読み返したはずなのに、送信した直後に誤字に気づく。自分で書いた文章の間違いは、自分では見えません。ChatGPTに貼り付ければ、誤字脱字も意味の取りにくい一文も数十秒で指摘が返ってきますが、「チェックして」とだけ頼むと文章を丸ごと書き換えられ、自分の文ではなくなります。この記事では、観点を分けて頼む型と、書き換えさせない指示の書き方を説明します。
先に結論
- 「チェックして」だけでは全文を書き換えられる。観点を1つずつ分けて頼むと指摘が具体的になる
- 指示に「本文は書き換えず、指摘と理由を一覧で出して」を必ず添える
- 直すかどうかを決めるのは人間。AIの指摘が外れていることもある
この機能でできること
文章を貼り付けて「◯◯を指摘してください」と頼むと、該当する箇所とその理由が返ってきます。対象はコピーできるテキストなら何でもかまいません。取引先へ送る案内文、社内向けのお知らせ、報告書、ブログ記事の下書き、商品説明文などです。
チェックの観点は、次の5つに分けられます。
| 観点 | 見つかるもの | 頼み方の例 |
|---|---|---|
| ①誤字脱字・変換ミス | 打ち間違い、同音異義語の変換ミス(保証と保障、以外と意外など) | 誤字脱字と変換ミスだけを指摘してください |
| ②分かりにくい文 | 一文が長すぎる箇所、主語が抜けていて誰の動作か分からない箇所 | 一文が長い箇所と主語が抜けている箇所を挙げてください |
| ③同じ言葉の繰り返し | 同じ単語や語尾が続いて読みにくくなっている箇所 | 同じ表現が繰り返されている箇所を挙げてください |
| ④敬語の誤り | 二重敬語、尊敬語と謙譲語の取り違え、丁寧語の不足 | 敬語の誤りを指摘してください |
| ⑤読み手に合っているか | 社外向けなのに社内用語が残っている、砕けすぎ・堅すぎる言い回し | 社外の取引先向けとして不自然な表現を挙げてください |
この5つを1回でまとめて頼むと、目立つ誤字だけを拾って残りが薄くなったり、指摘が20件以上並んで読み切れなくなったりします。観点を1つに絞って、同じ文章に何回か頼むほうが、返ってくる指摘は細かく、判断できる量に収まります。誤字で1回、文の長さと主語で1回、敬語で1回。3回に分けるだけで結果が変わります。
もう1つ、指示に必ず入れる一文があります。「修正案は出しますが、本文は書き換えないでください。指摘箇所・理由・修正案を一覧で出してください」。これを書かないと、直したあとの文章だけが返ってきます。どこをなぜ直されたのか分からないまま、自分の文体ではない文章を受け取ることになります。
指摘を出すのがAI、直すかどうかを決めるのが人間。この線を引いておけば、文章は最後まで自分のものとして残ります。
なお、チェックの前に長い資料の構造そのものを整理したい場合は、要約から入るほうが早く済みます。手順はChatGPTで文章を要約・整理する方法で説明しています。
こんな仕事に便利
- 事務・営業事務:取引先へ送る案内文や請求関連の連絡を、送信前に誤字と敬語だけ通す
- 総務・人事:全社員向けのお知らせを、社内用語が読み手に通じるかどうかの観点で見てもらう
- 在宅ワーカー・ライター:納品前の原稿を、誤字脱字・一文の長さ・繰り返し表現の3回に分けて通す
- 不動産・店舗運営:物件紹介文やチラシの文章を、業界用語が一般の読み手に伝わるかで確認する
- ブログ・SNS運用:公開前の記事で、同じ語尾が続いて読みにくくなっている箇所を洗い出す
- 顧客対応:クレームへの返信文を、敬語の誤りと冷たく読める表現がないかで確認する
どれも「自分で読み返して探す」から「指摘の一覧を見て採否を決める」への置き換えです。
実際にやってみる
ここからは、社外の取引先へ送る案内文をチェックする場面で手順を追います。※画面は更新されることがあります。
