🗨️「熊本の地震から10日たちました。いま現地はどうなっていて、家が壊れた人は何ができるんですか?」
断水は約3万6,880戸まで減り、避難者は6,721人です。壊れた家の修理には最大75万7,000円まで自治体が払う制度がありますが、先に自分で業者へ代金を払ってしまうと使えなくなります。
[災害] この記事の要点
熊本県は2026年8月6日16時からの第16回災害対策本部会議で、同日14時時点の被害状況を公表した。断水は4市町の約36,880戸(前日比▲6,830戸)、避難者は12市町125か所で6,721人、住家被害は15,697棟。停電はおおむね解消した。
2026年8月6日 発表
- 熊本県内で自宅が壊れた人・断水が続く地域に住んでいる人
- 熊本に実家や親族がいて、離れた場所から手続きを手伝う人
- 被災地に賃貸物件や事業用の建物を持っているオーナー
この記事でわかること
- 8月6日時点の断水・避難者・住家被害の実数と、10日間でどこまで戻ったか
- 屋根や水回りの修理費を自治体が負担する制度の上限額と、使えなくなる条件
- 仮設住宅の2種類(建設型・賃貸型)と、家賃の上限額
10日目の熊本県を、数字で見る
令和8年熊本地震は2026年7月28日16時27分に発生しました。マグニチュード7.1、最大震度7を宇城市と氷川町で観測しています。発災から10日目にあたる8月6日14時時点の状況を、熊本県が同日の災害対策本部会議で公表した資料からまとめます。
| 項目 | 8月6日14時時点 | 内訳・補足 |
|---|---|---|
| 死者 | 38人 | 災害が原因と市町村が確認した死者36人、災害関連死の可能性1人、調査中1人 |
| 住家被害 | 15,697棟 | 全壊699/大規模半壊20/半壊1,025/一部破損6,632/分類未確定7,321(推計値を含む) |
| 避難者 | 6,721人 | 12市町・125か所の避難所 |
| 断水 | 約36,880戸 | 前回発表から6,830戸減。給水所は58か所 |
| 停電 | おおむね解消 | — |
住家被害15,697棟のうち7,321棟が「分類未確定」です。これは調査がまだ終わっていないという意味で、被害の全体像は今後さらに増えます。全壊699棟という数字も、確定値ではなく途中経過だと見てください。
断水は4市町に絞られ、8月末に応急復旧の見込み
断水は8月6日時点で次の4市町に絞り込まれました。1日で6,830戸減っています。
| 市町 | 断水戸数 | 前回発表からの減少 |
|---|---|---|
| 八代市 | 約23,710戸 | ▲1,110戸 |
| 宇城市 | 約9,920戸 | ▲5,660戸 |
| 氷川町 | 約3,100戸 | 増減なし |
| 甲佐町 | 約150戸 | ▲60戸 |
この4市町では試験通水が始まっており、県は国土交通省などの支援で8月末を目途に応急復旧できる見込みとしています。下水道は氷川町が8月末、八代市・宇土市・宇城市が8月中旬に応急復旧完了の見込みです。水道が戻っても下水道が復旧していなければトイレや風呂は使えないため、自宅に戻る判断は両方の見通しを合わせて考える必要があります。
台風13号が近づいている
台風13号(ドルフィン)は8月6日21時時点で南大東島の北およそ80kmにあり、中心気圧945hPa、最大風速40m/sで西へ進んでいます。熊本県は6日以降、船舶「はくおうⅡ」による入浴・休憩の支援を台風接近のため一時中断しました。
震度7を観測した地域では地盤がゆるんでいます。県管理河川では55河川294か所で堤防の沈下や護岸のひび割れが確認され、氷川(氷川町)や大鞘川(八代市)など7河川35か所で応急工事が続いている最中です。ふだんなら問題にならない量の雨でも、いまの熊本では土砂災害や浸水につながるおそれがあります。屋根のブルーシートが風で飛ばないかを含め、雨が降り出す前に確認しておいてください。
住まいの修理は「直す前に申し込む」
ここが今回いちばんお金に効く話です。災害救助法の応急修理は、被災者が業者に払った費用をあとから精算する制度ではありません。市町村が修理業者に直接支払う仕組みです。熊本市は制度の案内で「修理業者に先に代金を支払ってしまうと、この制度は利用できません」と明記しています。急いで業者に頼み、その場で払ってしまうと、本来もらえた分がまるごと自己負担になります。
| 被害の区分 | 1世帯あたりの上限額 |
|---|---|
| 全壊・大規模半壊・中規模半壊・半壊 | 757,000円 |
| 準半壊 | 367,000円 |
対象になるのは、屋根などの基本部分、ドアなどの開口部、上下水道の配管・配線、トイレなどの衛生設備です。日常生活に必要な最小限度の部分に限られるので、この機会にリフォームを、という使い方はできません。
8月6日時点で応急修理を受付中なのは、熊本市・水俣市・菊池市・宇土市・上天草市・天草市・合志市・美里町・大津町・菊陽町・西原村・御船町・嘉島町・益城町・甲佐町・芦北町です。被害の拡大を防ぐ緊急の修理(ブルーシート展張など)は、熊本市・八代市・水俣市・山鹿市・菊池市・天草市・美里町・西原村・御船町・益城町・甲佐町で受け付けています。受付が始まった市町村は日ごとに増えているので、自分の市町村がリストにない場合も、窓口に電話して開始予定を聞いてください。
なお、罹災証明書が出る前でも、写真などで一見して「全壊」とわかる場合は事後提出で申し込める扱いになっています。証明書待ちで動けないと思い込む必要はありません。
