館山市では、8月13日から9月21日までに3回、レベル4土砂災害危険警報が出ました。8月13日の大雨では神余の県道館山白浜線が、9月7日の午前中には市道2138号線(正木下堰東側)が、土砂崩れで通行止めになっています。
千葉県が土砂災害の危険があるとして指定している場所は、館山市で815か所。県内の市町村で7番目に多い数です。正木55か所と神余52か所は、竹原60か所に次いで市内で2番目・3番目に多い字です。
市のウェブ版防災マップは「令和7年8月29日付け告示分まで掲載」で、2026年3月31日に告示された100か所は載っていません。
先に結論
- ✓ 815か所のうち805か所、99%がレッドゾーン。土石流の区域は24か所で、西長田と茂名に6か所ずつ
- ✓ 台風第25号の48時間雨量433.0ミリは観測史上最大。9月8日に出た記録を2週間で上回った
- ✓ 地図に無い100か所は、ちば情報マップで見られる。市もそこで確かめるよう案内している
館山市で土砂崩れが危ない場所

| 町・字 | 区域の数(うちレッド) | 主な種類 |
|---|---|---|
| 竹原 | 60(59) | がけ崩れ・土石流1 |
| 正木 | 55(55) | がけ崩れ |
| 神余 | 52(52) | がけ崩れ |
| 山本 | 36(35) | がけ崩れ |
| 水岡 | 33(33) | がけ崩れ |
| 西長田 | 32(30) | がけ崩れ・土石流6 |
| 古茂口 | 31(30) | がけ崩れ・土石流1 |
| 大井 | 30(30) | がけ崩れ |
千葉県「土砂災害警戒区域等指定箇所一覧」(令和8年8月7日現在)で、館山市が主たる市になっている815か所を1件ずつ数えました(市境をまたいで南房総市に数えられている8か所は含みません)。町・字別の数は、いくつかの町・字にまたがる区域をそれぞれに数え、南房総市が主たる区域でも館山市の字にかかるもの(正木の2か所など)はその字に入れています。


台風シーズンが始まる前に、家へ置いておくもの
風で割れるのは窓、家に入ってくるのは水です。この2つは、進路が決まってから買いに走っても店の棚から消えています。
窓が割れるのを防ぐ道具ではありません。割れたあとの破片を膜で押さえるものです。飛散率を約1%まで落とせるのは防災安全合わせガラスですが、そちらは発注から施工まで日数がかかって台風の前には間に合いません。今日のうちに手を動かせるのはこちらです。貼るのは室内側です。
土のうは砂を詰める前提の道具ですが、住宅街ではその砂が手に入りません。水で膨らむ型なら平たいまま棚にしまえて、玄関の段差にも、下水が逆流してくる風呂・トイレの排水口の上にも置けます。
一から集めると抜けが出ます。まずセットで用意して、家族の人数分と常備薬だけ足すのが早いです。
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市の防災マップに載っていない100か所
市の防災マップのページは、土砂災害警戒区域について「令和7年8月29日付け告示分まで掲載」「令和8年3月31日付け告示分は未掲載」と書いています。県の一覧で2026年3月31日に告示された館山市の区域は100か所。815か所の12%で、100か所ともレッドゾーンです。
字別では竹原19、水岡14、正木14、小原11、大井11、稲10か所です(館山市が主たる区域で数え、いくつかの字にまたがる区域はそれぞれの字に数えた)。神余・山本・西長田・古茂口の区域は、どれも地図に載っている告示日のものです。
市は、この100か所を「ちば情報マップ(千葉県)をご確認ください」と案内しています。市の地域防災計画(令和6年3月26日現在の内容)も、区域の数を「土砂災害警戒区域等が509箇所」と書いたままです。
8月と9月に3回のレベル4:神余と正木下堰で土砂崩れ
| 日付 | レベル4土砂災害危険警報 | 土砂崩れの記録(市のメール) |
|---|---|---|
| 8月13日 | 20時01分 | 県道館山白浜線の神余(シムコ付近)で通行止め。14日12時30分の配信で解除 |
| 9月7日 | 0時59分 | 市道2138号線(正木下堰東側)で全面通行止め。同日17時の配信で解除 |
| 9月21日 | 3時29分 | 市内の土砂崩れは、県・国・市の資料に書かれていない |
8月13日の館山は、県の資料で24時間に208.5ミリ、1時間に94.5ミリの雨でした。台風第25号では48時間雨量が433.0ミリで観測史上最大です。それまでの最大は、9月上旬の大雨で記録した410.0ミリ(9月8日)でした。
21日3時29分の避難指示は、市のメールで船形・那古・館山・西岬・神戸・富崎・豊房・館野・九重の9地区の「土砂災害警戒区域」が対象でした。県の資料は県内の「土砂災害警戒区域内のがけ崩れ」21か所を市町別に分けておらず、館山市の住家の被害は半壊1棟(原因の記載なし)です。
土砂崩れと土砂災害の違い:館山市は97%ががけ崩れ
市のウェブ版防災マップは、土砂災害警戒区域を「がけ地の崩壊や土石流が発生した場合に住民に危害が生じる恐れのある区域として、千葉県が指定する区域」と説明しています。県の一覧では、これが崩れ方ごとに「急傾斜地の崩壊」「土石流」「地滑り」の3つに分かれます。