STEP1 新しいチャットを開き、先に用語を伝える
ChatGPTを開き、新しいチャットを始めます。最初にやるのは本文を貼ることではなく、社名・商品名・部署名・業界用語を伝えることです。ChatGPTから見れば、これらは見慣れない文字列です。何も伝えずに誤字チェックを頼むと、正しい固有名詞のほうを誤字として指摘されます。「次の語は正式名称です。誤字として指摘しないでください」と並べてから本文に進みます。
STEP2 1回目は誤字脱字だけを頼む
入力欄にまず指示を書き、EnterではなくShift+Enterで改行してから本文を貼り付けます。1回目の観点は誤字脱字と変換ミスだけに絞ります。ここで本文を書き換えない指示を必ず添えます。「本文は書き換えず、指摘箇所・理由・修正案の3列の表で出してください」の一文です。
STEP3 指摘一覧を受け取り、理由まで読む
指摘箇所・理由・修正案が表で返ってきます。ここで修正案の列だけを見て終わりにしないでください。理由の列まで読むと、外れている指摘が混ざっていることが分かります。文脈上は「保障」で正しい語を「保証」に直すよう指摘される、といった取り違えです。理由が読めれば、その場で不採用と判断できます。
STEP4 観点を変えて2回目・3回目を頼む
同じチャットのまま、本文を貼り直さずに続けます。「次は、一文が長くて読みにくい箇所と、主語が抜けている箇所だけを指摘してください」。返ってきたら3回目に「次は敬語の誤りだけを指摘してください」。1回につき1観点にすると、1回目では出てこなかった箇所が出てきます。書き換えない指示は毎回添えます。
STEP5 読み手に合っているかを最後に確認し、採否を決める
最後に読み手を伝えて全体を見てもらいます。「この文章は社外の取引先に送ります。社内でしか通じない言葉や、砕けすぎ・堅すぎる表現が残っていないか挙げてください」。ここまでで指摘は一覧としてそろいます。採用するかどうかは1件ずつ自分で決めて、元のメールや文書に手で反映します。ChatGPTの回答をそのままコピーして差し替えない、というだけで文体は守られます。
コピペで使えるプロンプト
4つとも同じ枠を使っています。「本文は書き換えず、指摘箇所・理由・修正案を一覧で出す」。この1行が入っているかどうかで、返ってくるものが変わります。【 】の中を自分の状況に書き換えて使ってください。
誤字脱字・変換ミスだけを指摘してもらう
コピーして使えるプロンプト
以下の文章から、誤字脱字と変換ミスだけを指摘してください。
本文は書き換えず、「指摘箇所・理由・修正案」の3列の表で出してください。
次の語は正式名称です。誤字として指摘しないでください:【社名・商品名・部署名・社内用語】
言い回しの好みや文体についての指摘は不要です。
【ここに文章を貼り付ける】
一文が長い箇所と主語が抜けている箇所を指摘してもらう
コピーして使えるプロンプト
以下の文章から、次の2つだけを指摘してください。
(1) 一文が長くて読みにくい箇所(【60】字を超える文を対象にしてください)
(2) 主語が抜けていて、誰の動作か分からない箇所
本文は書き換えず、「指摘箇所・理由・修正案」の3列の表で出してください。
【ここに文章を貼り付ける】
敬語の誤りを指摘してもらう
コピーして使えるプロンプト
以下の文章から、敬語の誤りだけを指摘してください。
二重敬語、尊敬語と謙譲語の取り違え、丁寧語の不足の3種類を見てください。
本文は書き換えず、「指摘箇所・誤りの種類・修正案」の3列の表で出してください。
誤りが見つからない場合は「なし」と答えてください。
【ここに文章を貼り付ける】
読み手に合っているかを確認してもらう
コピーして使えるプロンプト
以下の文章は【社外の取引先】に送るものです。
