🗨️「上の階に住んでいれば、浸水は関係ないよね?」
千葉市では10棟余りのマンションで地下の電気設備が水没し、住戸が無事でも停電と断水が続いています。千葉市長は共同通信の取材に「建物が残っていても機能不全になっている」と説明しました。
[災害] この記事の要点
共同通信は2026年8月22日、千葉市の一部のマンションで地下の電気設備が水没して停電が続き、その数が10棟余りだと伝えた。復旧まで1カ月以上との見通しを示すところもある。千葉市中央区のマンションでは停電で給水設備が稼働せず断水が1週間以上続き、駐車場も使えない状態になった。千葉市の神谷俊一市長は「建物が残っていても機能不全になっている。従来の災害とは違う状況で、罹災証明が想定されていない」と述べ、市はホテルや民間住宅の借り上げ、市営住宅の提供を検討している。
2026年8月22日 発表
- 千葉市や松戸市のマンションで停電・断水が続いていて、水をどこで確保できるか探している人
- これからマンションを買う・借りるつもりで、上の階なら浸水は関係ないと思っている人
- 川から離れた場所を選べば水害は避けられると考えている人
- マンションの管理組合で、非常用電源や止水板の見直しを担当している人
この記事でわかること
- 千葉市の10棟余りのマンションで何が起きているか(共同通信 2026年8月22日)
- 貯水槽や増圧ポンプの手前にある「直結給水栓」なら、停電中でも水が取れることがあること
- 給水方式が直結直圧・直結増圧・貯水槽のどれかで、停電したときの結果が変わること
- 部屋を決める前に管理会社へ聞いておきたい7つのこと
先に結論
- 千葉市では、地下の電気設備が水没したマンションで停電が続いています。共同通信は8月22日、その数を10棟余りと伝えました
- 住戸そのものは浸水していなくても、停電すると給水ポンプが止まります。千葉市中央区のマンションでは断水が1週間以上続きました
- 千葉県営水道は、貯水槽や増圧ポンプの手前にある「直結給水栓」なら停電中でも水が取れることがある、と案内しています
- 停電したときにどうなるかは、その建物の給水方式(直結直圧・直結増圧・貯水槽)で変わります
- 部屋を決める前に、階数だけでなく「受変電設備がどこにあるか」を管理会社に聞いてください
千葉豪雨でマンションの地下設備が浸水
共同通信は2026年8月22日、千葉市の一部のマンションで地下の電気設備が水没し、停電が続いていると伝えました。その数は10棟余り。復旧まで1カ月以上との見通しを示すところもあるといいます。
棟数は、報じた時点と数え方によって違います。読売新聞は8月18日時点で13棟、NHKは8月19日時点で12棟、共同通信は8月19日と22日にいずれも10棟余りと伝えました。この記事では、いちばん新しい共同通信8月22日の「10棟余り」を基準にします。
豪雨そのものの被害も確認しておきます。共同通信が8月19日に伝えたところによると、死者13人、重傷2人、軽傷42人。住宅への浸水などの被害は2800棟以上で、道路上では約2700台の車が動けなくなりました。千葉市中心部では、排水機能が追い付かず地上に水があふれる「内水氾濫」が起きています。
建物は残っているのに「住めない」状態に
この災害でいちばん耳に留めておきたいのは、千葉市の神谷俊一市長の言葉です。共同通信によれば、市長はこう説明しています。建物が残っていても機能不全になっている。従来の災害とは違う状況で、罹災証明が想定されていない。
罹災証明書は、住宅の被害の程度を市区町村が調べて出す書類です。全壊・半壊といった区分は、建物そのものがどれだけ壊れたかで決まります。ところが今回起きているのは、建物の躯体も住戸も無事なのに、地下の設備が水に浸かって生活が成り立たない、という壊れ方でした。
千葉市はこの状況を受けて、ホテルや民間住宅の借り上げ、市営住宅の提供を検討していると報じられています。千葉県も8月18日の報道発表で、住宅に大きな被害を受けて居住が困難になった方への県営住宅の無償提供を挙げていました。
被害は千葉市だけではありません。同じ千葉県の発表によると、8月15日から松戸市内のマンションで受水槽ポンプが故障し、松戸市の要請を受けて県企業局の給水車が応急給水に入っています。8月17日からは、停電でトイレが使えなくなった状況に対応するため、2室タイプとバリアフリータイプのトイレカー計2台が松戸市へ派遣されました。
ここからは私の見方です。この災害でいちばん重い一言は、被害の棟数ではなく市長の「罹災証明が想定されていない」だと考えています。支援の入り口が建物の損壊の程度でできている以上、設備だけが壊れた建物は制度の網の目に落ちます。同じことは、地下に受変電設備を置いた全国のマンションで起こりえます。個別の自治体の対応の巧拙ではなく、制度の設計の話だと見ています。ただし、今回の千葉市の判断がどうなるかはまだ決まっていません。罹災証明の判定をするのは市区町村なので、この記事では結論を先取りしません。
なぜ停電するとマンションで水まで出なくなる?
