横須賀市で、土砂災害の危険があるとして神奈川県が指定している場所は1,262か所あります。町別に多いのは上町(うわまち)78か所、長沢(ながさわ)70か所、野比(のび)61か所です。
1,262か所のうち1,142か所、9割は建物が壊れるおそれのある特別警戒区域(レッドゾーン)です。崩れ方はがけ崩れ1,105か所、土石流118か所、地すべり39か所と、3種類がそろっています。
2026年9月21日から22日にかけての台風第25号では、市内で土砂災害が87件起きました。長井(ながい)では崩れた土砂が住宅に入り、亡くなった方が出ています。
先に結論
- ✓ 地すべりの区域39か所のうち14か所は秋谷。今回の千葉・神奈川の8市で地すべりの区域があるのは横須賀と鴨川だけ
- ✓ 台風第25号では、レベル3から6時間足らずで避難指示が市内全域に広がった
- ✓ 市の紙の地図は縮尺1万1,000分の1。家が入るかは「よこすかわが街ガイド」の2,500分の1で見る
横須賀市で土砂崩れが危ない場所

地図の色は、市のほぼ全域に広がっています。区域が多い町を並べると次のとおりです。
| 町 | 区域の数(うちレッド) | 主な種類 |
|---|---|---|
| 上町 | 78(68) | がけ崩れ |
| 長沢 | 70(56) | がけ崩れ・土石流9・地すべり3 |
| 野比 | 61(55) | がけ崩れ・土石流8 |
| 坂本町 | 50(49) | がけ崩れ |
| 秋谷 | 46(29) | がけ崩れ・地すべり14・土石流10 |
| 武 | 42(35) | がけ崩れ・土石流11・地すべり7 |
| 平作 | 42(33) | がけ崩れ・土石流5・地すべり5 |
| 船越町 | 42(38) | がけ崩れ |
区域の数と町名は、神奈川県砂防課「土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域 告示図書」の横須賀市の表(令和8年3月24日現在)を1件ずつ数えました。表の見出しは1,285区域ですが、「解除」と書かれた19件と、1つの区域を2行に分けて載せている行を除いた数です。2つの町にまたがる区域は、両方の町に数えています。
市の地域防災計画は、横須賀の地形を「標高100〜200m程度の起伏の多い丘陵・山地」と書き、その土台は「泥岩、砂岩等の軟らかい岩石」だと説明しています。同じ計画には、市の特徴として「急傾斜地に近接した住家」も挙げられています。

台風シーズンが始まる前に、家へ置いておくもの
風で割れるのは窓、家に入ってくるのは水です。この2つは、進路が決まってから買いに走っても店の棚から消えています。
窓が割れるのを防ぐ道具ではありません。割れたあとの破片を膜で押さえるものです。飛散率を約1%まで落とせるのは防災安全合わせガラスですが、そちらは発注から施工まで日数がかかって台風の前には間に合いません。今日のうちに手を動かせるのはこちらです。貼るのは室内側です。
土のうは砂を詰める前提の道具ですが、住宅街ではその砂が手に入りません。水で膨らむ型なら平たいまま棚にしまえて、玄関の段差にも、下水が逆流してくる風呂・トイレの排水口の上にも置けます。
一から集めると抜けが出ます。まずセットで用意して、家族の人数分と常備薬だけ足すのが早いです。
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台風第25号では、市内で土砂災害87件
市の発表(9月22日12時30分の最終報)によると、21日は次の順で情報が出ました。
| 9月21日 | 出た情報・避難情報 |
|---|---|
| 7時14分 | レベル3土砂災害警報 |
| 8時00分 | 高齢者等避難(市内全域)、避難所20か所を開設 |
| 10時05分 | レベル4土砂災害危険警報、避難指示 |
| 13時00分 | 避難指示が市内全域に(164,244世帯・361,116人) |
22日6時時点で、市内の土砂災害は87件。長井1丁目では台所に土砂が流れ込み60代の女性が亡くなり、長井2丁目ではがけ崩れで住宅が全壊しました。神奈川県の第15報(23日7時30分現在)では、横須賀市の死者は2名、行方不明は1名です。20日の降り始めからの雨量は、野比出張所で451.5ミリでした。

警報と避難指示が解除されたのは22日11時25分。21日10時05分の発令から、25時間あまり続きました。
土砂崩れ・がけ崩れ・土石流・地すべりの違い
ふだん「土砂崩れ」と呼んでいるものは、土砂災害防止法では3つに分かれます。区域もこの3つで別々に指定されます。

横須賀の1,262か所の内訳は、急傾斜地の崩壊(がけ崩れ)が1,105か所で9割近く。残りが土石流118か所と地すべり39か所です。土石流が多いのは武11、秋谷10、長沢9、野比8、芦名8、田浦大作町8です。
地すべりは秋谷に14か所
地すべりは、斜面の一部が地下水の影響でゆっくり動く現象です。横須賀市の39か所のうち14か所が秋谷(あきや)に集まっています。次が武7、平作5、子安5、阿部倉4です。

これとは別に、市内には地すべり防止区域が8区域あり(阿部倉・平作・秋谷・長沢・芦名・武A・平作4丁目・池上)、神奈川県横須賀土木事務所が施設を管理しています。なお地すべりの区域は、市のハザードマップに「横須賀市内は特別警戒区域の指定はありません」と注記されていて、すべてイエローです。

