神戸市内で2025年2Q〜2026年1Qの1年間に売れた中古戸建て(1982年以降築)747件の成約中央値は3,600万円。四半期別に見ると、収録が確定に近い2025年4Q(10〜12月)の中央値は3,600万円で、1年前の同じ時期(3,650万円)と比べてほぼ横ばいです(-1.4%)。「不動産が高騰している」というニュースを見て強気の値付けをすると、神戸の戸建てでは売れ残ります。
これはポータルサイトの「売出価格」ではありません。国土交通省が取引当事者への調査で集めている実際に売買が成立した価格で、値引き後の本当の数字です。この連載では、この成約データを四半期ごとに同じ方法で集計して記録していきます(第1回)。
・神戸市の中古戸建てと土地が、直近2年で実際にいくらで売れたか(四半期別)
・9区それぞれの成約中央値と件数(最高の中央区と最低の長田区で4,300万円差)
・売出価格と成約価格を混同すると何が起きるか
神戸市全体:直近1年の中古戸建て成約中央値は3,600万円
神戸市9区の合算です。「中古戸建て」は1982年以降に建てられた家(今の耐震基準の家)だけを数えています。
| 取引時期 | 中古戸建て 中央値 |
件数 | 土地 坪単価中央値 |
件数 |
|---|---|---|---|---|
| 2024年4Q(10〜12月) | 3,650万円 | 212件 | 44.6万円 | 104件 |
| 2025年1Q(1〜3月) | 3,900万円 | 207件 | 46.3万円 | 135件 |
| 2025年2Q(4〜6月) | 3,400万円 | 203件 | 39.7万円 | 110件 |
| 2025年3Q(7〜9月) | 3,650万円 | 232件 | 43.0万円 | 139件 |
| 2025年4Q(10〜12月) | 3,600万円 | 205件 | 46.3万円 | 101件 |
| 2026年1Q(1〜3月) ※国の収録が途中 |
3,700万円 | 107件 | 62.8万円 | 58件 |
最新の2026年1Q(1〜3月)は、国の調査がまだ途中で件数が少なく、数字が振れやすい状態です。次回の更新で確定に近づきます。四半期ごとの上下はありますが、直近1年の中古戸建ては中央値3,600万円を挟んだ帯から出ていません。
ここで大事なのは、この数字が売出価格ではなく成約価格だということです。ポータルサイトに並んでいる価格は「売主の希望」で、成約までに値引きが入ります。売出価格の相場観で自宅の値段を見積もると、その分だけ高く見積もることになります。
区別:中央区6,300万円、長田区2,000万円。同じ神戸市内で4,300万円の差
直近1年(2025年2Q〜2026年1Q)の区別の成約中央値です。件数が少ない区は1件の高額・低額取引で数字が動くので、必ず件数とセットで見てください。
| 区 | 中古戸建て 中央値 |
件数 | 土地 坪単価中央値 |
件数 |
|---|---|---|---|---|
| 東灘区 | 6,250万円 | 82件 | 155.4万円 | 43件 |
| 灘区 | 5,200万円 | 72件 | 125.6万円 | 29件 |
| 中央区 | 6,300万円 | 37件 | 138.8万円 | 17件 |
| 兵庫区 | 3,100万円 | 57件 | 64.5万円 | 32件 |
| 長田区 | 2,000万円 | 58件 | 25.0万円 | 40件 |
| 須磨区 | 3,200万円 | 71件 | 49.6万円 | 47件 |
| 垂水区 | 3,600万円 | 132件 | 43.0万円 | 77件 |
| 北区 | 2,700万円 | 141件 | 22.1万円 | 73件 |
| 西区 | 2,900万円 | 97件 | 29.3万円 | 50件 |
「神戸市の相場」という一つの数字は存在しない、というのがこの表の結論です。中央区と長田区では中央値で4,300万円離れており、市の平均を見て自分の区の家の値段を判断すると、区によっては数百万円単位でずれます。
私はこう見ています
事実として、直近1年の神戸市の中古戸建て成約中央値は1年前比-1.4%、土地の坪単価中央値は+3.7%です。
そのうえで私は、いま神戸で戸建てや土地を売る人が「高騰しているから強気でいける」と考えるのは危ないと見ています。値上がりの報道の中心は都心部や新築マンションの話で、神戸の中古戸建ての成約データは上の表のとおり大きくは動いていないからです。売出価格を高く設定して長期間売れ残ると、「売れ残り物件」として見られて最終的な成約価格がかえって下がる、というのが実務でよく起きる失敗です。
逆に、相続などで急いで手放す側が「古い家だから二束三文だろう」と最初の買取提示をそのまま受けるのも、同じくらいもったいない。長田区でも中央値2,000万円で成約している実績があります。どちらの失敗も、成約データを見ずに思い込みで値段を決めることから始まります。
集計の方法(毎回同じ条件で更新します)
- 出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」の不動産取引価格情報(取引当事者アンケートに基づく成約価格)
- 対象:神戸市9区。中古戸建て=種類「宅地(土地と建物)」のうち1982年以降築、土地=種類「宅地(土地)」
- 数字:中央値(平均値は一部の高額取引に引っ張られるため使いません)
- 国の収録は取引から数か月遅れで追加されるため、直近の四半期は件数が増えていきます。過去の回の数字も最新データで再計算して更新します
この定点観測は、国の四半期データが更新されるたび(年4回)に同じ条件で続けます。回を重ねると「神戸の家の値段が実際にどう動いたか」の記録がここに積み上がっていきます。


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