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「築20年を過ぎれば下げ止まる」——172市区町村の中古マンションは、そのあとも10年ごとに落ち続けていました

中古マンションを「築20年を過ぎれば、あとはそんなに下がらない」と思って探しているなら、予算の前提を組み直したほうがいいです。全国172市区町村の実際の成約価格を築年数の帯で並べると、築0〜10年を100としたときの水準は築11〜20年で79.5、築21〜30年で60.4、築31〜40年で40.8。落ち方が緩む帯は、どこにもありませんでした。

ただし、これは全国をならした話です。同じ築31〜40年でも、築0〜10年の72.2%を保っている街と、20.8%まで落ちている街があります。開きは3倍以上あって、「築何年の部屋を買うか」より先に効いているのはこちらです。

先に結論

  • 全国172市区町村の実取引。築0〜10年を100とすると、築11〜20年79.5/築21〜30年60.4/築31〜40年40.8
  • 10年ごとの落ち幅は20.5 → 19.1 → 19.6ポイント。築20年を過ぎても落ち方は緩んでいない
  • 街の差は3倍以上。築31〜40年で72.2を保つ東京都墨田区と、20.8まで落ちる石川県金沢市
  • 値持ちしている20市区町村のうち18が東京都内。落ち方が大きい20には東京都が1つも入っていない
  • 築41年以上が42.6と少し戻って見えるのは、今も売れている部屋だけが残っているから。価値が戻るという意味ではない
目次

全国172市区町村の実取引:築0〜10年を100にすると築31〜40年は40.8

使ったのは国土交通省の不動産取引価格情報(2024年第4四半期〜2025年第4四半期)です。市区町村ごとに、専有面積1㎡あたりの成約価格の中央値を築年数の帯で出し、その街の築0〜10年を100として各帯の水準を計算しました。そのうえで、水準そのものの全国の中央値を取っています。

全国の価格をいきなり平均すると、取引額の大きい都心の物件に引っ張られて「日本の中古マンション」の話ではなくなります。街の中で比べてから集計しているのは、そのためです。各帯とも取引10件以上の市区町村だけを対象にして、172市区町村が残りました。

築0〜10年100
築11〜20年79.5
築21〜30年60.4
築31〜40年40.8
築41年以上42.6

中古マンションの成約価格の水準(各市区町村の築0〜10年=100・全国中央値・172市区町村・2024年4Q〜2025年4Q)

帯ごとに対象になった市区町村の数も置いておきます。築11〜20年は155、築21〜30年は164、築31〜40年は160、築41年以上は86。帯によって数が違うのは、その帯に10件以上の取引があった街だけを数えているからです。築41年以上が86しかないのは、その年代の部屋がそもそも動いていない街が半数近くあるということです。

「築20年を過ぎれば下げ止まる」は、どの10年で見ても起きていない

同じ数字を、前の帯からの落ち幅に直します。

どこからどこへ 落ち幅
築0〜10年 → 築11〜20年 20.5ポイント
築11〜20年 → 築21〜30年 19.1ポイント
築21〜30年 → 築31〜40年 19.6ポイント

どの10年を切り取っても、落ち幅は20ポイント前後で並びます。 築20年を過ぎたあとの落ち幅は、その前の10年の96%です。曲線が寝るどころか、ほぼ同じ角度で下り続けています。

中古マンションの値下がりを検索すると、「築20年で底を打つ」「築25年が目安」「築30年くらいで下げ止まる」と、記事ごとに違う年数が出てきます。読む側からすると、どれが本当なのか決めようがありません。そして数字の出どころをたどると、たいていは首都圏をひとまとめにした平均です。

私は、年数を1つ挙げて「ここで下げ止まる」と言い切る書き方そのものが、買う人の役に立っていないと考えています。理由は上の表で、全国の真ん中の街には下げ止まる年数が存在しないからです。存在するのは、街ごとの落ち方の差のほうです。

同じ集計を戸建てでもやりました。戸建ては新築(築0〜1年)を100としたときの築21〜30年が49で、街ごとの開きは99〜19とマンションよりさらに広くなります(戸建ては新築と中古どっちが安い?築30年で半額になる街と、9割の値段のままの街があります)。基準の取り方が違うので水準そのものは並べて比べられませんが、「街によって落ち方がまるで違う」という結論は、種別を変えても同じでした。

下げ止まる街と、下げ止まらない街がある(同じ築31〜40年で3倍以上の差)

築31〜40年の水準が高い、つまり築30年を過ぎても値持ちしている20市区町村です。数字はその街の築0〜10年を100としたときの水準で、件数は築31〜40年の取引件数です。

