国が「ここは道路が冠水しやすい」と名前を出している場所は、福岡県内に148か所あります。そのうち福岡市が45か所で、県内でいちばん多い市です。
この45か所を1件ずつ開いて、住所を区ごとに数えました。すると、はっきりした偏りが出ました。博多区16か所、南区14か所。この2区だけで45か所の3分の2を占めます。そして天神のある中央区は、1か所もありません。
この記事でわかること
- ✓ 福岡市45か所の内訳は博多区16・南区14・城南区7・東区6・西区1・早良区1・中央区0
- ✓ 45か所の参考標高は1.6メートルから53.2メートルまで。幅は51.6メートルある
- ✓ 備考に設備が書かれているのは国道202号の3件だけ。区役所が管理する箇所は空欄
箇所数は国土交通省 九州地方整備局「道路冠水注意箇所リスト【福岡県】」を1行ずつ数えたものです。区の判定は、リストの⑦列に付いている個別箇所説明表PDFの住所欄によります。標高は住所を国土地理院の標高データで引いた参考値で、冠水地点そのものの標高ではありません。
福岡市の45か所は、区でこれだけ偏っている

| 区 | 箇所数 | 主な名前 |
|---|---|---|
| 博多区 | 16 | 中洲二丁目に4か所、美野島アンダーパス、南八幡アンダーパス、立花寺アンダーパス |
| 南区 | 14 | 国道202号 井尻掘割区間、塩原アンダーパス、折立町アンダーパス |
| 城南区 | 7 | 福大トンネル(上り・下り)、都市高速福大トンネル |
| 東区 | 6 | 松島アンダーパス①②③、貝塚アンダーパス、多の津アンダーパス |
| 西区 | 1 | 十郎川アンダーパス |
| 早良区 | 1 | 百道アンダーパス |
| 中央区 | 0 | — |
道路の区分で分けると、市道と市町村道が32か所。都市高速が4か所、国道が4か所、県道が4か所、臨港道路が1か所です。7割が市の道ということになります。
読者
中央区がゼロなら、天神のあたりは水に強いということですか
そうは読めません。このリストは「くぐる道の名簿」に近いもので、鉄道や高速道路をくぐる道が少ない区は数も少なくなります。中央区は市が別に出している浸水履歴のほうで見る必要があります
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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いちばん低い1.6メートルと、いちばん高い53.2メートル

45か所の住所を国土地理院の標高データで引いてみると、答えの形が変わります。
いちばん低いのは東区松島五丁目と西区小戸四丁目の1.6メートル。いちばん高いのは城南区梅林の53.2メートルでした。次いで南区柏原一丁目が50.3メートル、南区桧原七丁目が30.3メートルです。
幅は51.6メートル。海べりの1.6メートルの道と、丘の上の53.2メートルの道が、同じリストに並んでいます。
つまり「低い土地だから冠水する」という説明は、福岡市では成り立ちません。梅林の53.2メートルは、国道202号福岡外環状道路の福大トンネルです。丘のなかを掘り抜いたトンネルだから、まわりの雨が入口に落ちてくる。高さではなく、掘り下げてあるかどうかが効いています。
標高は住所検索で得た代表点の値です。同じ町名のなかでも場所によって上下します。⚠️ 国土地理院の住所検索は、入力した地名が見つからないと近い別の場所を黙って返すことがあります。博多区南八幡一丁目は「南八幡町」が返ったので、この記事では使っていません。

中洲二丁目に4か所
45か所のなかで、いちばん密集しているのが博多区中洲二丁目です。市道中洲332号線、333号線、345号線、346号線の4本が、すべて同じ町名で並んでいます。参考標高は2.8メートル。
中洲は那珂川と博多川にはさまれた中州(なかす)です。その名前のとおり、両側を川で囲まれた低い土地に、市道が4本載っています。
博多駅の周辺も同じです。博多駅南五丁目(5.7メートル)、東比恵二丁目(3.8メートル)、東那珂二丁目(6.7メートル)、美野島三丁目(4.6メートル)、千代五丁目(2.1メートル)、店屋町(5.1メートル)。「博多 冠水」で調べる人が多いのは、この密度を体で知っているからだと思います。
設備が書かれているのは、45か所のうち3件だけ

