🗨️「家屋倒壊等氾濫想定区域なら、2階に上がれば助かる?」
建物自体が倒壊・流失するおそれがある区域では、2階に上がるだけでは安全を確保できません。道が通れるうちに区域外へ立ち退くことが基本です。内閣府は屋内安全確保の条件として、区域外であること、浸水しない居室があること、水が引くまで生活できることを挙げています。
[災害] この記事の要点
2026年9月23日 発表
- 川沿いの戸建て・低層住宅に住む人
- 水害ハザードマップで浸水想定区域に入る家族
- 住宅の購入・賃借前に避難方法を確認する人
浸水深だけでは、2階避難を決められない
洪水ハザードマップで自宅の色が「0.5〜3メートル」なら、1階が浸水し、2階は無事と考えたくなります。しかし川沿いには、深さとは別に家屋倒壊等氾濫想定区域という表示があります。堤防が切れたときの流れや川岸の侵食により、建物ごと倒壊・流失するおそれのある範囲です。この区域に入る家では、上階に移るだけでは命を守れない場合があります。
内閣府が示す屋内安全確保の条件は3つです。①家が家屋倒壊等氾濫想定区域の外にある、②浸水しない居室がある、③水が引くまでの生活上の支障を許容できる。この3つを先に確かめます。どれか一つでも満たせないなら、道路が安全なうちに区域外へ立ち退く計画が必要です。

| 確かめる条件 | 屋内安全確保を考えられる目安 | 満たせない場合 |
|---|---|---|
| 家屋倒壊等氾濫想定区域 | 区域の外 | 原則として区域外へ立ち退く |
| 居室の高さ | 想定浸水深より高い部屋がある | 浸水前に立ち退く |
| 生活の継続 | 水が引くまで水・薬・トイレを確保できる | 長期の孤立を避ける |
「2階なら水が来ないから大丈夫」ではありません。深さだけでなく、家そのものが残るか、上階で生活を続けられるかを分けて考えます。地図の掲載内容が不明な場合は、市町村の防災担当に確認してください。
住まいのリスクに対する備え
土地の履歴やリスクを知ったら、次は「起きたときにどうするか」です。最低限そろえておくと動けるものを挙げます。
一から集めると抜けが出ます。まずセットで用意して、家族の人数分と常備薬だけ足すのが早いです。
断水で最初に困るのがトイレです。備蓄で見落とされやすい一方、代用が効きません。
停電時は懐中電灯より、部屋全体を照らせるランタンの方が使えます。電池でも充電でも点くものだと、どちらが尽きても止まりません。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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「氾濫流」と「河岸侵食」は違う
家屋倒壊等氾濫想定区域には、主に2種類あります。氾濫流は、決壊した堤防から激しい水が流れ込み、家を押し倒すおそれのある範囲。木造家屋への影響を想定して算定されることがあります。河岸侵食は、川岸の土地が削られ、家を支える地盤が失われるおそれのある範囲です。こちらは木造か鉄筋コンクリートかだけでは安心できません。
両方とも「水がどの高さまで来るか」だけでは表せません。2階の床が浸水深より上でも、建物の土台がなくなれば屋内に安全な部屋は残りません。国土交通省は、この区域を早期の立ち退き避難が必要な区域を考える材料として公表しています。

地図では「深さ」の色と、倒壊区域の線を重ねて見る
国土地理院のハザードマップポータルで住所を探し、洪水浸水想定区域の深さに加えて「家屋倒壊等氾濫想定区域(氾濫流)」「同(河岸侵食)」を表示します。市町村の水害ハザードマップも開き、凡例の網掛けや線の意味を確認します。国の重ねる地図と自治体の地図では、掲載状況や表示の仕方が異なることがあります。
区域の境界線は、一本の道路や敷地の境界で危険が急にゼロになる線ではありません。国土交通省は、一定の計算上の仮定で求めたおおよその範囲であり、境界は厳密でないと注意しています。線のすぐ外だから上階避難でよい、と単独では決めません。
高層マンションならどうするか
国土交通省は、氾濫流の区域に頑強な高層ビルがある場合、倒壊のおそれが低く、直ちに立ち退き避難が必要とは限らないとしています。ただし、住戸が高層階でも、地下の電気設備やポンプ、駐車場、出入口が浸水すれば生活を続けられません。建物管理者の浸水対策、停電時の階段、断水やトイレの可否を確認します。
一方、河岸侵食は地盤が削られる問題です。建物が頑丈という理由だけで残る判断はできません。最終的な避難方法は建物の位置・構造、自治体の指定、管理者の計画を合わせて決めます。
雨の前に決める、避難先と出発時刻
家が区域内なら、川や橋を渡らずに行ける安全な区域の避難先を選びます。避難所だけでなく、親戚・知人宅や安全な区域の宿も候補です。避難に時間がかかる人は警戒レベル3の「高齢者等避難」で出発し、危険な場所にいる人はレベル4の「避難指示」までに立ち退きます。屋外がすでに冠水しているなら、無理に水へ入らず、目の前の命を守る行動を取ります。
「2階へ上がる」は、立ち退く時間を失ったときの緊急行動になる場合もあります。しかし、それを最初から唯一の避難計画にすると、家屋倒壊等氾濫想定区域では逃げ場を失います。地図に色が出ている段階で、家と道路の両方を確かめてください。
生活・仕事にどう効くか
- 氾濫流:堤防が切れた際の速い流れで、主に木造家屋の倒壊・流失が想定される。
- 河岸侵食:川岸の地盤そのものが削られ、建物の構造によらず基礎が失われるおそれがある。
- 避難方法:家が区域内なら上階避難に頼らず、移動できるうちに安全な区域へ立ち退く。
結局どうすればよいか
- 市町村の洪水ハザードマップで家屋倒壊等氾濫想定区域の表示を探す
- 浸水深、浸水継続時間とあわせて屋内安全確保の3条件を確かめる
- 家が区域内なら橋を渡らずに到達できる区域外の避難先を決める
あわせて読む・調べる
くわしく知る(保存版の記事)
公式出典
- 国土交通省「家屋倒壊等氾濫想定区域について」
- 国土交通省 木曽川上流河川事務所「家屋倒壊等氾濫想定区域」
- 内閣府「避難行動について(屋内安全確保を行う上での条件)」
- 国土地理院「ハザードマップポータルサイト」
- 国土交通省 京浜河川事務所「多摩川等の家屋倒壊等氾濫想定区域図」
更新履歴
- 2026年9月23日 気象庁・国土交通省・内閣府の一次資料を照合して初版を公開
※本記事は2026年9月23日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
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