仮設住宅は建設型と賃貸型の2種類
応急仮設住宅には、更地にプレハブを建てる「建設型」と、民間の賃貸住宅を自治体が借り上げる「賃貸型(みなし仮設)」があります。8月6日時点で建設型を整備中なのは宇城市(3団地・計50戸)と氷川町(1団地・計20戸)で、熊本市が城南地区に40戸、富合地区に10戸を建設する予定です。
数を見ればわかるとおり、建設型は避難者6,721人に対してまったく足りていません。実際の受け皿は賃貸型です。家賃の上限は世帯人数で決まります。
| 世帯人数 | 家賃の上限額(月額) |
|---|---|
| 1人(単身) | 5.5万円 |
| 2人 | 6.5万円 |
| 3〜4人 | 9.5万円 |
| 5人以上 | 13万円 |
未就学児は人数に含めませんが、未就学児が2人以上いる場合は1人あたり0.5人として換算します。3人家族に未就学児が2人いれば、大人1人+1人分の換算で2人世帯扱いになる、という数え方です。
避難所の外にも支援が広がっている
県はホテルへの二次避難のために県内134施設を確保し、8月6日14時時点で760件の申し込みを受け付けています。ただしマッチングが済んだのは61件で、225件が調整中、106件は連絡がつかない状態です。申し込んだのに連絡が来ないという人は、電話がつながらない側に入っている可能性があります。
公営住宅の一時提供も同日から始まりました。県営住宅29戸は6日12時時点で6件の申し込み、熊本市営住宅は59戸で受付を開始しています。市町村営では荒尾市・水俣市・玉名市・山鹿市が募集中、八代市・人吉市・菊池市・宇城市など10市町村が準備中です。
生活の周辺では、県内の宿泊施設のキャンセルが7月28日〜31日受付分だけで約65,500人泊・約9億円(暫定値)に達しました。商工業の被害は2,146件・463億円で、確認中の分を含みます。県への義援金・寄附金は8月5日時点で43億2,130万円が集まっています。
この10日間を、私はこう見ています
数字だけを追うと「断水は減った、停電は解消した」と読めます。しかし住家被害15,697棟のうち7,321棟がまだ分類未確定で、罹災証明書の交付はこれからが本番です。生活再建の支援金も、応急修理も、仮設住宅も、すべて罹災証明書の被害区分が入口になります。私は、いまの熊本の一番のボトルネックは水ではなく、被害認定調査の処理能力だと見ています。県が9市町村でモバイル端末135台を使った調査に踏み切り、行政書士を宇土市と宇城市に派遣し、全国から641人の応援職員を入れているのは、そこが詰まると支援全体が止まるからです。
もうひとつ、制度の設計について言いたいことがあります。応急修理が「先に払うと使えない」という仕組みは、行政の側から見れば公費を業者へ直接支払うための当然の建て付けですが、被災した人の側から見れば直感に反します。屋根から雨が入っている家を前にして、まず役所に電話しろというのは酷な話です。それでも電話が先です。ここを知っているかどうかで、1世帯あたり最大757,000円の差がつきます。周りに被災した人がいるなら、この一点だけでも先に伝えてあげてください。
生活・仕事にどう効くか
- 住まいの修理費:半壊以上なら1世帯あたり最大757,000円、準半壊なら367,000円まで自治体が業者へ直接支払う。ただし先に自分で代金を払うと制度の対象外になり、全額自己負担になる。
- 当面の住まい:民間アパートを自治体が借り上げる賃貸型応急住宅なら、単身5.5万円・3〜4人世帯9.5万円・5人以上13万円までの家賃が自己負担なしで済む。
- 水が戻る時期:断水は国土交通省などの支援で8月末を目途に応急復旧の見込み。下水道は氷川町が8月末、八代市・宇土市・宇城市が8月中旬に応急復旧完了の見込み。
- 移動:九州新幹線の熊本〜新水俣と鹿児島本線の宇土〜八代は8月中の再開が困難な見込み。九州道の松橋IC〜えびのICは8月後半に通行可能となる見込み。
結局どうすればよいか
- 屋根や水回りを直す前に、まず市町村の窓口に電話して応急修理の対象になるか確認する(先に払うと使えない)
- 罹災証明書の申請を済ませる。全壊が写真で明らかな場合は、証明書の発行前でも応急修理を申し込める自治体がある
- 避難所にいる人は、ホテル避難と公営住宅の一時提供の受付状況を市町村に確認する
- 台風13号の影響で7日以降は雨が予想される。屋根のブルーシートの状態と、周囲の斜面・擁壁を明るいうちに見ておく
あわせて読む・調べる
くわしく知る(保存版の記事)
自分の場合を調べる(無料ツール)
- 災害リスク診断 — 住所から浸水・土砂・地盤のリスクを確認する
- 住所まるごとチェック — 住所の表記ゆれ・実在をまとめて確認する
公式出典
- 熊本県「第9回政府非常災害現地対策本部会議・第16回熊本県災害対策本部会議 資料」(2026年8月6日発表)
- 熊本県「令和8年熊本地震による人的被害等の状況(8月6日14:00時点)」(2026年8月6日発表)
- 熊本県「【令和8年熊本地震】被災した住宅の応急修理について」(2026年8月6日発表)
- 熊本市「災害救助法『住家の緊急の修理』制度の案内」(2026年8月6日発表)
- 気象庁 台風情報(台風第13号)(2026年8月6日発表)
更新履歴
- 2026年8月6日 初版を公開(8月6日14時時点の県発表を基に作成)
※本記事は2026年8月6日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。


コメント