「水道は止まっていないのに、なぜ水が出ないのか」。これは千葉県営水道も注意を呼びかけている点です。同局は、停電や浸水によって集合住宅等の貯水槽のポンプや増圧ポンプが停止し、各部屋に水を送れなくなることがある、と説明しています。
戸建てとの違いはここにあります。戸建ての多くは、水道本管の水圧がそのまま蛇口まで届くので、停電しても水は出ます。マンションは、いったん受けた水をポンプで押し上げて各住戸へ配る建物が多く、そのポンプは電気で動きます。止まっているのは水道ではなく、水を持ち上げる力のほうです。
ただし、すべてのマンションが同じではありません。東京都水道局の説明をもとに、給水方式ごとの違いを整理します。
| 給水方式 | 仕組み | 停電したときに起きうること |
|---|---|---|
| 直結直圧 | 配水管の水圧で3階まで直接給水する(東京都水道局の定義) | ポンプを使わないので、停電そのものでは止まりにくい |
| 直結増圧 | 給水管に増圧ポンプを付け、水圧の不足分を増圧して中高層階まで送る | 増圧ポンプが止まる。上の階から順に水が出なくなる |
| 貯水槽(受水槽・高置水槽) | 受水槽にためた水をポンプで屋上の高置水槽へくみ上げ、自然に流し落とす | くみ上げが止まる。高置水槽に残っている間は出るが、空になると建物全体が止まる |
自分の建物がどれなのかは、管理会社か管理組合に聞けば分かります。階数からの推測はあてになりません。同じ10階建てでも方式は分かれます。
停電中でも水が取れることがある「直結給水栓」
ここが、報道ではあまり触れられていない実用の話です。千葉県営水道は、貯水槽や増圧ポンプの手前に直結給水栓(散水栓など)が設置されている場合、その水栓を活用できることがある、と案内しています。ポンプより上流にある蛇口なので、ポンプが止まっていても水道本管の圧力がそのまま届くからです。
同局はあわせて、こう書いています。建物の管理者に、直結給水栓の有無、設置場所、利用してもよいかを確認することを勧めます、と。敷地内の散水栓は共用部の設備なので、住民が勝手に使ってよいとは限りません。使った場合も基本料金と使用料金は発生します。
停電が続いている建物にお住まいなら、管理会社への連絡のついでに「うちに直結給水栓はありますか」と一言聞いてみてください。あれば、給水所まで水を運ぶ距離が敷地内で済むことがあります。
豪雨から「住めない」までの流れ
今回の千葉市で報じられている流れを、当サイトで図にしたものです。すべての建物がこの通りになるわけではありません。
マンションの地下には何がある?
