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「囲い込みかもしれない」と思ったとき、通報の宛先は自分では選べません。相手の不動産会社が持っているのが国土交通大臣の免許か、都道府県知事の免許か。それだけで窓口が決まります。
その免許の表記は、重要事項説明書や名刺、店頭の標識に出ています。読み始める前に、手元の書類を1枚出しておいてください。
この記事でわかること
- ✓ 通報が指示処分の根拠になるのは専属専任媒介契約と専任媒介契約だけで、一般媒介は対象外です
- ✓ 宛先は免許で決まります。大臣免許は全国10か所の地方整備局、知事免許はその都道府県の担当課です
- ✓ 行政は結果を答えず、仲裁も助言もしません。宅建業法第64条の5第1項で相談と助言を義務づけられているのは保証協会です
囲い込みの通報が効くのは専属専任媒介と専任媒介だけ
国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」には、レインズの登録内容について次の一文があります。
処分の対象になるのは「専属専任媒介契約及び専任媒介契約に基づき」登録した物件だと、国の側が限定しています。一般媒介契約で依頼した物件は、この文の外側にあります。一般媒介には登録義務がありません。任意で登録されることはありますが、国の一文は専任系の登録だけを対象にしています。
読者
一般媒介だと、囲い込まれても何も言えないんですか?
通報そのものは受け付けられます。ただ、この一文を根拠に指示処分を求めることはできません。媒介契約の満了で別の会社に移すほうが、順番としては先です。
契約の種類による違いは専任媒介と一般媒介の違いに、囲い込みが起きる理由は両手仲介と片手仲介にまとめています。
契約を続けるかどうかを決めるときは、売り出し価格が周辺の相場と合っているかも並べて見ておくと、判断が金額でできます。
通報の材料になるのは、レインズのステータスの食い違いです
条文が対象にしているのは「登録内容が事実と異なるとき」です。申し込んだ人がいないのに「書面による購入申込みあり」になっている、頼んでいないのに「売主都合で一時紹介停止中」になっている。この食い違いが、通報書に書ける事実になります。
「紹介してくれない気がする」は材料になりません。内見が来ない、反響がないという状態は、売れにくい市況でも同じように起きます。行政の窓口が見るのは、あなたの担当者の熱心さではなく、登録という記録が事実と食い違っているかどうかです。
ステータスは、売主自身が登録証明書から確認できます。手順は家が売れないのは「囲い込み」かも?に書きました。画面は日付が分かる形で保存しておきます。

通報先は、相手の免許が大臣か知事かで決まります
不動産会社の免許は2種類しかありません。2つ以上の都道府県に事務所を置く会社は国土交通大臣免許、1つだけなら知事免許です。大臣免許なら地方整備局、知事免許ならその都道府県が窓口です。
大臣免許の会社について通報する先は、全国10か所にあります。宅建業の担当は各局の建政部に置かれています。
| 窓口 | 電話 | 管轄 |
|---|---|---|
| 北海道開発局 事業振興部 建設産業課 | 011-709-2311 | 北海道 |
| 東北地方整備局 建政部 建設産業課 | 022-225-2171 | 青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島 |
| 関東地方整備局 建政部 建設産業第二課 | 048-601-3151 | 茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨・長野 |
| 北陸地方整備局 建政部 計画・建設産業課 | 025-280-8880 | 新潟・富山・石川 |
| 中部地方整備局 建政部 建設産業課 | 052-953-8119 | 岐阜・静岡・愛知・三重 |
| 近畿地方整備局 建政部 建設産業第二課 | 06-6942-1141 | 福井・滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山 |
| 中国地方整備局 建政部 建設産業課 | 082-221-9231 | 鳥取・島根・岡山・広島・山口 |
| 四国地方整備局 建政部 計画・建設産業課 | 087-851-8061 | 徳島・香川・愛媛・高知 |
| 九州地方整備局 建政部 建設産業課 | 092-471-6331 | 福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島 |
| 沖縄総合事務局 開発建設部 建設産業・地方整備課 | 098-866-0031 | 沖縄 |
関東地方整備局は9都県を1か所で見ています。東京の会社でも、窓口はさいたま新都心です。福井県は北陸ではなく近畿の管轄で、北陸が見るのは新潟・富山・石川の3県です。
管轄は本店の住所ではなく、取引をした事務所の所在地で決まります。関東地方整備局の窓口は、通報をメールと郵送で受け付けています。
当たる相手は、ほとんどが都道府県の窓口です
手元の宅建業者データで数えてみました。東京・愛知・大阪・兵庫の4都府県に事務所を持つ現存の業者は56,192社。このうち大臣免許は2,667社で、全体の4.7%です。免許証番号で重複を除いた数で、4都府県だけの集計なので全国の比率ではありません。
残りは知事免許です。売主が当たる相手は、整備局ではなく都道府県の担当課になるほうが多くなります。
| 都道府県 | 担当課 | 電話 |
|---|---|---|
| 東京都 | 住宅政策本部 民間住宅部 不動産業課 | 03-5320-5072 |
| 神奈川県 | 県土整備局 事業管理部 建設業課 宅建指導グループ | 045-285-3218 |
| 埼玉県 | 都市整備部 建築安全課 宅建相談・指導担当 | 048-830-5488 |
| 千葉県 | 県土整備部 建設・不動産業課 不動産業班 | 043-223-3238 |
| 大阪府 | 都市整備部 住宅建築局 建築指導室 建築振興課 | 06-6210-9734 |
| 兵庫県 | まちづくり部 建築指導課 土地対策班 | 078-362-3612 |
| 愛知県 | 都市・交通局 都市基盤部 都市総務課 建設業・不動産業室 不動産業グループ | 052-954-6582 |
| 京都府 | 建設交通部 建築指導課 宅建業係 | 075-414-5343 |
| 福岡県 | 建築都市部 建築指導課 | 092-643-3718 |
| 北海道 | 建設部 住宅局 建築指導課 管理指導係 | 011-204-5575 |
残る37県の担当課は、国土交通省の都道府県に関する窓口に一覧があります。賃貸で、埋まっているはずの部屋が載り続けている場合は入口が違うので、おとり物件の通報先のほうを見てください。

