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佐倉市 冠水 どこが危ないの?

佐倉市で大雨のときにどこが危ないのかを、国の資料から調べようとすると、手が止まります。

国土交通省が出している「道路冠水注意箇所」の千葉県版は92か所。千葉市16、松戸市10、船橋市9と続きます。その中に、佐倉市の名前は1か所もありません。隣の四街道市には1か所、成田市にも1か所あるのにです。

ところが佐倉市は、別のところに答えを置いていました。市が自分で数えた浸水の記録が943件、番地つきで公開されています。読むと、この街のかたちがそのまま出てきます。

この記事でわかること

  •  国の「道路冠水注意箇所」に佐倉市は0か所。かわりに市が943件の浸水履歴を番地つきで出しています
  •  道路冠水396件のうち上位20大字の半分以上が、標高22メートルを超える台地の上です
  •  床上浸水84件の31%が表町ひとつ。最多は表町2丁目9番付近の13件です
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箇所の数は国土交通省 関東地方整備局「道路冠水注意箇所」千葉県版の一覧(92行)と、佐倉市「過去の浸水履歴一覧表」(令和7年3月24日時点・21ページ)を自分で数えました。標高は国土地理院の住所検索APIと標高APIで引いています。
目次

国の一覧に、佐倉市は1か所もありません

国土交通省の各地方整備局は「道路冠水注意箇所」という一覧を持っています。大雨のときに水がたまるおそれがある道を、道路管理者があらかじめ挙げたものです。関東地方整備局の千葉県版は92か所ありました。

市町村 箇所数
千葉市 16
松戸市 10
船橋市 9
市原市 6
袖ケ浦市 5
市川市 5
我孫子市 5
習志野市・流山市・木更津市 各4
柏市・栄町 各3
佐倉市 0

この一覧に載るのは、アンダーパスや線路をくぐる道のように、構造からして水がたまる場所が中心です。佐倉市はそういう構造物が少ない街だ、という読み方はできます。

ただし、それは「佐倉市では道路が冠水しない」という意味ではありません。八街市も酒々井町も0か所ですが、2026年9月の台風25号では3市町とも道路が通れなくなりました。

読者

じゃあ、何を見ればいいんですか?

おかあさん

佐倉市の場合は、市が出している「浸水履歴」です。国の一覧よりずっと細かくて、番地まで書いてあります。

市は、番地つきの浸水履歴を943件出しています

佐倉市危機管理課の「過去の浸水履歴」のページに、一覧表のPDFが置かれています。平成18年4月1日以降に、住民の通報などで市が把握したものです。大字・よみがな・丁目・番地(付近)・発生日・原因と、被害の区分が並んでいます。

区分は4つ。数えると、こうなりました。

区分 件数 記録のある大字
道路冠水 396 88
床下浸水 306
宅地流入 157
床上浸水 84 16
合計 943 91

道路冠水が396件で、いちばん多い区分です。しかも88の大字にまたがっています。佐倉市の大字は100あまりですから、ほとんどの地区でどこかの道が水に浸かった記録がある、ということになります。

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市の注意書きには「実際の浸水被害すべての記録ではありません」「特定の個人にかかる物件の浸水履歴を示すものではありません」とあります。通報があったものだけが載っているので、記録が少ない地区が安全だという読み方はできません。

冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの

JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。

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水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。

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119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。

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鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。

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道路が冠水するのは、台地の上です

道路冠水396件を大字ごとに数えて、上位20の代表点の標高を引きました。低いところに集まると思って調べたのですが、出てきた並びは逆でした。

佐倉市の道路冠水と床上浸水を標高で並べた図
上が道路冠水、下が床上浸水。横軸は大字の代表点の標高

上位20のうち11の大字が、標高22メートルより高い場所にあります。いちばん多い上志津は25.9メートル、2番目の井野は27.3メートル、下志津は29.5メートル、城は32.6メートル。佐倉市の住宅地でいちばん高い野狐台町(32.8メートル)とほとんど変わりません。

