国が道路冠水注意箇所として名前を出しているのは、滋賀県内にちょうど100か所。そのうち大津市は14か所です。
この100か所を1件ずつ開いていて、ほかの県では見たことのない書き方に出会いました。備考の欄に「関連設備」として、排水ポンプ・水位センサー・カメラ・情報板が、箇所ごとに書いてあるのです。
数えると、100か所のうち85か所に排水ポンプがあります。鹿児島県は142か所のうち設備の記載が1件だけでしたから、正反対です。
この記事でわかること
- ✓ 国の道路冠水注意箇所は滋賀県100か所、うち大津市は14か所
- ✓ 県内100か所のうち排水ポンプ85・水位センサー45・注意喚起看板34・カメラ18・情報板18
- ✓ 県内最多は草津市の27か所で、大津市は3番目
箇所数と設備の数は、国土交通省 近畿地方整備局「道路冠水注意箇所リスト【滋賀県】」と個別箇所説明表100件を1件ずつ読んで数えたものです。標高は住所を国土地理院の標高データで引いた参考値で、冠水地点そのものの標高ではありません。
滋賀県は、何が付いているかまで書いてあります

| 備考に書かれている設備 | 滋賀県100か所 | 大津市14か所 |
|---|---|---|
| 排水ポンプ | 85 | 8 |
| 水位センサー | 45 | 4 |
| 注意喚起看板 | 34 | 0 |
| カメラ(CCTV=シーシーティーブイ) | 18 | 1 |
| 警報・冠水・情報板 | 18 | 4 |
| 冠水実績の記載 | 17 | 0 |
| 備考が空欄 | 8 | 5 |
県内100か所のうち92か所に、何かしら書かれています。奈良県は50か所のうち46か所が埋まっていましたが、奈良は「冠水実績あり」という経過の記録が中心でした。滋賀県は設備そのものを1つずつ並べています。
大津市の14か所を見ると、排水ポンプが8か所、水位センサーが4か所、冠水情報板が4か所、カメラが1か所。注意喚起看板はゼロで、「冠水実績あり」と書かれた箇所も1つもありません。草津市には5か所に「平成24年度に冠水実績あり」と書かれているので、同じ県内でも差があります。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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ポンプがあっても冠水した記録が、同じ資料に載っています
設備が書いてあると安心しそうになりますが、その同じ資料に、こういう箇所がありました。どちらも米原市です。
関連設備 :[排水ポンプ] [注意喚起看板] [水位センサー] 平成29年度に数回スクリーン閉塞による冠水実績あり、30cm冠水通行止め
関連設備 :[排水ポンプ] [注意喚起看板] 平成29年度にポンプ故障による冠水実績あり
スクリーンというのは、ポンプに落ち葉やごみが入らないように付いている網のことです。そこが詰まって水が流れず、30センチ浸かって通行止めになった。もう1か所はポンプそのものが壊れています。
この夏、同じことが千葉で起きました。令和8年8月13日、国道16号の千葉市中央区村田町のアンダーパスが冠水し、車に乗っていた人が亡くなっています。国土交通省の発表によると、原因は「非常用電源設備の不作動」と考えられています。停電したときに非常用電源が立ち上がらず、排水ポンプが動いていませんでした。

これを受けて8月14日から、全国の直轄国道にあるアンダーパスなど冠水のおそれがある102か所が緊急点検されました。8月21日に公表された結果は、3か所で異常あり。近畿の対象は10か所で、そのうち1か所に異常がありました(補修は完了しています)。
滋賀県の100か所のうち国道は1か所だけなので、県内のほとんどの箇所はこの102か所に入っていません。
読者
ポンプが付いていても意味がないということですか
逆です。ふだんの雨はポンプが効いているから何も起きていません。ただ「ポンプがあるから絶対に浸からない」ではない、というだけです。落ち葉が詰まる、停電する、壊れる。どれも実際に起きています。だから入り口の看板や回転灯が点いていたら、ポンプの有無に関係なく引き返してください

