打ち合わせが終わったあと、走り書きのメモを見ながら議事録を清書するだけで30分。書き終わるころには「あの件の担当は誰だったか」があいまいになっている、ということが起こります。録音や文字起こしがなくても、手元のメモをそのままChatGPTに貼り付けて型を指定すれば、決定事項・担当・期限の一覧が数十秒で返ってきます。この記事では、メモから議事録を組み立てる手順と、AIに勝手な補完をさせないための指示の書き方を説明します。
先に結論
- 録音がなくてよい。打ち合わせ中の走り書きメモを貼り付ければ議事録の形になる
- 型は「①決定事項 ②担当者と期限 ③持ち帰り・保留 ④次回までにやること」の4つに固定する
- 「メモに無いことは書かない。決まっていない項目は未定と書く」を毎回指示する
この機能でできること
ChatGPTの入力欄に打ち合わせのメモを貼り付け、整理してほしい形を渡すと、断片的な書きなぐりが議事録の体裁に並び直ります。文の途中で切れているメモ、矢印でつないだだけのメモ、話が行ったり来たりして順番がばらばらのメモでも扱えます。録音の文字起こしは要りません。
議事録の型は次の4つで足ります。会議の種類が変わっても、この4つから増やす必要はほとんどありません。
| 議事録の欄 | 入れる内容 | 書けないときの書き方 |
|---|---|---|
| ①決定事項 | その場で決まったこと | 未定 |
| ②担当者と期限 | 誰が・いつまでに | 担当未定/期限未定 |
| ③持ち帰り・保留 | 決まらず先送りになった論点 | 該当なし |
| ④次回までにやること | 次回までの作業と確認事項 | 未定 |
この4つを見出しとして指示に書き、あわせて「メモに書かれていないことは書かないでください」と付け加えます。ChatGPTがやるのは、メモに書かれていることの並べ替えと分類だけです。空欄を埋める作業ではありません。
作業の流れは4段になります。
走り書きメモを渡し、ChatGPTが型に沿って整理し、自分が記憶と照らして確認・補足し、参加者へ共有する。3段目の確認を飛ばさないことが、この使い方が成立する条件です。ここを省くと、決まっていない期限が決定事項として関係者に配られます。
こんな仕事に便利
- 事務・総務:月2回の定例会議のメモから、決定事項と担当を表にして当日中に共有する
- 営業:客先での打ち合わせメモから、次回までに用意する資料と提出期限だけを抜き出す
- 在宅ワーカー・フリーランス:オンライン打ち合わせのメモから、自分の宿題だけを抜き出してタスク表に写す
- 小規模事業者:スタッフミーティングのメモを、そのままメールやチャットに流せる文面に整える
- 制作・開発:仕様の打ち合わせで出た「持ち帰り」だけを一覧にして、次回の議題表にする
共通しているのは、清書の時間をなくすことだけではありません。「決まったこと」と「決まっていないこと」を、打ち合わせ当日のうちに切り分けられることのほうが効きます。
実際にやってみる
ここからは実際の画面で手順を追います。※画面は更新されることがあります。
STEP1 走り書きのメモを、清書せずに用意する
打ち合わせ中に取ったメモを、そのままコピーします。清書しないのがコツです。手で整えている途中で、記憶に頼った補足が混ざります。あとから読むと、それが実際に決まったことなのか自分の推測なのか判別できなくなります。単語の羅列でも、矢印でつないだだけでも、そのまま渡して構いません。紙にメモした場合は、要点をまとめ直すのではなく、書いてある語をそのまま文字にします。
STEP2 参加者と社内用語を先に伝える
メモには社内でしか通じない言葉が入ります。「A案件」「本部」「先方」「例の見積」あたりは、そのままだと辞書どおりの意味で読み替えられます。メモを貼る前に、参加者の名前と略語の意味を数行書いておきます。「田中=当社営業、佐藤=先方の担当者」「見積Bは新店舗の内装見積のこと」という程度の1行説明で足ります。人名は姓だけだと社内と社外の区別がつかないため、所属を添えます。
STEP3 議事録の型と「未定」の指示をつけて送る
4つの見出しを指定して送信します。ここで必ず入れるのが「メモに書かれていないことは書かないでください。決まっていない項目は未定と書いてください」の一文です。この指示が抜けると、体裁の整った文章と引き換えに、実際には決まっていない担当者や期限がそれらしく埋まります。
STEP4 「未定」の欄から先に読む
返ってきた議事録は、未定の欄から読みます。担当未定・期限未定が並んでいる行は、AIの失敗ではありません。打ち合わせでそこが決まらなかったか、メモに残せなかった場所です。これが打ち合わせ直後に一覧で見えることが、この使い方のいちばん実用的なところです。その日のうちに参加者へ聞けば、1週間後に誰も思い出せなくなる前に埋まります。
STEP5 自分の記憶で補足してから、共有する形に整える
未定のうち自分が覚えているものを追記し、事実関係を直します。そのうえで同じチャットに「この議事録を、参加者に送るメール本文にしてください」と続けると、共有用の文面まで一続きで作れます。直したい箇所は回答文を手で書き換えるより、「担当者の欄の佐藤さんを鈴木さんに直してください」と追加で指示したほうが早く済みます。
録音の文字起こしテキストがある場合
オンライン会議の文字起こし機能を使っていて、発言がそのままテキストで残っている場合も、渡し方はほとんど同じです。違うのは分量で、1時間の打ち合わせは数万字になります。長すぎるテキストを一度に貼ると、中盤の内容が薄くしか反映されません。
