国が「ここは道路が冠水しやすい」と名前を出している場所は、京都府内に113か所あります。そのうち京都市は44か所です。
この44か所を1件ずつ開いて驚いたのは、場所の欄の書き方でした。ほかの県のリストには町名や「○○アンダーパス」という通称が入ります。ところが京都府のリストには、「JR東海道本線」「阪急電鉄京都線」「京阪電鉄本線」と、くぐる相手の名前が書かれています。
数えると、44か所のうち34か所が線路の下でした。
この記事でわかること
- ✓ 京都市44か所の内訳はJR東海道本線11・阪急電鉄京都線6・京阪電鉄本線6・JR山陰本線5など。鉄道をくぐるのが34か所
- ✓ 区別では伏見区10・右京区8・西京区7。上京区は0。府内でいちばん多いのは京都市ではなく久御山町の12か所
- ✓ 44か所の参考標高は11.3メートルから350.9メートルまで。幅は339.6メートル
箇所数は国土交通省 近畿地方整備局「道路冠水注意箇所リスト【京都府】」を1行ずつ数えたものです。設備と冠水実績は、リストの⑦列に付いている個別箇所説明表のPDFを44件すべて開いて読み取りました。標高は住所を国土地理院の標高データで引いた参考値で、冠水地点そのものの標高ではありません。
京都市の44か所は、区でこれだけ偏っている

| 区 | 箇所数 |
|---|---|
| 伏見区 | 10 |
| 右京区 | 8 |
| 西京区 | 7 |
| 南区 | 6 |
| 下京区 | 5 |
| 東山区 | 3 |
| 中京区 | 2 |
| 左京区 | 1 |
| 山科区 | 1 |
| 北区 | 1 |
| 上京区 | 0 |
11区のうち10区に散らばっていて、上京区だけがありません。道路の区分では市道33・府道6・国道5で、4分の3が市道です。
そして、京都府全体で見るともっと意外な形になります。府内でいちばん多いのは京都市伏見区の10か所ではなく、久御山町の12か所です。次いで宇治市・城陽市・木津川市が各8か所、向日市6か所と続きます。
読者
上京区がゼロなら、そのあたりは安全ということですか
そうは読めません。このリストは鉄道や道路をくぐる道の名簿に近いもので、そういう道が少ない区は数も少なくなります。上京区は御所のまわりで、線路をくぐる市道がほとんどありません
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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地先名の欄に「何をくぐるか」が書いてある

京都府のリストの特徴は、場所の欄です。数えるとこうなりました。
| くぐる相手 | 箇所数 |
|---|---|
| JR東海道本線 | 11 |
| 阪急電鉄京都線 | 6 |
| 京阪電鉄本線 | 6 |
| JR山陰本線 | 5 |
| 名前そのものがアンダーパス・トンネル | 5 |
| 国道(1号・9号・162号) | 3 |
| 近畿日本鉄道京都線 | 3 |
| JR奈良線 | 2 |
| 叡山電鉄鞍馬線 | 1 |
| 名神高速道路 | 1 |
| 主要市道 | 1 |
鉄道をくぐるのが34か所で、44か所の77%にあたります。JR東海道本線の下だけで11か所。下京区・南区・西京区に並ぶ市道が、まとめてここに入ります。
「名前そのもの」の5つは、堀川アンダーパス(国道1号・下京区)、河原町アンダーパス(国道24号・下京区)、千代原口トンネル(国道9号・西京区)、京北町アンダーパス(国道477号・右京区)、地下横断歩道(府道西陣杉坂線・北区)です。

44か所のうち12か所は「関連設備:なし」
個別の説明表には「関連設備」の欄があります。44件を数えると、こうなりました。
| 備考に書かれている設備 | 箇所数 |
|---|---|
| 警報・情報板 | 26 |
| 排水ポンプ | 21 |
| 水位センサー | 15 |
| CCTV(シーシーティーブイ=監視カメラ) | 4 |
| 「関連設備:なし」 | 12 |
カメラが付いているのは4か所だけで、そのうち3か所は国道1号・9号・24号。国が管理している区間に集中しています。
逆に「関連設備:なし」と書かれた12か所は、ポンプもセンサーも表示板もありません。京北の2か所や、伏見区深草の地下道がここに入ります。
実際に冠水したと書かれているのは5か所
同じ説明表には、冠水実績が書かれていることがあります。44か所のうち、記載があったのは5か所でした。
| 場所 | くぐる相手 | 冠水実績 |
|---|---|---|
| 堀川アンダーパス(下京区松明町) | 国道1号 | 平成23年 |
| 西京極畔勝町(右京区) | 阪急京都線ガード下 | 平成22年・平成23年・平成26年 |
| 桂川街道(西京区桂久方町) | 阪急電鉄京都線 | 平成22年 |
| 宇多野吉祥院線(南区吉祥院新田壱ノ段町) | JR東海道本線 | 平成22年 |
| 須原通(下京区屋形町) | JR東海道本線・JR奈良線 | 平成25年 |
阪急京都線のガード下だけ、3つの年が並んでいます。同じ場所が平成22年・23年・26年と繰り返し冠水したということです。
記載が無い箇所は「冠水していない」という意味ではありません。この説明表に書かれていない、という意味です。年も「平成26年」で止まっていて、そのあとの実績は書かれていません。
標高11.3メートルから350.9メートルまで

