成田市で土砂災害の危険があるとして千葉県が指定している場所は928か所。千葉県の市町村で6番目に多い数で、すべてが「がけ崩れ」の区域です。多いのは宝田と伊能の46か所、下方と津富浦の30か所です。
市が全戸に配った防災ハザードマップ(2023年2月作成)に載っているのは、「令和3年3月9日以前に千葉県が告示した396箇所」です。県の一覧では、この日より後に告示された区域が532か所あり、マップに載る数を上回ります。
2026年9月21日の台風第25号では、1時19分にレベル4土砂災害危険警報が出ました。成田の48時間雨量は327.0ミリ。県の資料は「観測史上最大」としていますが、2013年10月17日の記録と同じ値です。
先に結論
- ✓ 伊能は46か所すべてがレッドゾーン。市の計画も伊能・津富浦など大栄地区の字を名指ししている
- ✓ マップより後の532か所は、字別で伊能23・前林22・松崎18が多い
- ✓ 崖の工事には市独自の補助がある(工事費の3分の2以内・上限750万円。騒音地域は90%以内・上限1125万円)
成田市で土砂崩れが危ない場所

| 町・字 | 区域の数(うちレッド) |
|---|---|
| 宝田 | 46(45) |
| 伊能 | 46(46) |
| 下方 | 30(28) |
| 津富浦 | 30(30) |
| 一坪田 | 24(24) |
| 北羽鳥 | 24(23) |
| 大竹 | 23(22) |
| 前林 | 23(22) |
千葉県「土砂災害警戒区域等指定箇所一覧」(令和8年8月7日現在)で、成田市が主たる市になっている928か所を1件ずつ数えました(市境をまたいで隣の市町に数えられている2か所は含みません)。町・字別の数は、2つの町にまたがる区域を両方に数え、隣の市町が主たる区域でも成田市の字にかかるもの(名木・西三里塚の各1か所)はその字に入れています。「北羽鳥中山下」のように小字まで書かれた区域や、「赤萩」のような字体の違いは、大字(北羽鳥・赤荻)にまとめました。

市の地域防災計画は「大栄地区では、所、村田、津富浦、松子、一坪田、伊能等に警戒区域の指定が多く、急傾斜地の崩壊に対する注意が特に必要である」と書いています。

台風シーズンが始まる前に、家へ置いておくもの
風で割れるのは窓、家に入ってくるのは水です。この2つは、進路が決まってから買いに走っても店の棚から消えています。
窓が割れるのを防ぐ道具ではありません。割れたあとの破片を膜で押さえるものです。飛散率を約1%まで落とせるのは防災安全合わせガラスですが、そちらは発注から施工まで日数がかかって台風の前には間に合いません。今日のうちに手を動かせるのはこちらです。貼るのは室内側です。
土のうは砂を詰める前提の道具ですが、住宅街ではその砂が手に入りません。水で膨らむ型なら平たいまま棚にしまえて、玄関の段差にも、下水が逆流してくる風呂・トイレの排水口の上にも置けます。
一から集めると抜けが出ます。まずセットで用意して、家族の人数分と常備薬だけ足すのが早いです。
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マップより後に告示された532か所
市のページは、マップを配ったあとの区域について「令和6年11月1日以降の情報は『ちば情報マップ』をご確認ください」と案内しています。
県の一覧で2021年3月9日より後に告示された区域を数えると532か所で、どれも2024年3月から2026年6月の告示です。字別では伊能23、前林22、松崎18、名古屋17、下方16です。市の地域防災計画の数(2024年11月1日現在の468か所)も、いまの数の半分ほどです。
台風第25号:レベル4は21日1時19分から
千葉県の資料で、成田市のレベル4土砂災害危険警報は21日1時19分から22日6時5分まで。市は21日10時に早期開設避難所を開き、17時20分に「市内の土砂災害警戒区域」を対象に避難指示を出しました(市の配信は17時25分)。避難所にいた人は、最も多い時で16世帯29人です。
今回確かめた県・国・市の資料に、成田市の土砂崩れは書かれていません。県がまとめた「土砂災害警戒区域内のがけ崩れ」21か所は、名前の出ている千葉市・佐倉市のほかの市町が明かされておらず、成田市が含まれるかは分かりません。県が管理する市内の道路の通行止めは、どれも「冠水」でした(22日14時)。
土砂崩れと土砂災害の違い:成田市は全部が「がけ崩れ」
県の一覧は、区域ごとに「自然現象の種類」を「急傾斜地の崩壊」(がけ崩れ)「土石流」「地滑り」のどれかで書いています。成田市の928か所は、この欄がすべて「急傾斜地の崩壊」です。土石流と地滑りの区域は1つもありません。

