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裁量労働制 見直し/乱用防止は一致、拡大は対立

🗨️「裁量労働制の見直しで、何が変わるの?」

10月24日の時点で、変わると決まったことはまだありません。10月23日の審議会では、長時間働いた人を裁量労働制から外すなど、乱用を防ぐ措置が要るという点で労使の意見がそろったと朝日新聞が報じました。ただし、対象の仕事を広げるかどうかは労働側が反対し、対立したままです。

[経済] この記事の要点

発表日・更新日

2026年10月23日 発表

影響を受ける人
  • 裁量労働制で働いている人(専門業務型の20業務と、企画業務型)
  • これから会社に裁量労働制の適用を打診される人
  • 裁量労働制を入れている会社、入れようとしている会社

厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会は10月23日、裁量労働制の見直しを議題に話し合いました。労働者側と使用者側の委員、学識者の公益委員が、労働基準法などの見直しを議論している場です。厚労省はこの日、「濫用防止措置」と「対象の在り方」の2つを論点に示しました。

裁量労働制は、実際に働いた時間ではなく、労使で決めた「みなし労働時間」を働いたものとみなす仕組みです。厚労省の資料によると、適用されている労働者の割合は専門業務型で1.1%、企画業務型で0.3%です(令和7年就労条件総合調査)。

労使で一致した点、割れた点

23日に何がそろい、何が割れたのかを、報道から並べると次のとおりです。

論点労働側使用者側
長時間働いた人を適用から外す措置必要必要
乱用を防ぐ基準を法律に書く書くべき法的な措置も視野に検討
対象の仕事を広げる反対広げたい

朝日新聞は、長時間労働になった場合に裁量労働制の適用を外す措置の必要性について、労使が一致したと報じました。テレビ朝日によると、労働側は、労働時間や業務に裁量がない場合に適用から外せるようにするなど、乱用を防ぐ基準を法律に明記すべきだと主張し、使用者側も法的な措置も視野に検討することが重要だと応じました。

一方で、対象を広げるかどうかについて、アドバンスニュースは労使の見解が「平行線」だと伝えています。そろったのは乱用に歯止めをかける措置が要るという方向までで、何時間で外すのか、義務にするのかといった中身は決まっていません。

i 23日の分科会の議事録は、10月24日の時点でまだ公表されていません。発言の中身は報道と連合の発表によるものです。
厚生労働省が10月23日の分科会に出した資料の「対象の在り方」の枠。裁量労働制を拡充すべきという意見と、拡充や緩和は行うべきではなく令和6年の改正内容の適正運用を徹底すべきという意見が並べて書かれている
厚生労働省「労働時間法制の具体的課題に関する検討の論点について(裁量労働制)」(10月23日の分科会の資料No.1-1)から、「対象の在り方」の部分(画像をタップすると拡大)

今のルールでの適用除外

「長く働いたら裁量労働制から外す」仕組みそのものは、今のルールにもあります。2024年4月から、労使協定や決議で選ぶ健康・福祉確保措置の1つに「労働時間が一定時間を超えた場合の制度適用解除」が入っています。

厚生労働省のパンフレットにある健康・福祉確保措置のうち、適用労働者全員を対象とする4つの措置。3番目が労働時間が一定時間を超えた場合の制度適用解除
厚生労働省のパンフレット「専門業務型裁量労働制について」から、健康・福祉確保措置の1つ目のまとまり(画像をタップすると拡大)

厚労省は、この措置を実施することが「望ましい」としています。ただ、10ある選択肢の中から労使協定や決議で選ぶ形で、必ず入れなければならないものではありません。協定や決議にこの措置が入っていなければ、長く働いても、それだけで適用が外れることはありません。

使用者側もこれまでの分科会で、一定の時間を超えたら適用から外すといった工夫を職場の労使で行っていると話していました(厚労省の資料の「主な意見の整理」)。労働側の委員は23日の朝、連合の集会で「実労働時間とみなし時間が大幅に乖離した際に強制的に外すルールの構築が必要だ」と話しています。

実際に働いた時間とみなし時間の差は、厚労省の裁量労働制実態調査(2019年実施)にも出ています。適用されている人の1日の平均で、実際に働いた時間は9時間03分、みなし労働時間は8時間14分でした。みなし時間は、自分のみなし時間を知っている人の回答で、どちらも極端な値を除いた平均です。

