校、いまの楠根中学校の校庭と校門で、場所は稲田です。この記事で並べた5か所のうち2か所が、同じ稲田にあります。
8月に国が全国のアンダーパスを点検しています

令和8年8月13日、国道16号の千葉市中央区村田町のアンダーパスが冠水し、車に乗っていた人が亡くなりました。国土交通省によると、原因は「非常用電源設備の不作動」。停電したときに非常用電源が立ち上がらず、排水ポンプが動いていませんでした。
これを受けて8月14日から、全国の直轄国道にあるアンダーパスなど102か所が緊急点検されました。近畿地方整備局の対象は10か所で、1か所で異常が見つかり、すでに補修されています。
対象は国が直接管理している国道だけです。東大阪市の5か所は、中身が確認できる4か所を見るかぎり大阪府と東大阪市が管理していて、この点検の対象には入っていません。
この住所は浸水しやすい場所ですか
東大阪市では、見る資料が災害ごとに分かれています。1枚ずつ確かめるのは手間なので、住所を入れるだけで洪水・内水・土砂・地震の指定をまとめて確認できるページを用意しています。
もし車で水に入ってしまったら

アンダーパスに共通しているのは「まわりより低い」ことです。たまった水は上から見ると平らなので、入るまで深さが分かりません。
JAF(ジェイエーエフ)のテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほとんど同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。割れるのは横の窓です。フロントガラスは合わせガラスなので、脱出用ハンマーでも割れません。
水深がひざ下でも、流れがあれば大人でも歩けなくなります。50センチより深いときは、無理に移動せず、高いところで助けを待つほうが安全です。
ほかの市はどうなっているか
同じ手順で、ほかの市も1つずつ調べています。同じ資料でも、出てくる答えは市ごとに変わります。
- 大阪市 冠水 どこが危ないの? 65か所のうち43か所に「冠水実績あり」と書いてあります
- 京都市 冠水 どこが危ないの? 44か所のうち34か所は、線路の下をくぐる道です
- 名古屋市 冠水 どこが危ないの? 104.5ミリが降った千種区は、40か所に1つもありません
- 川崎市 冠水 どこが危ないの? 12か所のうち10か所は鉄道の下、北の3区にはありません
- 道路冠水マップ どこで見られるの? 国の一覧に名前がある全国52市を1つずつ調べました
この記事のまとめ
東大阪市で道路が冠水しやすい場所として国が名前を出しているのは5か所。うち4か所は大阪市との境ぎわ、稲田・徳庵・森河内に2キロの範囲で固まっていて、中身が確認できる4か所には全部に排水ポンプが付いています。残る1か所は説明表が開けません。
市の下水道が受けられるのは1時間50ミリ程度。去年10月に指定された内水の想定は147ミリで、その約3倍です。区域は指定されましたが、それにもとづくハザードマップはまだ作られていません。
公式出典
- 国土交通省 近畿地方整備局「道路冠水注意箇所リスト【大阪府】」181か所・個別箇所説明表
- 国土交通省「国道16号村田町アンダーパス冠水事案を踏まえた緊急点検結果及び今後の取組について」別紙1(令和8年8月21日)
- 東大阪市「雨水出水浸水想定区域の指定について」(令和7年10月1日指定)・同Q&A集・「既存の各区域図との違いについて」
- 東大阪市「東大阪市防災ハザードマップ(洪水・土砂災害・ため池)」
- 東大阪市上下水道局「水害を防ぐための雨水排水対策」「雨水対策について」
- 国土地理院 住所検索API・標高API
- JAF ユーザーテスト「水深何cmまでドアは開くのか」「何を使えば窓が割れるのか」
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