大津市の14か所は、全部が市道です

| 場所 | 路線名 | 参考標高 | 備考に書かれた設備 |
|---|---|---|---|
| 横木二丁目 | 中2606号線 | 83.8m | 排水ポンプ・冠水情報板・水位センサー |
| 晴嵐一丁目 | 幹1044号線 | 86.1m | 排水ポンプ・冠水情報板・カメラ・水位センサー |
| 皇子が丘二丁目 | 幹1031号線 | 89.3m | 排水ポンプ・冠水情報板・水位センサー |
| 別保一丁目 | 幹1052号線 | 93.2m | 排水ポンプ・カメラ |
| 杉浦町 | 南0303号線 | 93.6m | (空欄) |
| 大萱一丁目 | 東4219号線 | 95.0m | 排水ポンプ |
| 膳所一丁目 | 南0301号線 | 96.5m | 排水ポンプ |
| 月輪一丁目 | 幹1056号線 | 101.3m | 排水ポンプ・冠水情報板・水位センサー |
| 月輪三丁目(3か所) | 東4621号線・東4711号線・東4708号線 | 115.8m | (空欄) |
| 高砂町 | 幹1074号線 | 131.7m | (空欄) |
| 鶴の里 | 幹1051号線 | 172.3m | (空欄) |
| 南比良 | 幹1111号線 | 347.3m | 排水ポンプ |
14か所すべてが市道です。県道も国道も入っていません。そして月輪だけで4か所(一丁目1・三丁目3)が並びます。
標高は83.8メートルから347.3メートル。低い土地はひとつもありません。ただ、この数字には琵琶湖のそばならではの読み方があります。
琵琶湖の水位は「B.S.L.(ビーエスエル)」という独自のものさしで表されていて、国土交通省 琵琶湖河川事務所の説明によると、そのゼロは標高84.371メートルです。同じページには「大阪城の天守閣の高さとほぼ同じ高さです」と書かれています。
大津市でいちばん低い横木二丁目の83.8メートルは、この琵琶湖の水面の基準より低い位置になります。湖のほとりの街では、標高80メートル台が「水ぎわ」です。
この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
令和8年4月3日に、市が新しい区域を指定しました
大津市は令和8年4月3日、水防法第14条の2にもとづく雨水出水浸水想定区域を指定して公表しました。前提は時間雨量147ミリという、想定しうる最大規模の雨です。
この区域図には、ほかの市であまり見ない特徴が2つあります。
- 氾濫型と湛水型(たんすいがた)の2つの型で計算していること
- 浸水継続時間の図が別にあること。深さが50センチ以上になってから50センチ未満に下がるまでの時間です
そして、こう書かれています。
拡大図1~5の範囲外の地域には、雨水出水浸水想定区域がありません
市内のどこでも指定されているわけではありません。まず拡大図1〜5のどれかに自分の住所が入るかを見ることになります。
全国のハザードマップを重ねて見られる「重ねるハザードマップ」に内水(雨水出水)の区域が載っているのは、2026年9月の時点で全国63件だけです。いちばん新しい公開日は2026年2月27日なので、4月3日に指定した大津市はまだ入っていません。市のページで直接見てください。
この住所は浸水しやすい場所ですか
大津市の場合、雨水出水は令和8年の区域図、中小河川や身近な水路は水害ハザードマップ、土砂と洪水はまた別です。自分の住所について1枚ずつ確かめるのは、けっこうな手間です。
住所を入れるだけで、洪水・内水・土砂・地震の指定をまとめて確認できるページを用意しています。
もし車で水に入ってしまったら

アンダーパスに共通しているのは「まわりより低い」ことです。たまった水は上から見ると平らなので、入るまで深さが分かりません。
JAF(ジェイエーエフ)のテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほとんど同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。割れるのは横の窓です。フロントガラスは合わせガラスなので、脱出用ハンマーでも割れません。
水深がひざ下でも、流れがあれば大人でも歩けなくなります。50センチより深いときは、無理に移動せず、高いところで助けを待つほうが安全です。

ほかの市はどうなっているか
同じ手順で、ほかの市も1つずつ調べています。リストの書き方が県によって違うので、出てくる答えも変わります。
- 和歌山市 冠水 どこが危ないの? 5か所ぜんぶに排水ポンプ、うち4か所に冠水実績があります
- 京都市 冠水 どこが危ないの? 44か所のうち34か所は、線路の下をくぐる道です
- 奈良市 冠水 どこが危ないの? 9か所とも、標高56メートル以上の場所です
- 鹿児島市 冠水 どこが危ないの? 県内142か所のうち、遮断機があるのは1か所だけです
この記事のまとめ
大津市で道路が冠水しやすい場所として国が名前を出しているのは14か所。全部が市道で、月輪だけで4か所あります。滋賀県全体では100か所のうち85か所に排水ポンプがあると書かれていて、ここまで設備を明かしている県はほかにありませんでした。
ただ同じ資料に、米原市で「スクリーン閉塞による冠水」「ポンプ故障による冠水」の記録も残っています。ポンプがあるかどうかではなく、入り口の看板や回転灯が点いていないかで決めてください。
公式出典
- 国土交通省 近畿地方整備局「道路冠水注意箇所リスト【滋賀県】」(道路防災情報Webマップ)
- 同 個別箇所説明表 滋賀県-02-001〜100
- 大津市「雨水出水浸水想定区域の指定について」(令和8年4月3日指定)
- 国土交通省「国道16号村田町アンダーパス冠水事案を踏まえた緊急点検結果及び今後の取組について」(令和8年8月21日)
- 国土交通省 近畿地方整備局 琵琶湖河川事務所「鳥居川水位観測所 琵琶湖の基準水位」
- 国土地理院 住所検索API・標高API
- JAF ユーザーテスト「水深何cmまでドアは開くのか」「何を使えば窓が割れるのか」
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