市区町村 築31〜40年の水準 件数
東京都墨田区 72.2 73
千葉県浦安市 70.2 30
東京都台東区 70.0 43
東京都練馬区 64.8 127
東京都北区 64.5 44
東京都大田区 64.1 171
東京都江戸川区 63.8 53
東京都世田谷区 63.1 113
東京都目黒区 62.9 45
東京都文京区 62.8 60
東京都杉並区 61.9 119
埼玉県朝霞市 60.7 26
東京都西東京市 60.4 10
東京都品川区 60.0 62
東京都江東区 59.4 89
東京都中野区 59.3 59
東京都板橋区 59.3 145
東京都渋谷区 59.1 33
東京都荒川区 59.0 41
東京都新宿区 58.5 57

反対に、築30年を過ぎたところで水準が2〜3割まで落ちている20市区町村です。

市区町村 築31〜40年の水準 件数
石川県金沢市 20.8 56
兵庫県神戸市垂水区 21.8 32
静岡県浜松市中央区 24.0 49
大阪府東大阪市 24.5 42
兵庫県明石市 24.5 64
愛知県名古屋市西区 25.2 21
愛知県名古屋市昭和区 25.3 52
岐阜県岐阜市 25.5 15
栃木県宇都宮市 26.5 36
兵庫県神戸市兵庫区 26.5 21
宮城県仙台市太白区 27.5 49
徳島県徳島市 27.6 35
大阪府堺市堺区 27.6 42
愛知県名古屋市名東区 28.0 22
山梨県甲府市 28.6 22
愛媛県松山市 28.9 54
兵庫県姫路市 29.3 52
大阪府大阪市住之江区 29.6 11
千葉県八千代市 29.9 12
愛知県名古屋市中区 30.1 43

同じ築31〜40年でも、残っている水準は3倍以上違います。 墨田区の72.2に対して金沢市は20.8。築年数という同じ言葉で語られていますが、街をまたぐと別の現象です。

ここでひとつ断っておきます。この記事では街どうしの1㎡あたりの金額は比べていません。1㎡単価は部屋の広さの構成に強く引っ張られるからです(狭い部屋ほど1㎡あたりは高くなります)。比べているのは、その街の中で築0〜10年と築31〜40年がどれだけ離れたか、という比だけです。広さと単価の関係は神戸市兵庫区は広い部屋ほど1㎡が安くなりますで扱っています。

値持ちしている20市区町村のうち18が東京都内だった

上の値持ち20をもう一度見ると、東京都以外は千葉県浦安市(70.2)と埼玉県朝霞市(60.7)の2つだけです。残る18はすべて東京都内でした。

落ち方が大きい20のほうは、東京都の市区が1つも入っていません。入っているのは金沢市・宇都宮市・仙台市太白区・徳島市・甲府市・松山市・岐阜市といった県庁所在地と、名古屋市の4区、大阪府の3市区、兵庫県の4市区です。関東は宇都宮市と八千代市の2つだけです。

ここから先は私の見立てです。建物の傷み方が東京都内だけ遅いということはありません。同じ年数だけ古くなった建物に、それでも払う人がいるかどうかの差だと考えています。買い手が並んでいる街では築30年の部屋にも次の買い手がつき、買い手が限られている街では、価格を下げないと動きません。落ちているのは建物の質ではなく、その部屋を欲しがる人の数のほうです。

自分の街の落ち方は、市区町村ごとに集計した記事があります。近いものから見てください。

築41年以上が少し高く出るのは、価値が戻ったからではない

最初のグラフで、築41年以上(42.6)が築31〜40年(40.8)をわずかに上回っています。ここを「築40年を超えると値段が戻る」と読まないでください。この数字は、価値が戻ったことを示していません。

理由は2つあります。

1つめは母集団です。この集計に入っているのは1982年以降に建てられた部屋だけで、それより前のいわゆる旧耐震の建物は元データの段階で除かれています。2026年から数えると、築41年以上の帯は実質「築41〜44年」の4年ぶんしかありません。40年以上の全体ではなく、その入口だけを見た数字です。

2つめは、その4年ぶんの中で今も取引が成立している部屋に偏りがあることです。築40年を超えて買い手がつく部屋は、立地や管理の状態で選ばれて生き残ったものです。売れずに残っている部屋はこの集計に出てきません。見えているのは「築41年以上の部屋の平均」ではなく「築41年以上でも売れた部屋」の水準です。

そのうえで、買う側が持ち帰れることはあります。築年数の上限で機械的に候補を切ると、安い側を落とすことがあるという点です。当サイトが所沢市で集計したときは、いちばん単価が低い帯は築41年以上ではなく築31〜40年でした(所沢市の中古マンションは築40年超より築30年台が安い)。「古いほど安い」が街の中でも一直線とはかぎりません。