館山市の815か所は、がけ崩れ790か所、土石流24か所、地すべり1か所。土石流の区域は西長田と茂名に6か所ずつ、上真倉に3か所です。地すべりの1か所は、川名・那古・船形にまたがる区域です。

815か所のうち805か所、99%がレッドゾーンです。がけ崩れに限ると、790か所のうち787か所がレッドです。
危ない地形:やわらかい地層と、那古山の記録
市の地域防災計画は、市の地質を「凝灰岩、泥岩、砂岩とやわらかい地層のため、河川の侵食により、丘陵部に比較的大きな谷が刻まれている」と説明しています。北部などの山間地についても「土砂災害等が発生しやすい地形的条件にある」としています。
| 年月日 | できごと(市の計画の記録) |
|---|---|
| 1703年(元禄地震) | 那古山の斜面が崩れ、那古寺の建物がすべて埋まる。畑でも山崩れが多発 |
| 2006年4月12日 | 大雨。床上浸水4件のほか、がけ崩れ等の被害 |
| 2019年10月25日 | 24時間雨量207.5ミリ。市内各所で道路冠水や土砂崩れ等 |
那古山には、県が1973年に指定した急傾斜地崩壊危険区域(那古字那古山、約7.8ヘクタール)があります。県が指定した急傾斜地崩壊危険区域は、市内ではこの那古山と相浜の2か所だけです。
前兆:斜面のはらみ、擁壁のひび割れ

市の地域防災計画は、避難指示を出す基準の1つに「土砂災害の前兆現象(渓流付近での斜面崩壊、斜面のはらみ、擁壁・道路等のクラック等)が発見された場合」を挙げています。「山鳴り、流木の発生が確認された場合」は、さらに上の緊急安全確保の基準です。
9月7日の7時、市はメールで「崖や急な斜面には、近づかないでください」と呼びかけました。市道2138号線(正木下堰東側)の土砂崩れを知らせるメールは、その7分後に届いています。
避難のタイミング:9月のレベル4は2回とも夜中

