🗨️「中国のホルムアルデヒド白菜のニュースを見ました。うちのスーパーの白菜は大丈夫なんでしょうか」
厚生労働省は「現時点では日本への輸出は確認されていない」と回答しています。生鮮の白菜は輸入統計の主要品目にも出てこないので、売り場に並んでいるのはほぼ国産です。ただし中国産の白菜が日本に入ってくる道は、生鮮ではなく塩漬けにした加工品のほうにあります。
[暮らし] この記事の要点
2026年9月14日 発表
- スーパーで白菜を買う人
- キムチや白菜漬けをよく食べる人
- 中国産の野菜を避けて選びたいと思っている人
河北省の畑で撮られた1本の動画から始まった
告発の動画が中国のインターネットに投稿されたのは2026年8月22日でした。白菜畑で、男女がたらいに入った液体に白菜の切り口を浸し、そのままトラックへ積んでいく場面が写っています。
| 日付 | 起きたこと |
|---|---|
| 8月22日 | 河北省張家口市(かほくしょう・ちょうかこうし)で撮られたとされる動画が投稿される。同じ日、康保県(こうほけん)政府が現地調査の結果として「動画は事実」「違法行為」と発表 |
| 8月24日ごろ | 中国当局が関係者を摘発。各地へどれだけ流通したのかの緊急調査に入る |
| 8月25日 | 鈴木憲和農林水産相が会見で「厚生労働省と連携して必要な情報を収集する」と述べる |
業者側の説明は、輸送中の鮮度を保つためというものでした。ホルムアルデヒドの水溶液はホルマリンと呼ばれ、生物標本の保存に使われます。国際がん研究機関(アイエーアールシー)は、ホルムアルデヒドを「ヒトに対して発がん性がある」グループ1に分類しています。長く吸い込むと鼻や喉のがん、白血病のリスクが上がるとされる物質です。
14年前にも、同じ手口で同じことが起きた
これが最初ではありません。シンガポールの華字紙・聯合早報(れんごうそうほう)が2026年8月25日に伝えたところでは、2012年に山東省青州市(さんとうしょう・せいしゅうし)で、業者が白菜を長距離輸送する前にホルムアルデヒド溶液を散布していたことが明らかになっています。そのときは、山東省と雲南省で作られて広東省広州市まで運ばれた計122.4トンの白菜にも、同じ問題が指摘されました。
取り締まっているのに、どうしてまた起きるんでしょう
起きている場所が畑でも工場でもなく、輸送の途中だからです。白菜は重くて水分が多く、夏に長距離を運ぶと傷みます。冷蔵の設備を持たない業者が損を減らそうとして薬品に手を伸ばす、という形が14年前とそっくり同じでした
日本の売り場には来ているのか
厚生労働省の担当者は、時事通信の取材に「中国政府を通じて確認中だが、現時点では日本への輸出は確認されていない」と答えています。
輸入の統計を見ると、この答えは数字の側からも裏づけられます。農畜産業振興機構がまとめた2025年8月の野菜輸入量は20万8810トン。うち生鮮野菜は5万3012トンで、中身はこうなっています。
| 品目 | 中国からの輸入量(2025年8月) |
|---|---|
| たまねぎ | 2万4420トン |
| にんじん | 9329トン |
| キャベツ | 1490トン(輸入先は中国のみ) |
| しょうが | 1427トン |
| はくさい | 主な品目として名前が出てこない |
同じアブラナ科のキャベツが中国からしか入っていないのに、白菜は主要品目に載らない。生鮮の白菜は国内でまかなえていて、わざわざ船で運んでくる相手ではない、ということです。売り場で白菜を手に取って産地を見れば、まず国産の地名が書かれています。
中国産の白菜が日本に入る道は、生鮮ではない
ただし、ここで話は終わりません。輸入野菜の全体像は別の形をしています。農畜産業振興機構によれば、中国は日本の輸入野菜の56%(2024年・数量ベース)を占める最大の相手国です。ここでいう輸入野菜には、生鮮だけでなく冷凍・塩蔵等・乾燥・その他調製が入ります。