先に「この文字起こしを話題ごとに区切って要約してください」と頼み、その要約を材料にして議事録の型へ整える2段階にすると安定します。要約の指示の出し方はChatGPTで文章を要約・整理する方法にまとめています。文字起こしは発言者名が残っているぶん、誰が何を引き受けたかの精度は走り書きメモより上がります。
コピペで使えるプロンプト
【 】の中を自分の状況に書き換えて、そのまま貼り付けて使えます。
走り書きメモを議事録の型に整える
コピーして使えるプロンプト
以下は【打ち合わせの名前・日付】で取ったメモです。
次の4つの見出しに整理してください。
①決定事項 ②担当者と期限 ③持ち帰り・保留 ④次回までにやること
メモに書かれていないことは書かないでください。決まっていない項目は「未定」と書いてください。
参加者:【氏名と所属】
用語の意味:【社内用語や略語の説明】
【ここにメモをそのまま貼り付ける】
決定事項と担当・期限だけを表にする
コピーして使えるプロンプト
以下のメモから、決まったことだけを「決定事項・担当者・期限」の3列の表にしてください。
決まっていない欄は「未定」と書き、推測で埋めないでください。
決定ではない発言や、検討中のまま終わった話は表に入れないでください。
【ここにメモを貼り付ける】
自分の宿題だけを抜き出す
コピーして使えるプロンプト
以下のメモから、【自分の名前】が対応することになった項目だけを抜き出してください。
「やること・期限・誰に返すか」の順で箇条書きにしてください。
期限が決まっていないものは「期限未定」と書いて、消さずに残してください。
メモから読み取れない担当分は、勝手に追加しないでください。
【ここにメモを貼り付ける】
参加者向けの共有メール文にする
コピーして使えるプロンプト
以下の議事録を、参加者【宛先の名前】に送るメールの本文にしてください。
件名も付けて、決定事項と各自の担当・期限が一目で分かる形にしてください。
未定の項目は「未定」のまま残し、いつまでに決めるかを確認する一文を最後に入れてください。
【ここに議事録を貼り付ける】
実際の仕事での使用例
総務のAさんは、月2回の定例会議の議事録を担当しています。以前は会議後に走り書きを見ながら1時間近くかけて清書し、翌日に配っていました。今はメモを型のプロンプトに貼って表にし、記憶で補足したうえで30分以内に配信しています。時間の短縮より効いたのは「未定」が並ぶことでした。担当が決まらないまま流れていた項目を、その日のうちに確認して詰められるようになっています。
在宅でWeb制作を請けているBさんは、クライアントとのオンライン打ち合わせのあとに、自分の宿題だけを抜き出すプロンプトを使っています。打ち合わせでは先方社内の作業と自分の作業が混ざって話されるため、メモを読み返すだけでは境界があいまいでした。抜き出した一覧をそのまま送り、この理解で合っているかを確認する運用にしてから、認識違いによる作り直しが減りました。
よくある失敗
メモに無いことをAIが補ってしまう
いちばん多い事故です。メモに一言もないのに「担当:田中」「期限:今週中」といった、ありそうな値が入ります。指示に「メモに無いことは書かない。不明な項目は未定と書く」を毎回入れてください。それでも埋まっていたら、その行はメモに戻って照合します。打ち合わせの空気を知らないAIが埋めた担当者名は、あとで誰も引き受けていない作業になります。
略語や社内用語が違う意味で解釈される
「A案件」「本部」「先方」のような言葉は、辞書どおりの意味で読み替えられます。STEP2のとおり、用語の意味を先に数行渡すだけで防げます。商品名や型番も同じで、社内の通称と正式名称が混ざっているなら、対応表を1行で添えます。
誰の発言か分からないメモを渡す
「値上げの件は来月」とだけ書いたメモからは、それが自社の方針なのか先方の希望なのかを判別できません。メモを取る段階で、発言の頭に「田」「佐」程度の記号を付けておくと、担当者の割り当て精度が変わります。それも取れなかったときは、「発言者が読み取れない項目は発言者不明と書いてください」と指示に足します。
確認せずにそのまま配ってしまう
整った文章が返ってくるので、そのまま送りたくなります。ここで送ると、決まっていない期限が決定事項として関係者に伝わります。配る前に、日付・金額・人名・数量の4つだけは自分のメモと突き合わせてください。全文を読み直す必要はありません。
注意点
- 個人情報や社外秘の内容を入れない。取引先名や見積金額が入るメモを貼る前に、勤務先のルールを確認する
- AIの回答は間違うことがある。日付・金額・人名は自分のメモと突き合わせてから配る
- 会社の資料を入れる前に、データの学習利用設定(設定→データコントロール)を確認する
打ち合わせのメモは、取引先名・担当者名・金額が1か所に集まる資料です。貼る前に社名や個人名を「A社」「担当X」に置き換えておくと、整理した結果を戻すときも社名を差し替えるだけで済みます。
まとめ
議事録づくりでChatGPTに任せられるのは、メモの並べ替えと分類です。型を「決定事項/担当者と期限/持ち帰り・保留/次回までにやること」の4つに固定し、決まっていない欄には「未定」と書かせる。この2つを守るだけで、清書の時間はほぼなくなります。
議事録の精度を決めるのはメモの粒度で、AIの賢さではありません。走り書きで構わないので、決まった瞬間の言葉をそのまま残しておけば、あとの整形は数十秒で終わります。返ってきた議事録の「未定」は、次に自分が誰へ何を聞くかのリストとして使えます。
整えた議事録を参加者へ送る文面まで作りたいときは、ChatGPTでビジネスメールを作る方法が続きになります。
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