🗨️「ヤマトリノって誰ですか。何で逮捕されたんですか」
SNSで活動するインフルエンサーの女性が使っている名前です。警視庁は16日、麻薬取締法違反(所持)の疑いでこの女性と交際相手の男性を現行犯逮捕しました。15日午後、東京都港区六本木の自宅マンションでコカインおよそ0.4グラムを2人で所持していた疑いです。取り調べでの説明は食い違っていて、女性は認める趣旨、男性は否認しているとされています。
[事件・事故] この記事の要点
2026年9月17日 発表
- 港区・六本木で部屋を借りている人、借りようとしている人
- 中古マンションを買う前に「事故物件かどうか」を気にしている人
- 賃貸・売買の仲介をしている宅地建物取引業者
発表されていること
16日までに明らかになっている内容を、確認できている範囲で並べます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 逮捕 | 2026年9月16日/警視庁 |
| 容疑 | 麻薬取締法違反(所持)の疑い・現行犯逮捕 |
| 対象 | 「ヤマトリノ」の名前で活動するインフルエンサーの女性と、交際相手の会社役員の男性 |
| いつ・どこで | 9月15日午後/東京都港区六本木の自宅マンション |
| 物 | コカイン およそ0.4グラム |
この先の動機や経緯については、捜査当局の発表を待ちます。逮捕は罪が確定したことを意味しません。
コカインの所持は、量に関係なく罪になる
「0.4グラム」という数字を見て、少ないと感じた人がいるかもしれません。法律の側に、量の下限はありません。
コカインは、麻薬及び向精神薬取締法の別表第一に「コカインその他エクゴニンのエステル及びその塩類」として麻薬に指定されています。この法律でいう麻薬を、みだりに所持していれば、それだけで条文に当たります。
| 行為 | 法定刑 | 根拠 |
|---|---|---|
| みだりに所持・譲り渡し・譲り受け | 7年以下の拘禁刑 | 第66条第1項 |
| 営利の目的があった場合 | 1年以上10年以下の拘禁刑(情状により300万円以下の罰金を併科) | 第66条第2項 |
| 未遂 | 罰する | 第66条第3項 |
「使う」ほうも同じ重さです。麻薬をみだりに施用すること、施用を受けることについても、第66条の2で7年以下の拘禁刑と定められています。
2人の説明が食い違っている
この件で先が読めない部分があるとすれば、ここです。
報道によると、女性は「2人のものとして一緒に使っていた」と容疑を認める趣旨の説明をしている一方、男性は「自分のものではない」と否認しているとされています。共謀して所持したという容疑に対して、片方が認め、片方が否認している状態です。
どちらの説明が事実に沿うのかは、捜査と、その後の手続きのなかで判断されます。この段階で外から決めつけられる話ではありません。

その部屋は「事故物件」になるのか
ここから先は、不動産の側の話です。自宅のマンションで薬物事件が起きた場合、その部屋を次に借りる人・買う人に、その事実は伝えられるのでしょうか。
「事故物件」の判断のよりどころとしてよく使われるのが、国土交通省が2021年10月に出した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」です。ところがこのガイドラインには、適用範囲がはっきり書かれています。
本文の「2.本ガイドラインの適用範囲」の(1)は、「取引の対象となる不動産において生じた人の死に関する事案を取り扱うこととする」の一文だけです。
つまり、死者の出ていない薬物事件は、このガイドラインの対象に入っていません。「事故物件かどうか」を国の基準で判定しようとすると、そもそも判定表が用意されていない、という状態になります。
「概ね3年」の目安は、この件には当てはまらない
ガイドラインで広く知られているのが、賃貸の「概ね3年」です。
本文の4.(1)②には、賃貸借取引の対象不動産で自然死以外の死が発生した場合などについて、発覚から概ね3年を経過した後は、原則として借主に告げなくてもよいと書かれています。ただし「事件性、周知性、社会に与えた影響等が特に高い事案はこの限りではない」という但し書きが付いています。
この3年は、あくまで人の死についての目安です。売買にはこの期間の定めがなく、薬物事件はそもそもガイドラインの外にあります。
では告げなくてよいのかというと、そうではありません。ガイドラインの冒頭(1.(1)①)には、宅地建物取引業法上、取引物件に関する事項で「相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの」について、故意に事実を告げない行為が禁じられていると書かれています。目安が無いだけで、義務の話が消えるわけではありません。期間の線引きがない分、判断は個別になります。
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動くのは、買う側・借りる側が問うたとき
もうひとつ、知っておくと効く決まりがあります。
ガイドラインの3.(1)には、人の死に関する事案が生じたことを疑わせる特段の事情がないのであれば、宅地建物取引業者に自発的な調査義務までは認められないとあります。売主・貸主・管理業者に照会すれば、調査はしたものとされます。
その一方で4.(3)には、買主・借主から事案の有無について問われた場合には、調査で判明した点を告げる必要がある、と書かれています。
読み方はこうなります。黙っていると、部屋の過去は必ずしも出てきません。聞くと、出てくる仕組みになっています。聞き方は口頭ではなく、告知書(物件状況等報告書)という書面に何が書かれているかを自分の目で見るのが確実です。
なお、今回の件で現場とされる部屋が賃貸なのか分譲なのかは公表されていません。ここで書いたのは、あくまで一般的な取り扱いの話です。
生活・仕事にどう効くか
- 住まい:国のガイドラインは「人の死」だけが対象。薬物事件には「概ね3年」のような目安がそもそも無い。
- 仕事:宅建業者に自発的な調査義務は原則ない。買主・借主が問うて初めて、調べた内容を告げる必要が出る。
生活・仕事にどう効くか
- 住まい:国土交通省のガイドラインは「人の死」に関する事案だけが対象。人が亡くなっていない薬物事件は対象外なので、賃貸の「概ね3年」のような期間の目安がそもそも無い。
- 仕事:宅地建物取引業者に、事案の有無を自発的に調べる義務は原則としてない。売主・貸主・管理業者に照会すれば調査したものとされる。動くのは買主・借主が問うたときから。
結局どうすればよいか
- 借りる前・買う前に「この部屋で事件や事故があったか」を口頭ではなく書面で聞く
- 告知書(物件状況等報告書)に何が書かれているかを、契約前に自分の目で見る
- 「3年たったから言わなくていい」は人の死の賃貸取引の話で、薬物事件には当てはまらないと知っておく
あわせて読む・調べる
くわしく知る(保存版の記事)
公式出典
- 警視庁(2026年9月17日発表)
- e-Gov法令検索 麻薬及び向精神薬取締法(第66条・別表第一)(2026年9月17日発表)
- 国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(2021年10月8日発表)
- 同ガイドライン本文(PDF)(2021年10月8日発表)
更新履歴
- 2026年9月17日 初版を公開。16日までに発表されている事実と、国交省ガイドラインの適用範囲を記載。
※本記事は2026年9月17日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
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