イエロー(土砂災害警戒区域)は避難の情報を出す対象になる区域で、建てかたの制限はありません。レッド(特別警戒区域)は住宅の新築や増改築に構造の基準がかかります。どちらも、家を買うとき・借りるときの重要事項説明で伝えられます。
土砂崩れの前兆:崖のひび割れ・小石・わき水

がけにひび割れが走る、小石がパラパラ落ちる、わき水が急に濁る。こうした前ぶれは、崩れる直前に出ることがあります。気づいても、様子を見に近づかないでください。確かめに行くこと自体が危険です。
外に出るのが危ないときは、家の中で崖から離れた側の、2階以上の部屋に移ります。
避難はどのタイミングで始めるか

横須賀市では21日、レベル3土砂災害警報の46分後に高齢者等避難、レベル4土砂災害危険警報と同時に避難指示が出ました。気象庁はレベル3土砂災害警報を「まもなくレベル4土砂災害危険警報を発表する可能性が高い」段階と説明しています。足の悪い家族がいる家や、崖の下・上に住む家は、レベル3の段階で動き始めるのが目安です。
自分の町の危険が高まっているかは、気象庁「キキクル(土砂災害の危険度分布)」で見られます。1キロ四方ごとに色が変わるので、市全体に警報が出ていても、どこが先に危なくなっているかが分かります。
自宅が区域に入っているか調べる
- よこすかわが街ガイドで、区域を縮尺2,500分の1で見る。市は「お住まいの場所が土砂災害(特別)警戒区域に入っているかを確認する場合」はこちらを使うよう案内しています
- 市の土砂災害ハザードマップ(8地区)で、避難所と避難の道を確かめる
- 神奈川県土砂災害情報ポータルで、県の最新の指定と基礎調査の結果を重ねる
区域はこれからも動きます。県は5年ごとの見直し調査を進めていて、追浜・大津・久里浜では2026年6月24日に調査結果を公表しました(指定予定55区域・指定は令和8年度の予定)。逸見・浦賀・北下浦は2026年9月から2028年2月までの予定で調査中です。
神奈川県横須賀土木事務所は「住宅地周辺に多くのがけ地を抱えており、依然として未整備のがけ地が数多く残っています」と書いています。区域の色がないことは、崩れないことの証明ではありません。
崖の工事と、崩れた土砂の片付けに使える市の助成
- がけ崩れ防止工事:工事費の2分の1、上限500万円(高さ2メートル以上・角度30度以上のがけ)。融資は上限600万円
- 崩れた土砂の搬出・処分:費用の2分の1、上限30万円。ビニールシートの設置は費用の2分の1、上限10万円
- がけの立木の伐採:費用の2分の1、上限30万円
工事と伐採の助成は、始める前に相談が要ります。窓口は市の宅地審査防災課(046-822-8340)です。土砂の片付けの助成について、市は「がけ崩れが起きたらすみやかにご相談ください」と書いています。
横須賀市のほかの災害リスク・ほかの市
大雨のときの道路冠水やアンダーパスは、別の記事でまとめています。
- 横須賀市 冠水 どこが危ないの? (道路冠水・内水)
- 横須賀・三浦 土砂災害/12時まで県内で2市だけ (9月22日の速報)
- がけ条例 距離/同じ3mの崖で千葉6m、福岡0m
- 擁壁 ひび割れ/国は1mm、横浜市は5mm
- 三浦市 土砂崩れ (神奈川県)
- 鎌倉市 土砂崩れ (神奈川県)
- 袖ケ浦市 土砂崩れ (千葉県)
- 市原市 土砂崩れ (千葉県)
- 君津市 土砂崩れ (千葉県)
- 鴨川市 土砂崩れ (千葉県)
- 木更津市 土砂崩れ (千葉県)
- 千葉市 土砂災害 (千葉県)
- 佐倉市 土砂災害 (千葉県)
この記事のまとめ
横須賀市の土砂災害警戒区域は1,262か所で、上町78・長沢70・野比61の順に多く、9割がレッドゾーンです。がけ崩れが中心ですが、土石流は武・秋谷・長沢、地すべりは秋谷に集まっています。
台風第25号では、21日7時14分のレベル3から6時間足らず(13時)で、避難指示が市内全域に広がりました。自宅が区域に入るかは、紙の地図ではなく2,500分の1の「よこすかわが街ガイド」で確かめてください。
出典(すべて2026年9月23日に確認)
- 神奈川県「土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域 告示図書(横須賀市)」令和8年3月24日現在
- 神奈川県横須賀土木事務所「土砂災害警戒区域等の指定について」
- 神奈川県横須賀土木事務所「地すべり防止区域一覧表・位置図」
- 横須賀市「台風第25号の対応について(9月22日12時30分時点・最終報)」
- 神奈川県「令和8年台風25号による県内被害状況(第15報)」
- 横須賀市地域防災計画 風水害対策計画編 第1部(令和6年3月)
- 横須賀市地域防災計画 風水害対策計画編 第2部
- 神奈川県横須賀土木事務所「がけ崩れ対策」
- 横須賀市「がけ崩れ防止工事への助成」「家に隣接するがけが崩れてしまったら」
- 政府広報オンライン「土砂災害から身を守る3つのポイント」
- 地図:国土地理院「重ねるハザードマップ」・地理院タイル/町の位置:国土交通省「位置参照情報」
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