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「断水は解消しました」ところが水は出ません 千葉豪雨で12棟のマンションが陥った、国の被害報告に載らない断水

🗨️「断水が解消したと発表されたのに、うちのマンションだけ水が出ないのはなぜ?」

解消したと発表された断水と、続いている断水が別のものだからです。千葉市が8月19日に解消を発表したのは、緑区で水道管が壊れた約50世帯の断水でした。地下の電気設備が浸水したマンションでは、水道管が無事でも、ポンプを動かす電気が止まっているため各住戸まで水を送れません。

[災害] この記事の要点

何が起きたか

記録的な豪雨から1週間が過ぎた2026年8月20日、千葉市の一部のマンションで停電と断水が続いていた。千葉市は8月19日、緑区越智町で道路が約30メートル崩落して水道管が破損したことによる約50世帯の断水が解消したと発表している。一方、地下の電気設備が浸水したマンションは別にあり、8月20日午前9時時点で市内12棟で停電が続いていると報じられた。国土交通省の被害状況報告(第7報)に記載されている千葉市の断水は「水道管の破損」によるもののみで、電気設備の浸水を原因とする建物内の断水は含まれていない。

発表日・更新日

2026年8月21日 発表

影響を受ける人
  • 千葉市内のマンションで停電・断水が続いていて、いつ戻るのか分からない人
  • これからマンションを買う、または借りる予定で、浸水のリスクを調べている人
  • マンションの管理組合で防災の見直しを担当している人
目次

この記事でわかること

  • 千葉市が8月19日に解消を発表した断水は、緑区で水道管が壊れた約50世帯のものだったこと
  • 地下の電気設備が浸水して停電・断水が続くマンションは別にあり、8月20日午前9時時点で12棟と報じられていること
  • マンションは電気でポンプを動かして各住戸へ水を送るため、水道管が無事でも停電すると水が出なくなる場合があること

先に結論

  • 千葉市が8月19日夜に解消を発表した断水は、緑区で道路が崩落して水道管が壊れた約50世帯の話です
  • それとは別に、地下の電気設備が浸水したマンションで停電と断水が続いています。8月20日午前9時時点で12棟と報じられています
  • この12棟の断水は、国の被害報告に載っている「断水戸数」には入っていません。水道管は無事で、止まっているのは建物の中の設備だからです
  • マンションの多くは、電気でポンプを動かして各住戸へ水を送っています。停電した時点で、水が出る残り時間のカウントダウンが始まります
  • 同じ壊れ方は2019年の台風19号でも起きていて、国は2020年6月に電気設備の浸水対策のガイドラインをまとめています

千葉市が「解消」と発表した断水は、水道管が壊れた約50戸のことでした

「断水は解消しました」。ニュースでそう聞いたのに、自宅の蛇口をひねっても水が出ない。千葉市の一部のマンションで、いま実際に起きていることです。

この食い違いは、誰かが嘘をついているから起きているのではありません。「解消した断水」と「続いている断水」が、そもそも別のものだからです。

国土交通省が公表している「令和8年8月千葉豪雨による被害状況等について(第7報)」の水道の欄には、千葉市の断水がこう書かれています。最大で約100戸、8月18日午前7時30分時点で約50戸、期間は8月14日から。そして被害の内容は「水道管の破損」の一言です。

これは千葉市緑区越智町で道路が約30メートル崩落し、埋まっていた水道管が壊れたことによるものでした。仮設の復旧工事が終わり、8月19日にこの約50世帯への給水が再び始まっています。

一方、地下の電気設備が水没して停電と断水が続いているマンションは、読売新聞が8月18日時点で13棟、NHKが8月19日時点で12棟と報じています。8月20日午前9時時点でも12棟でした。この12棟は、国の被害報告の「断水戸数」には1戸も入っていません。

理由ははっきりしています。道路の下を通る水道管は生きていて、建物の敷地までは水が来ているからです。止まっているのは、そこから先の、建物の中の設備です。

地下の電気室が水に浸かると、水道が無事でも蛇口から水は出ません

戸建てに住んでいる人には、この話はぴんと来ないかもしれません。停電しても蛇口からは水が出るからです。水道管の水圧がそのまま蛇口まで届いているので、電気は関係ありません。

マンションは違います。多くの建物では、いったん受けた水をポンプで押し上げて各住戸へ配っています。ポンプは電気で動くので、停電するとその瞬間から水を送れなくなります。

そして今回、その電気そのものが地下で水に浸かりました。TBSの取材によれば、浸水したマンションでは水が肩の高さまで来ていたといいます。千葉市の山王病院でも地下の電気設備が完全に水没し、外来検査などの通常診療ができない状態が続いていると報じられました。