値段が下がることと、お金が出ていかないことは別の話

ここまでは価格の話です。ただし読者が本当に気にしているのは、そこではないようです。Yahoo!知恵袋にこういう質問がありました。

> 「マンションは資産価値が無いと 友人から言われました 本当ですか? 築30年のマンションの購入に 迷っています」

> (2023/7/1 投稿・質問ページ

ベストアンサーに選ばれた回答は、友人の側が正しいとしたうえで、こう書いています。

> 「長期修繕計画と修繕積立金の残高を確認したらわかると思います。 買った後も金がかかるのですよ。」

この指摘は、上のグラフと矛盾しません。むしろ噛み合います。下がった価格の分は、買ったあとの支払いとして戻ってくることがあります。 築31〜40年の部屋を築0〜10年の4割で買えるのは事実で、その建物が給湯器も配管も同じ年数を過ごしてきたのも事実です。

私は、価格の落ち方だけを見て「安い築古が得」と決めるのは無理があると考えています。判断材料として価格表と同じ重さで見るべきなのは、その建物の長期修繕計画と積立金の残高です。この2つは売主か管理会社に聞けば書面で出てきます。価格の差は買う前に分かりますが、積立の不足は買ったあとに月々の金額として来ます。

自分が買う街がどちら側かを調べる3つの手順

1. 街の中の築年帯ごとの単価を先に見る。 全国の40.8は目安にしかなりません。同じ築31〜40年で72.2の街と20.8の街があるので、順番としては街を決めてから築年帯を決めます。

自分の街の相場を調べる

住所を入れて種別で「マンション」を選ぶと、その市区町村の成約価格の相場が出ます。登録は要りません。

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2. 帯ごとの件数を確かめる。 上の表に件数を載せたのはこのためです。西東京市の60.4は10件、大阪市住之江区の29.6は11件で作られた数字で、1件の取引で順位が入れ替わります。件数の少ない帯は、方向は読めても金額の根拠にはできません。なお、取引が5件に満たない帯は元データに出てきません。表に帯が無いことは、取引がゼロだったことを意味しません。

3. 古い帯を選ぶなら、工事費と積立金を足した総額で比べる。 築31〜40年の水準40.8は物件価格の話で、住める状態にするまでの金額ではありません。候補を2〜3件に絞ってから工事費の見積もりを取ると、同じ条件で並べて比べられます。間取りと設備の状態で金額が動くので、物件が決まらないうちの概算はあまり使えません。

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工事費が分かると、築年帯の違う部屋を総額で比べられます

よくある質問

中古マンションは築何年で下げ止まりますか

全国172市区町村の実取引では、下げ止まる年数は出てきませんでした。築0〜10年を100として、築11〜20年79.5、築21〜30年60.4、築31〜40年40.8。落ち幅は10年ごとに20.5→19.1→19.6ポイントで、築20年を過ぎても落ち方は緩んでいません。

資産価値が落ちにくいマンションはどこにありますか

築31〜40年でも築0〜10年の6割前後を保っていた20市区町村のうち、18が東京都内でした。東京都以外は千葉県浦安市(70.2)と埼玉県朝霞市(60.7)です。ただしこれは市区町村単位の話で、同じ市区町村の中でも部屋ごとに差があります。

築40年を超えたマンションは買わないほうがいいですか

この集計では判断できません。母集団が1982年以降に建てられた部屋に限られているため、築41年以上の帯は実質「築41〜44年」しか含まれていないからです。旧耐震の建物についてはこの記事の数字は使えません。

駅から近ければ値下がりしにくいですか

この記事のデータには駅からの距離が入っていないため、中古マンションについては確かめられていません。土地であれば地価公示で調べた結果があり、駅から1分遠いだけで土地はいくら安くなるのかにまとめています(141市区町村のうち53市区町村では、駅距離で値段がほとんど動いていませんでした)。

この記事の数字の出どころと集計条件

  • 出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」不動産取引価格情報(XIT001)。集計期間は2024年第4四半期〜2025年第4四半期
  • 集計方法:市区町村ごとに、専有面積1㎡あたりの成約価格の中央値を築年数帯で算出し、その街の築0〜10年を100として各帯の水準を計算。その水準の全国中央値を掲載しています
  • 対象:各帯とも取引10件以上の市区町村のみ。全体で172市区町村。帯ごとの対象数は築11〜20年155、築21〜30年164、築31〜40年160、築41年以上86
  • 母集団は1982年(新耐震基準の目安)以降に建てられた部屋に限定しています。それ以前の建物は元データの段階で除かれています
  • 築0〜10年の帯には新築(築2年以内)の取引が含まれます。この記事の水準は「新築を含む築浅」を100とした値で、新築と中古を比べたものではありません
  • 元データは取引5件未満の帯を出力しません。帯が無い=取引がゼロ、ではありません
  • 1㎡あたりの単価は部屋の広さの構成に影響されるため、街どうしの金額の比較はしていません
  • 駅からの距離、管理状態、修繕積立金の額はこのデータに含まれていません

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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