勝浦市には、大雨のとき前もって通行止めにする県道・国道の区間が5つあります。台風第25号のあと、9月22日14時の県の資料では、この5区間がすべて「異常気象時事前通行止め」になっていました。
その2週間前の9月8日には、市道部原川津勝浦線が土砂崩落で全面通行止めになり、解除まで8日かかりました。千葉県が土砂災害の危険があるとして指定している場所は、勝浦市で739か所。県内の市町村で9番目に多く、市内では松部51か所、鵜原50か所の順に多くなっています。
市の総合防災ブック(2022年3月作成)より後に告示された区域が、県の一覧で253か所あります。
先に結論
- ✓ 739か所のうち711か所、96%がレッドゾーン。上植野46・串浜45か所と続きます
- ✓ 上植野は46か所のうち26か所が、防災ブックの作成より後の告示
- ✓ 8月13日・9月6日・9月21日のレベル4は、3回とも夜に出た
勝浦市で土砂崩れが危ない場所

| 町・字 | 区域の数(うちレッド) | 主な種類 |
|---|---|---|
| 松部 | 51(46) | がけ崩れ・土石流3 |
| 鵜原 | 50(49) | がけ崩れ・土石流4 |
| 上植野 | 46(45) | がけ崩れ |
| 串浜 | 45(41) | がけ崩れ・土石流2 |
| 興津 | 38(36) | がけ崩れ・土石流2 |
| 部原 | 35(33) | がけ崩れ・土石流4 |
| 守谷 | 33(32) | がけ崩れ |
| 大森 | 31(31) | がけ崩れ・土石流1 |
千葉県「土砂災害警戒区域等指定箇所一覧」(令和8年8月7日現在)で、勝浦市が主たる市になっている739か所を1件ずつ数えました(市境をまたいで鴨川市に数えられている1か所は含みません)。町・字別の数は、2つの町にまたがる区域を両方に数え、鴨川市が主たる区域でも勝浦市の字にかかるもの(大沢の1か所)はその字に入れています。


台風シーズンが始まる前に、家へ置いておくもの
風で割れるのは窓、家に入ってくるのは水です。この2つは、進路が決まってから買いに走っても店の棚から消えています。
窓が割れるのを防ぐ道具ではありません。割れたあとの破片を膜で押さえるものです。飛散率を約1%まで落とせるのは防災安全合わせガラスですが、そちらは発注から施工まで日数がかかって台風の前には間に合いません。今日のうちに手を動かせるのはこちらです。貼るのは室内側です。
土のうは砂を詰める前提の道具ですが、住宅街ではその砂が手に入りません。水で膨らむ型なら平たいまま棚にしまえて、玄関の段差にも、下水が逆流してくる風呂・トイレの排水口の上にも置けます。
一から集めると抜けが出ます。まずセットで用意して、家族の人数分と常備薬だけ足すのが早いです。
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雨で前もって止める5区間:台風第25号で5つとも
市の地域防災計画の資料編は「異常気象時通行規制区間」として次の5区間を挙げ、基準は5区間とも時間雨量30ミリ・連続雨量150ミリです。
| 路線 | 区間 | 延長 |
|---|---|---|
| 国道128号(旧道) | 勝浦市大沢 | 0.9キロ |
| 県道天津小湊夷隅線 | 勝浦市市野郷 | 2.2キロ |
| 県道勝浦布施大原線 | 勝浦市市野郷〜御宿町上布施 | 6.0キロ |
| 県道勝浦上野大多喜線 | 勝浦市植野〜興津 | 1.6キロ |
| 県道小田代勝浦線 | 大多喜町粟又〜勝浦市上植野 | 10.8キロ |
県が事前通行止めにしていた15区間のうち、5つが勝浦市にかかる区間です。県道勝浦上野大多喜線は大森でも全面通行止めになり、県の資料は理由を「倒木」、同じ資料の写真は「法面崩落」と書いています。興津港の南物揚場へつながる市道も、落石で止まりました。
勝浦の48時間雨量は386.0ミリで観測史上最大。それまでの記録は9月8日の382.0ミリで、2週間で更新しました。県の資料に、勝浦市の人的被害や住家の被害は載っていません。
9月8日から通行止め:部原川津勝浦線の土砂崩落
9月上旬の大雨のあと、市は8日10時45分のメールで、市道部原川津勝浦線の「慈眼寺駐車場付近にて土砂崩落が発生」したと伝えました。慈眼寺入口から豊浜小入口バス停までが全面通行止めになり、解除は16日でした。
市の地域防災計画は、この市道を「道路の路肩決壊・法面崩落による危険箇所一覧表」に載せています。載っている場所は新官・浜勝浦で、危険の中身は「法面崩落」です。
防災ブックの作成より後に告示された253か所
勝浦市の土砂の区域が載った地図は「令和3年度版 勝浦市総合防災ブック」です。表紙には「作成 : 2022年3月」とあり、土砂の区域がいつ時点のものかは、表紙にも地図の凡例にも見当たりません。
県の一覧では、2022年4月以降に告示された区域が253か所あり、739か所の34%です。うち140か所は2025年10月31日の告示。字別では上植野26、興津18、大楠18、松部13か所です(2つの字にまたがる区域は両方に数えた)。
防災ブックは「基礎調査予定箇所」も斜線で載せているので、253か所の一部は予定箇所として描かれている可能性があります。市のページは「勝浦市内486箇所が指定されています」と書いています。県の一覧で2021年3月までに告示された区域を足すと、ちょうど486か所です。
土砂崩れと土砂災害の違い:勝浦市はがけ崩れと土石流
県の一覧は、土砂の動き方で区域を「急傾斜地の崩壊」「土石流」「地滑り」に分けます。勝浦市の区域は急傾斜地の崩壊(がけ崩れ)と土石流の2種類で、地滑りの区域はありません。