地下や地下ピット、地下駐車場のまわりに置かれることがある設備を挙げます。
- 受変電設備(電力会社から届く高い電圧を、建物で使える電圧に落とす装置)
- 配電設備(各住戸や共用部へ電気を分ける装置)
- 給水ポンプ・増圧ポンプ(水を各住戸へ送る装置)
- 受水槽(水道水をいったんためる水槽。屋外や屋上のこともある)
- 排水設備・排水ポンプ(低い位置の排水を下水道へ押し上げる装置)
- 機械式駐車場の機械部分
これらが浸水すると、建物そのものに大きな損傷がなくても、停電から給水停止、エレベーター停止、共用設備の停止へと影響が連鎖することがあります。今回の千葉市中央区のマンションでは、地下の電気設備が浸水して停電し、給水設備が動かず断水が1週間以上続き、駐車場も使えない状態になったと報じられました。エレベーターについては、共同通信の記事で「動く」と張り紙に書かれていたことが伝えられています。
ただし、すべてのマンションに同じ設備が同じ場所にあるわけではありません。受変電設備を1階や中間階、屋上に置いている建物もあります。止水板、防水扉、排水設備、非常用電源の有無も建物ごとに違います。「地下に設備があるマンションは危険」とひとまとめにできる話ではなく、確認すべきは、その建物がどうなっているかです。
川から離れていても注意「内水氾濫」とは
今回、千葉市中心部で起きたのは内水氾濫でした。共同通信は「排水機能が追い付かず地上に水があふれる」現象として説明しています。大雨で下水道や排水設備の処理能力を超えると、雨水を排出できなくなって市街地に水があふれます。
川が堤防を越えたりあふれたりして起きる洪水とは、水の出どころが違います。だから「川から離れているから大丈夫」は成り立ちません。降った雨が引かない土地なら、川が見えない場所でも水はたまります。
物件を探すときに見るハザードマップも、洪水だけでは足りません。水防法にもとづく水害ハザードマップには、洪水のほかに雨水出水(内水)と高潮の3種類があります。自治体によっては内水のマップを作っていないこともあるので、その場合は過去の浸水実績の資料を探すことになります。
内水ハザードマップと重要事項説明の関係については、当サイトの別記事で国土交通省のQ&Aまで踏み込んで整理しています。
マンション購入・入居前に確認したい7つのポイント
ここまでの話を、内見のときに聞ける形にまとめます。相手は売主・管理会社・管理組合です。
| 確認すること | 聞き方・調べ方 |
|---|---|
| 1. 電気設備はどこにあるか | 受変電設備・配電設備が地下か、1階か、上の階か。図面か管理会社に確認する |
| 2. 給水方式はどれか | 直結直圧・直結増圧・貯水槽のどれか。受水槽と高置水槽の位置も聞く |
| 3. 停電時に水を確保できるか | 直結給水栓・非常用給水栓があるか、住民が使ってよいか。非常用電源は「ありますか」ではなく「停電時に給水ポンプを動かせますか」と聞く |
| 4. 止水対策があるか | 地下や駐車場の入口に止水板・防水扉・土のう・排水ポンプがあるか。取り外し式なら誰がいつ設置する取り決めか |
| 5. 過去の浸水履歴 | 建物・前面道路・地下駐車場で浸水したことがあるか。管理組合の議事録と修繕の履歴に残る |
| 6. ハザードマップ | 洪水だけでなく内水(雨水出水)も見る。自治体が作っていない場合は浸水実績の資料を探す |
| 7. 管理組合の防災対策 | 設備が壊れたときの復旧の段取り、非常用電源、備蓄、住民への連絡方法が決まっているか |
3番の聞き方は変えるだけで答えが変わります。「非常用電源はありますか」と聞くと「あります」で終わりますが、実際には非常灯だけで給水ポンプには回せない建物があります。
「何階に住むか」だけでは防げないマンションの浸水リスク
マンションを探すとき、水害の話は「何階なら浸かりませんか」に集約されがちです。今回の千葉市で起きたのは、その問いでは拾えない被害でした。10階に住んでいても、地下の受変電設備が水に浸かれば電気が止まります。電気が止まればポンプが止まり、水が来ません。エレベーターが止まれば、階数はそのまま不利に転じます。
そこで、内見のときの視線をひとつ足してください。部屋を見たあと、エントランスに戻る途中で足元を見ることです。地下へ下りるスロープはあるか。その入口に止水板を差し込む溝はあるか。建物の周りを掘り下げたからぼりが開いていないか。建物を支えている設備がどこにあり、水がどこから入るのか。そこまで見て初めて、階数の話に意味が出ます。
