国が「ここは道路が冠水しやすい」と名前を出している場所は、佐賀県内に40か所あります。そのうち佐賀市が10か所で、県内でいちばん多い市です。
その10か所の住所を並べたとき、同じ町名が何度も出てきました。兵庫町が6か所。10か所のうち6割が、1つの町に入っています。
しかも路線名が変わっています。「市道地下道1号線」「市道地下道2号線」…と、道路の名前そのものが「地下道」でした。
この記事でわかること
- ✓ 国の道路冠水注意箇所は佐賀県40か所、うち佐賀市は10か所で県内最多
- ✓ 10か所のうち6か所が兵庫町(瓦町1・若宮4・藤木1)
- ✓ 6か所は路線名が「市道地下道1号線」から「8号線」。10か所とも市道で、管理者はすべて佐賀市
箇所数は国土交通省 九州地方整備局「道路冠水注意箇所リスト【佐賀県】」を1行ずつ数えたものです。表の最後に中身が全部空の行が1つ入っているので、行数で数えると41になります。標高は住所を国土地理院の標高データで引いた参考値で、冠水地点そのものの標高ではありません。
佐賀県40か所のうち、佐賀市が10か所

| 市町 | 箇所数 |
|---|---|
| 佐賀市 | 10 |
| 唐津市 | 7 |
| 鳥栖市 | 6 |
| 鹿島市 | 4 |
| 小城市 | 3 |
| 有田町・大町町 | 各2 |
| 多久市・基山町・みやき町・白石町・太良町・武雄市 | 各1 |
13市町で40か所。種別は市道26・県道9・町道4・国道1で、3分の2が市町の道です。国が直接管理する国道は、鳥栖市の国道34号の1か所だけでした。
ほかの県と比べると、そもそもの数が少ないほうです。同じ九州でも熊本県157、福岡県148、鹿児島県142。佐賀県は40で、桁が1つ違います。九州でさらに少ないのは長崎県19、大分県32、宮崎県33です。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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兵庫町に6か所

| 路線名 | 場所の名前 | 住所 |
|---|---|---|
| 市道地下道1号線 | 1号地下道 | 兵庫町瓦町388-1地先 |
| 市道地下道2号線 | 2号地下道 | 兵庫町若宮119-2地先 |
| 市道地下道3号線 | 3号地下道 | 兵庫町若宮135-1地先 |
| 市道地下道4号線 | 4号地下道 | 兵庫町若宮423-1地先 |
| 市道地下道5号線 | 5号地下道 | 兵庫町若宮425-4地先 |
| 市道地下道8号線 | 8号地下道 | 鍋島町森田2447-1地先 |
| 市道栴檀橋天祐線 | 多布施川ガード下 | 神園6丁目1-2地先 |
| 市道大財藤木線 | 大財北ガード下 | 駅前中央3丁目1-6地先 |
| 市道若宮西中野線 | とんぼ橋高架下 | 兵庫町藤木25-2地先 |
| 市道荻野東線 | JR・嘉瀬ガード下 | 嘉瀬町荻野2207-2地先 |
兵庫町が6か所(瓦町1・若宮4・藤木1)。とくに若宮は、119番地・135番地・423番地・425番地と4か所が並んでいます。残りは鍋島町・神園・駅前中央・嘉瀬町が1つずつ。10か所とも市道で、管理者はすべて佐賀市、県道も国道も入っていません。
番号は1・2・3・4・5・8で、6号線と7号線がリストにありません。道路として無いのか、注意箇所に指定されていないだけなのかは、このリストからは分かりません。

道路の名前が「地下道」になっている
ほかの県のリストを見ていると、路線名は「◯◯線」「主要地方道◯◯線」といった形で、場所の名前のほうに「◯◯アンダーパス」「JR◯◯線ガード下」と入ります。
佐賀市は違いました。路線名が「市道地下道1号線」。道路そのものの名前が「地下道」です。場所の名前も「1号地下道」で、路線名とほとんど同じになっています。
名前の付け方から想像がつくのは、この道が最初から「下をくぐるための道」として作られたということです。あとから線路の下をくぐるようになったのではなく、くぐることが目的の道が6本ある。

読者
地下道という名前だと、探すときに困りませんか
むしろ逆で、番号で呼び分けられているぶん現場では通じやすいはずです。ただ地図アプリで「佐賀市 1号地下道」と入れても出てこないことがあるので、住所(兵庫町瓦町388-1あたり)で見に行くほうが確実です
備考の欄が、県内40か所で1件しか埋まっていない
国のリストには1か所ずつ説明表のPDFが付いていて、そこに「備考」の欄があります。ほかの県では排水ポンプや監視カメラの有無がここに書かれ、鹿児島県は142か所のうち75か所、大分県は32か所のうち16か所が埋まっていました。
佐賀県は40か所のうち1か所だけでした。鳥栖市の国道34号(宿町字原田937番2)に「CCTV(シーシーティーブイ=監視カメラ)・排水ポンプ・流末排水・情報版」とあります。
つまり佐賀市の10か所は、10か所とも備考が空欄です。ポンプがあるのか、カメラがあるのか、水位計があるのかは、この資料からは読み取れません。
空欄は「設備が無い」という意味ではありません。書かれていないというだけです。実際に何が付いているかは、現地か市への問い合わせでしか確かめられません。
標高は3.1メートルから5.2メートル。幅は2.1メートル

