国が道路冠水注意箇所として名前を出しているのは、沖縄県内に17か所。そのうち那覇市は1か所だけです。国道332号の安次嶺(あしみね)、備考には「注意喚起看板:設置済み」とあります。
1か所なら気にしなくていいのか。そうはなりませんでした。
この夏、国土交通省が全国の直轄国道にあるアンダーパスなど102か所を緊急点検しています。沖縄の対象はたった1か所で、その1か所に異常が見つかりました。
この記事でわかること
- ✓ 国の道路冠水注意箇所は沖縄県17か所、うち那覇市は1か所(国道332号 安次嶺)
- ✓ 8月の全国緊急点検102か所のうち、沖縄の対象は1か所でそこに異常あり(補修済み)
- ✓ 17か所すべてが国道か県道で、市町村道は1つもない
箇所数は沖縄総合事務局「道路冠水注意箇所リスト【沖縄県】」を1行ずつ数えたものです。このリストは表の作りが崩れていて、名護市と読谷村の2行に開始タグが抜けています。行だけを見ると15、リンクの数で数えると17になるので、この記事では17として扱います。
沖縄県の17か所に、市町村道は1つもありません

| 路線 | 箇所数 | 場所 |
|---|---|---|
| 国道329号 | 9 | 読谷村比謝、嘉手納町野国、北中城村渡口、中城村久場・屋宜、西原町小那覇・嘉手苅、与那原町与那原、南風原町兼城 |
| 国道58号 | 2 | 名護市喜瀬、恩納村山田 |
| 国道331号 | 2 | 糸満市摩文仁、八重瀬町港川 |
| 国道330号 | 1 | 宜野湾市志真志 |
| 国道332号 | 1 | 那覇市安次嶺 |
| 一般県道68号 | 1 | 豊見城市名嘉地 |
| 主要地方道 那覇糸満線 | 1 | 糸満市潮平 |
国道が15か所、県道が2か所。市町村が管理する道は、このリストに1つも載っていません。
岩手県は80か所のうち70か所が市町村道、山口県は36か所のうち35か所が市道でした。沖縄県はその正反対です。国道329号が本島の東海岸を縦に走っていて、その低いところに9か所が並びます。
市町村別では中城村・西原町・糸満市が各2か所、那覇市をふくむ11市町村が各1か所です。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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同じ役所の2つの資料で、数が合いません
沖縄総合事務局は、このリストとは別に「直轄国道冠水想定箇所」というページも出しています。そちらに並んでいるのは11か所です。
17か所と11か所。差の6か所は、名護市喜瀬・北中城村渡口・中城村屋宜・西原町嘉手苅・豊見城市名嘉地・糸満市潮平でした。後ろの2つは県道なので直轄国道のページに載らないのは筋が通りますが、残り4つは国道329号と58号の箇所です。
もう1つ、読谷村比謝は、はじめの一覧では国道329号、直轄国道のページでは国道58号として並んでいます。
同じ役所が出している2つの資料でも、数と路線名が食い違う。高知県でも国のリスト32か所と県の一覧26か所で差がありました。1つの資料だけを見て「これで全部」と思わないほうが安全です。
備考には、看板があるかカメラがあるかまで書いてあります

沖縄県のリストは、備考の欄がよく埋まっています。17か所のうち14か所に何か書かれていました。
- 「注意喚起看板:設置済み」 10か所(那覇市安次嶺をふくむ)
- 「CCTV(シーシーティーブイ)カメラ設置済」 3か所(ほかに1か所「未設置」と明記)
- 冠水履歴の日付が入っているもの 3か所
冠水履歴が書かれているのは、名護市喜瀬と恩納村山田が「平成26年7月9日」、西原町嘉手苅が「平成25年5月23日」。実際に浸かった日が資料に残っています。
そして西原町嘉手苅の1件だけ、こう書かれています。
・冠水履歴 : 平成25年5月23日 ・関連設備 : CCTVカメラ未設置 ・注意喚起看板:平成29年度設置済み
「未設置」とわざわざ書いてある。設備が無いことを隠さずに書く資料は、数えてきたなかでもめずらしいものでした。
那覇市安次嶺の備考は「注意喚起看板:設置済み」だけです。カメラがあるか、排水ポンプがあるかは、この資料からは分かりません。「書かれていない=無い」ではありませんが、「書かれていない=確認できない」ではあります。

