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熊本市 冠水 どこが危ないの? 国のリストは11か所、市民が作った地図は462枚

国が「ここは道路が冠水しやすい」と名前を出している場所は、熊本県内に157か所あります。そのうち熊本市は11か所。八代市22か所、球磨村22か所、宇城市17か所に次ぐ4番目で、県庁所在地なのに上位ではありません。

この11か所を1件ずつ開くと、思っていたのと逆の形が出てきました。いちばん標高の高い場所に、いちばん多くの冠水履歴が書かれていたのです。

この記事でわかること

  •  熊本市11か所のうち、実際に冠水したと書かれているのは3か所。うち2か所は標高28.8メートルと74.7メートルの地下道
  •  いちばん低い標高1.5メートルの場所は「関連設備無」で、冠水履歴も書かれていない
  •  「熊本市 浸水実績図」で探しても実績図は出てこない。市が出しているのは1時間153ミリを想定したシミュレーション
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箇所数は国土交通省 九州地方整備局「道路冠水注意箇所リスト【熊本県】」を1行ずつ数えたものです。設備・冠水履歴・住所は、リストの⑦列に付いている個別箇所説明表のPDFから1件ずつ読み取りました。標高は住所を国土地理院の標高データで引いた参考値で、冠水地点そのものの標高ではありません。
目次

国のリストに載っている熊本市の11か所

国の道路冠水注意箇所リストに載っている熊本市11か所の住所を標高で並べた図
いちばん高い74.7メートルの東原地下道に、冠水履歴が3回書かれています(国土地理院 標高API)
名称 住所 参考標高 関連設備
東原地下道(国道57号の地下) 東区御領8丁目 74.7m 排水ポンプ・監視カメラ・情報板・水位センサー
北区下硯川町 北区下硯川町 53.3m 情報板、水位センサー、CCTV(シーシーティーブイ=監視カメラ)
西原地下道 東区西原1丁目 28.8m 排水ポンプ・監視カメラ・情報板・水位センサー
新蓮台寺地下道 西区蓮台寺5丁目 9.0m 排水ポンプ・水位センサー
田崎地下道 西区田崎1丁目 8.4m 排水ポンプ・水位センサー
蓮台寺地下道 西区蓮台寺4丁目 7.6m 排水ポンプ・水位センサー
田井島横断地下道 南区田井島1丁目 5.4m 排水ポンプ・水位センサー
国道57号 田井島地区 南区田井島 5.4m (記載なし)
新町橋地下道 南区川尻4丁目 4.8m 排水ポンプ
志々水地下道 南区富合町志々水 2.4m 排水ポンプ・監視カメラ・情報板・水位センサー
国道501号 無田口町 南区無田口町 1.5m 関連設備無

11か所のうち、名前に「地下道」が入っているのが7か所。国道57号と国道501号の2か所は、掘り下げた区間そのものが載っています。

設備を数えると、排水ポンプがあるのは8か所、水位センサーが8か所、監視カメラまたはCCTVが4か所、情報板が4か所。「関連設備無」と書かれているのは、南区無田口町の1か所だけでした。

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県のリストでは、市町村名の列が「熊本市」10件と「熊本市南区」1件に分かれています。この記事では合わせて11か所として扱っています。

冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの

JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。

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水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。

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119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。

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鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。

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いちばん高い74.7メートルの地下道に、履歴が3回

個別の説明表には「冠水履歴」の欄があります。11か所のうち、実際に冠水したと書かれているのは3か所だけでした。

場所 参考標高 冠水履歴
東原地下道(東区御領8丁目) 74.7m 平成29年7月6日/7月9日/8月26日
西原地下道(東区西原1丁目) 28.8m 平成29年7月6日/8月9日/8月26日/9月12日
国道57号 田井島地区(南区) 5.4m 令和7年8月

東原地下道は3回、西原地下道は4回。どちらも「路面冠水による通行止め(同日解除)」と書かれています。この2か所は、標高74.7メートルと28.8メートル。市役所そばの手取本町が11.3メートルですから、どちらもそれより高い場所です。

いっぽう、いちばん低い南区無田口町の1.5メートルは「平成29年度冠水実績無」。志々水(2.4メートル)も、川尻(4.8メートル)も実績なしです。

低いところが浸かる、という順番になっていません。東原地下道は国道57号の下をくぐる県道です。まわりが高ければ高いほど、そこへ落ちてくる雨の量も増えます。

読者

平成29年より後の履歴はないんですか

おかあさん

この説明表の冠水履歴は平成29年度で止まっていて、そこから先は書かれていません。ただし国道57号の田井島地区だけは「令和7年8月」と入っています。同じ令和7年8月の大雨は、市が内水の想定図を見直したきっかけにもなっています

道路が線路の下をくぐる地下道。奥に向かって下り坂になっている
道路が線路の下をくぐる地下道。奥に向かって下り坂になっている(写真: Pexels)

「熊本市 浸水実績図」で探しても、実績図は出てこない

熊本県の道路冠水注意箇所157か所の市町村別の内訳
八代市22と球磨村22が上位。県庁所在地の熊本市は11か所で4番目です

「熊本市 浸水」と検索窓に入れると、いちばん上に出てくる続きの言葉が「浸水実績図」です。それだけ探されている言葉なのですが、熊本市のハザードマップの一覧に浸水実績図はありません。

市が公開しているのは、洪水(白川・緑川・加勢川の氾濫シミュレーション)、高潮、津波、地震、液状化。そして内水にあたるのが「雨水出水浸水想定区域図」です。

この図は実績ではなく想定です。市の説明を読むと、条件がはっきり書いてあります。

  • 水防法第14条の2第2項に基づく指定
  • 対象は熊本市下水道計画区域(雨水)の10,796ヘクタール
  • 降雨は1時間雨量153ミリ(九州北西部地区で想定される最大規模)
  • 令和4年度末時点の水路や下水道の整備状況から排水能力を算出してシミュレーション