受変電設備は簡単に取り替えられるものではありません。だから水道の復旧とは時間の流れがまったく違い、水道側が直っても建物側は直っていない、という状態が生まれます。テレビ朝日は、停電と断水の続くマンションで80歳の住民が水を運ぶために12階を4往復したと伝えています。エレベーターも止まっているためです。

建物によって給水のしかたが違うので、まず自分の建物の方式を知る

ここで大事なのは、すべてのマンションが同じ仕組みではないということです。停電したときにどうなるかは、給水の方式で変わります。

大阪市水道局が停電時の断水について説明しているので、それをもとに整理します。

給水の方式止まる場所停電したときに起きること
受水槽方式(受水槽と高置水槽を使う)揚水ポンプ高置水槽へ水を上げられなくなる。水槽に残っている間は出るが、空になると建物全体が断水
直結増圧方式(水道管に直接つなぎ、増圧ポンプで押し上げる)増圧ポンプ高層階への供給が止まる。配水管が健全なら2〜3階程度までは出る場合がある
ポンプ用の非常用電源がある建物停電によるポンプ停止が原因の断水は、すぐ解消できる

この表がそのまま自分の建物に当てはまるとは限りません。方式は建物ごとに違い、階数や築年によっても違います。ただ、どの方式であっても言えることが1つあります。戸建ては停電しても水が出る。マンションは停電した時点で、残り時間のカウントダウンが始まる。

だから「台風が来る前に浴槽に水をためるべきか」という定番の質問への答えは、住まいの種類で変わります。マンションでためる意味は、戸建てより大きいということです。

なお、受水槽から先の設備は、水道局のものではなく建物の側のものです。水道法は、受水槽以降の「貯水槽水道」について、水道事業者と設置者の責任の範囲を供給規程で定めることとしています(第14条第2項第5号)。実際に管理しているのは所有者や管理組合です。国の被害報告の断水戸数に出てこないのは、隠されているからではなく、そういう線引きになっているからです。

同じ壊れ方は6年前にも起きていて、国はガイドラインを作りました

「地下の電気設備が水没して、停電でエレベーターと給水が止まる」。この壊れ方は、今回が初めてではありません。

2019年の令和元年東日本台風(台風19号)でも、首都圏の高層マンションで地下の高圧受変電設備が冠水し、停電によってエレベーターや給水設備が一定期間使えなくなりました。これを受けて国土交通省と経済産業省が検討会を立ち上げ、2020年6月に「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」をまとめています。

このガイドラインには、対策を講じても想定を超える規模の洪水では浸水被害が起こりうるとはっきり書かれています。だから浸水を防ぐ対策と、浸水した後に早く復旧するための備えを、両方やっておくことを求めています。今回、千葉市では2025年7月に運用が始まった雨水の貯留施設が能力を超えたと報じられました。対策があっても足りないことがある、というのはガイドラインが前提にしている話です。

ここからは私の見方です。この記事でいちばん実用的な情報は、このガイドラインが2020年6月のものだという点だと考えています。それより前に設計された建物には、この考え方が入っていない可能性があります。中古のマンションを買うとき、築年は耐震基準の話として語られがちですが、電気設備の浸水対策という別の切り口でも意味を持つ数字だということです。ただし築年が古いから対策していない、と決まるわけではありません。管理組合が後から対策した建物もあります。

玄関に土のうを積んでも、からぼりと換気口からは入ります

ガイドラインを読んで意外だったのは、水の入り口として挙げられている場所の多さです。

  • 建物の出入口(水圧で割れるおそれのあるガラスの部分を含む)
  • からぼり(建物の周りを掘り下げてある空間。ドライエリアとも呼ばれ、地下に光や風を入れるためのもの)
  • 壁面の換気口や、排水設備の通気管
  • 排水設備を通じた下水道からの逆流
  • 建物の中に設けられた貯留槽からあふれる水

玄関の前に止水板を立てても、からぼりが開いていればそこから流れ込みます。下水が逆流すれば、そもそも外からではなく建物の内側から水が出てきます。ガイドラインが「水防ラインに沿って切れ目なく一体的に」対策する必要があると書いているのは、このためです。

対策として挙げられているのは、電気設備を浸水しにくい場所へ置くこと、床面を嵩上げすること、止水板や防水扉を設けること、からぼりの周りに塀を立てること、換気口を高い位置に付けること、土のうを積むことなどです。

ここで見落としやすい注意が2つ、ガイドラインに書かれています。1つは、電動式の止水板や防水扉は、停電したときの起動方法を確認しておく必要があるということ。もう1つは、取り外しのできる止水板は、定期的に設置訓練をしておく必要があるということです。設備があっても、動かす人と手順がなければ間に合いません。

