小山市で相続した土地を、地価公示の坪単価で計算した金額のまま売りに出すと、買い手が付かないまま値下げを繰り返すことになります。国土交通省のデータで小山市の成約224件を集計すると、土地の坪単価の中央値は10.1万円/坪。住宅地の地価公示27地点の中央値12.2万円/坪より17.3%低い水準です。
公示価格を出発点にすると、実際に売れている水準より17.3%高いところから値付けが始まります。しかも小山市は、町の単位まで下ろすと城東が23.5万円/坪、大字乙女が3.6万円/坪。同じ市内で6.5倍の開きがあります。市の数字ひとつで自分の土地の値段を決められる市ではありません。
先に断っておくと、成約が公示より17.3%低いことは「小山市の土地が値下がりした」という意味ではありません。地価公示は国が選んだ住宅地の標準地、成約価格は実際に売れた土地で、数えている対象そのものが違います。この記事では、2024年4Qから2025年4Qまでに小山市で売れた土地224件の実データで、町別の坪単価・1区画の広さ・公示価格との差の中身を並べます。
先に結論
- 実際に売れた土地の坪単価の中央値は10.1万円/坪(224件)。住宅地の地価公示27地点の中央値12.2万円/坪より17.3%低い位置にあります
- この差は値動きの話ではありません。公示は住宅地の標準地、成約は実際に売れた土地で母集団が違うため、値上がり・値下がりの判断には使えません
- 町別は、件数が5件以上ある町どうしで城東23.5万円/坪 ÷ 大字乙女3.6万円/坪=6.5倍。市の数字と町の数字は別物です
- 1区画の面積の中央値は330㎡(99.8坪)。坪単価の中央値と掛け合わせた概算は1006.5万円で、実在する1件の価格ではありません
- 大字中里1.5万円/坪などの安い町は、農地や市街化調整区域が混ざっている疑いがあります。住宅地の最安値としては読まないでください
小山市の土地は町ごとにいくらで売れたか
成約が3件以上あった町は29町ありました。そのうち件数が8件以上ある10町を抜き出し、比較のために市全体の中央値と公示価格の中央値を並べています。件数が3件や4件の町は、条件のよい1件が入るだけで中央値が動くため、グラフからは外しました。
小山市の土地の坪単価(中央値・2024年4Q〜2025年4Q・成約8件以上の町を抜粋。薄い色は市全体と公示価格、および宅地以外が混ざっている疑いのある大字中里)
自分の町の相場を調べる
この記事の数字は市全体の中央値です。町ごとの相場は住所を入れるとその場で出ます。
このツールは農地や山林が混ざった極端な取引も除かずに集計します。そのため市全体の数字はこの記事より低く出ます。町ごとの傾向を見るのに使ってください。
グラフを上から読みます。公示価格の12.2万円/坪を上回っているのは、城東13件の23.5万円/坪、駅南町8件の22.8万円/坪、城北9件の19.8万円/坪、大字神鳥谷8件の19.3万円/坪までです。市の中央値10.1万円/坪をわずかに下回るのが、大字中久喜8件と大字平和11件の9.9万円/坪。件数の裏づけがある町でも、公示価格の側に届く町と、市の真ん中にも届かない町に分かれます。
見出しに使った6.5倍は、件数が5件以上ある町どうしの比較です。城東13件の23.5万円/坪と、大字乙女8件の3.6万円/坪。件数3件の大字松沼3.0万円/坪まで含めると7.8倍まで開きますが、3件の中央値は1件入れ替わるだけで順位が変わります。この記事では件数のそろっている側の6.5倍を採用しました。
細かい話をひとつ。小山市のデータには「乙女」と「大字乙女」が別の町として並びます。乙女は3件で9.9万円/坪、大字乙女は8件で3.6万円/坪。町名は近くても、集計のうえでは別物として扱われます。犬塚7件16.9万円/坪と大字犬塚3件12.9万円/坪も同じで、大字が付くかどうかで見る数字が変わります。相場を調べるときは、登記に書かれている表記のほうで探してください。
グラフのいちばん下、大字中里の1.5万円/坪は住宅地の相場として読まないでください。市の中央値10.1万円/坪の1/4を下回る町は、大字千駄塚2.2万円/坪、大字塚崎1.7万円/坪、大字下国府塚1.6万円/坪、大字中里1.5万円/坪、大字鉢形0.7万円/坪、大字田川0.0万円/坪の6つあり、農地や山林、市街化調整区域の取引が混ざっている疑いがあります。大字中里は9件あるので、たまたま1件安いものが売れたという話ではなく、その地域で売買されている土地の性格が宅地と違うと考えたほうが実態に近いはずです。
市全体で見ると、坪単価は0.9万円から36.4万円まで散らばっていました。しかもこれは、坪単価が極端な26件を外したあとの幅です。同じ「小山市の土地」という名前で、これだけ性格の違うものがひとまとめに集計されています。
公示価格より17.3%低いのは、値下がりしたからではない
数字を並べます。住宅地の地価公示は27地点で12.2万円/坪、実際の成約は224件で10.1万円/坪。成約のほうが17.3%低い位置にあります。