市は「がけ崩れ」を、「大雨によって雨水が地面に浸み込み、抵抗力の弱くなったがけが突然崩れ落ちる現象です」と説明しています。国土交通大臣が指定した地すべり防止区域も、県の一覧に成田市の区域はありません。

928か所のうち890か所、96%がレッドゾーンです。
危ない地形:下総台地と、樹枝状に入り込む谷
市の計画は、市の台地を「下総台地と呼ばれ、地表より3~6mの厚さで赤褐色の関東ローム層が堆積している」と説明し、市の地形を「根木名川水系や印旛沼の水系から入る浸食谷によって複雑な地形となっている」と書いています。
谷については「台地に樹枝状に入り込んでいる谷には、腐植土が堆積し、湿潤な環境にある」とあります。地震の被害想定の節では、成田地区について「狭い区域面積に、重なり合うように危険箇所が分布している」と書いています。
| 地区 | 区域の数(市の計画・2024年11月1日現在) |
|---|---|
| 大栄地区 | 131 |
| 八生地区 | 93 |
| 中郷地区 | 56 |
| 市全体 | 468 |
一方で、計画の過去の風水害の表にはがけ崩れの件数の欄がなく、市内でこれまでに何か所崩れたかは読み取れません。
がけ崩れの前兆:土の匂いがしたら、がけから遠くへ

市は、がけ崩れの前兆に「割れ目ができる」「小石が落ちてくる」「水が噴き出す」「土の匂いがする」を挙げています。
逃げる距離の目安は、21日22時18分の市の配信メールにあります。「一般的にがけ崩れの土砂は、平らな場合、がけの高さの2倍の距離または、50メートル程度までくるといわれています」。外に出るのが危ないときは、1時20分のメールのとおり「建物の2階や崖の反対側など、家の中で少しでも安全な場所」へ移ります。
避難のタイミング:前兆があれば避難指示を待たない