対象業務の拡大案

政府は7月21日に閣議決定した「日本成長戦略」に、「濫用防止措置を前提に裁量労働制の対象の在り方について、見直しの検討を行う」と書きました。高市首相も4月22日の日本成長戦略会議で、厚生労働大臣に見直しの検討を進めるよう指示しています。

使用者側がこれまでの分科会で求めてきたのは、たとえば次のような広げ方です(厚労省の資料の「主な意見の整理」から)。

  • 対象の業務とそうでない業務を兼ねていても、主な業務が対象業務で働き方に裁量がある人なら適用できるようにする
  • 健康確保措置や適正な報酬を条件に、過半数労働組合と合意すれば対象業務の範囲を決められる仕組み(例として、プロジェクト型の業務や、他社の事業に関する企画・立案・調査・分析)

労働側は、拡充や緩和は行うべきではなく、2024年4月に始まったばかりの今のルールをきちんと守らせるのが先だとして反対しています。今の専門業務型の対象は、研究開発、情報処理システムの分析・設計、記事の取材・編集、弁護士、税理士など20業務です。2024年4月に、銀行・証券会社で企業の合併・買収について助言する業務が加わったばかりです。

いつから変わるのか

決まっていません。次の分科会は10月30日に開かれ、議題は「労働基準関係法制について」です。連合は、分科会での議論は年末の取りまとめを目途にしていると説明しています。

厚労省は今年の7月から8月に、2024年4月の改正のあとの運用を調べる新しい実態調査を行いました(実施は労働政策研究・研修機構)。テレビ朝日によると、厚労省はこの結果も踏まえて議論を進める方針です。10月23日の分科会の資料に、その結果はまだ載っていません。

いま職場で確かめられること

見直しを待たなくても、今の自分の条件は職場の書類で確かめられます。専門業務型は労使協定、企画業務型は労使委員会の決議で中身が決まっていて、会社はこれを働く人に周知しなければなりません(労働基準法第106条)。

  • みなし労働時間は何時間か(法定労働時間を超える時間にしているなら、36協定と割増賃金が必要)
  • 健康・福祉確保措置に「労働時間が一定時間を超えた場合の制度適用解除」が入っているか、入っていれば何時間か
  • 同意を撤回するときの申出先と方法

専門業務型も、2024年4月からは本人の同意がなければ適用できません。同意しなかったことを理由に不利な扱いをすることは禁止で、いったん同意しても撤回できます。

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読者

同意を撤回したら、給料が下がることはあるの?

おかあさん

あるの。専門業務型では、適用される人だけの手当が前もって決めてあれば、撤回でその手当がなくなっても、内容が明らかに不合理でない限り「不利な扱い」には当たらない、と厚労省の質問と答えに書いてあるわ。同意する前に、撤回したあとの配置と賃金を聞いておくと安心よ。

\同意と撤回の扱いを厚労省が解説/

厚労省の解説を見てみる ›

厚生労働省「確かめよう労働条件」のページが開きます

写真の出典

アイキャッチ:厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館(撮影 Lombroso(ロンブローゾ)・パブリックドメイン・ウィキメディア・コモンズ。上下を切り抜き、文字を重ねています)

生活・仕事にどう効くか

  • いま裁量労働制で働いている:今の労使協定・決議の内容がそのまま有効。みなし時間も同意のルールも今のまま
  • 長時間働いている:一定の時間を超えたら適用を外す措置は、2024年4月から労使協定や決議で選べる措置の1つ。職場で選んでいるかは協定や決議に書いてある
  • 適用を打診された:専門業務型も本人の同意が要る。同意しないことを理由に不利な扱いをするのは禁止

結局どうすればよいか

  • 職場の労使協定(専門業務型)か労使委員会の決議(企画業務型)で、みなし労働時間と健康・福祉確保措置の中身を確かめる(会社には周知する義務がある)
  • 同意を撤回するときの申出先と、撤回したあとの配置・賃金がどうなるかを確かめておく
  • 実際の労働時間が長く、職場に相談しにくいときは、最寄りの労働基準監督署に聞く

公式出典

更新履歴

  • 2026年10月25日 初版を公開(10月23日の分科会資料と報道にもとづく)

※本記事は2026年10月24日時点で厚生労働省・首相官邸が公表している資料と、報道機関・連合の発表にもとづきます。今後の分科会で内容が変わる可能性があるため、最新の情報は厚生労働省の「労働政策審議会(労働条件分科会)」のページでご確認ください。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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