8月の全国点検で、沖縄の1か所に異常が出ました

令和8年8月13日、国道16号の千葉市中央区村田町のアンダーパスが冠水し、車に乗っていた人が亡くなりました。国土交通省の発表によると、原因は「非常用電源設備の不作動」と考えられています。停電したときに非常用電源が立ち上がらず、排水ポンプが動いていませんでした。
これを受けて8月14日から、全国の直轄国道にあるアンダーパスなど冠水のおそれがある102か所で、停電時に非常用電源と排水設備が自動で動くかどうかが緊急点検されました。結果は8月21日に公表されています。
| 地方整備局など | 点検した箇所 | 結果 |
|---|---|---|
| 北海道 | 4 | 異常なし |
| 東北 | 6 | 異常なし |
| 関東 | 48 | 異常なし |
| 北陸 | 3 | 異常なし |
| 中部 | 10 | 1か所 異常あり |
| 近畿 | 10 | 1か所 異常あり(補修済み) |
| 中国 | 4 | 異常なし |
| 四国 | 9 | 異常なし |
| 九州 | 7 | 異常なし |
| 沖縄 | 1 | 1か所 異常あり(補修済み) |
沖縄だけ、対象が1か所で結果も1か所です。確率でいえば全部。補修は完了しています。
国土交通省の資料に箇所名は載っていませんが、沖縄タイムスは2026年8月23日に「那覇の『うみそらトンネル』に異常 千葉豪雨受け、排水設備の全国調査で判明」と報じています。
この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
うみそらトンネルは、2024年に実際に冠水しています
那覇うみそらトンネルは、那覇市の若狭と那覇空港をつなぐ海底トンネルです。国のリストには載っていません。それでも、水に浸かったことがあります。
琉球新報によると、2024年6月13日の午前5時15分ごろ、那覇空港へ向かう車線で冠水した場所に車が突っ込み、壁にぶつかりました。けが人はいませんでしたが、そのあと車線変更にともなう接触事故が2件続いています。
事故処理にあたった建設会社の職員の話として、トンネル内では少なくとも4台が冠水した箇所に突っ込んだり、物損事故を起こしたりしたと伝えられています。午前6時15分ごろから8時10分ごろまで、路側帯に車を誘導する交通整理が行われました。
同じ日、豊見城市与根の国道331号付近でも、12日午後9時半ごろから約30分間、冠水で交通規制が敷かれています。
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。国のリストに那覇市は1か所しか載っていませんが、実際に車が水に突っ込んだのは、そのリストに無い場所でした。
読者
リストに載っていない場所は、どうやって知ればいいんですか
名前を全部おぼえるのは無理です。代わりに「形」でおぼえてください。線路や高速の下をくぐる道、海や川の下を通るトンネル、両側に壁が立ち上がって下り坂になる道。そこに水が見えたら、リストに載っているかどうかに関係なく入らない。それで足ります
この住所は浸水しやすい場所ですか
那覇市の場合、洪水は県の浸水想定区域図、津波はまた別、道路の冠水は国のリストです。自分の住所について1枚ずつ確かめるのは、けっこうな手間です。
住所を入れるだけで、洪水・内水・土砂・地震の指定をまとめて確認できるページを用意しています。
もし車で水に入ってしまったら

トンネルもアンダーパスも、共通しているのは「まわりより低い」ことです。たまった水は上から見ると平らなので、入るまで深さが分かりません。
JAF(ジェイエーエフ)のテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほとんど同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。割れるのは横の窓です。フロントガラスは合わせガラスなので、脱出用ハンマーでも割れません。
水深がひざ下でも、流れがあれば大人でも歩けなくなります。50センチより深いときは、無理に移動せず、高いところで助けを待つほうが安全です。

ほかの市はどうなっているか
同じ手順で、ほかの市も1つずつ調べています。リストの書き方が県によって違うので、出てくる答えも変わります。
- 鹿児島市 冠水 どこが危ないの? 県内142か所のうち、遮断機があるのは1か所だけです
- 宮崎市 冠水 どこが危ないの? 16か所のうち5か所は、地先名が「ポンプ場」です
- 熊本市 冠水 どこが危ないの? 国のリストは11か所、市民が作った地図は462枚
- 福岡市 冠水 どこが危ないの? 国のリスト45か所に、中央区は1つもありません
この記事のまとめ
那覇市で道路が冠水しやすい場所として国が名前を出しているのは、国道332号の安次嶺1か所だけ。沖縄県全体でも17か所で、そのうち15か所が国道、国道329号だけで9か所あります。市町村道は1つも載っていません。
ただ、8月の全国緊急点検で沖縄の対象1か所に異常が見つかりました(補修は完了)。そして国のリストに載っていない那覇うみそらトンネルでは、2024年6月に実際に4台が冠水箇所へ突っ込んでいます。名前を覚えるのではなく、くぐる道に水が見えたら入らない。それだけ決めておいてください。
公式出典
- 内閣府 沖縄総合事務局「道路冠水注意箇所リスト【沖縄県】」(道路防災情報Webマップ)/「直轄国道冠水想定箇所」
- 同 個別箇所説明表 沖縄県-02-002ほか
- 国土交通省「国道16号村田町アンダーパス冠水事案を踏まえた緊急点検結果及び今後の取組について」(令和8年8月21日)
- 沖縄タイムス「那覇の『うみそらトンネル』に異常 千葉豪雨受け、排水設備の全国調査で判明」(2026年8月23日)
- 琉球新報「那覇空港つなぐ『うみそらトンネル』で冠水、事故も 大雨で各地の交通規制続く 沖縄」(2024年6月13日)
- 国土地理院 住所検索API・標高API
- JAF ユーザーテスト「水深何cmまでドアは開くのか」「何を使えば窓が割れるのか」
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