さいたま市で「どこが冠水するのか」を先に知りたいなら、答えはもう住所つきで公表されています。国土交通省 関東地方整備局の道路冠水注意箇所マップ(令和8年6月10日更新)に、埼玉県内273か所、うちさいたま市は41か所が番号と地先つきで載っています。
ただ、この41か所を区ごとに数えている人がいません。数えるとこうなります。岩槻区13、緑区9、南区6、大宮区4、桜区3、北区2、中央区2、見沼区1、西区1。そして浦和区は0か所です。
もうひとつ、地図を眺めているだけでは気づかないことがあります。41か所のうち17か所に、同じ連番が振られています。岩槻区の10か所は通称が「東北縦貫アンダー」。くぐっているのは川ではなく、東北自動車道です。
この記事でわかること
- ✓ 浦和区の0は「安全」ではなく「くぐる道が無い」という意味
- ✓ 5か所は「アンダーパス部以外」=くぐる道ですらない、ただ低い場所
- ✓ 雨の日は、さいたま市水位情報システムの冠水センサーで色を見る
さいたま市の冠水注意箇所41か所を、区で数えるとこうなる
元にしたのは国土交通省 関東地方整備局が公表している「埼玉県内における道路冠水注意箇所(アンダーパス部等)マップ」です。令和8年6月10日更新版で、埼玉県内は273か所。市町村別に数えると、さいたま市41か所、加須市24か所、川口市18か所、久喜市17か所、熊谷市16か所、川越市16か所、深谷市15か所と続きます。
県内の合計は、資料の版によって261・262・272・273と食い違います。この記事の273は令和8年6月10日更新版を1行ずつ数えた数字です。古い記者発表を見た人と数が合わないのはそのためです。
さいたま市の41か所を区で割ると、こうなります。
| 区 | か所 | 主な地点(通称) |
|---|---|---|
| 岩槻区 | 13 | 宮町本丸アンダー/国道463号バイパス釣上アンダー/東北縦貫アンダー(大字馬込・箕輪・岩槻・柏崎・横根・笹久保新田) |
| 緑区 | 9 | 第5見沼ガード(大字下山口新田)/大崎地下道/高畑地下道/中地下道/下地下道/明照寺地下道/大門地下道/学園地下道/南方地下道 |
| 南区 | 6 | 第一久保入地下道(根岸四丁目)/大谷場地下道/一ツ木地下道(南本町二丁目)/大谷口地下道/辻地下道 |
| 大宮区 | 4 | 大成町三丁目/中山道アンダー(土手町一丁目)/吉敷町アンダー(吉敷町二丁目) |
| 桜区 | 3 | 田島地下道(田島六丁目)/西堀氷川トンネル(西堀八丁目) |
| 北区 | 2 | 吉野原・今羽線アンダー(宮原町四丁目)/東大成町二丁目 |
| 中央区 | 2 | 新都心地下道/浦和西地下道(中島二丁目〜上峰三丁目) |
| 見沼区 | 1 | 大和田アンダー(大和田町一丁目) |
| 西区 | 1 | 指扇高架橋の側道部 |
| 浦和区 | 0 | — |

読者
浦和区が0って、本当に安全なんですか。
いいえ。このリストはくぐる道の名簿なので、くぐる道が無ければ0になります。水が出ないという意味ではありません。
実際、市が浸水の履歴として集めているのは、市民から通報のあったものです。市自身が「全ての被害情報を網羅するものではありません」と書いています。冠水注意箇所は「これから危ない場所の予報」ではなく、「構造上そうなりやすい道の名簿」だと考えてください。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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41か所のうち17か所に、同じ連番が振られている
岩槻区の13か所を通称のまま並べると、性格がはっきりします。
- 宮町本丸アンダー(宮町二丁目)
- 国道463号バイパス釣上アンダー(大字釣上)
- 東北縦貫アンダー(岩槻−8)(大字馬込)/(岩槻−6)(岩槻−5)(大字箕輪)/(岩槻−2)(大字岩槻)
- 東北縦貫アンダー(浦和−16)(大字柏崎)/(浦和−14)(浦和−13)(浦和−11)(浦和−10)(大字横根)/(浦和−9)(大字笹久保新田)
- 加倉(国道16号・アンダーパス部以外)
13か所のうち10か所が「東北縦貫アンダー」=東北自動車道をくぐる道です。しかも緑区の7か所にも、同じ形の連番が付いています。高畑地下道(浦和−7)、中地下道(浦和−6)、下地下道(浦和−5)、明照寺地下道(浦和−3)、大門地下道(川口−8)、学園地下道(川口−6)、南方地下道(川口−4)。合わせて17か所が同じ番号体系の中にあります。
緑区の7か所には、PDFに「東北縦貫」の語が書かれていません。ここで言えるのは「岩槻区の10か所と同じ連番が付いている」までです。
この構造がなぜ怖いのかは、埼玉県自身が対策ページの冒頭に書いています。
平成20年8月、栃木県鹿沼市の東北自動車道をくぐる市道が集中豪雨により冠水し、車が立ち往生し閉じこめられた運転者が死亡する痛ましい事故がありました。
