灘区で中古マンションを探すと、1㎡あたり83.1万円の部屋と33.8万円の部屋が同じ検索結果に並びます。この2つを分けているのは築年数です。予算だけ決めて探し始めると、値段の理由が分からないまま候補だけが増えます。
国土交通省が公表している灘区の中古マンションの成約は106件(2024年4Q〜2025年4Q)。中央値は1㎡あたり49.5万円です。ただしこの49.5万円が当てはまる部屋は限られます。築5年の部屋にも築35年の部屋にも、この数字は使えません。
取引がいちばん集まっているのは築21〜30年で、106件のうち49件。灘区の中古マンション市場は、この帯を中心に動いています。
先に結論
- 灘区の中古マンションは1㎡あたり49.5万円(中央値・106件)。この数字が使える築年帯は限られます
- 取引の中心は築21〜30年の49件で、1㎡あたり50.8万円。1996年から2005年に建った物件です
- 築0〜10年は83.1万円、築31〜40年は33.8万円。築年数で1㎡の値段がここまで動きます
- 築41年以上の9件は36.4万円で、すぐ上の築31〜40年より高い。築年数だけで値段は決まりません
- 広さは50〜70㎡が50件、70〜90㎡が38件。この2つの帯から外れると件数が一気に減ります
築年帯ごとの1㎡あたりの値段。取引の中心は築21〜30年です
灘区の中古マンション106件を、築年数の帯で分けて並べました。
灘区の中古マンション成約価格(1㎡あたりの中央値・2024年4Q〜2025年4Q・全106件)
件数で見ると、灘区の中古マンションは築21〜30年に偏っています。106件のうち49件がこの帯です。次に多いのが築31〜40年の23件、その次が築11〜20年の18件。築0〜10年は7件、築41年以上は9件しかありません。
この築21〜30年は、1996年から2005年に建った物件です。築31〜40年なら1986年から1995年に建った物件になります。物件広告に「築28年」と書いてあったら、それは2000年前後の建物で、灘区でいちばん取引されている帯だということです。
築21〜30年の49件が、灘区で中古マンションを見るときの基準になります。 1㎡あたり50.8万円。ここより新しければ高く、古ければ安い、という位置関係で他の帯を読むと分かりやすくなります。
新しい側の動きは大きいです。築0〜10年は1㎡あたり83.1万円、築31〜40年は33.8万円です。同じ灘区の同じ1㎡でこれだけ違います。ただし築0〜10年は7件しかないので、この83.1万円は数件の取引で動く数字として読んでください。
築41年以上が築31〜40年より高い。ただし9件の数字です
表を上から下へ見ていくと、築31〜40年でいったん下がったあと、築41年以上で上がります。築41年以上の9件は36.4万円。すぐ上の築31〜40年の33.8万円より高い数字です。
ここで「灘区の古いマンションは値下がりが止まる」と読むのは早すぎます。築41年以上は9件しかありません。数件の取引で順序が入れ替わる規模です。私は、この逆転を灘区の性質として受け取るべきではないと考えています。
それでも、この9件から持ち帰れるものはあります。古くても値段が付いている部屋が灘区にはある、という読み方の方が使えます。 築年数が1年増えるごとに値段が一定額ずつ下がっていくわけではない、ということです。
なぜ古い側で値段が付いているのか、その理由はこのデータからは分かりません。立地なのか、建物の管理状態なのか、部屋の広さなのか、この9件が持っている条件は数字に出ていません。理由を決めつけずに、築40年を超える物件を最初から候補から外さない、という程度に使うのが安全です。
実際の場面で言えば、築42年の部屋の売り出し価格を見て「築40年超えだから安いはず」と決めてかかると、想定より高くて驚くことになります。灘区では築年数を値段の唯一の物差しにしないでください。
部屋の広さ別。50〜70㎡が50件、70〜90㎡が38件
築年数の次に効くのが広さです。同じ106件を広さで分けると、こうなります。
| 広さ | 件数 | 1㎡あたりの中央値 |
|---|---|---|
| 30㎡以下 | 7件 | 32.0万円 |
| 50〜70㎡ | 50件 | 50.8万円 |
| 70〜90㎡ | 38件 | 57.1万円 |
| 90㎡以上 | 8件 | 43.1万円 |
取引は50〜70㎡の50件と70〜90㎡の38件に集まっています。50〜70㎡と70〜90㎡から外れると、そもそも比べる相手がいなくなります。 30㎡以下は7件、90㎡以上は8件。売り出し価格が妥当かどうかを近い条件の成約と見比べたくても、材料が足りません。
広ければ1㎡あたりが高くなる、という関係にもなっていません。いちばん高いのは70〜90㎡の57.1万円で、そこから90㎡以上になると43.1万円に下がります。30㎡以下の32.0万円は表のなかで最も低い数字です。
灘区で家族向けの広さを探すなら、50〜70㎡か70〜90㎡のどちらかに入ります。この2つの帯は件数があるので、売り出し価格を判断する材料も揃っています。90㎡以上を狙う場合は、比べる相手が8件しかないことを前提に、現地の売り出し価格を自分で集める必要があります。