739か所は、がけ崩れ710か所、土石流29か所。市の防災ブックは、がけ崩れを「日本で最も多い土砂災害で、人家の近くでも発生するため、逃げ遅れて犠牲となる人も多い」と説明しています。土石流の区域は鵜原と部原に4か所ずつ、松部に3か所です。大沢の3か所には、鴨川市が主たる区域が1か所入っています。
ただし市の計画は、山地・丘陵地で「小規模の地すべりも各所で発生し」と書いています。

レッドゾーンは、がけ崩れの710か所のうち694か所、土石流の29か所のうち17か所です。土石流のほうがイエローの割合が高くなっています。
危ない地形:山が海まで迫る
市の計画は、市の地形を「房総丘陵と呼ばれる山間地が海まで迫り、海岸沿いは平坦地が少なく」と説明し、勝浦地区と興津地区は「低地部の背後には急傾斜地が展開する」と書いています。地質は泥岩が主で、年間の平均降水量は約2,100ミリです。
県が指定した急傾斜地崩壊危険区域は、勝浦市に51か所あります(館山市は2か所)。所在地は川津9、新官5のほか、串浜・浜勝浦・松部・沢倉・鵜原が4か所ずつです。夷隅土木事務所も、この区域は「勝浦市からいすみ市(旧大原町)の海岸沿いに集中し」と書いています。
前兆:音やにおい、わき水が止まる

市の防災ブックは、がけ崩れの前兆に「がけからの水がにごる」「地下水やわき水が止まる」「小石が落ちてくる」「がけから音がする」「異様なにおいがする」を挙げています。
ふだんの点検では、勾配30度以上・高さ5メートル以上のがけや、「水抜き穴が少ない、または詰まっている」よう壁に注意するよう書いています。
避難のタイミング:3回とも夜に出たレベル4