台地の上で道が冠水するのは、川があふれるからではありません。降った雨の行き場が、その場所の排水能力を超えるからです。集水ますが落ち葉やごみでふさがれば、平らな道でも水はたまります。

佐倉市で道路冠水の記録が多い20の大字の地図
番号は道路冠水の件数が多い順。位置は大字の代表点で、冠水する道そのものの位置ではありません
No. 大字 道路冠水 床上浸水 標高 地図
1 上志津(かみしづ) 16 5 25.9m 地図で開く
2 井野(いの) 15 6 27.3m 地図で開く
3 鏑木町(かぶらぎまち) 15 2 2.3m 地図で開く
4 下志津(しもしづ) 14 29.5m 地図で開く
5 千成(せんなり) 13 6 14.3m 地図で開く
6 臼井(うすい) 11 5 28.6m 地図で開く
7 臼井田(うすいだ) 11 8 4m 地図で開く
8 城(じょう) 11 32.6m 地図で開く
9 大佐倉(おおさくら) 10 27.5m 地図で開く
10 石川(いしかわ) 9 28.9m 地図で開く
11 王子台(おうじだい) 9 8.4m 地図で開く
12 生谷(おぶかい) 9 1 18.3m 地図で開く
13 寺崎(てらざき) 9 29.7m 地図で開く
14 中志津(なかしづ) 9 8 25.3m 地図で開く
15 大崎台(おおさきだい) 7 5.7m 地図で開く
16 上志津原(かみしづはら) 7 2 22.3m 地図で開く
17 栄町(さかえちょう) 7 9m 地図で開く
18 下勝田(しもかつた) 7 10.6m 地図で開く
19 高岡(たかおか) 7 5.8m 地図で開く
20 六崎(むつざき) 7 30.3m 地図で開く
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標高は大字の代表点1点の値です。同じ大字の中でも道路の高さは変わりますし、道の底そのものの高さでもありません。目安として見てください。

家が浸かるのは低いほう。31%が表町ひとつです

同じ表を、床上浸水で並べ直すと、まったく別の地図になります。

床上浸水は84件。記録があるのは16の大字だけです。そのうち26件、全体の31%が表町に集まっています。表町の標高は4.6メートル。次に多い田町が5.6メートル、臼井田が4.0メートルです。

道路冠水の記録がある88の大字のうち、73(83%)は床上浸水がゼロでした。道が水に浸かることと、家の床の上まで水が来ることは、佐倉市では別の場所で起きています。

番地まで見ると、もっとはっきりします。記録がいちばん多いのは表町2丁目9番付近で32件。内訳は床上浸水13件、床下浸水18件、宅地流入1件です。道路冠水は0件でした。ここは道が冠水する場所ではなく、家が浸かる場所として記録されています。

大字 床上浸水 道路冠水 標高
表町 26 6 4.6m
田町 10 4 5.6m
臼井田 8 11 4.0m
中志津 8 9 25.3m
井野 6 15 27.3m
千成 6 13 14.3m
臼井 5 11 28.6m
上志津 5 16 25.9m

不動産の価格を見ている国土交通省の標準地でも、同じ場所が出てきます。佐倉市の住宅地37地点のうち標高がいちばん低い4つは、寺崎北3丁目(3.6メートル)、鏑木町1丁目(4.8メートル)、表町3丁目(5.0メートル)、田町(5.6メートル)。市内でいちばん高い野狐台町との差は29.2メートルあります。

この住所は浸水しやすい場所ですか?