個別の説明表には備考の欄があり、そこに設備が書かれていることがあります。福岡市の45か所で備考が埋まっているのは、次の3件だけでした。CCTV(シーシーティーブイ)は監視カメラのことです。
| 名称 | 場所 | 管理者 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 国道202号福岡外環状道路 井尻掘割区間 | 南区井尻 | 福岡国道事務所 福岡西維持出張所 | CCTV・排水ポンプ・流末排水・情報板 |
| 福大トンネル 下り線 | 城南区梅林 | 同上 | CCTV・排水ポンプ・流末排水・情報板 |
| 福大トンネル 上り線 | 城南区梅林 | 同上 | CCTV・排水ポンプ・流末排水・情報板 |
3件とも国道202号で、管理者は国です。逆に、区役所が管理する40か所あまりは、備考の欄が空いています。
備考が空欄なのは「設備がない」と書いてあるという意味ではありません。この説明表に書かれていない、という意味です。同じ様式でも、久留米市は市が管理する5か所すべてに水位センサーの記載があります。書き方は市によって違います。
ちなみに福大トンネルは、上り線と下り線が別々の1件として数えられています。都市高速5号線の「都市高速福大トンネル」も別に載っているので、同じ場所に3本のトンネルが並んでいる形です。

この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
市は、29年分の「浸水履歴箇所図」を出している
くぐる道の45か所とは別に、福岡市はもっと広い図を公開しています。道路下水道局の「浸水履歴箇所図」です。
これは平成9年から令和7年までに市が確認した浸水発生箇所を記した図で、全体図と分割図①〜⑨の10枚のPDFになっています。更新履歴を見ると、令和8年3月1日に令和7年の浸水履歴が反映されたばかりです。
ただし、市は同じページに注意書きも並べています。
本市職員のパトロールや市民からの通報等により、本市が浸水を確認できた箇所を実績として整理しているものであり、過去に発生した全ての浸水履歴を反映しているものではありません
浸水深や床上・床下浸水等の詳細情報については、わかりかねますのでご了承ください
つまりこの図は「どこが浸かったか」は分かるけれど、「何センチ浸かったか」は分かりません。深さを知りたいときは、市防災情報の「平成21年7月豪雨の浸水実績に基づいた浸水想定区域」のほうを見ることになります。
この住所は浸水しやすい場所ですか
浸水履歴箇所図、洪水ハザードマップ、内水の想定区域と、確かめるものが分かれています。自分の住所について1枚ずつ開くのは、けっこうな手間です。
住所を入れるだけで、洪水・内水・土砂・地震の指定をまとめて確認できるページを用意しています。
もし車で水に入ってしまったら

JAF(ジェイエーエフ)のテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほとんど同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。
割れるのは横の窓です。フロントガラスは合わせガラスなので、脱出用ハンマーでも割れません。トンネルやアンダーパスは、たまった水が上から見ると平らなので、入るまで深さが分かりません。
水深がひざ下でも、流れがあれば大人でも歩けなくなります。50センチより深いときは、無理に移動せず、高いところで助けを待つほうが安全です。
ほかの市はどうなっているか
同じ手順で、ほかの市も1つずつ調べています。
- 久留米市 冠水 どこが危ないの? 国のリスト9か所は、全部が線路か道路をくぐる道でした
- 熊本市 冠水 どこが危ないの? 国のリストは11か所、市民が作った地図は462枚
- 浜松市 冠水 どこが危ないの?
- 越谷市 冠水 どこが危ないの? 国のリストは3か所だけ
この記事のまとめ
- 国の道路冠水注意箇所で、福岡県は148か所。福岡市は45か所で県内最多
- 区別では博多区16・南区14・城南区7・東区6・西区1・早良区1。中央区は0
- 道路の区分は市道と市町村道が32か所で、7割が市の道
- 博多区中洲二丁目に4か所が並ぶ。参考標高は2.8メートル
- 45か所の参考標高は1.6メートルから53.2メートルまで。幅は51.6メートル
- いちばん高い53.2メートルは城南区梅林の福大トンネル。高さではなく掘り下げてあるかが効く
- 備考に設備が書かれているのは国道202号の3件だけ(CCTV・排水ポンプ・流末排水・情報板)
- 市は平成9年から令和7年までの浸水履歴箇所図を公開している。ただし深さは分からないと明記
公式出典
- 国土交通省 九州地方整備局「道路冠水注意箇所リスト【福岡県】」(道路防災情報Webマップ)
- 同 個別箇所説明表(福岡市内45か所の住所・管理者・警察署・消防署・備考)
- 福岡市 道路下水道局「浸水履歴箇所図」(平成9年から令和7年、令和8年3月1日更新)
- 福岡市防災情報(ハザードマップ等)
- 国土地理院 住所検索API・標高API
- JAF ユーザーテスト「水深何cmまでドアは開くのか」「何を使えば窓が割れるのか」
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