館山市のレベル4は、9月7日が0時59分、21日が3時29分と、2回続けて夜中でした。9月6日は21時03分のレベル3土砂災害警報で、9地区の土砂災害警戒区域に高齢者等避難が出ています。台風第25号では、前日20日の9時に市内全域へ高齢者等避難を出し、11か所の避難所を開きました。
高齢者等避難も、8月13日は20時01分、9月6日は21時03分と、暗くなってから出ています。9月6日は、その前の13時に市が自主避難所11か所を開いていました。市は9月7日、「親戚、友人宅などへの分散避難も検討してください」とも伝えています。自宅のまわりの危険度は気象庁「キキクル(土砂災害の危険度分布)」で見られます。
自宅が区域に入っているか調べる
- ちば情報マップの「防災情報」→「土砂災害警戒区域等・砂防3法指定区域」で、いまの指定を見る
- 市のウェブ版防災マップで、避難所と道を確かめる
- 区域のことは千葉県安房土木事務所(0470-22-4341)、避難情報は市の危機管理課防災係(0470-22-3442)に聞く
市は防災マップの利用条件で、地図の情報だけで「各家屋等の状況を判断することは適切ではありません」と書き、不動産取引の重要事項説明は県に確認するよう求めています。
千葉県は区域の決め方を「過去の土砂災害の実績により、土砂災害の9割以上をカバーするよう、地形の形状・形態から決められている」と説明し、あわせて「土砂災害警戒区域等ではない箇所でも土砂災害が発生する可能性もあります」と書いています。色がついていないことは、崩れないことの証明ではありません。
館山市のほかの災害リスク・ほかの市
- 館山 大雨 24時間339ミリで千葉県内いちばん なのにレベル4の大雨危険警報が出たのは鴨川市と南房総市です (9月7日の大雨)
- 避難指示 千葉/21市町村、レベル4はあすの朝まで (9月21日の速報)
- 横須賀市 土砂崩れ (神奈川県)
- 三浦市 土砂崩れ (神奈川県)
- 鎌倉市 土砂崩れ (神奈川県)
- 秦野市 土砂崩れ (神奈川県)
- 伊勢原市 土砂崩れ (神奈川県)
- 千葉市 土砂災害 (千葉県)
- 佐倉市 土砂災害 (千葉県)
- 市原市 土砂崩れ (千葉県)
- 袖ケ浦市 土砂崩れ (千葉県)
- 木更津市 土砂崩れ (千葉県)
- 君津市 土砂崩れ (千葉県)
- 富津市 土砂崩れ (千葉県)
- 鴨川市 土砂崩れ (千葉県)
- 南房総市 土砂崩れ (千葉県)
- いすみ市 土砂崩れ (千葉県)
- 成田市 土砂崩れ (千葉県)
- 勝浦市 土砂崩れ (千葉県)
- 香取市 土砂崩れ (千葉県)
- 茂原市 土砂崩れ (千葉県)
この記事のまとめ
館山市の土砂災害警戒区域は815か所。竹原・正木・神余に多く、99%がレッドゾーンです。8月から9月に3回レベル4が出て、神余と正木下堰東側では土砂崩れで道路が止まりました。
市のウェブ版防災マップには、2026年3月31日告示の100か所が載っていません。竹原・水岡・正木に住んでいるなら、ちば情報マップで自宅の位置を拡大し、3月の告示分まで含めて確かめてください。
出典(すべて2026年9月23日に確認)
- 千葉県「土砂災害警戒区域等指定箇所一覧」令和8年8月7日現在(指定数及び指定箇所一覧)
- 千葉県「第2回 千葉県災害対策本部会議」資料(2026年9月21日・48時間雨量のそれまでの記録)
- 千葉県「第3回 千葉県災害対策本部会議」資料(2026年9月22日・48時間雨量)
- 千葉県「第4回 千葉県災害対策本部会議」資料(2026年9月22日17時30分・被害状況・警報・避難情報・道路規制)
- 千葉県「第8回 千葉県災害対策本部会議」資料(2026年9月3日・8月13日の気象状況)
- 国土交通省「令和8年台風第25号による被害状況等について(第7報)」
- 館山市「館山市防災マップ」(2026年3月31日更新)
- 館山市ウェブ版防災マップ
- 館山市ウェブ版防災マップ 利用条件
- 館山市地域防災計画(令和6年3月26日現在)
- 館山市地域防災計画 第1編 総則
- 館山市地域防災計画 第3編 風水害等編(土砂災害警戒区域等の数)
- 館山市地域防災計画 資料編(土砂災害警戒区域等一覧・避難指示等の発令基準)
- 館山市安全・安心メール バックナンバー(2026年9月)
- 館山市安全・安心メール バックナンバー(2026年8月)
- 千葉県「急傾斜地崩壊危険区域(館山市)」
- 政府広報オンライン「土砂災害から身を守る3つのポイント」
- 地図:国土地理院「重ねるハザードマップ」・地理院タイル/町の位置:国土交通省「位置参照情報」
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