この17.3%を「小山市の土地が値下がりした」と読むと間違えます。2つの数字は、測っている対象が違うからです。
地価公示は、国が土地の値段の目安を示すために、住宅地として代表的な地点を選んで鑑定評価するものです。選ばれるのは道路に接していて、形が整っていて、住宅地として普通に使われている土地です。毎年同じ地点を同じ条件で見続けるための地点なので、極端な土地はそもそも選ばれません。小山市の住宅地は27地点しかありません。
成約データのほうは、選びません。売買が成立した土地をそのまま数えます。224件のなかには、間口の狭い土地も、傾斜のある土地も、家を建てる前提になっていない土地も混ざります。大字中里の1.5万円/坪が集計に入っているのは、その表れです。
つまり12.2万円と10.1万円は、同じ土地を2つの方法で測った数字ではありません。条件のそろった27地点の真ん中と、売れたもの224件の真ん中が、離れた位置に来ているだけです。公示価格は市の目安には使えても、あなたの土地に付く値段ではありません。
実家を相続した人が、地価公示の坪単価に自分の土地の坪数を掛け、その金額を紙にメモする。ここまでは誰でもできます。困るのは、その紙の数字を「最低ライン」だと思い込むことです。小山市で実際に売れた土地の真ん中は10.1万円/坪なので、公示から出した金額を下回る査定が出るのは、むしろ普通の出来事です。それを知らないまま話を聞くと、最初の1社で「買い叩かれている」と感じて商談が止まります。
私は、小山市の17.3%という差を「公示価格が当てにならない証拠」ではなく、「公示が見ている土地と、実際に売れている土地がずれている状態」だと見ています。根拠は3つあります。成約224件の坪単価が0.9万円から36.4万円まで散らばっていること。件数のそろった町どうしでも6.5倍の開きがあること。公示の住宅地が市内に27地点しかないことです。市の目安として合っていることと、あなたの町で使えることは、最初から別の話です。
小山市で売れた土地は1区画99.8坪。総額はいくらか
小山市で売れた土地の面積の中央値は330㎡(99.8坪)でした。坪単価の中央値10.1万円と掛け合わせると1006.5万円になりますが、これは概算です。面積の中央値と坪単価の中央値は別々に取った数字なので、1006.5万円で売れた土地が実在するわけではありません。
99.8坪は、住宅を建てる区画としては広い部類に入ります。坪単価が同じでも、面積が大きければ買い手が用意する現金と借入は増えます。小山市の坪10.1万円という水準は派手ではありませんが、99.8坪ぶんを掛けた概算は1006.5万円。坪単価が控えめでも、総額まで来ると手が届く人はそこまで増えません。
売る側にできるのは、まず自分の土地が99.8坪より広いのか狭いのかを確かめることです。広ければ、坪単価の相場観だけで値段を置くと総額が跳ね上がって買い手が離れます。狭ければ総額は下がりますが、そのぶん「その広さで家が建つか」が値段を決めます。分けて売れる広さなのか、分けられない形なのかも効いてきます。
相続した土地は、査定額を並べてから値段を決める
相続で受け継いだ土地は、持ち主が現地の相場を見ていない期間が長いほど、頭のなかの値段と成約の水準が離れます。小山市の場合、公示価格から出した金額と実際の成約の真ん中のあいだに17.3%の差があり、そこにさらに町ごとの差が乗ります。城東の土地なのか、大字粟宮(15件・4.5万円/坪)の土地なのかで、同じ広さでも話がまったく変わります。
査定額は不動産会社ごとに違うので、1社だけ聞いて「これが相場」と決めると、比べる相手がいないまま値段が決まります。 数字を並べたうえで、いちばん高い金額を出した会社ではなく、その金額の根拠を町の水準で説明できる会社を選ぶほうが、売り出したあとの値下げが減ります。
複数の数字を並べて、根拠を町の水準で説明できる会社を選びます
実家をどうするか全体の順番は実家じまいの進め方に整理しました。売らずに置いておく選択をするなら、その間に何が起きるかは空き家を放置したときのリスクのほうにまとめています。
小山市の戸建てとマンションはいくらで売れたか
土地以外の種別も出しておきます。単価の分母が種別ごとに違うので、表の右側に何で割った数字かを書きました。
| 種別 | 中央値 | 件数 | 単価の分母 |
|---|---|---|---|
| 土地 | 10.1万円/坪 | 224件 | 土地の面積(坪) |
| 中古戸建て | 84.2万円/坪 | 120件 | 建物の延床面積(坪) |
| 新築戸建て | 93.2万円/坪 | 71件 | 建物の延床面積(坪) |
| 中古マンション | 22.0万円/㎡ | 22件 | 専有面積(㎡) |
| 賃貸 | 1,760円/㎡ | 18,750件 | 専有面積(㎡) |
