北海道の活断層で、今後30年以内に地震が起きる確率がいちばん高いのは黒松内(くろまつない)低地断層帯です。渡島半島の付け根、寿都町から長万部町までの約32km以上で、30年2%〜5%以下。
札幌の東を通る石狩低地東縁断層帯のほうが長く(約66km)、想定される規模も大きい(マグニチュード7.9程度)のですが、確率はほぼ0%です。理由は、この断層帯が1739年から1885年の間に動いているから。動いた直後の断層は確率が低く出ます。
この記事でわかること
- ✓ 最も高いのは黒松内低地断層帯で30年2〜5%以下
- ✓ 石狩低地東縁断層帯は江戸時代に動いたためZランク
- ✓ 十勝平野断層帯はM8.0程度で北海道最大の規模
数字は地震調査研究推進本部「今までに公表した活断層及び海溝型地震の長期評価結果一覧」(令和8年1月14日現在)によるものです。確率の算定基準日は2026年1月1日。北海道は、九州・関東・中国・四国・近畿のような「地域評価」が公表されていないため、区域ごとの確率はありません。
北海道の活断層マップ
赤い線が主要な活断層帯です。図の中の断層名か、その下のボタンを押すと、その断層の詳細図と評価の節に移動します。詳細図には市や町の名前が入れてあります。
この図は位置関係をつかむための概略図です。実際の断層線は数十メートル単位で曲がっているので、自宅の真下を通るかどうかの判定には使えません。判定に使える地図は最後の節で案内します。
揺れた瞬間に、部屋の中で起きることを減らすもの
地震のけがの3〜5割は、屋内の家具類の転倒・落下・移動によるものです(東京消防庁)。壁にネジを打てない部屋でもできる手から並べます。
東京消防庁の実験では、L型金具で壁に直接ネジ止めするのが最も効果が高いとされています。賃貸で壁に穴を開けられない部屋での代わりがこれです。家具の両端の側板部を、できるだけ奥で突っ張ります。天井側にも強度が要ります。
突っ張り棒だけだと効きが落ちます。同じ資料が、ポール式にはストッパー式や粘着マット式の併用をすすめています。マット単独でも効果は小さいので、上の棒と2つで1組と考えてください。
お湯でも水でも作れて、袋のままおにぎりの形になります。断水すると鍋も食器も洗えません。洗い物の出ない形を先に入れておくと、水の減り方が変わります。
飲料水は1人1日3L。4人家族の1週間分で84L=2Lボトル42本なので、6本入りだと7ケースぶんです。5年保存タイプなら入れ替えの手間が減ります。
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確率がいちばん高いのは黒松内低地断層帯
北海道の主要活断層帯を、今後30年以内に地震が起きる確率の高い順に並べるとこうなります。区間が分かれている断層帯は、区間ごとに載せています。
| 断層帯(区間) | 30年以内の確率 | ランク | 想定される規模 |
|---|---|---|---|
| ①黒松内低地断層帯 | 2%〜5%以下 | S* | M7.3程度以上 |
| ②サロベツ断層帯 | 4%以下 | S* | M7.6程度 |
| ③当別断層 | ほぼ0〜2% | A* | M7.0程度 |
| ④函館平野西縁断層帯 | ほぼ0〜1% | A* | M7.0〜7.5程度 |
| ⑤増毛山地東縁断層帯 | 0.6%以下 | A | M7.8程度 |
| ⑥十勝平野断層帯(光地園断層) | 0.1%〜0.4% | A | M7.2程度 |
| ⑦石狩低地東縁断層帯(南部) | 0.2%以下 | A | M7.7程度以上 |
| ⑥十勝平野断層帯(主部) | 0.1%〜0.2% | A | M8.0程度 |
| ⑧富良野断層帯(西部) | ほぼ0〜0.03% | Z | M7.2程度 |
| ⑧富良野断層帯(東部) | ほぼ0〜0.01% | Z | M7.2程度 |
| ⑦石狩低地東縁断層帯(主部) | ほぼ0% | Z | M7.9程度 |
| ⑤沼田-砂川付近の断層帯 | 不明 | X | M7.5程度 |
| ⑨標津断層帯 | 不明 | X | M7.7程度以上 |
ランクの意味はこうです。30年以内の確率が3%以上ならSランク、0.1〜3%がAランク、0.1%未満がZランク、データ不足で確率を出せないものがXランク。ランクに付く「*」は、前回の地震からの経過時間を平均活動間隔で割った「地震後経過率」が0.7以上であることを示します。
確率と規模が逆に並んでいるのが、この表の特徴です。いちばん規模が大きいのは⑥十勝平野断層帯の主部でM8.0程度ですが、確率は0.1%〜0.2%。平均活動間隔が1万7千年から2万2千年と長いためです。
なお「Zランクだから当分来ない」とは読めません。同じ資料に、1995年の兵庫県南部地震が起きる直前の確率は0.02〜8%、2016年の熊本地震はほぼ0〜0.9%だったと書かれています。
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①黒松内低地断層帯

