重ねるハザードマップを武庫川の周りで切り出すと、宝塚市の美座二丁目や宮の町、武庫川町など5か所は、町・字の中心が2階も水没する5〜10mの区域に入ります。
ただしこの地図には兵庫県が管理するほかの川の想定も重なっていて、武庫川だけの想定は兵庫県の区域図にあります。
先に結論
- ✓ 尼崎市は、武庫川の洪水が届く時間が「1時間以内」と想定される43の地域を第1発令地域とし、ここから先に避難情報を出す(「1時間から7時間」は60地域)
- ✓ 県の整備計画が「戦後最大の洪水」とするのは1961年6月27日の洪水(梅雨前線と台風6号)
- ✓ 2004年の台風23号では、改修が済んだ区間に大きな被害は出なかった。ただ今の整備計画の目標は、1961年6月と同じ規模の洪水まで
武庫川の周りで浸水が想定される町

この地図は、重ねるハザードマップのうち兵庫県が管理する川の想定を武庫川の周りで切り出したもので、武庫川以外の川の想定も重なっています。国が管理する大きな川の想定は入れていません。色が付いていない場所でも、浸水しないとは限りません。
兵庫県の洪水浸水想定区域図の雨は24時間511mm(流域平均)で、県の図は無断で複製・転用できないため載せていません。

町・字の数は、町・字の中心1点が区域に入るかで数えています。中心が区域の外にある町・字でも端は浸かることがあり、同じ丁目の中でも深さは場所で違います。面積や世帯数ではありません。
武庫川の周りで町・字の中心が区域に入るのは、尼崎市377か所、西宮市234か所、伊丹市198か所、宝塚市72か所などです。
宝塚市の5か所のほか、西宮市の小松南町一丁目も中心が5〜10mの区域に入ります。
尼崎市で中心が5〜10mに入る7か所は、武庫川から離れた市の東側にあります。神戸市東灘区・灘区と芦屋市の区域も、武庫川から西へ離れた海沿いです。
台風シーズンが始まる前に、家へ置いておくもの
風で割れるのは窓、家に入ってくるのは水です。この2つは、進路が決まってから買いに走っても店の棚から消えています。
窓が割れるのを防ぐ道具ではありません。割れたあとの破片を膜で押さえるものです。飛散率を約1%まで落とせるのは防災安全合わせガラスですが、そちらは発注から施工まで日数がかかって台風の前には間に合いません。今日のうちに手を動かせるのはこちらです。貼るのは室内側です。
土のうは砂を詰める前提の道具ですが、住宅街ではその砂が手に入りません。水で膨らむ型なら平たいまま棚にしまえて、玄関の段差にも、下水が逆流してくる風呂・トイレの排水口の上にも置けます。
一から集めると抜けが出ます。まずセットで用意して、家族の人数分と常備薬だけ足すのが早いです。
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武庫川の過去の水害と最近の大雨

1983年の台風10号では、宝塚市でも床上浸水67戸・床下浸水144戸でした(県の水害記録)。
宝塚市と西宮市の境の武田尾地区は、この台風の後に緊急の溢水対策をしましたが、2004年の台風23号はそれを上回る洪水で、再び溢水しました。
同じ台風で、整備が済んでいなかった西宮市名塩木之元(リバーサイド住宅)は、大規模半壊6戸・半壊69戸でした。
川の防災情報の10分ごとの記録(速報値)では、2026年9月の台風第25号で、武庫川の本川の観測所はどこも水防団待機水位に届きませんでした。

今の水位を見る場所

武庫川の洪水予報は兵庫県と神戸地方気象台が出し、対象は尼崎市・西宮市・伊丹市、観測所は尼崎市の甲武橋です。
宝塚市は、上流の武田尾と生瀬の水位を「避難行動のめやすとなる河川水位」として載せています。尼崎市・西宮市の下流側は、甲武橋が避難判断水位を超えるかを見ます。
観測所ごとの水位は国土交通省の川の防災情報、雨による川の危険度は気象庁の洪水キキクルで見られます。
武庫川が氾濫する可能性と武庫川ダム
「改修が進んだから武庫川はもうあふれない」とは言い切れません。
2004年の台風23号では、1987年から進めてきた改修の目標(毎秒2,600m³)を超える、毎秒2,900m³の洪水が起きています。
県の整備計画は、仁川の合流点より下流の堤防で守る区間を「ひとたび堤防が決壊すると、甚大な被害が想定される」としています。
2008年度の河川現況調査で、武庫川の想定氾濫区域内の人口は107万人。県は「国管理河川の上位クラスと肩を並べている」と書いています。
今の整備計画(2011年8月)は、甲武橋で毎秒3,510m³を目標に、2030年度までの20年で整備を進めます。
武庫川ダムは1993年度に建設事業に着手しました。2000年の環境影響評価の縦覧で意見書が708通出され、県は治水対策を「ゼロベースから検討する」ことにしました。
それまでに使ったのは約15億円(総事業費の約5%、2004年度末時点)で、2005年度以降の事業費は0です(2011年4月の県の報告)。
2011年の整備計画は、新規ダムは完成までに十数年かかり、その間は効果が出ないとして、河床掘削や堤防強化などの「早期実現可能な対策」で戦後最大洪水に対応するとしました。

流域の町のページ
道路の冠水(下水があふれる内水)は、この記事の地図に入っていません。流域の市区町村ごとの冠水・河川氾濫のページは次のとおりです。
あわせて読む西宮市 冠水 どこが危ないの? ›
あわせて読む尼崎市 冠水 どこが危ないの? ›
ここで扱った浸水想定は、重ねるハザードマップのうち兵庫県が管理する川の想定を重ねたもので、武庫川だけの想定ではありません。国が管理する川の想定は入れていません。今の状況は、市区町村の避難情報と川の防災情報を優先してください。
出典
2026年9月23日に確認
- 兵庫県「武庫川水系河川整備計画」(平成23年8月)
- 兵庫県「武庫川周辺における水害に関する記録」
- 兵庫県「資料2 武庫川水系における台風23号災害状況」(第8回武庫川流域委員会)
- 兵庫県「想定最大規模降雨による洪水浸水想定区域図等」
- 兵庫県「武庫川の治水対策について(武庫川水系河川整備計画(案)における武庫川ダムの取扱い)」(平成23年4月21日・国土交通省掲載)
- 兵庫県「武庫川水系河川整備計画 進行管理報告書(案)[令和6年度版]の概要」(令和6年10月)
- 尼崎市「武庫川 洪水時の避難情報の発令対象地域」(2022年8月2日更新)
- 宝塚市「避難行動のめやすとなる河川水位」
- 気象庁「指定河川洪水予報 河川予報区一覧」
- 国土交通省「川の防災情報」の10分ごとの記録(速報値)をart-piで集計
- 国土地理院「重ねるハザードマップ」(洪水浸水想定区域・都道府県管理河川)
- 国土交通省「位置参照情報」(町・字の代表点)
- 国土地理院「地理院タイル」(淡色地図・全国最新写真)
- 国土交通省「川の防災情報」
- アイキャッチ:国土地理院「地理院タイル(全国最新写真)」を加工して作成
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