県はこの一文のあとに、「路面の高さが前後と比べ低く、異常な豪雨等によって冠水した場合、車両が脱出困難になるとみられる、道路や鉄道をくぐるアンダーパス部は埼玉県が管理する道路で13箇所あります」と続けています。18年前の事故と同じ形の道が、さいたま市の中に10本以上あるということです。

「アンダーパスを避ければいい」で終われない5か所
41か所のうち5か所は、通称の欄が「アンダーパス部以外」になっています。大宮区三橋二丁目、南区内谷二丁目、桜区町谷四丁目、岩槻区加倉、西区の指扇高架橋側道部です。
いずれも国道17号新大宮バイパスか国道16号の一部で、くぐる道ではなく、ただ周りより低い場所です。「地下道の入口さえ避ければいい」と考えていると、この5か所は視界に入りません。
読者
じゃあ、通勤路が入っているかはどうやって確かめるんですか。
上の表の地点名で探すのがいちばん早いです。市の水位情報システムには冠水センサーの表示もあるので、雨の日はそちらを見てください。
さいたま市は「さいたま市水位情報システム」で、観測所の水位と冠水センサーの状況を公開しています。平常水位・注意水位超過・警戒水位超過・冠水(冠水センサー)が色で分かれる形です。平常時に名前で確かめておいて、降っている日は色で見る。この2段構えが現実的です。
数が多い区と、地価がいちばん安い区が重なっている
ここからは私の見方です。岩槻区に13か所あるのは、区の性格が悪いからではありません。東北自動車道が区を縦断していて、それをくぐる市道が10本ぶら下がっているという、道の作りの問題です。神奈川県伊勢原市でも13か所のうち9か所が国道271号をくぐる道でした(横浜 冠水 どこ 国のリストは神奈川128か所で横浜30か所)。
ただ、住宅地の坪単価を並べると、浦和区130.4万円に対して岩槻区30.7万円で4.2倍の差があります。冠水注意箇所がいちばん多い区と、坪単価がいちばん安い区が重なっている。これは「安いから危ない」という意味ではありません。高速道路をくぐる道が多い区が、たまたま地価のいちばん安い区だった、という並びとして読んでください。区ごとの数字はさいたま市 住むならどこ? 住宅地の坪単価は浦和区と岩槻区で4倍ちがうにまとめてあります。
冠水した道に入ってしまったあとの話は、別の記事にしてあります。
- さいたま市で道路冠水35件 国の冠水注意箇所は1か所しかないのに、いちばん沈んだのは見沼区の14件でした
- 埼玉 冠水 現在 県が危ないと数えた地下道は13か所 映像が見られるのは「7か所」のはずが、いま8か所目が映っています
- 冠水した道路に車で入るとどうなる? JAF(ジャフ)の実験で窓を割れたのは、脱出用ハンマーだけでした
よくある質問
さいたま市でいちばん冠水しやすい区はどこですか?
国の冠水注意箇所の数でいえば岩槻区の13か所が最多で、次が緑区の9か所です。ただしこれは「構造上そうなりやすい道」の数で、実際に冠水した件数の順位ではありません。2026年8月の大雨では見沼区が14件でいちばん多く、その見沼区に国の注意箇所は1か所しかありません。
浦和区や大宮区は安全ですか?
浦和区は国のリストに0か所、大宮区は4か所です。ただしリストはくぐる道の名簿なので、0は「くぐる道が無い」という意味です。市の浸水履歴は市民からの通報を集めたもので、市自身が全てを網羅していないと書いています。
雨が降っている今の状況はどこで見られますか?
さいたま市水位情報システムで、観測所の水位と冠水センサーの状況が色分けで表示されます。国道など国管理の道路は大宮国道事務所の道路冠水情報も併せて確認してください。
出典
- 国土交通省 関東地方整備局「埼玉県内における道路冠水注意箇所(アンダーパス部等)マップ」令和8年6月10日更新(No.1〜273を1行ずつ集計) https://www.ktr.mlit.go.jp/road/bousai/road_bousai00000001.html
- 埼玉県「アンダーパス部における冠水要注意箇所」(掲載日2025年12月5日) https://www.pref.saitama.lg.jp/a1006/jigyousyoukai/dourokansuikasyo.html
- さいたま市「さいたま市の水害に関する情報について」 https://www.city.saitama.lg.jp/001/011/015/004/001/p097517.html
- さいたま市水位情報システム https://www.flood-info.city.saitama.jp
- 集計に使ったPDF https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000708920.pdf
- 住宅地の坪単価は2026年地価公示・住宅地の標準地153地点の中央値(国土数値情報 地価公示データ)
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