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通る主な町 | 北海道寿都郡寿都町〜同郡黒松内町〜山越郡長万部町 |
| 長さ | 約32km以上 |
| 30年以内の確率 | 2%〜5%以下(S*ランク) |
| 想定される規模 | M7.3程度以上(西側が2〜3m以上のずれ) |
| 最新活動時期 | 約5,900年前以後、約4,900年前以前(平均活動間隔 3,600〜5,000年程度以上) |
渡島半島の付け根、日本海側の寿都湾から太平洋側の内浦湾へ抜ける低地を南北に走る断層帯です。北海道の主要活断層帯で、30年確率がいちばん高くなります。
経過率は1.0〜1.6以下。平均活動間隔3,600〜5,000年程度以上に対して前回が約5,900〜4,900年前なので、間隔ぶんの時間をすでに過ぎている計算です。
長万部町は北海道新幹線の新駅ができる町でもあります。
②サロベツ断層帯

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通る主な町 | 北海道天塩郡豊富町〜同郡幌延町〜同郡天塩町 |
| 長さ | 約44km |
| 30年以内の確率 | 4%以下(S*ランク) |
| 想定される規模 | M7.6程度(3〜4m程度の隆起) |
| 過去の活動時期 | 約5,100年前以後、約4,500年前以前(最新活動かどうかは不明) |
北海道の北のはし、サロベツ原野を南北に走る断層帯です。稚内市の南にあたります。
特徴は、地表に見えている地形が断層そのものではないことです。評価文には「地表の変位地形は、地下に伏在する東傾斜の断層のずれによる褶曲の成長の結果生じたもの」と書かれていて、評価の対象は地下に隠れた断層のほうになっています。
経過率は1.3以下。約5,100年前から4,500年前の活動が最新かどうかも分かっていません。
③当別断層

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通る主な町 | 北海道石狩郡当別町(二番川〜本中小屋) |
| 長さ | 約20km |
| 30年以内の確率 | ほぼ0〜2%(A*ランク) |
| 想定される規模 | M7.0程度(西側が1.5m程度隆起) |
| 最新活動時期 | 約1万1千年前以後、約2,200年前以前(平均活動間隔 7,500〜1万5千年程度) |
札幌市の北、当別町を南北に走る短い断層です。長さ20kmは北海道の主要活断層帯でいちばん短い部類ですが、A*ランクに入っています。
経過率は0.1〜1.5。最新の活動が「約1万1千年前から約2,200年前」という9千年近い幅でしか分かっていないため、上限で読めば間隔を過ぎ、下限で読めばまだ1割という両極の答えが出ます。
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④函館平野西縁断層帯

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通る主な市 | 北海道函館市・北斗市(函館平野の西縁〜函館湾西岸) |
| 長さ | 24km |
| 30年以内の確率 | ほぼ0〜1%(A*ランク) |
| 想定される規模 | M7.0〜7.5程度(西側が3m隆起) |
| 最新活動時期 | 1万4千年前以後(過去4〜5万年間に3回活動した可能性) |
函館平野の西の縁から函館湾の西岸へ、ほぼ南北に延びる断層帯です。北部から中部の渡島大野(おしまおおの)断層と、中部から南部の富川断層などからできています。
横ずれ成分は見られず、西側が東側に対して3m程度隆起する逆断層です。経過率は0.02〜1.1で、上限で読めば間隔を過ぎたところになります。
⑤増毛山地東縁断層帯・沼田-砂川付近の断層帯

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通る主な市町 | 増毛山地東縁 北海道雨竜郡沼田町〜樺戸郡月形町/沼田-砂川付近 沼田町〜砂川市 |
| 長さ | 増毛山地東縁 約60km/沼田-砂川付近 約38km |
| 30年以内の確率 | 増毛山地東縁 0.6%以下(A)/沼田-砂川付近は不明(X) |
| 想定される規模 | 増毛山地東縁 M7.8程度/沼田-砂川付近 M7.5程度 |
| 最新活動時期 | どちらも不明(増毛山地東縁の平均活動間隔は5,000年程度以上) |
空知地方を南北に走る2本です。増毛山地東縁断層帯は和(やわら)断層や樺戸断層群などからなり、長さ約60km。西側が乗り上げる逆断層です。
沼田-砂川付近の断層帯は逆で、東側が乗り上げます。こちらは最新活動時期を含めて過去の活動が分かっていないため、確率が出せていません。
⑥十勝平野断層帯

