佐倉市で川の氾濫による洪水が深く、長く想定されているのは、印旛沼のまわりの干拓地と、高崎川・鹿島川の下流の低地です。町・字の代表点で見ると、飯田干拓・大佐倉干拓・萩山新田干拓は深さ5〜10メートル、水が引くまで1〜2週間の想定です。
2026年9月21日の台風第25号では、千葉県が高崎川に「レベル5 氾濫発生情報」を出し、市は表町全域と鏑木町(かぶらぎまち)二丁目に緊急安全確保を出しました。
先に結論
- ✓ 代表点で深さ3m以上の8か所は、どれも水が引くまで3日以上の想定
- ✓ 高崎川の鏑木橋は、氾濫注意4.00mの次がもう氾濫危険4.80m。台風第25号では6.25m
- ✓ 市内の床上浸水は300棟(県の暫定値)。北印旛沼では堤防が2か所決壊した(成田市側)
佐倉市で川の氾濫・洪水が危ない場所

市内191の町・字のうち、代表点が浸水の範囲に入るのは32。深さ3メートル以上は8で、干拓地と川の下流に並び、水が引くまで1週間を超える所もあります。
| 町・字 | 近くの川(目安) | 想定の深さ(代表点) | 水が引くまで |
|---|---|---|---|
| 飯田干拓・大佐倉干拓・萩山新田干拓 | 印旛沼 | 5〜10m | 1〜2週間 |
| 土浮干拓・小竹干拓 | 印旛沼 | 3〜5m | 1〜2週間 |
| 印南 | 鹿島川・印旛沼 | 3〜5m | 1〜2週間 |
| 臼井台干拓 | 印旛沼 | 3〜5m | 3日〜1週間 |
| 鏑木町 | 高崎川 | 3〜5m | 3日〜1週間 |
| 表町二丁目 | 高崎川 | 0.5〜3m | 3日〜1週間 |
| 寺崎北五丁目・羽鳥・飯重 | 鹿島川 | 0.5〜3m | 3日〜1週間 |
| 表町一丁目・鏑木町二丁目 | 高崎川 | 0.5〜3m | 1〜3日 |
深さと水が引くまでの時間は、国土交通省「位置参照情報」の町・字の代表点(およその中心)1点で、重ねるハザードマップの洪水浸水想定区域(想定最大規模)を読んだ値です。国と県が川ごとに作った想定を重ねた最大値なので、どの川の想定かはこの地図では分けられません。「近くの川」は市の資料と地図上の位置から添えた目安で、どの川の想定かを示すものではありません。
市の計画も、鹿島川下流の寺崎・羽鳥・飯重のあたりを「広大な後背湿地」と書き、干拓地は印旛沼の南側から佐倉川合流部にかけて分布すると説明しています。
一方、県が氾濫発生情報で名前を挙げた鏑木仲田町は、代表点が浸水の範囲の外です。町の中でも低い側だけが浸かる想定のことがあるので、自宅の番地まで寄せて確かめてください。
台風シーズンが始まる前に、家へ置いておくもの
風で割れるのは窓、家に入ってくるのは水です。この2つは、進路が決まってから買いに走っても店の棚から消えています。
窓が割れるのを防ぐ道具ではありません。割れたあとの破片を膜で押さえるものです。飛散率を約1%まで落とせるのは防災安全合わせガラスですが、そちらは発注から施工まで日数がかかって台風の前には間に合いません。今日のうちに手を動かせるのはこちらです。貼るのは室内側です。
土のうは砂を詰める前提の道具ですが、住宅街ではその砂が手に入りません。水で膨らむ型なら平たいまま棚にしまえて、玄関の段差にも、下水が逆流してくる風呂・トイレの排水口の上にも置けます。
一から集めると抜けが出ます。まずセットで用意して、家族の人数分と常備薬だけ足すのが早いです。
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佐倉市を流れる主な川と水位の基準
市の計画は、鹿島川・高崎川・手繰川・小竹川・印旛沼を「県管理の一級河川」としていて、どの川も印旛沼に注ぎます。北の利根川は国の管理です。
