🗨️「翻訳の仕事はAIでなくなる?」
翻訳業100社の売上は3年で9.7%減にとどまる一方、利益は70.7%減。減ったのは仕事の量より値段です。
[AI] この記事の要点
2026年10月30日 発表
- 翻訳を仕事にしている人
- 翻訳者を目指している人
- 翻訳会社で働く人
「翻訳の仕事はAIでなくなる」は、数字で見ると半分だけ当たっています。東京商工リサーチが集計した翻訳業100社の売上は、3年で9.7%しか減っていません。ところが最終利益は70.7%減りました。消えつつあるのは仕事の量より、仕事の値段です。
先に結論
- ✓ 翻訳業100社の売上は434.8億円→392.6億円(9.7%減)、利益は30.8億円→9.0億円(70.7%減)
- ✓ 倒産は2026年1〜8月で3件。目立つのは休廃業・解散で、2025年は50件
- ✓ 英国の調査では、翻訳者の約3分の1が生成AIで仕事を失ったと答えた
翻訳業100社の売上と利益
東京商工リサーチの調査(2026年9月21日)は、5期続けて業績を比べられる翻訳業100社の決算を集計したものです。業績のピークは2022年度で、そこから2025年度まで3期続けて売上も利益も減りました。

出典
東京商工リサーチ「翻訳業が苦境、利益は3年で7割減」(2026年9月21日)の数字から作図| 2022年度 | 2025年度 | 増減 | |
|---|---|---|---|
| 売上高(100社合計) | 434億7,800万円 | 392億5,700万円 | 9.7%減 |
| 最終利益(100社合計) | 30億8,200万円 | 9億200万円 | 70.7%減 |
2025年度に売上が減ったのは100社のうち50社、増えたのは32社。利益が減ったのは47社、増えたのは35社でした。全社がそろって沈んでいるわけではなく、伸びている会社も3分の1ほどあります。
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減ったのは量より値段
売上が1割減っただけで利益が7割消えるのは、仕事の数は残っているのに、1件あたりの値段が下がったときの形です。調査も、機械翻訳が急速に進化し、簡単な文章は無料で翻訳できるようになって「価格競争は激化している」と書いています。
2026年に倒産した首都圏の翻訳サービス会社については、関係者が「従来から業況が思わしくなかったが、AI翻訳の台頭がとどめを刺した」と話したと伝えています。
つぶれる翻訳会社がどんどん増えている、ってこと?
倒産そのものは2026年1〜8月で3件だけなの。多いのは倒産ではなく、自分から店を閉める休廃業・解散のほう。2019年に初めて30件台になって、2024年は53件、2025年も50件よ。
私は、この「静かにやめる会社が年50件」のほうが業界の実態に近いと見ています。借金で行き詰まる前に、値段が下がった仕事に見切りをつけている人が多いのでしょう。AIで仕事がどれだけ置き換わるかという予測の話はAI 仕事 奪われる 何割/49%と7%の差で比べました。
個人の翻訳者が何人減ったかは、国の統計では分かりません。厚生労働省の職業別の求人倍率の表には、翻訳者だけを切り出した区分がないためです。数字で語れるのは会社の決算までで、「翻訳者が何割失業した」という国内の数字は見当たりません。

出典
Arria Belli / Wikimedia Commons(Public domain)海外には当事者に聞いた調査があります。英国の作家協会が会員787人に聞いた2024年の調査では、翻訳者の約3分の1が、生成AIのせいで仕事を失ったと答えました(The Bookseller)。「仕事が来なくなった」と検索している人が日本にもいることは、検索窓の候補にも表れています。
値段が残る翻訳の仕事
では、どんな翻訳なら値段が残るのか。東京商工リサーチの調査は、複雑な契約書やニュアンス、専門分野では、人による翻訳や最終チェックが欠かせないと書いています。裏返せば、値段が先に崩れたのは、誰が訳しても中身が変わらない一般的な文書です。
- 手紙や社内文書など、無料の機械翻訳で足りる仕事の単価に頼らない
- 契約書・特許・医薬のように、間違えると責任が生じる分野へ寄せる
- AIが訳した文の確認(ポストエディット)は増えているが、国内の単価の公的なデータはない。単価は案件ごとに確かめる
- 法律で資格者にしか認められていない仕事と組み合わせる
4つ目は翻訳に限りません。AIの時代に価値が残る資格の考え方はAI時代 資格/残るのは独占業務にまとめました。会社でAIを入れても仕事が減らない理由はAIを入れたのに仕事が減らないのはなぜ?で書いています。
「翻訳の仕事はAIでなくならない」という言葉は、仕事の数については今のところ正しいままです。ただ、同じ仕事に払われるお金は、3年で大きく変わりました。
よくある質問
Q. 翻訳の仕事はAIでなくなりますか。
A. 翻訳業100社の売上は2022年度から2025年度で9.7%減にとどまり、仕事の量はまだ残っています。一方で利益は70.7%減り、値段が大きく下がっています。
Q. 翻訳会社の倒産は増えていますか。
A. 東京商工リサーチによると、2026年1〜8月の倒産は3件(前年同期1件)です。休廃業・解散は2025年に50件ありました。
Q. AIでも残る翻訳の仕事は何ですか。
A. 東京商工リサーチは、複雑な契約書やニュアンス、専門分野では人による翻訳や最終チェックが欠かせないとしています。
生活・仕事にどう効くか
- 利益:売上は1割減、利益は7割減。値段の下落が大きい。
- 廃業:倒産より休廃業・解散が多く、年50件前後。
結局どうすればよいか
- 無料翻訳で足りる仕事の単価に頼らない
- 責任が生じる専門分野に寄せる
- 確認の仕事の単価は案件ごとに確かめる
あわせて読む・調べる
くわしく知る(保存版の記事)
公式出典
更新履歴
- 2026年10月30日 初版を公開
※本記事は2026年10月30日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
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