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通る主な市町 | 主部 北海道足寄郡足寄町〜帯広市〜広尾郡(旧忠類村)/光地園断層 広尾郡大樹町〜広尾町 |
| 長さ | 主部 約84km/光地園(こうちえん)断層 約26km |
| 30年以内の確率 | 主部 0.1%〜0.2%/光地園 0.1%〜0.4%(ともにA) |
| 想定される規模 | 主部 M8.0程度/光地園断層 M7.2程度 |
| 最新活動時期 | 主部は不明(平均活動間隔 1万7千〜2万2千年程度) |
北海道でいちばん長く、いちばん規模の大きい断層帯です。主部は足寄町から帯広市などを経て広尾郡まで約84km、想定されるマグニチュードは8.0程度。東側が乗り上げる逆断層です。
それでも確率が0.1%〜0.2%にとどまるのは、平均活動間隔が1万7千年から2万2千年程度と非常に長いためです。規模の大きい断層ほど確率が低く出るという、長期評価の読み方がそのまま表れています。
光地園断層は大樹町から広尾町へ延びる26kmの断層で、最新活動と1つ前の活動がどちらも約2万1千年前以後と推定されています。
⑦石狩低地東縁断層帯

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通る主な市町 | 主部 北海道美唄市〜岩見沢市〜栗山町〜長沼町〜由仁町〜千歳市〜安平町/南部 千歳市〜苫小牧市〜厚真町〜日高町沖 |
| 長さ | 主部 約66km/南部 54km以上 |
| 30年以内の確率 | 主部 ほぼ0%(Z)/南部 0.2%以下(A) |
| 想定される規模 | 主部 M7.9程度/南部 M7.7程度以上 |
| 最新活動時期 | 主部は1739年以後、1885年以前(平均活動間隔 1,000〜2,000年程度) |
札幌の東から苫小牧を通り、日高町の沖まで続く長い断層帯です。北海道の人口が集まる地域を縦に貫いています。
主部がZランクなのは、最新の活動が1739年から1885年の間という、近代に近い時期だからです。経過率は0.07〜0.3。平均活動間隔1,000〜2,000年に対して、まだ2〜3割しか経っていません。
検索候補に「石狩低地東縁断層帯 胆振東部地震」が出てきます。2018年の北海道胆振東部地震は厚真町で震度7を記録しましたが、長期評価はこの地震をこの断層帯の最新活動としていません。最新活動時期は1739年以後、1885年以前のままです。
⑧富良野断層帯

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通る主な市町 | 西部 北海道空知郡上富良野町〜中富良野町〜富良野市/東部 中富良野町〜富良野市〜南富良野町 |
| 長さ | 西部 約27km/東部 約25km |
| 30年以内の確率 | 西部 ほぼ0〜0.03%(Z)/東部 ほぼ0〜0.01%(Z) |
| 想定される規模 | どちらもM7.2程度 |
| 最新活動時期 | 西部は2世紀以後、1739年以前(平均活動間隔 4,000年程度) |
富良野盆地を西と東からはさむ2本の断層帯です。西部は西側が、東部は東側が乗り上げます。
西部の最新活動は「2世紀以後、1739年以前」。1,600年もの幅がありますが、上限の1739年で読めば近代に近く、経過率は0.07〜0.5です。
⑨標津断層帯

