足立区で中古マンションを探すと、1㎡あたり112.0万円の部屋と34.5万円の部屋が同じ一覧に並びます。同じ広さでも総額がまるで変わるので、築年帯を決めずに予算だけで探すと、値段の理由が分からないまま候補だけが増えます。
国土交通省が公表している足立区の中古マンションの成約は617件(2024年4Q〜2025年4Q)。中央値は1㎡あたり65.5万円です。ただし、この65.5万円がそのまま当てはまる築年帯はありません。築11〜20年は73.8万円、築21〜30年は58.3万円。区全体の中央値は、この2つの帯のあいだに落ちています。
件数の並びにも足立区の形が出ています。いちばん多いのは築0〜10年の181件で、次が築31〜40年の153件。新しい側と古い側の両方に取引が集まり、真ん中の帯が薄くなっています。
先に結論
- 足立区の中古マンションは1㎡あたり65.5万円(中央値・617件)。この数字がそのまま当てはまる築年帯はありません
- 区全体の65.5万円は、築11〜20年の73.8万円と築21〜30年の58.3万円のあいだにある数字です
- 築0〜10年は112.0万円、築41年以上は34.5万円。築年数で1㎡の値段がここまで動きます
- 取引がいちばん多い広さは50〜70㎡の247件で、1㎡あたり54.5万円。区全体の中央値より低い数字です
- 30㎡以下の186件は1㎡あたり112.0万円。狭い部屋ほど1㎡は高く出ます
足立区の中古マンションは築年数でいくら変わるのか
足立区の中古マンション617件を、築年数の帯で分けて並べました。
足立区の中古マンション成約価格(1㎡あたりの中央値・2024年4Q〜2025年4Q・全617件)
自分の町の相場を調べる
この記事の数字は足立区全体の中央値です。町ごとの相場は住所を入れるとその場で出ます。
このツールは農地や山林が混ざった極端な取引も除かずに集計します。そのため区全体の数字はこの記事より低く出ます。町ごとの傾向を見るのに使ってください。
築年帯の年代を先に揃えます。この記事の帯は2026年を基準に数えたものです。築21〜30年は1996年から2005年、築31〜40年は1986年から1995年に建った物件を指します。物件広告に「築33年」と書いてあれば、それは1990年前後の建物ということです。
値段の落ち方は帯ごとに一定ではありません。築0〜10年の112.0万円から築11〜20年の73.8万円までが、この帯のなかでいちばん大きな落差です。そこから先は73.8万円、58.3万円、45.7万円、34.5万円と下がっていきます。
足立区で予算を組むときは、区全体の65.5万円ではなく、狙う築年帯の数字を使ってください。 65.5万円は築11〜20年より安く、築21〜30年より高い、どの帯にも属さない数字です。売り出し価格が高いか安いかを65.5万円で判定すると、築浅は全部「安い」、築古は全部「高い」という答えしか出てきません。
新築と並べるとこうなります。足立区の新築マンションは33件で、1㎡あたり133.3万円。中古の築0〜10年は112.0万円です。ただし新築は33件しかないので、数件の取引で動く数字として読んでください。
広さ別に見ると50〜70㎡が247件でいちばん多い
同じ617件を、専有面積の帯で分けるとこうなります。
| 広さ | 件数 | 1㎡あたりの中央値 |
|---|---|---|
| 30㎡以下 | 186件 | 112.0万円 |
| 30〜50㎡ | 57件 | 62.2万円 |
| 50〜70㎡ | 247件 | 54.5万円 |
| 70〜90㎡ | 118件 | 64.5万円 |
| 90㎡以上 | 9件 | 64.0万円 |
取引の中心は50〜70㎡の247件です。そしてこの247件の1㎡あたり54.5万円は、5つの帯のなかでいちばん安い数字です。広い部屋ほど1㎡が高い、という関係にはなっていません。
いちばん高いのは30㎡以下の112.0万円。次が70〜90㎡の64.5万円、90㎡以上の64.0万円、30〜50㎡の62.2万円と続きます。
家族向けの広さを探しているなら、予算の物差しは50〜70㎡の54.5万円です。 区全体の65.5万円で計算すると、必要な額を多めに見積もったまま物件を絞ることになります。逆に単身向けを探しているなら、30㎡以下の112.0万円が物差しで、65.5万円は安すぎる前提です。
90㎡以上は9件しかありません。この広さを狙うなら、近い条件の成約と売り出し価格を見比べる材料が足りないので、現地の売り出し価格を自分で集めることになります。
築0〜10年の高い数字は、30㎡以下の部屋と重なっています
ここで数字の重なりを1つ指摘します。築0〜10年の中央値は1㎡あたり112.0万円で181件。30㎡以下の中央値も1㎡あたり112.0万円で186件です。中央値が小数点まで同じで、件数も181件と186件で近い。
私は、この2つの帯には同じ物件群がかなり入っていると見ています。つまり足立区の築浅の取引は、狭い部屋に寄っている可能性があります。データにあるのは帯ごとの集計だけなので、1件ずつの内訳までは確かめられません。ここは私の読み方です。
この見方が正しければ、築0〜10年の112.0万円を家族向けの広さの築浅物件にそのまま当てるのは危ないということになります。狭い部屋の1㎡単価は広い部屋より高く出るので、50〜70㎡の築浅物件を112.0万円で計算すると、実勢から離れた金額が出ます。
売り出し中の築浅物件を見るときは、専有面積を先に確認してください。30㎡台と60㎡台では、同じ「築5年」でも1㎡あたりの水準が違います。
築31年を超える部屋は、工事費を足した総額で比べる
築31〜40年は153件で1㎡あたり45.7万円、築41年以上は39件で34.5万円です。物件価格が下がるぶん、給湯や水まわりの設備は建物と一緒に年を取っています。