白菜が大量に動くのは、この「塩蔵等」のほうです。塩漬けにした白菜は、キムチや漬物の原料として運ばれます。2025年8月の塩蔵等野菜の輸入量は前年同月比5%増で、野菜の輸入全体が2%減った月にも増えていました。
隣の韓国では、この構図がもっとはっきり出ています。朝鮮日報が2026年8月24日に伝えた数字では、韓国の2026年1〜7月のキムチ輸入量は19万4403トン。前年同期より2.7%増えて、同じ期間として過去最大でした。韓国国内の輸入キムチのおよそ99%が中国産です。中国の白菜に何かあれば、韓国の食卓が最初に揺れる形になっています。
売り場で見る表示は、生鮮と加工品で別物
ここが今日から使える部分です。産地の表示には3つの形があり、書いてあることがそれぞれ違います。
| 買うもの | 表示されること | 読み取れること |
|---|---|---|
| 生鮮の白菜 | 原産地(国産は都道府県名など、輸入品は原産国名) | その白菜がどこで採れたか |
| 国内で作られたキムチ・白菜漬け | 原材料名の先頭に、重量1位の原料の原産地 | 原料の白菜がどこの国のものか |
| 輸入されたキムチ | 原産国名だけ | どこの国で作られたか。原料の白菜の産地は書かれない |
真ん中の行は、2017年9月に始まり2022年4月1日に完全施行された制度です。消費者庁は「全ての加工食品に原料原産地が必ず表示されます」と案内しています。国内で作られたキムチなら重量1位はたいてい白菜なので、原材料名の先頭に「はくさい(国産)」「はくさい(中国)」のように書かれます。
逆に言えば、輸入されたキムチにこの表示義務はありません。袋に「韓国」とあっても、それは作った国であって、中の白菜がどこの畑のものかまでは書かれていない。産地を気にして選ぶなら、ここが分かれ目になります。
生活・仕事にどう効くか
- 生鮮の売り場では:生鮮食品には原産地の表示が義務づけられていて、国産なら都道府県名、輸入品なら原産国名が書かれる。白菜は2025年8月の生鮮野菜の輸入で主要品目に名前が出てこないため、並んでいるのはほぼ国産になる。
- キムチ・漬物では:国内で作られた加工食品は、重量1位の原料の原産地が必ず書かれる(2022年4月1日完全施行)。キムチなら重量1位はたいてい白菜なので、原材料名の先頭を見れば原料の白菜の産地が読める。
- 輸入されたキムチでは:原料原産地の表示義務がなく、書かれるのは原産国名だけ。どこの国で作られたかは分かるが、原料の白菜がどこで採れたかは表示されない。
結局どうすればよいか
- 生鮮の白菜は、値札か袋の産地表示を見る。国産なら都道府県名が入っている
- キムチ・白菜漬けは、原材料名のいちばん先頭にある「はくさい(〇〇)」のかっこの中を読む
- 輸入されたキムチで原料の産地まで知りたいときは、国内製造と書かれたものを選ぶか、製造者に問い合わせる
公式出典
- 時事通信「『ホルムアルデヒド白菜』出荷 当局緊急調査、日本も注視―中国」(2026年8月25日発表)
- 朝鮮日報「中国産白菜、『遺体保存剤』として使われる発がん性物質まみれ…韓国で中国産キムチ輸入量が過去最大」(2026年8月24日発表)
- レコードチャイナ(シンガポール・聯合早報の報道を引用)「『ホルムアルデヒド白菜』、中国の食品安全問題がいつも輸送段階で発生する背景」(2026年8月25日発表)
- 農畜産業振興機構『野菜情報』2025年11月号「4 野菜の輸入動向(令和7年8月)」(2025-11発表)
- 農畜産業振興機構『野菜情報』2026年2月号(中国が日本の輸入野菜の56%を占めるとの記述)(2026-02発表)
- 消費者庁「新たな加工食品の原料原産地表示制度に関する情報」(2022-04発表)
- 農林水産省「国際がん研究機関(IARC)の概要とIARC発がん性分類について」
更新履歴
- 2026年9月14日 初版を公開
※本記事は2026年9月14日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
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