もうひとつ、中古を検討している方へ。電気設備の浸水対策について、国土交通省と経済産業省がガイドラインをまとめたのは2020年6月です。それより前に設計された建物には、この考え方が入っていない可能性があります。ただし、古いから対策していないと決まるわけではありません。管理組合が後から止水板や設備の移設に踏み切った建物もあります。だから、築年で切らずに管理組合に聞くのが確実です。
まとめ
千葉市では、住戸も躯体も無事なのに住み続けられないマンションが残りました。地下の電気設備が水に浸かって停電し、給水ポンプが止まったからです。共同通信が8月22日に伝えた数は10棟余り。復旧まで1カ月以上との見通しを示すところもあります。
マンションの災害リスクは、自分の部屋が浸水するかどうかだけでは判断できません。買うとき、借りるときに確認したいのは、何階に住むかに加えて、建物を支えている設備がどこにあり、浸水対策がどうなっているかです。
情報は2026年8月22日時点のものです。停電や断水の状況、支援の内容はこれから変わります。被災地の最新の情報は千葉県・千葉市の発表を確認してください。
生活・仕事にどう効くか
- いま停電しているマンションにいるとき:千葉県営水道は、貯水槽や増圧ポンプの手前に直結給水栓(散水栓等)があれば活用できることがあると案内している。使ってよいかは建物の管理者に確認する。使用した場合も基本料金と使用料金は発生する
- マンションを買う・借りるとき:停電時に水が出るかは給水方式で変わる。直結直圧は配水管の水圧で3階まで直接給水するためポンプに依存しないが、直結増圧は増圧ポンプ、貯水槽方式はくみ上げポンプが止まる(東京都水道局の説明)
- 被害の証明を考えるとき:千葉市長は「従来の災害とは違う状況で、罹災証明が想定されていない」と説明している。市はホテル・民間住宅の借り上げ、市営住宅の提供を検討中で、千葉県も県営住宅の無償提供を挙げている(判定と実施は自治体が決める)
結局どうすればよいか
- 自分の建物の給水方式(直結直圧・直結増圧・貯水槽)と、受変電設備の位置を管理会社に確認する
- 「非常用電源はありますか」ではなく「停電したときに給水ポンプを動かせますか」と聞く。非常灯だけで給水に回せないことがある
- 直結給水栓(散水栓等)の有無・設置場所・使ってよいかを、建物の管理者に確認する(千葉県営水道の案内)
- 物件の住所でハザードマップを見る。洪水だけでなく、雨水が排けきれずに起きる内水(雨水出水)の想定も確認する
- 浸水した電気設備には近づかない。復旧は電気設備の関係者に任せる
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くわしく知る(保存版の記事)
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自分の場合を調べる(無料ツール)
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- 住所まるごとチェック — 住所の表記ゆれ・実在をまとめて確認する
- 学区検索 — 町名から通学する小学校・中学校を調べる
公式出典
- 共同通信「地下設備のリスク浮き彫り 千葉豪雨でマンション停電」(2026年8月22日発表)
- 共同通信「千葉浸水2千棟、死者13人 内水氾濫で被害拡大、豪雨1週間」(2026年8月19日発表)
- 千葉県営水道「令和8年8月千葉豪雨に伴う浸水等により貯水槽のポンプや増圧ポンプが故障した際の直結給水栓の活用について」(2026年8月18日発表)
- 千葉県営水道「停電時の直結給水栓活用について(貯水槽式、直結増圧式給水方式を利用のお客様へ)」(2026年8月18日発表)
- 千葉県「令和8年8月千葉豪雨に対する取組について」(8月18日報道発表)(2026年8月18日発表)
- 東京都水道局「給水方式について(貯水槽水道方式と直結給水方式の違い)」(2026年8月22日発表)
更新履歴
- 2026年8月22日
※本記事は2026年8月22日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。


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