県が水位を知らせる水位周知河川は高崎川で、区間は「佐倉市高岡から鹿島川合流点まで」です。水位は次の観測所で見られます。
| 観測所(川・場所) | 氾濫注意水位 | 氾濫危険水位 | 計画高水位相当 |
|---|---|---|---|
| 鏑木橋(高崎川・表町) | 4.00m | 4.80m | 4.80m |
| 馬渡(鹿島川) | 2.80m | 設定なし | 4.10m |
| 西印旛沼(臼井) | 3.40m | 設定なし | 4.25m |
鏑木橋は、市の計画の表で避難判断水位・氾濫危険水位・計画高水位がどれも4.80メートルです。氾濫注意の4.00メートルの次は、もう氾濫危険の段階です。
洪水浸水想定区域と、水が引くまでの時間
県の想定は、鹿島川・印旛沼・手繰川・小竹川など印旛沼流域の川をまとめた1本です(令和2年5月28日指定)。前提の雨は「高崎川流域の24時間雨量668.7mm」で、50年に1度の計画規模(206mm)の約3.2倍。市のハザードマップは利根川の想定も重ねています。

高崎川の浸水継続時間の図には「168〜336時間(2週間)未満の区域」があります。市原市の養老川や君津市の小糸川・小櫃川の図は最上位が「24〜72時間(3日間)未満」で、佐倉の低地は水の引き方が違います。代表点で3日以上続く町・字は14です。
県のページに載っている家屋倒壊等氾濫想定区域の図は、河岸侵食の図だけです。代表点でこの区域に入る町・字はありませんでした。
過去の洪水と台風第25号
市の浸水履歴では、平成25年10月の台風26号で床上45件・床下140件(うち表町が床上24件)、令和元年10月25日の大雨で床上15件・床下60件。令和元年は市内で1人が亡くなっています(県の報告)。
2026年9月21日、佐倉の日降水量は278.0ミリで、1976年からの観測で1位でした。県の資料では、鏑木橋が15時10分に4.83メートルとなって「レベル4 氾濫危険情報」、21時15分に「高崎川レベル5 氾濫発生情報」(佐倉市鏑木仲田町地先付近)。県の表では、市の避難指示は5時、緊急安全確保は21時43分です。対象は表町全域の1,492世帯と鏑木町二丁目の226世帯です(ウェザーニュースの集計)。
鏑木橋のピークは22日4時10分の6.25メートルで、21日15時10分から23日1時30分まで、ほぼずっと氾濫危険水位の上にありました。県は22日14時時点の「越水した河川」に高崎川・鹿島川・北印旛沼を挙げ、市内の床上浸水を300棟としています(暫定値)。
北印旛沼では堤防が2か所決壊した
県の資料は、22日14時時点で「堤防決壊 北印旛沼(2箇所)」と載せています。決壊した場所は成田市側で、県の図には「船形干拓」「成田市方面」の文字があります。経過は速報記事「印旛沼 決壊/成田市側の堤防が崩れました」にまとめています。
外水氾濫と内水氾濫

この記事の洪水浸水想定区域は、川からあふれる外水氾濫の地図です。内水氾濫は含みません。佐倉市の道路冠水は、市の浸水履歴では台地の上に多く出ています。冠水の場所は「佐倉市 冠水 どこが危ないの?」にまとめています。
川の水位が上がったときに見る情報

気象庁は「レベル3大雨警報やレベル4大雨危険警報が発表された場合には、自分の今いる場所の近くの河川の危険性が高まっていないかを洪水キキクルで確認」するよう呼びかけています。川ごとの水位は川の防災情報(国土交通省)か、千葉県の雨量・水位情報(鏑木橋)で10分ごとに見られます。台風第25号では、西印旛沼が23日11時30分になっても計画高水位相当の4.25メートルを超えたままでした。