読み手に対して不自然な表現、社内でしか通じない言葉、砕けすぎ・堅すぎる箇所を挙げてください。
本文は書き換えず、「指摘箇所・理由・修正案」の3列の表で出してください。
読み手にとって問題のない箇所は挙げないでください。
【ここに文章を貼り付ける】
実際の仕事での使用例
総務のAさんは、全社員に配る制度変更の案内文を作っています。以前は「チェックして」と頼み、返ってきた文章をそのまま使っていました。ところが社内で通じる略称まで丁寧な言い回しに直され、読み手には回りくどい文になっていたことに後から気づきました。今は誤字・文の長さ・敬語の3回に分けて指摘だけを受け取り、直すのは自分の手で。ある案内文では指摘12件のうち採用したのは7件、残りは理由を読んで不採用にしています。
在宅でWebライターをしているBさんは、納品前の原稿を同じ3観点で通しています。長い原稿は見出しごとに区切って貼るのが決まりです。1万字をまとめて貼ったときに後半へまったく指摘が付かず、そのまま納品して修正依頼を受けた経験があるためです。区切って通すようにしてから、誤字による差し戻しはなくなりました。
よくある失敗
「チェックして」だけ送って、全文を書き換えられる
観点を指定しないと、誤字も語尾も構成もまとめて直された「別の文章」が返ってきます。しかも、どこをどう変えたのかは説明されません。自分の言葉で書いたはずの文が他人の文になって戻ってくる、というのが初心者が最初にぶつかる不満です。観点を1つに絞り、本文を書き換えない指示を添えれば起きません。
指摘の理由を読まずに全部受け入れる
AIの指摘は外れることがあります。文脈上その表記で正しい漢字を誤字と判定したり、意図して短くした文を「主語が抜けている」と指摘したりします。修正案の列だけを見て全部反映すると、正しかった箇所まで壊れます。理由の列を読み、納得できたものだけ採用してください。
固有名詞や社内用語が誤字として指摘される
社名・商品名・部署名・業界用語は、AIから見れば見慣れない文字列です。何も伝えないまま誤字チェックを頼むと、正式名称のほうを直すよう指摘されます。チェックを頼む前に「次の語は正式名称です」と一覧で渡しておけば、この空振りは消えます。
長文を一度に投げて、後半が見られていない
1万字の原稿をまとめて貼ると、前半にだけ指摘が集中し、後半は素通りになることがあります。見出しごと、あるいは2000字程度で区切って貼り、それぞれ指摘を受け取るほうが確実です。区切ったぶんだけ指摘の数も読み切れる量になります。
注意点
- 個人情報や社外秘の文書を入れない。取引先の名前や金額が入った文章を貼る前に、勤務先のルールを確認する
- AIの回答は間違うことがある。指摘された数字・日付・固有名詞は、原文や元資料と突き合わせてから直す
- 会社の資料を入れる前に、データの学習利用設定(設定→データコントロール)を確認する
学習利用の設定をオフにすると、入力した内容がAIの学習に使われなくなります。社内文書や取引先向けの文章を通すなら、最初の1回だけでも設定画面を開いて状態を確かめてください。
まとめ
文章チェックで効くのは2つだけです。観点を1つに絞って何回かに分けて頼み、本文は書き換えさせない。誤字脱字、一文の長さと主語、繰り返し表現、敬語、読み手との相性。順に頼めば、指摘は具体的になり、読み切れる量に収まります。
返ってくるのは直された文章ではなく、指摘箇所と理由の一覧です。採否を1件ずつ決めるから、文章は自分のものとして残る。全部を受け入れる必要はありません。
書いたメールを送る前にこの手順で通したい場合は、下書きづくりから読むと一続きになります。手順はChatGPTでビジネスメールを作る方法にまとめています。
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