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通る主な町 | 北海道目梨郡羅臼町〜標津郡標津町〜同郡中標津町 |
| 長さ | 約52km以上 |
| 30年以内の確率 | 不明(Xランク) |
| 想定される規模 | M7.7程度以上(北西側が4m程度以上隆起) |
| 最新活動時期 | 不明(過去の活動に関する資料が乏しい) |
知床半島の付け根を北東-南西に走る断層帯です。長さ52km以上、想定される規模はM7.7程度以上。十勝平野断層帯の主部に次ぐ規模なのに、確率は出ていません。
理由は、過去の活動に関する資料が乏しく、具体的な活動履歴が明らかにされていないためです。評価文には、断層が北東の海域へ延びていく可能性があり、位置と長さも正確には把握できていないと書かれています。
規模が大きい断層ほど、確率は低く出る
この記事の表には、ふつうの直感と逆に見える並びが出てきます。
| 断層 | 想定される規模 | 30年確率 | 平均活動間隔 |
|---|---|---|---|
| ⑥十勝平野断層帯(主部) | M8.0程度 | 0.1%〜0.2% | 1万7千〜2万2千年程度 |
| ⑦石狩低地東縁断層帯(主部) | M7.9程度 | ほぼ0% | 1,000〜2,000年程度 |
| ①黒松内低地断層帯 | M7.3程度以上 | 2%〜5%以下 | 3,600〜5,000年程度以上 |
規模がいちばん大きい十勝平野断層帯の確率が低いのは、動く間隔が2万年ちかいからです。石狩低地東縁断層帯は間隔が1千年から2千年と短いのに確率がほぼ0%なのは、江戸から明治にかけて動いたばかりだからです。
つまり30年確率は「どれだけ大きく揺れるか」ではなく、「次の順番がどれだけ近いか」を表しています。揺れの大きさを知りたいときに見る数字ではありません。
北海道には「地域評価」がまだ無い
九州・関東・中国・四国・近畿の5地域には、個別の断層とは別に「地域評価」があります。区域ごとにマグニチュード6.8以上の地震が30年以内に起きる確率を出したもので、地表に断層の跡が残らない地震の分も含まれています。
北海道には、この地域評価がまだ公表されていません。つまりこの記事の表は、地表に線が引ける断層だけを数えた数字です。線が引かれていない場所で地震が起きないという意味ではありません。
日本海側の海域については、2025年6月に近畿から北陸の沖までが評価され、新潟県沖から東北・北海道の日本海側も順次公表される予定だと書かれています。北海道の周りの海の断層は、これからということになります。
自宅の下を通っているか調べる
上の図は概略図なので、自宅の判定には使えません。番地の単位で見るなら次の3つです。どれも無料で、登録もいりません。
- 産業技術総合研究所 活断層データベース … 断層の線を地図上で確認できる
- 国土地理院 都市圏活断層図 … 地理院地図に重ねられる。札幌・旭川・富良野などが整備済み
- 自治体のハザードマップ … 断層が動いたときの想定震度が町丁目の単位で色分けされている
私は北海道について、活断層より海溝型地震のほうが先に来ると見ています。千島海溝沿いの超巨大地震(17世紀型)は30年7%〜40%で、この記事のどの活断層よりも大きい数字です。活断層の確率が低いことは、備えなくてよい理由になりません。
結局は建物の耐震性に戻ってきます。1981年6月以降の新耐震基準か、2000年6月以降の現行基準か。そこを先に確認するほうが、線との距離を測るより効きます。
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ほかの地域は 東北の活断層 確率が高いのは山形、仙台は1%以下、能登半島の活断層 海側は30年12〜14%、東京の活断層マップ/線が引けるのは立川断層帯だけ にまとめています。
よくある質問
Q. 2018年の北海道胆振東部地震は、石狩低地東縁断層帯が動いたのですか
A. 長期評価はそう扱っていません。石狩低地東縁断層帯の主部の最新活動時期は、いまも「1739年以後、1885年以前」のままです。胆振東部地震はこの断層帯の活動としては記載されていません。
Q. 札幌市の下に活断層はありますか
A. 主要活断層帯としては、市の北に当別断層、東に石狩低地東縁断層帯があります。市街地そのものを通る主要活断層帯の線は引かれていませんが、それは調査で否定されたという意味ではありません。
Q. 標津断層帯の確率が不明なのはなぜですか
A. 過去の活動に関する資料が乏しく、いつ動いたか、どれくらいの間隔で動くかが分かっていないためです。確率はこの2つがそろわないと計算できません。想定される規模はM7.7程度以上です。
Q. 北海道でいちばん揺れが大きくなる地震はどれですか
A. 活断層では十勝平野断層帯の主部がM8.0程度です。ただし千島海溝沿いの超巨大地震(17世紀型)はM8.8程度以上とされ、確率も30年7%〜40%と高くなっています。
出典
- 地震調査研究推進本部「今までに公表した活断層及び海溝型地震の長期評価結果一覧」令和8年1月14日現在・確率の算定基準日2026年1月1日
- 地震調査研究推進本部「黒松内低地断層帯の長期評価」
- 地震調査研究推進本部「石狩低地東縁断層帯の長期評価(一部改訂)」
- 地震調査研究推進本部「十勝平野断層帯の長期評価」
- 産業技術総合研究所「活断層データベース」
図は当サイトが作成した概略図で、実際の断層の位置・長さを厳密に表したものではありません。長期評価は将来の発生可能性を示すもので、特定の場所・日時・被害を予測するものではありません。
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