10か所の住所を国土地理院の標高データで引きました。同じ町名が重なるので、住所としては7つになります。
嘉瀬町荻野3.1メートル、兵庫町若宮3.2メートル、兵庫町瓦町・神園六丁目・駅前中央三丁目が4.0メートル、兵庫町藤木4.3メートル、鍋島町森田5.2メートル。
いちばん低いところといちばん高いところの差が、2.1メートルしかありません。
同じ手順で調べたほかの市を並べると、この狭さがよく分かります。大分市は2.4メートルから108.0メートルで幅105.6メートル、京都市は11.3メートルから350.9メートルで幅339.6メートル。佐賀市は、市街地がまるごと同じ高さに載っています。
これは「どこが低いか」で危ない場所を見分けられない、ということでもあります。見分けるとしたら、高さではなく形(下をくぐるかどうか)と、水が集まる先がどこかになります。
標高は住所検索で得た代表点の値です。同じ町名のなかでも場所によって上下します。地下道そのものの標高ではなく、その住所あたりの地面の高さです。
佐賀市の内水の地図は、高潮と同時に起きる前提で作られている
佐賀市は内水ハザードマップを出しています。2026年7月16日に更新されたばかりです。市の説明にこうあります。
水防法に基づき、想定し得る最大規模の降雨と大潮期の高潮が同時に発生した場合の浸水範囲と、その程度、並びに各地区の避難所を示した地図です
雨と高潮が同時に来る前提で作られています。有明海に面した土地で、川の水が海に出られなくなる状況を織り込んでいるということです。
作り直した経緯も書かれています。
佐賀市においても、令和元年8月豪雨により平野部で大規模な浸水被害が発生しており、それを踏まえ、令和2年には、令和元年8月豪雨の既往最大降雨を基に内水ハザードマップを更新しているところです
このたび、水防法の改正により、雨水出水浸水想定区域とする対象施設が拡大されたことから、水防法第14条の2に基づき、想定最大規模降雨による内水ハザードマップへ更新しました
解析は5メートル四方を1マスとして行われています(そのマスの高さは25メートル四方の平均から取っている、とのことです)。幅2.1メートルの土地で、5メートル刻みの地図があるというのは、それだけ細かく見ないと差が出ないということでもあります。
この住所は浸水しやすい場所ですか
佐賀市の場合、洪水ハザードマップと内水ハザードマップが別々にあり、それぞれ北部・中部・南部に分かれています。自分の住所について1枚ずつ確かめるのは、けっこうな手間です。
住所を入れるだけで、洪水・内水・土砂・地震の指定をまとめて確認できるページを用意しています。
もし車で水に入ってしまったら

地下道もガード下も高架下も、共通しているのは「まわりより低い」ことです。たまった水は上から見ると平らなので、入るまで深さが分かりません。
JAF(ジェイエーエフ)のテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほとんど同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。割れるのは横の窓です。フロントガラスは合わせガラスなので、脱出用ハンマーでも割れません。
水深がひざ下でも、流れがあれば大人でも歩けなくなります。50センチより深いときは、無理に移動せず、高いところで助けを待つほうが安全です。
ほかの市はどうなっているか
同じ手順で、ほかの市も1つずつ調べています。リストの書き方が県によって違うので、出てくる答えも変わります。
- 鹿児島市 冠水 どこが危ないの? 県内142か所のうち、遮断機があるのは1か所だけです
- 久留米市 冠水 どこが危ないの? 国のリスト9か所は、全部が線路か道路をくぐる道でした
- 福岡市 冠水 どこが危ないの? 国のリスト45か所に、中央区は1つもありません
- 和歌山市 冠水 どこが危ないの? 5か所ぜんぶに排水ポンプ、うち4か所に冠水実績があります
この記事のまとめ
佐賀市の道路冠水注意箇所は10か所。うち6か所が兵庫町にあり、6か所は路線名そのものが「市道地下道1号線」から「8号線」です。標高の差は2.1メートルしかないので、高いか低いかでは見分けられません。見分ける手がかりは、下をくぐる形かどうかのほうです。
県内40か所で説明表の備考が埋まっているのは鳥栖市の1件だけ。佐賀市の10か所に何の設備があるかは、この資料からは分かりません。だから次にやることは1つで、市の内水ハザードマップで自分の家の色を見ることです。
公式出典
- 国土交通省 九州地方整備局「道路冠水注意箇所リスト【佐賀県】」(道路防災情報Webマップ)
- 同 個別箇所説明表 佐賀県-02-001〜010、028
- 佐賀市「佐賀市内水ハザードマップ(避難地図)について」
- 佐賀市浸水情報提供システム
- 国土地理院 住所検索API・標高API
- JAF ユーザーテスト「水深何cmまでドアは開くのか」「何を使えば窓が割れるのか」
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