縦に並んでいますが、種別をまたいだ引き算はできません。土地の10.1万円は土地の広さで割った値、戸建ての84.2万円は建物の延べ床の広さで割った値です。「戸建てのほうが坪単価が高いから、差が建物のぶん」という読み方は成立しません。
比べてよいのは、分母が同じもの同士です。小山市の中古戸建ては84.2万円/坪(120件)、新築戸建ては93.2万円/坪(71件)。中古は真ん中の半分が63.2万円から102.0万円のあいだ、新築は81.9万円から112.8万円のあいだに収まっていました。新築のほうが幅が狭く、中古は同じ市内でも上下に開きます。築年数と傷み方で、値段の付き方が家ごとに変わるからです。
中古マンションは22件で22.0万円/㎡でした。築年帯で分けると、築21〜30年が6件で18.2万円/㎡、築31〜40年が8件で15.0万円/㎡です。この築年帯はデータを作った2026年が基準なので、築21〜30年は1996〜2005年ごろに建った建物、築31〜40年は1986〜1995年ごろに建った建物にあたります。1982年より前の建物は元データから外れているため、この集計には入っていません。
面積帯で見ると、50〜70㎡が11件で16.7万円/㎡、70〜90㎡が9件で37.1万円/㎡。広い部屋のほうが1㎡あたりでも高く出ています。ただし11件や9件は、相場というより事例の並びです。町の数字も築年帯の数字も、件数を見ないと意味が変わります。
賃貸だけは件数の桁が違い、18,750件で1㎡あたり1,760円でした。売買の判断にそのまま使える数字ではありませんが、貸すという選択肢を残すなら、こちらは件数の裏づけがある側の数字です。
売り出す前に確認する3つの数字
- 自分の町の坪単価と、その町の件数。市の中央値10.1万円/坪は、城東の23.5万円と大字乙女の3.6万円の内側にあるだけの数字です。町名まで下ろして、その町で何件売れたのかとセットで見てください。件数が3件しかない町なら、その数字は目安にもなりません。
- 自分の土地の坪数。小山市で売れた土地の真ん中は330㎡(99.8坪)です。これより広ければ総額が上がって買い手が絞られ、狭ければその広さで家が建つかどうかが値段を決めます。
- 公示価格から出した金額を、最低ラインにしていないか。小山市の成約の真ん中は公示より17.3%低い位置にあります。紙にメモした金額を下回る査定が出たときに、それが安すぎるのか相場どおりなのかを、町の数字で判断できるようにしておきます。
小山市の種別ごとの成約価格は小山市の不動産相場ページにも一覧でまとめています。
この記事の数字の出どころ
- 成約価格:国土交通省「不動産情報ライブラリ」の不動産取引価格情報。集計期間は2024年第4四半期から2025年第4四半期。土地224件(うち坪単価が極端な26件を除外)、中古戸建て120件、新築戸建て71件、中古マンション22件
- 地価公示:国土交通省の地価公示。小山市内の住宅地27地点の坪単価の中央値です
- 地価公示と成約価格は母集団が違います。公示は住宅地の標準地、成約は実際に売れた土地で、条件の悪い土地や住宅地以外の使われ方をする土地も含まれます。この記事では、この差を値上がり・値下がりの判断には使っていません
- 町別の集計は成約3件以上の町のみ(29町)。グラフは件数8件以上の10町に絞って抜粋しました。見出しに使った6.5倍は、件数が5件以上ある町どうし(城東13件・大字乙女8件)の比較です
- 大字千駄塚・大字塚崎・大字下国府塚・大字中里・大字鉢形・大字田川は市の中央値の1/4を下回っており、農地・山林・市街化調整区域の取引が混ざっている可能性があります
- 坪単価の中央値と面積の中央値は別々に取った値です。掛け合わせた1006.5万円は概算で、実在する1件の価格ではありません
- 単価の分母は種別ごとに違います。土地は土地面積(坪)あたり、戸建ては建物の延床面積(坪)あたり、マンションは専有面積(㎡)あたりです
- マンションの築年帯はデータ生成時(2026年)が基準です。1982年より前に建てられた物件は元データから除外されています
- 賃貸:小山市の18,750件について、1㎡あたりの賃料の中央値です
- 数字はすべて中央値です(平均値は一部の高額・低額の取引に引っ張られるため使いません)
小山市で土地を売るときに覚えておく数字
小山市で実際に売れた土地224件の坪単価の中央値は10.1万円/坪、面積の中央値は330㎡(99.8坪)、掛け合わせた概算は1006.5万円。住宅地の公示価格の中央値12.2万円/坪より17.3%低い位置にあります。公示価格をそのまま見込み額にすると、市の水準より高いところから値付けを始めることになります。
同じ市内で城東と大字乙女のあいだに6.5倍の開きがある以上、市の目安が合っていることと、あなたの町で合うことは別の話です。値段を決める前に、数字を自分の町と自分の広さまで下ろします。
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