住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。



記録の3分の1は、2013年10月15日の一日です

佐倉市の浸水記録943件の年別内訳
2013年10月15日の台風26号だけで290件。943件の31%がこの一日に集まっている

943件を年で割ると、2013年が294件でとび抜けています。そのうち290件が10月15日の台風26号、一日ぶんです。区分の内訳は道路冠水100件、床下浸水140件、床上浸水45件、宅地流入5件でした。

次に多いのが2009年の228件、2010年の177件、2019年の75件です。2019年の75件はすべて10月25日の大雨で、このときの記録は表町と飯田に多く残っています。

原因の欄でいちばん多いのは「大雨・洪水警報」の420件。台風の名前が付いているものより、警報どまりの雨のほうが件数は多いということです。

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国土交通省の水害統計で見ると、佐倉市は2015年から2023年までの9年のうち2年(2016年と2019年)で建物被害が出ています。床上浸水29棟・床下浸水77棟、被害額は約8.9億円。全国954市区町村のうち床上浸水の多い順で298位です。

2026年9月は、58か所が通れなくなりました

2026年9月の台風25号では、佐倉市は9月21日午後9時43分に表町全域と鏑木町二丁目へ警戒レベル5「緊急安全確保」を出しました。理由は「高崎川が増水し、既に堤防を越えています」。

この2つの地区は、上で見た床上浸水の記録がいちばん多い表町(26件)と、道路冠水が3番目に多い鏑木町(15件)です。市が20年ぶん記録してきた場所に、そのまま避難情報が出ました。

市は通行止めの場所を地図で公開していて、22日午後3時の時点で58か所ありました。そのうち5か所は「令和8年9月7日午前2時時点」のまま残っています。9月上旬の大雨で閉めてから2週間以上開いていない道で、石川・寺崎・中志津・中志津1丁目・吉見の5つ。5つとも、浸水履歴で道路冠水の記録がある大字です。

読者

川の水位はどこで見られますか?

おかあさん

高崎川なら、鏑木町の「鏑木橋」に国土交通省の水位計があります。氾濫注意水位と氾濫危険水位が決まっていて、「川の防災情報」のサイトで10分ごとに見られます。

数字そのものより、到達した基準水位の名前を見てください。観測所ごとに基準面が違うので、何メートルという値だけでは他の川と比べられません。

自分の家の前が危ないかを調べる3つ

佐倉市の場合、見る順番はこうなります。

  • 市の浸水履歴で、自分の大字と番地を探す。記録があれば、そこは過去に通報が出た場所です
  • 市のハザードマップで、洪水と内水を分けて見る。佐倉市は防災ハザードマップ・土砂災害ハザードマップ・水害ハザードマップ(宅地建物取引業者向けの案内つき)を別に出しています
  • 雨の日に、自分の足で見に行く。集水ますの位置と、道がいちばん低くなる場所は歩けばわかります

3つ目がいちばん効きます。台地の上で起きる冠水は、地図では読めないからです。

\住所だけ・1分で公的データを確認できます/

住所を入れて災害リスクを調べてみる ▶

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よくある質問

国の一覧に載っていなければ安全ですか

いいえ。国の「道路冠水注意箇所」はアンダーパスなど構造からして水がたまる場所が中心で、平らな道や排水の詰まりで起きる冠水は入っていません。佐倉市は0か所ですが、市自身は396件の道路冠水を記録しています。

浸水履歴に載っていない場所なら大丈夫ですか

市が「実際の浸水被害すべての記録ではありません」と書いています。住民の通報などで把握したものだけなので、通報がなかった場所は載りません。載っていないことは安全の証明にはなりません。

表町や鏑木町の家は買わないほうがいいですか

そこまでは言えません。床上浸水の記録は台風26号のような大きな雨に集中していて、毎年起きているわけではないからです。判断の材料になるのは、その物件の1階の床がどれだけ高いか、敷地が道路よりどれだけ上がっているかです。重要事項説明では水害ハザードマップでの所在地の説明が義務になっているので、契約前に必ず確認してください。

ほかの市はどうなっているか

公式出典

この記事の数値は公表資料を集計したものです。避難や通行の判断は、必ず佐倉市の最新の発表を確認してください。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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