避難情報は市が出します。今回は22日、大雨警報の解除にあわせて「市内全域に発令していた避難情報を解除します」と知らせました。
逃げるタイミングは、道路が冠水する前
県の22日17時30分の資料では、国道296号が鏑木で冠水して全面通行止め、京成線は臼井〜佐倉が「河川増水の影響」で運転見合わせでした。21日の緊急安全確保は21時43分の夜でした。洪水キキクル(気象庁)の色が濃くなり、鏑木橋が氾濫注意の4.00メートルを超えたら、暗くなる前に動くのが目安です。
市のハザードマップは、3日以上浸水が続く「長期浸水区域」について「その場にとどまると、避難・支援が困難になることから、区域外への立退き避難を検討してください」と書いています。高齢の人や小さい子ども連れ、地下や1階の部屋にいる人、川沿いの家は、レベル3の段階で区域の外へ出てください。
避難先にも条件があります。市は臼井小学校について「洪水時の浸水想定区域内に位置するため、洪水時における指定緊急避難場所としての指定は行っていません」とし、洪水時は2階以上を避難所にしています。22日22時の時点では、佐倉小・佐倉中・寺崎小に避難所が開かれていました。
自宅の洪水リスクを調べる
- 市の佐倉市防災ハザードマップ(令和4年3月作成・北部版と南部版)かウェブ版で、深さと長期浸水区域を見る
- 重ねるハザードマップで住所を入れ、「洪水」の浸水継続時間まで表示する
- 市の指定緊急避難場所・指定避難所の一覧で、洪水の欄が「×」でない避難先を決めておく。分からないことは市の危機管理課へ
千葉県の図は「対象河川以外の支川の氾濫」や「内水による氾濫等を考慮していません」と書き、指定されていない区域でも浸水することがあるとしています。色がないことは、浸からない証明ではありません。
佐倉市のほかの災害リスク・ほかの市
- 佐倉市 冠水/雨はやんでも通行止めが増えている
- 佐倉市 土砂災害/57%は市の地図にない
- 浸水想定区域の外/千葉豪雨は半分以上
- ハザードマップ 色なし うちは安全ってこと?
- 冠水した道路に車で入るとどうなる?
この記事のまとめ
佐倉市の洪水で深く長く浸かる想定は、印旛沼の干拓地と、高崎川・鹿島川の下流です。高崎川の図には、養老川・小糸川・小櫃川の図にない1〜2週間の区域があります。
台風第25号では鏑木橋が6.25メートルまで上がり、県が氾濫発生情報を出しました。自宅の番地で深さと継続時間を確かめ、長期浸水区域ならレベル4までに区域の外へ出てください。
出典(すべて2026年9月23日に確認)
- 千葉県「洪水浸水想定区域」(県土整備部河川環境課)
- 千葉県「洪水浸水想定区域図(想定最大規模)の一覧表」令和4年3月29日時点
- 千葉県「第4回災害対策本部会議資料」(2026年9月22日17時30分)
- 千葉県 雨量・水位情報(観測所の警戒基準)
- 千葉県「令和元年10月25日の大雨警報について(第61報)」
- 佐倉市「佐倉市防災ハザードマップ」
- 佐倉市地域防災計画(令和4年度修正)
- 佐倉市「過去の浸水履歴」
- 佐倉市「指定緊急避難場所・指定避難所・指定福祉避難所」
- 佐倉市 避難情報の解除のお知らせ(9月22日)
- ウェザーニュース 2026年9月21日の緊急安全確保の集計
- 国土交通省「川の防災情報」(水位の10分値)
- 気象庁「過去の気象データ」
- 気象庁「よくある質問(FAQ)」新たな防災気象情報(令和8年4月10日)
- 地図:重ねるハザードマップ・地理院タイル/代表点:国土交通省「位置参照情報」
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