図の目安では、レベル3土砂災害警報で高齢者等避難、レベル4土砂災害危険警報で避難指示です。21日の成田市は、県の資料でレベル3土砂災害警報と高齢者等避難の欄が空欄で、いきなりレベル4が出ました。気象庁も、状況が急に変わると「レベル3土砂災害警報を経ずにレベル2土砂災害注意報からレベル4土砂災害危険警報の発表になる場合も想定されます」と説明しています。
市も、前兆に気づいたら「市からの避難情報等を待つことなく、直ちに近くの安全な場所へ、自主避難を開始し命を守る行動をしてください」と呼びかけています。自分の字の危険度は気象庁「キキクル(土砂災害の危険度分布)」で見られます。
避難先にも気をつけます。伊能にある大須賀運動施設は、市の避難所一覧で崖崩れに「適さない」避難所です。一覧は、その欄に記入のある避難所は「該当する災害には使えませんのでご注意ください」と書いています。
自宅が区域に入っているか調べる
- ちば情報マップで「防災情報」→「土砂災害警戒区域等」を開き、いまの指定を確かめる。市も、2024年11月1日以降の区域はここで確かめるよう案内しています
- 市の防災ハザードマップの避難所一覧で、「適さない災害」の欄を確かめる
- 自宅の土地に指定があるかどうかは、千葉県成田土木事務所調整課(0476-26-3631)に聞く
家の裏や前に崖があるなら、市の崖地整備費補助も確かめておきます。傾斜30度以上・高さ3m以上の自然の崖の近く(崖の上なら下端から高さの1.5倍、崖の下なら上端から高さの2倍の範囲)にあり、1991年9月9日以前(下総地区・大栄地区は2001年5月11日以前)に建てて、いまも人が住んでいる家が対象です。補助は「補助対象経費(工事費)の3分の2以内の額(上限750万円)」で、市が定める騒音地域では「補助対象経費の90%以内の額(上限1125万円)」です。測量や設計の費用は対象になりません。市は「必ず工事着工前に交付決定を受けてください」と書いています。窓口は市の土木課(0476-20-1550)です。
千葉県は区域の決め方を「過去の土砂災害の実績により、土砂災害の9割以上をカバーするよう、地形の形状・形態から決められている」と説明し、あわせて「土砂災害警戒区域等ではない箇所でも土砂災害が発生する可能性もあります」と書いています。色がついていないことは、崩れないことの証明ではありません。
成田市のほかの災害リスク・ほかの市
川があふれたときの浸水と、道路の冠水は、それぞれ別の記事にまとめています。
- 成田市 河川氾濫/根木名川と北印旛沼 (川の氾濫・浸水想定)
- 成田市の冠水|注意したい十余三トンネル (道路冠水・内水)
- 横須賀市 土砂崩れ (神奈川県)
- 三浦市 土砂崩れ (神奈川県)
- 鎌倉市 土砂崩れ (神奈川県)
- 秦野市 土砂崩れ (神奈川県)
- 伊勢原市 土砂崩れ (神奈川県)
- 千葉市 土砂災害 (千葉県)
- 佐倉市 土砂災害 (千葉県)
- 市原市 土砂崩れ (千葉県)
- 袖ケ浦市 土砂崩れ (千葉県)
- 木更津市 土砂崩れ (千葉県)
- 君津市 土砂崩れ (千葉県)
- 富津市 土砂崩れ (千葉県)
- 鴨川市 土砂崩れ (千葉県)
- 南房総市 土砂崩れ (千葉県)
- いすみ市 土砂崩れ (千葉県)
- 館山市 土砂崩れ (千葉県)
- 勝浦市 土砂崩れ (千葉県)
- 香取市 土砂崩れ (千葉県)
- 茂原市 土砂崩れ (千葉県)
この記事のまとめ
成田市の土砂災害警戒区域は928か所で、すべてがけ崩れの区域です。宝田・伊能・下方・津富浦に多く、伊能は46か所すべてがレッドゾーンです。
全戸配布のマップが載せているのは2021年3月9日までに告示された396か所です。伊能や前林に住んでいるなら、マップの色だけで決めず、ちば情報マップで家の番地を開いて確かめてください。
出典(すべて2026年9月23日に確認)
- 千葉県「土砂災害警戒区域等指定箇所一覧」令和8年8月7日現在(指定数及び指定箇所一覧)
- 千葉県「第2回 千葉県災害対策本部会議」資料(2026年9月21日・48時間雨量のこれまでの1位)
- 千葉県「第3回 千葉県災害対策本部会議」資料(2026年9月22日・48時間雨量)
- 千葉県「第4回 千葉県災害対策本部会議」資料(2026年9月22日17時30分・被害状況・警報・避難情報・県管理道路の通行規制)
- 成田市「成田市防災ハザードマップについて(令和5年2月発行)」
- 成田市防災ハザードマップ 全域図
- 成田市防災ハザードマップ「指定避難所等一覧」
- 成田市「土砂災害から身を守る」
- 成田市「土砂災害警戒区域・土砂災害危険箇所・土砂災害防止法に基づく基礎調査結果」
- 成田市地域防災計画(令和6年度修正)共通編
- 成田市「台風25号に伴う情報一覧」
- なりたメール 配信履歴(2026年9月21〜22日)
- 成田市「崖地整備費補助事業」
- 気象庁「防災気象情報に関するよくある質問(FAQ)」
- 千葉県「地すべり防止区域一覧」(国土交通大臣が指定した区域)
- 政府広報オンライン「土砂災害から身を守る3つのポイント」
- 地図:国土地理院「重ねるハザードマップ」・地理院タイル/町の位置:国土交通省「位置参照情報」
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