栃木市で、大雨のときに水がたまるおそれがある道は16か所です。栃木県104か所のうち、宇都宮市の19か所に次いで2番目に多い市です。
16か所の名前を並べると、同じ言葉が10回出てきます。高速道路。市内を南北に走る東北自動車道の下に、10か所が集まっています。
もうひとつ、市の公式ページに短い一文があります。「現在、栃木市では作成していません。」内水、つまり雨水があふれる側のハザードマップのことです。16か所ある市に、その地図がありません。
この記事でわかること
- ✓ 16か所のうち10か所が東北自動車道の下。9か所は「BOX(ボックス)栃木」という番号つきです
- ✓ 市道の番号に付いた頭文字が、合併前の町の名前になっています
- ✓ 内水ハザードマップはありません。あるのは「冠水した道路」を着色した浸水実績マップです
箇所の数・種別・路線名・所在地は、国土交通省 関東地方整備局「道路冠水注意箇所」栃木県104か所と各箇所の説明表から数えました。内水ハザードマップと重要事項説明の扱いは栃木市 危機管理課、浸水実績マップは上下水道局 下水道建設課、被害の数字は市の被害情報ページと災害対応検証報告書(概要版)です。
10か所が東北自動車道の下です

内訳は、東北自動車道の下が10か所、東武鉄道日光線の下が3か所、市道どうしが交わるガードの下が1か所、そして「にしかたアンダー」が2か所です。
16か所のうち14か所が市道で、残る2か所は「認定外道路」。どちらも都賀町木にあります。国の道も県の道も、この16か所には入っていません。
東北自動車道の10か所は、9か所が「東北高速道路ガード BOX栃木◯」という名前です。木野地町・細堀町・吹上町・都賀町木・新井町の5つの地区に散らばり、残る1か所は佐野藤岡インター南のガード下です。

冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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番号は1・9・10・11・12・15・16・18・20と飛んでいます

抜けているのは2から8、13、14、17、19。存在しない番号ではなく、栃木市の外にあるだけです。
「BOX栃木」は高速道路の側で振った通し番号なので、市の境界で切れていません。番号が近くても、場所が近いとは限りません。
地図に出てこない2か所があります
国土交通省は、同じ「道路冠水注意箇所」を2つの形で公表しています。ひとつは地図から1か所ずつ開ける一覧で、栃木県は104か所。もうひとつは関東地方整備局が県ごとにまとめたPDFで、令和8年6月1日更新のものには111か所が載っています。
栃木市はこの2つで数が違います。地図の一覧では16か所、PDFでは18か所。PDFにあって地図の一覧に無いのは、国道50号東アンダーパス(市道62104号線)と、国道50号西アンダーパス(市道62160号線)の2か所です。
この2か所は、地図で探しても出てきません。1か所ごとの説明表も開けません。国道50号は市の北側を東西に走る幹線で、その下をくぐる市道が2本あるということです。
市道の番号の頭文字が、合併前の町の名前です

16か所の路線名を書き出すと、アルファベットが混ざっています。N(エヌ)1001号線、O(オー)205号線、T(ティー)15号線、F(エフ)1-69号線。
所在地と突き合わせると規則が見えます。Nは西方町元、Oは大平町、Tは都賀町、Fは藤岡町。頭文字が付いているのは、合併した町の側の道だけでした。市道14本のうち9本に付いていて、旧・栃木市の木野地町・細堀町・吹上町・新井町を通る5本には付いていません。
栃木市は2010年に大平町・藤岡町・都賀町と、2011年に西方町と、2014年に岩舟町と合併しています。町ごとの番号を振り直さず、頭文字をつけて残したかたちです。
合併は地名にも残っています。16か所のうちひとつは「都賀(佐野藤岡インター南高速道路ガード下)」という名前ですが、住所は藤岡町都賀。旧・都賀町ではありません。栃木市には「都賀」という地名が2つあります。
藤岡町都賀は、16か所でいちばん低い場所でもあります。住所の代表点で標高を引くと24メートル。渡良瀬遊水地に近い、市の南の端です。
国土地理院の住所検索で「栃木市都賀」と入れると、返ってくるのは市の反対側、旧・都賀町のほうです。
内水の地図はありません。あるのは「冠水した道路」の地図です