築年数が古い部屋は、内装の工事費を最初から総額に入れる
築31〜40年の33.8万円と築0〜10年の83.1万円を並べると、古い部屋を選ぶ理由は分かりやすく見えます。ただし物件価格が下がるぶん、内装に手を入れる前提になります。給湯まわりや水まわりの設備は、建物の築年数と一緒に年を取っています。
物件価格だけで比べると、古い部屋がいつでも安く見えます。工事費を足した総額で並べ直したときに初めて、築21〜30年の部屋を買って軽く直す案と、築31〜40年の部屋を買って大きく直す案のどちらが安いかが決まります。
順番としては、気になる部屋を2つか3つに絞ってから工事費の見積もりを取るのが早いです。間取りと設備の状態で金額が変わるので、物件が決まっていない段階の概算はあまり役に立ちません。
工事費が分かると、築年数の違う部屋を総額で比べられます
マンションではなく戸建てを見る場合の数字
灘区は戸建ての取引もあります。中古戸建てが60件で1坪あたり150.8万円、新築戸建てが26件で186.8万円です。
ここで単位の話をひとつ挟みます。戸建てのこの坪単価は、成約総額を建物の延床面積の坪数で割った値です。マンションの1㎡あたりの単価や、土地の坪単価とは分母が違います。この記事で戸建ての数字を比べるのは、中古戸建てと新築戸建ての2つの間だけです。マンションの49.5万円と並べて引き算することはできません。
その中古と新築の間で見ると、中古戸建ての真ん中50%は118.1万円から187.5万円、新築戸建ては168.9万円から199.8万円に入っています。中古戸建ての75%地点187.5万円は、新築戸建ての25%地点168.9万円を上回ります。灘区の中古戸建ての高い側は、新築の安い側と同じ価格帯で成約しているということです。
中古だから安いとは限らない、というのは戸建てでも同じです。神戸市全体で中古戸建てがいくらで成約しているかは神戸市の中古戸建ての成約価格をまとめた記事にあります。
1982年より前に建った物件は、この数字に入っていません
この記事の中古マンション106件は、1982年以降に建てられた物件だけを集めたものです。新耐震基準より前の物件は、元のデータの段階で除外されています。
つまり築41年以上の9件も、下限が決まった狭い範囲の年代に収まっています。灘区で売られている古いマンションのすべてがこの9件に入っているわけではありません。1982年より前の建物を検討する場合、この記事の数字は使えないと考えてください。
築年数の数え方も揃えておきます。この記事の築年帯は2026年を基準に数えたものです。物件広告の築年数表示とずれることがあります。
灘区で中古マンションを見る前に決める3つのこと
1. 築年帯を先に決める。 1㎡あたり83.1万円から33.8万円まで動きます。予算から入ると築年帯が定まらず、値段の理由が読めないまま候補だけが増えます。
2. 件数のある帯で比べる。 築21〜30年は49件、50〜70㎡は50件、70〜90㎡は38件。ここに入る物件なら、売り出し価格が相場から離れているかどうかを成約と見比べて判断できます。築0〜10年の7件、90㎡以上の8件では材料が足りません。
3. 古い部屋は工事費まで足して比べる。 築31〜40年の33.8万円は物件価格の話で、住める状態にするまでの金額ではありません。総額で並べ直してから決めてください。
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同じ神戸市でも区によって値段の水準は変わります。区ごとの比較は神戸市の土地の坪単価を区ごとに比べた記事にまとめています。
この記事の数字の出どころ
- 成約価格:国土交通省「不動産情報ライブラリ」の不動産取引価格情報。集計期間は2024年第4四半期から2025年第4四半期。中古マンション106件、中古戸建て60件、新築戸建て26件
- 中古マンションは1982年(新耐震基準)以降に建てられた物件に限定。1982年より前の物件は元データから除外されています
- 築年数は2026年を基準に数えています。築21〜30年は1996年から2005年、築31〜40年は1986年から1995年に建った物件です
- 築年帯・面積帯の中央値は、帯ごとに別々に取った値です。全体の中央値である1㎡あたり49.5万円と足し引きしても一致しません
- 築0〜10年は7件、築41年以上は9件、30㎡以下は7件、90㎡以上は8件と件数が少なく、1件の取引で動きやすい数字です。順序は幅を持って読んでください
- 面積帯の表は、件数がまとまった帯だけを載せています。106件のすべてが表に入っているわけではありません
- 中古戸建て・新築戸建ての坪単価は、成約総額を建物の延床坪数で割った値です。マンションの1㎡あたりの単価や土地の坪単価とは分母が違うので、そのまま比べることはできません


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