電気が止まると、水以外に何が止まるのか

停電したマンションで困るのは水だけではありません。共用部分の設備は、たいてい電気で動いています。

設備停電したときに起きうること
給水ポンプ上の階から順に水が出なくなる
エレベーター停止する。上の階ほど、水や荷物の運搬が体にこたえる
オートロック・インターホン使えなくなる。開放状態にする運用が必要になる場合がある
機械式駐車場車を出し入れできなくなる
排水ポンプがある建物低い位置の排水を押し上げられず、トイレなどの使用を制限する場合がある
共用部の照明廊下や階段が暗くなる。夜の移動が危険になる

浸水した電気設備には、住民が自分で近づかないでください。ガイドラインにも、電気設備の関係者の到着を待たずに受変電設備へ立ち入ったり、浸水した電気設備に近づいたりすることは感電の危険を伴うと明記されています。復旧を早めようとして近づくのがいちばん危ない行動です。

買う前・借りる前に見ておきたい6つのこと

ここまでの話を、部屋を探している人が確認できる形にまとめます。内見のときに聞けば答えてもらえるものばかりです。

確認することどこで分かるか
その場所の浸水の想定自治体のハザードマップ。洪水だけでなく、雨水が排けきれずに起きる内水氾濫の想定も見る
受変電設備がどこにあるか管理会社・売主に聞く。地下か、1階か、上の階か
給水の方式受水槽方式か直結増圧方式か。受水槽・高置水槽の位置も
非常用電源の有無と、何に使えるかあっても照明だけでポンプには回せない場合がある。ポンプに使えるかを具体的に聞く
過去の浸水の履歴管理組合の議事録・修繕の履歴。近隣の浸水実績も自治体の資料で確認できる
止水板や防水扉があるか、誰が設置するか取り外し式なら、誰がいつ設置する取り決めになっているか

とくに4つ目の非常用電源は、聞き方で答えが変わります。「非常用電源はありますか」だと「あります」で終わってしまい、実際には非常灯だけ、ということがあります。「停電したときに給水ポンプを動かせますか」と聞くほうが、知りたいことに近づきます。

住所を入れるだけで浸水や土砂のリスクを確認できる無料ツールを当サイトでも公開しています。物件の住所が決まっている段階なら、内見の前に一度通しておくと質問が具体的になります。

まとめ

千葉市の「断水解消」は正しい発表でした。ただそれは、水道管が壊れて水が来なくなっていた約50世帯についての話です。

同じ市の中で、水道管は無事なのに水が出ない建物が残りました。地下の電気設備が水に浸かって停電し、ポンプが動かなくなったマンションです。8月20日午前9時時点で12棟。水道の統計には出てきません。

マンションを選ぶとき、ハザードマップで浸水の想定を見る人は増えました。そこから一歩進めて、「この建物の電気は、どこにあるのか」まで見ておくと、備えの質が変わります。水が出るかどうかは、水道の話であると同時に、電気の話でもあります。

情報は2026年8月21日時点のものです。停電・断水の状況は変わりますので、被災地の最新の情報は千葉市や千葉県の発表を確認してください。

生活・仕事にどう効くか

  • 「断水は解消」という発表を見たとき:国土交通省の被害状況報告(第7報・8月18日午前7時30分時点)に載る千葉市の断水は、最大約100戸・現在約50戸で、原因は「水道管の破損」。地下電気室の浸水で水が出なくなったマンションはこの数字に含まれない。
  • 停電したマンションで水が出なくなったとき:受水槽方式では揚水ポンプが止まり、高置水槽の水がなくなると建物全体が断水する。直結増圧方式では増圧ポンプが止まり、配水管が健全なら2〜3階程度までは出る場合がある(大阪市水道局の説明)。方式は建物ごとに異なる。
  • 物件を選ぶとき:国土交通省・経済産業省の「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」は2020年6月にまとめられた。それ以前に設計された建物には、この考え方が反映されていない可能性がある。

結局どうすればよいか

  • 自分の建物の給水方式(受水槽方式か直結増圧方式か)と、受変電設備の位置を管理会社に確認する
  • 非常用電源について「ありますか」ではなく「停電したときに給水ポンプを動かせますか」と聞く。照明だけでポンプに回せない場合がある
  • 浸水した電気設備には近づかない。ガイドラインは、電気設備の関係者の到着を待たずに受変電設備へ立ち入ることは感電の危険を伴うと明記している
  • 物件の住所でハザードマップを確認する。川の氾濫だけでなく、雨水が排けきれずに起きる内水氾濫の想定も見る
  • 管理組合の議事録や修繕履歴で、過去の浸水と対策の有無を確認する

あわせて読む・調べる

くわしく知る(保存版の記事)

自分の場合を調べる(無料ツール)

公式出典

更新履歴

  • 2026年8月21日 初版を公開。情報は2026年8月21日時点

※本記事は2026年8月21日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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