栃木市には、重要事項説明のための宅地建物取引業者向けのページがあります。よくある質問に、こんな一問があります。「内水ハザードマップ(雨水出水ハザードマップ)は作成していますか?」
市の答えは1行です。「現在、栃木市では作成していません。」
このページが確認先として挙げているのは、洪水浸水想定区域・家屋倒壊等氾濫想定区域・土砂災害警戒区域の3つ。雨水出水は入っていません。
代わりに市が持っているのが「栃木市浸水実績マップ」です。説明文にこう書いてあります。「浸水実績マップは、台風等による豪雨により浸水した家屋、冠水した道路を着色したものです。」冠水した道路そのものが、色で塗ってある地図です。
対象は平成27年9月関東・東北豪雨と令和元年東日本台風の2つで、6地域に分かれて28枚あります。置いてあるのは上下水道局 下水道建設課のページです。防災ハザードマップ側にあるのは北部・南部の2枚だけです。
市はこうも断っています。「市内で発生したすべての浸水箇所が掲載されているものではありません。」着色されていない道が安全だ、という意味ではありません。

この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
令和元年の台風で、同じ地名が出てきます
市が作った災害対応検証報告書の概要版に、10月12日の一日で平井町の観測所が298ミリ、鍋山町の観測局が422ミリと載っています。
報告書はこう続きます。「永野川の複数箇所からの越水や決壊、巴波川(うずまがわ)、赤津川、三杉川等の氾濫、山間部における19か所の土砂崩れなどが発生した。」浸水は推定で978.65ヘクタール、8,000棟を超える住家が被害を受け、1名が亡くなりました。
市の被害情報のページでは単位が「世帯」です。住家被害は10月29日現在で8,003世帯。床上浸水が3,961世帯、床下浸水が4,016世帯で、床下のほうが多い。栃木市の多数派は、床下まで来た家でした。

同じ報告書に、道路の被害が19か所並んでいます。栃木6、大平4、都賀3、西方4、岩舟2。このうち大平地域の4か所の地名が、西水代、下皆川、富田、蔵井。下皆川と富田は、国の冠水注意箇所と同じ地名です。
国の一覧では、大平町下皆川も大平町富田も東武鉄道日光線のガード下です。
アンダーパスが水没しても、携帯は鳴りません
緊急速報メールは登録がいらず、対応した機種なら自動で届きます。ただし中身は決まっています。
栃木市が配信するのは「避難指示などの避難情報」。国が配信するのは緊急地震速報、大津波警報・津波警報、気象特別警報、それに「国が管理する河川の氾濫危険情報、氾濫発生情報」です。道路の冠水は、どちらにも入っていません。
県の防災メールにも、道路が水に浸かったことを知らせる項目はありません。
では何で知るか。市内184か所の防災行政無線のスピーカー、市のホームページ、公式X(エックス)、フェイスブック、公式LINE、防災ラジオです。
公式Xの対応時間は「平日の午前8時30分から午後5時15分」と市が書いています。あわせて「ただし、これ以外の時間においても対応することもあります。」とも書かれています。
水に入ってしまった車から出るまで

16か所のうち14か所は、高速道路か鉄道か別の道の下をくぐる場所です。残る2か所も、名前が「アンダー」で終わります。手前から見ると水面は平らに見えて、いちばん深い底は見えません。
JAF(ジェイエーエフ)のテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほとんど同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。割れるのは横の窓です。フロントガラスは合わせガラスなので、脱出用ハンマーでも割れません。
車が動かなくなったら110番と119番へ。ドアの高さの半分を超えると、内側からはほぼ開けられません。外に出られないときは、無理に移動せず高いところで待ってください。
ほかの市はどうなっているか
同じ手順で、ほかの市も1つずつ調べています。
- 道路冠水マップ どこで見られるの?
- 宇都宮市 冠水 どこが危ないの?(栃木県) 19か所とも名前が「アンダー」で終わります。栃木県で最多です
- 足利市 冠水 どこが危ないの?(栃木県) 8か所のうち5か所の呼び名が「地下道」。栃木県でこう呼ぶのはここだけです
- 小山市 冠水 どこが危ないの?(栃木県) 5つに「おやまアンダー1」から「5」まで番号が振ってあります
- 加須市 冠水 どこが危ないの?(埼玉県) 24か所のうち22か所が東北自動車道の下。10組が上り側と下り側のペアです
この記事のまとめ
栃木市で道路が冠水しやすい場所は16か所で、栃木県104か所のうち宇都宮市の19か所に次いで2番目です。16か所のうち10か所が東北自動車道の下、3か所が東武鉄道日光線の下。「BOX栃木」の番号は飛び飛びで、抜けた分は市の外にあります。
市道の頭文字N・O・T・Fは、合併前の西方町・大平町・都賀町・藤岡町を指します。栃木市は内水ハザードマップを作っておらず、代わりに「冠水した道路」を着色した浸水実績マップが上下水道局にあります。令和元年東日本台風の道路被害19か所のうち、大平地域の4か所には下皆川と富田の名前が入っていました。
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