通報しても、結果は教えてもらえません
関東地方整備局の通報窓口のページには、注意書きが3つ並んでいます。原文のまま引きます。
宅建業者に対して通報いただいた方のお名前や物件所在地等をお伝えする可能性があります
宅地建物取引業者とのトラブル解決のための仲裁、助言、あっせん等は対応できません
1つめは、処分になったかどうかも含めて何も返ってこないという意味です。2つめは、名前を伏せて出しても、業者側に名前と物件の所在地が伝わることがあるという意味です。売却を任せたまま通報するなら、ここを読んでから決めることになります。
3つめは、通報しても自分の取引そのものは動かないという意味です。止まっていた紹介が明日から再開するわけではありません。窓口は免許を出した側であって、売主の代理人ではないからです。
私は、行政への通報を「自分の取引を動かす手段」ではなく「免許を出した側に記録を残す手段」だと見ています。3つの注意書きは、そう読んだほうが実態に合います。
取引を動かしたいなら、保証協会の苦情窓口があります
行政が「対応できません」と書いている助言を、法律上の義務として負っている先があります。宅地建物取引業法第64条の5第1項です。
相談に応じること、必要な助言をすること、事情を調査すること。ここまでが協会の義務として書かれています。同じ条の第3項では、社員である業者は正当な理由がなければ説明や資料の提出を拒めないとされています。
読者
保証協会って、どこに連絡すればいいんですか?
相手の会社が加入している協会は、契約時の書類や店頭の標識に、供託所や協会の名称として書かれています。まずそこを確かめてください。
ここまでは条文の話です。実際に助言を受けた売主がどうなったかまでは確認できていません。私が言えるのは、行政の窓口と保証協会では法律上の建て付けが違う、というところまでです。
通報の前にそろえておく4つ
1. 媒介契約書で契約の種類を確かめる
専属専任媒介契約か専任媒介契約かを、契約書の表題で確かめます。一般媒介なら、この記事の条文は使えません。
2. レインズのステータスの画面を保存する
登録証明書から売主用の画面に入り、取引状況の表示を日付が分かる形で残します。実際とどこが食い違うのかを、1行で書けるようにしておきます。
3. 相手の免許の表記を控える
「国土交通大臣免許」か「◯◯県知事免許」かで宛先が変わります。括弧の中の数字と番号まで控えると、窓口で会社を特定してもらえます。
4. やり取りの日付を並べる
媒介契約を結んだ日、レインズに登録された日、状況を聞いた日と返ってきた言葉を、日付順に並べます。窓口が見るのは記録です。

不動産の囲い込みの通報についてよくある質問
匿名でも通報できますか
名前を書かずに出すこともできますが、関東地方整備局は通報した人の名前や物件の所在地を業者に伝える可能性があると書いています。匿名にするほど、確認に使える情報も減ります。
通報すると、売却中の契約はどうなりますか
行政は仲裁も助言もしないので、媒介契約は通報とは別に進みます。媒介契約には有効期間があり、満了のときに更新しないという選択は売主の側に残ります。
一般媒介でも通報できますか
通報そのものは受け付けられます。ただし、レインズの登録内容を根拠にした指示処分は、一般媒介の物件には当てはまりません。媒介契約の種類にかかわらず、相手が保証協会の社員であれば、第64条の5第1項の苦情の申出という道は残ります。
囲い込みの通報先は、相手の免許が大臣か知事かで決まります。記録を残すのが行政への通報で、自分の取引を動かしたいなら保証協会の苦情の申出です。
出典:国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(令和6年6月28日 国不動第31号による一部改正・令和7年1月1日施行/引用は令和8年4月1日施行版)/国土交通省「地方整備局に関する窓口」「都道府県に関する窓口」/国土交通省 報道発表(令和6年12月24日)「レインズの機能強化について、物件の売主向けのリーフレットを作成しました!」(取引状況の表示の文言)/国土交通省 関東地方整備局「宅地建物取引業法違反の通報」/宅地建物取引業法 第64条の5、第65条/宅建業者数は自社で保有する宅建業者データ(東京・愛知・大阪・兵庫の4都府県に事務所を持つ現存業者を、免許証番号で重複を除いて集計)
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