そして、これまでの内水浸水想定区域との違いが2つ挙げられています。

(1)令和7年8月の大雨を受けて、浸水区域や浸水深を見直し (2)浸水継続時間を新たに追加

新しく加わった「浸水継続時間」の定義が、この図でいちばん実用的なところです。

浸水継続時間とは、浸水深45cm以上が一定時間継続する浸水範囲を示したもの

45センチは、大人が歩ける限界のあたりで、車のドアが開かなくなる手前です。その深さが「続く」範囲を、市が別の地図にしたということになります。

\自分の住所が何時間つかる想定か/

熊本市の雨水出水浸水想定区域図を開く ›

浸水深と浸水継続時間が、区ごとのPDFで分かれています

この住所は浸水しやすい場所ですか?

住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。



市民が作った地図が462枚ある

熊本市の地域版ハザードマップの区別の枚数。南区161、東区82、北区80、西区78、中央区61
住民自らが作った地図が5区あわせて462枚。国のリストは11か所です

熊本市には、もう1種類の地図があります。「地域版ハザードマップ」です。

市の説明では、こう定義されています。

行政が配布する各種ハザードマップを、住民自らが地域の実情にあわせて作成したハザードマップをいいます

市のページから、町内会や自治会の名前が付いたPDFを区ごとに数えました。

枚数
南区 161
東区 82
北区 80
西区 78
中央区 61
合計 462

国のリストは11か所。市の想定図は区ごとに1枚。それに対して、町内会の単位まで下りた地図が462枚あります。自分の町内のものがあるなら、市全体の地図よりずっと細かいはずです。

いちばん多い南区は、国のリストで熊本市11か所のうち5か所を占める区でもあります。標高1.5メートルの無田口町も、2.4メートルの志々水も、4.8メートルの川尻も南区です。

\自分の町内の1枚があるか探す/

熊本市の地域版ハザードマップを開く ›

中央区・東区・西区・南区・北区の5ページに分かれています

住宅街の道にできた大きな水たまりに、家並みと空が映り込んでいる
住宅街の道にできた大きな水たまりに、家並みと空が映り込んでいる(写真: Pexels)

この住所は浸水しやすい場所ですか

熊本市の場合、洪水・高潮・津波・地震・液状化・雨水出水と資料が分かれています。自分の住所について1枚ずつ開くのは、けっこうな手間です。

住所を入れるだけで、洪水・内水・土砂・地震の指定をまとめて確認できるページを用意しています。

\住所を入れるだけ 5秒で出ます/

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登録不要・無料。ハザードマップの指定と地盤の強さが出ます

もし車で水に入ってしまったら

水に入ってしまった車から出るまでの手順
水深30センチほどでドアは開かなくなります。割るのは横の窓です

JAF(ジェイエーエフ)のテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほとんど同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。

割れるのは横の窓です。フロントガラスは合わせガラスなので、脱出用ハンマーでも割れません。熊本市の11か所は7か所が地下道で、たまった水は上から見ると平らです。入るまで深さが分かりません。

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水深がひざ下でも、流れがあれば大人でも歩けなくなります。50センチより深いときは、無理に移動せず、高いところで助けを待つほうが安全です。

\何センチでドアが開かなくなるのか/

JAFの実験の中身を読む ›

窓を割れたのは脱出用ハンマーだけでした

ほかの市はどうなっているか

同じ手順で、ほかの市も1つずつ調べています。冠水履歴の欄があるのは、いまのところ熊本県の説明表だけでした。

この記事のまとめ

  • 国の道路冠水注意箇所で、熊本県は157か所。熊本市は11か所で県内4番目
  • 上には八代市22、球磨村22、宇城市17がある。県庁所在地が上位ではない
  • 11か所のうち7か所が「地下道」。排水ポンプがあるのは8か所
  • 「関連設備無」と書かれているのは南区無田口町の1か所だけ
  • 冠水履歴が書かれているのは3か所。東原地下道が3回、西原地下道が4回、国道57号田井島が令和7年8月
  • その東原地下道は標高74.7メートル、西原地下道は28.8メートル。いちばん低い1.5メートルの場所には履歴がない
  • 熊本市は浸水実績図を公開していない。内水は「雨水出水浸水想定区域図」で、1時間153ミリを想定したシミュレーション
  • その図は令和7年8月の大雨を受けて見直され、浸水深45センチ以上が続く範囲を示す「浸水継続時間」が追加された
  • 住民自らが作る「地域版ハザードマップ」は5区あわせて462枚(南区161・東区82・北区80・西区78・中央区61)

公式出典

  • 国土交通省 九州地方整備局「道路冠水注意箇所リスト【熊本県】」(道路防災情報Webマップ)
  • 同 個別箇所説明表 熊本県-02-001/002/009/010/011/018/019/020/291/292/296
  • 熊本市「熊本市雨水出水浸水想定区域」(水防法第14条の2第2項)
  • 熊本市「地域版ハザードマップ」(中央区・東区・西区・南区・北区)および「『地域版ハザードマップ』について」
  • 熊本市「ハザードマップ等の防災情報を確認できます。」
  • 国土地理院 住所検索API・標高API
  • JAF ユーザーテスト「水深何cmまでドアは開くのか」「何を使えば窓が割れるのか」

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    この記事を書いた人

    ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
    その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
    契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
    実務全般に携わってきました。

    特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
    反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
    自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

    現在は子育てのため一線を退いていますが、
    これまでの実務経験を活かし、
    フリーランスとして不動産会社様向けの
    バックオフィスサポート業務を開始しました。

    現場目線を大切にしながら、
    「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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