44か所の住所を国土地理院の標高データで引いてみました。
いちばん低いのは伏見区横大路下三栖里ノ内の11.3メートル。淀木津町11.9メートル、南区久世東土川町13.0メートルと、桂川と宇治川に近い南のほうが並びます。
いちばん高いのは右京区京北周山町の350.9メートルでした。幅は339.6メートル。同じ市のなかで、これだけ離れた場所が同じリストに並びます。
山あいの京北を外しても、左京区岩倉西河原町109.6メートル、北区紫野北花ノ坊町98.8メートルがあり、11.3メートルから100メートル超まで散らばります。低い土地だから載っている、という説明は京都市では成り立ちません。
標高は住所検索で得た代表点の値です。同じ町名のなかでも場所によって上下します。⚠️ 国土地理院の住所検索は、入力した地名が見つからないと近い別の場所を黙って返すことがあります。ここでは返ってきた住所が入力と一致したものだけを使っています(「西京極畦勝町」「桂畑ヶ田町」「牛ヶ瀬林ノ本町」は一致しなかったので外しました)。

この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
市が備えている雨は「1時間62ミリ」
くぐる道の44か所とは別に、市全体の話もあります。京都市上下水道局の浸水対策のページに、こう書かれています。
都市化の進展や集中豪雨による、いわゆる都市型浸水が増えています
このため、雨水整備の目標となる降雨を5年に1回降る確率の大雨(52mm/時)から10年に1回降る確率の大雨(62mm/時)まで引き上げて、より安全で安心な都市環境を実現するため、雨水幹線や貯留施設を整備しています
つまり京都市の下水道は、いま1時間62ミリの雨を目標に整備が進んでいるところです。それを超える雨が降れば、排水が追いつかない場所が出ます。
市は同じページで「集中豪雨などで浸水被害が生じた場合は、被害が大きくならないよう、応急的に土のうの設置やポンプ排水を行います」とも書いています。
この住所は浸水しやすい場所ですか
京都市の場合、洪水は国(淀川河川事務所)と京都府、内水は市のWeb版ハザードマップ、と置き場所が分かれています。自分の住所について1つずつ開くのは、けっこうな手間になります。
住所を入れるだけで、洪水・内水・土砂・地震の指定をまとめて確認できるページを用意しています。
もし車で水に入ってしまったら

44か所のうち34か所が線路の下です。線路をくぐる道は、必ず下り坂から入って上り坂で出ます。たまった水は上から見ると平らなので、入るまで深さが分かりません。
JAF(ジェイエーエフ)のテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほとんど同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。割れるのは横の窓です。フロントガラスは合わせガラスなので、脱出用ハンマーでも割れません。
水深がひざ下でも、流れがあれば大人でも歩けなくなります。50センチより深いときは、無理に移動せず、高いところで助けを待つほうが安全です。
ほかの市はどうなっているか
同じ手順で、ほかの市も1つずつ調べています。リストの書き方そのものが県によって違うので、出てくる答えも変わります。
- 和歌山市 冠水 どこが危ないの? 5か所ぜんぶに排水ポンプ、うち4か所に冠水実績があります
- 宮崎市 冠水 どこが危ないの? 16か所のうち5か所は、地先名が「ポンプ場」です
- 福岡市 冠水 どこが危ないの? 国のリスト45か所に、中央区は1つもありません
- 越谷市 冠水 どこが危ないの? 国のリストは3か所だけ
この記事のまとめ
- 国の道路冠水注意箇所で、京都府は113か所。京都市は44か所
- 京都府のリストは場所の欄に「何をくぐる道か」が書かれている
- 京都市44か所のうち34か所が鉄道の下。JR東海道本線11・阪急電鉄京都線6・京阪電鉄本線6・JR山陰本線5など
- 区別では伏見区10・右京区8・西京区7・南区6・下京区5。上京区は0
- 府内でいちばん多いのは京都市の区ではなく、久御山町の12か所
- 説明表44件のうち、警報・情報板26・排水ポンプ21・水位センサー15・CCTV4。「関連設備:なし」が12
- 冠水実績が書かれているのは5か所。阪急京都線ガード下だけ平成22年・23年・26年と3つ並ぶ
- 44か所の参考標高は11.3メートルから350.9メートル。幅339.6メートル
- 京都市の雨水整備の目標は5年に1回(52ミリ/時)から10年に1回(62ミリ/時)へ引き上げられている
公式出典
- 国土交通省 近畿地方整備局「道路冠水注意箇所リスト【京都府】」(道路防災情報Webマップ)
- 同 個別箇所説明表 京都府-02-001〜051/112/113(京都市内44件)
- 京都市上下水道局「浸水対策」
- 京都市防災ポータルサイト「京都市Web版ハザードマップ」
- 国土地理院 住所検索API・標高API
- JAF ユーザーテスト「水深何cmまでドアは開くのか」「何を使えば窓が割れるのか」
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