物件価格だけを並べると、古い部屋はいつでも安く見えます。工事費を足した総額で並べ直したときに、築21〜30年の58.3万円の部屋を買って軽く直す案と、築31〜40年の45.7万円の部屋を買って大きく直す案のどちらが安いかが決まります。比べる単位は物件価格ではなく、住める状態にするまでの総額です。
借入額が変われば返済も変わります。金利が1%動いたときに総返済額がどれだけ増えるかは住宅ローンの金利が1%上がると総返済額がいくら増えるかを試算した記事にまとめています。
工事費の見積もりは、気になる部屋を2つか3つに絞ってから取るのが早いです。間取りと設備の状態で金額が変わるので、物件が決まっていない段階の概算はあまり使えません。
工事費が分かると、築年数の違う部屋を総額で比べられます
土地や戸建てを見る場合の数字
足立区は土地と戸建ての取引もあります。土地は227件で1坪あたり119.0万円、中古戸建ては339件で1坪あたり165.3万円、新築戸建ては227件で173.2万円です。
ここで単位の話を挟みます。土地の坪単価は成約総額を土地面積の坪数で割った値、戸建ての坪単価は成約総額を建物の延床面積の坪数で割った値です。分母が違うので、119.0万円と165.3万円を引き算して「差が建物のぶん」と読むことはできません。マンションの1㎡あたりの単価とも並べられません。
比べてよいのは中古戸建てと新築戸建てのあいだだけです。中古戸建ての真ん中50%は141.7万円から182.2万円、新築戸建ては159.4万円から188.7万円。中古の75%地点182.2万円は、新築の25%地点159.4万円を上回ります。足立区では、中古戸建ての高い側と新築戸建ての安い側が同じ価格帯で成約しているということです。
土地の1区画の面積の中央値は120㎡(36.3坪)。坪単価の中央値と面積の中央値を掛けると概算で4,320万円になります。この2つの中央値は別々に取った値なので、実在する1件の価格ではありません。
町による差も出ています。取引が5件以上ある町どうしで見ると、綾瀬(6件)が1坪あたり218.2万円、花畑(5件)が82.6万円で2.6倍の開きです。3件や4件の町も集計には入っていますが、1件の外れ値で数字が跳ねるので、ここでは件数の多い町どうしで比べています。
地価公示は住宅地92地点で1坪あたり127.1万円。成約の119.0万円との差は-6.4%です。公示は住宅地の標準地、成約は実際に売れた土地で、そもそも母集団が違います。この-6.4%から値上がりや値下がりを読み取ることはできません。
最寄り駅までの距離が土地の値段にどう出るかは駅から1分遠いと土地はいくら安くなるのかを全国で計算した記事にあります。
1982年より前に建った建物は、この数字に入っていません
この記事の中古マンション617件は、1982年(新耐震基準)以降に建てられた物件だけを集めたものです。それより前の物件は、元のデータの段階で除外されています。
つまり築41年以上の39件も、下限が決まった範囲の年代に収まっています。足立区で売られている古いマンションのすべてがこの39件に入っているわけではありません。1982年より前の建物を見るときに、この記事の34.5万円は使えないと考えてください。
築年数の数え方も揃えておきます。この記事の帯は2026年を基準に数えたものです。物件広告の築年数表示とずれることがあります。
足立区で中古マンションを探す前に決める3つのこと
1. 築年帯を先に決める。 1㎡あたり112.0万円から34.5万円まで動きます。予算から入ると築年帯が定まらず、値段の理由が読めないまま候補だけが増えます。
2. 広さ帯の数字で予算を組む。 家族向けなら50〜70㎡の54.5万円、単身向けなら30㎡以下の112.0万円。区全体の65.5万円は、どちらの帯にも当てはまりません。
3. 古い部屋は総額で比べる。 築31〜40年の45.7万円は物件価格の話です。工事費を足してから、築21〜30年の58.3万円の部屋と並べてください。
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待てば安く買えるのか、という問いへの答えは空き家が増えても待って得したエリアは3つだけだったことを検証した記事にまとめています。
この記事の数字の出どころ
- 成約価格:国土交通省「不動産情報ライブラリ」の不動産取引価格情報。集計期間は2024年第4四半期から2025年第4四半期。中古マンション617件、新築マンション33件、土地227件、中古戸建て339件、新築戸建て227件
- 地価公示:足立区の住宅地92地点。1坪あたりの中央値は127.1万円
- 中古マンションは1982年(新耐震基準)以降に建てられた物件に限定。1982年より前の物件は元データから除外されています
- 築年数は2026年を基準に数えています。築21〜30年は1996年から2005年、築31〜40年は1986年から1995年に建った物件です
- 築年帯・面積帯の中央値は、帯ごとに別々に取った値です。区全体の中央値65.5万円と足し引きしても一致しません
- 新築マンションの33件、90㎡以上の9件は件数が少なく、1件の取引で動きやすい数字です。順序は幅を持って読んでください
- 土地の坪単価は成約総額を土地面積の坪数で、戸建ての坪単価は成約総額を建物の延床坪数で割った値です。マンションの1㎡あたりの単価とは分母が違うので、そのまま比べることはできません
- 土地の概算4,320万円は、坪単価の中央値と面積の中央値を掛けたものです。実在する1件の価格ではありません
- 町別の坪単価は、取引が3件以上ある39町を集計したものです。件数の少ない町は1件の取引で数字が動きます


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