勝浦市にレベル4土砂災害危険警報が出たことを市がメールで伝えた時刻は、8月13日22時29分、9月6日23時57分、9月21日0時40分です(3通とも旧い名前で「土砂災害警戒情報が発表されました」と配信)。3回とも夜でした。21日は県の資料でレベル3土砂災害警報と高齢者等避難の欄が空欄のまま、0時50分に避難指示が出ています。
市は21日0時45分のメールで「夜間、自宅外への避難行動は大変危険をともないます」「ご自宅の中でも危険な場所を避け、安全を確保してください」と伝えました。避難所は前日20日の16時から、芸術文化交流センター キュステに開いていました。
市は21日13時と15時のメールでも「夜間の避難は危険ですので、早めの避難をお願いします」と呼びかけていました。家にとどまるなら、その部屋が本当に安全かを防災ブックで先に確かめておきます。自宅のまわりの危険度は気象庁「キキクル(土砂災害の危険度分布)」で見られます。
自宅が区域に入っているか調べる
- ちば情報マップの「防災情報」→「土砂災害警戒区域等・砂防3法指定区域」で、いまの指定を見る。市のページがリンクしている県の勝浦市のページは、9月23日の時点で開けませんでした
- 市の総合防災ブックで、避難所と道を確かめる。紙の冊子は消防防災課に問い合わせる
- 区域のことは千葉県夷隅土木事務所(0470-62-3311)、避難のことは市の消防防災課消防防災係(0470-73-6640)に聞く
千葉県は区域の決め方を「過去の土砂災害の実績により、土砂災害の9割以上をカバーするよう、地形の形状・形態から決められている」と説明し、あわせて「土砂災害警戒区域等ではない箇所でも土砂災害が発生する可能性もあります」と書いています。色がついていないことは、崩れないことの証明ではありません。
勝浦市のほかの災害リスク・ほかの市
- 千葉 土砂災害/雨はやんでも13市町で継続 (9月22日の速報)
- 勝浦市 停電/朝より600軒増えています (9月23日の停電)
- 勝浦 大雨/一日で122ミリ降りました (9月20日の雨)
- 横須賀市 土砂崩れ (神奈川県)
- 三浦市 土砂崩れ (神奈川県)
- 鎌倉市 土砂崩れ (神奈川県)
- 秦野市 土砂崩れ (神奈川県)
- 伊勢原市 土砂崩れ (神奈川県)
- 千葉市 土砂災害 (千葉県)
- 佐倉市 土砂災害 (千葉県)
- 市原市 土砂崩れ (千葉県)
- 袖ケ浦市 土砂崩れ (千葉県)
- 木更津市 土砂崩れ (千葉県)
- 君津市 土砂崩れ (千葉県)
- 富津市 土砂崩れ (千葉県)
- 鴨川市 土砂崩れ (千葉県)
- 南房総市 土砂崩れ (千葉県)
- いすみ市 土砂崩れ (千葉県)
- 成田市 土砂崩れ (千葉県)
- 館山市 土砂崩れ (千葉県)
- 香取市 土砂崩れ (千葉県)
- 茂原市 土砂崩れ (千葉県)
この記事のまとめ
勝浦市の土砂災害警戒区域は739か所。松部・鵜原・上植野・串浜に多く、96%がレッドゾーンです。台風第25号では雨で前もって止める5区間がすべて止まり、9月8日には部原川津勝浦線が土砂崩落で通行止めになりました。
防災ブックの作成より後に告示された区域が253か所あり、上植野ではその数が26か所です。県は指定箇所の確認先を「ちば情報マップ」としています。防災ブックの地図と見比べて、自宅のまわりに区域が増えていないかを確かめてください。
出典(すべて2026年9月23日に確認)
- 千葉県「土砂災害警戒区域等指定箇所一覧」令和8年8月7日現在(指定数及び指定箇所一覧)
- 千葉県「第2回 千葉県災害対策本部会議」資料(2026年9月21日・48時間雨量のそれまでの記録)
- 千葉県「第3回 千葉県災害対策本部会議」資料(2026年9月22日・48時間雨量)
- 千葉県「第4回 千葉県災害対策本部会議」資料(2026年9月22日17時30分・被害状況・警報・避難情報・道路規制)
- 勝浦市「【ハザードマップ掲載】令和3年度版 勝浦市総合防災ブック」
- 勝浦市総合防災ブック 表紙(作成:2022年3月)
- 勝浦市総合防災ブック P3〜4「土砂災害」
- 勝浦市「勝浦市内の土砂災害警戒区域等について」
- 勝浦市「避難行動の心得」
- 勝浦市地域防災計画(令和3年3月修正)
- 勝浦市地域防災計画 第1編 総則編
- 勝浦市地域防災計画 資料編(災害危険区域・箇所等)
- かつうら防災行政メール バックナンバー(2026年9月)
- かつうら防災行政メール バックナンバー(2026年8月)
- 千葉県「急傾斜地崩壊危険区域(勝浦市)」
- 千葉県夷隅土木事務所「急傾斜地崩壊対策」
- 政府広報オンライン「土砂災害から身を守る3つのポイント」
- 地図:国土地理院「重ねるハザードマップ」・地理院タイル/町の位置:国土交通省「位置参照情報」
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