茅ヶ崎市で、大雨のときに水がたまるおそれがある道は5か所です。神奈川県には119か所あり、市町村別では9番目。数だけ見れば少ないほうです。
ただ、5か所を並べると、名前の終わりがそろいます。地下道。県道が2か所、市道が3か所で、管理する役所は分かれているのに、呼び名だけが1つです。
理由は、市が防災のページに載せている地形の説明で分かります。茅ヶ崎の砂丘は東西方向に6列。国道1号も大山街道も国道134号も、その頂を結ぶように走っています。
この記事でわかること
- ✓ 5か所とも名前に「地下道」が入ります。県道2か所、市道3か所です
- ✓ 標高は中島の2メートルから下寺尾の13.8メートルまでです
- ✓ 内水の区域は2026年3月31日に指定されました。地図はまだ令和3年度版です
箇所の数・種別・路線名・所在地は国土交通省 関東地方整備局「道路冠水注意箇所」神奈川県119か所と、各箇所の説明表PDFから数えました。標高は国土地理院の住所検索APIと標高APIで引いた代表点の値です。地形・内水の地図・カメラは茅ヶ崎市の公表ページから取りました。
5か所とも、名前に「地下道」が入ります

- 中島地下道(県道・中島)2.0メートル
- 南湖一丁目の鳥井戸地下道(市道0202号線)3.3メートル
- 西久保地下道(県道・鶴が台)5.5メートル
- 若松町2番地の本村地下道(市道0101号線)11.9メートル
- 下寺尾156の下寺尾地下道(市道7677号線)13.8メートル
県道の2か所は藤沢土木事務所が、市道の3か所は茅ヶ崎市が管理しています。同じ市の5か所なのに、水がたまったときに動く役所は2つに分かれます。
関東7都県の774か所を呼び名で数えると、アンダー168、地下道132、アンダーパス99、ガード82と10通り以上に散らばります。神奈川県119か所のうち、名前か路線名に「地下道」が入るのは32か所。茅ヶ崎市は5か所すべてがここに入ります。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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砂丘が東西に6列。幹線道路はその頂を走ります

市は「茅ヶ崎市の地形及び地質の状況」を、防災の項目の中に置いています。市域は3つ。北部の丘陵地、相模川や小出川の周りの沖積低地、そして砂丘地帯です。
その砂丘地帯の説明が、そのまま答えになっています。「東西方向に6列の砂丘列が確認されています。幹線道路(国道1号・大山街道・国道134号)は、この砂丘の頂を結ぶように走っています」。
東西に長い高まりが6本、海と並んで寝ている。その背を幹線道路が走る。南北に動きたい道は、砂丘を越えるか、下を潜るかになります。ここから先は市の資料に書かれていませんが、潜った場所が、そのまま水のたまる場所になります。
低いほうも市が書いています。自然堤防の外側の後背湿地は「1から2メートル程度低い土地」で、もとは水田・荒地・沼地。いまは埋め立てられて住宅地や工業地になっています。

この形は最近できたものではありません。茅ヶ崎市博物館のデジタルアーカイブに「浜見平ガード下の冠水」という写真が1枚あります。昭和40年代から50年代のものです。50年前から、市はガード下の冠水を記録しています。
標高2メートルの中島から、13.8メートルの下寺尾まで

5か所の住所を国土地理院の標高データに通すと、いちばん低いのが中島の2.0メートル、いちばん高いのが下寺尾の13.8メートル。差は11.8メートルです。
低いほうの中島と南湖一丁目は、市の高潮ハザードマップで浸水想定区域に入る町名の一覧にも出てきます。
同じ神奈川県でも、相模原市は11か所とも標高57.5メートルより上でした。2メートル台から始まる市と、57.5メートルより下が1つも無い市が、同じ県に並んでいます。
標高は住所(字・丁目)の代表点で引いた値です。地下道の底そのものの高さではありません。実際に潜る分だけ、底はこれより低くなります。
内水の区域は指定されました。地図はこれからです

令和8年3月31日付で、茅ヶ崎市は水防法第14条の2第2項に基づく「雨水出水浸水想定区域」を指定しました。2026年の春です。ページの更新は同じ年の8月21日でした。
ただし、区域が決まったことと、地図ができたことは別です。市は「雨水出水浸水想定区域図を基図として、避難所等の情報を付与したハザードマップを今後作成する予定です」と書いていて、いまページに載っている内水ハザードマップは令和3年度版のままです。
想定している雨は1時間あたり153ミリ。年超過確率1000分の1、市の言葉では「1年間に発生する確率が0.1%」の雨です。
それまでの内水の図は、令和3年9月改正版のハザードマップの裏面でした。手元にその紙がある人は、指定の前の図を見ていることになります。
この差は不動産の取引で効きます。宅地建物取引業法の施行規則は令和2年8月28日の施行で、水防法に基づいて作られた水害ハザードマップ上の所在地を、重要事項説明の項目に加えました。茅ヶ崎市の内水については、区域の指定は済み、説明で示す地図はこれから作られる段階です。
市がお金を使った場所も分かります。上ノ田公園の地下に雨水をためるタンクを置き、菱沼雨水幹線(千ノ川)の護岸を直して、本村五丁目周辺の浸水被害を減らす、と市が書いています。
内水の想定は1時間153ミリ、川のほう(小出川・千の川)の想定は24時間354ミリです。時間の長さも単位も違う別の図なので、並べて大小を比べないでください。

この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
市の知らせに、町名は出てきません
2026年6月3日の朝8時1分、市はこう知らせました。「台風6号の接近に伴う大雨の影響で、現在、市内の一部道路が冠水し、通行止めとなっています」。
解除のときも「茅ヶ崎市内で発生していた道路冠水に伴う通行止めは、全て解除されました」でした。どこが、が最後まで出てきません。
令和元年の台風19号も同じです。市の集計は道路冠水3件、通行止め5件、倒木22件。避難所を38か所開けて8760人が避難し、停電は約3400軒。場所の名前は、どちらにも載っていません。
市の防災・緊急情報のページに並ぶのは、水位観測、ライブカメラ、避難所の開設状況、雨量。道路の規制をまとめた常設のページはありません。どこが危ないかは、雨の前に自分で覚えておくしかありません。
地下道に、市のカメラが1台だけあります
市のライブカメラのページは、ほとんどが川です。相模川に5台、小出川に3台、千ノ川に5台。そこへ「その他」という枠がひとつあり、入っているのが「鳥井戸橋地下道(市)」です。
カメラ側の表示名は「鳥井戸地下道(茅ヶ崎)」。国が数えた5か所の「南湖一丁目(鳥井戸地下道)」と同じ場所です。川ではない場所に付いているカメラは、これ1台だけです。
つまり5か所のうち1か所は、大雨のさなかの様子を画面で確かめられます。残る4か所は確かめられません。川の水位は13地点で観測していますが、中島橋には「現在、不具合により閲覧ができない状況となっています」と付いたままです。
水に入ってしまった車から出るまで

5か所とも、上を通る何かの下を潜る道です。手前から見ると水面は平らで、いちばん深い底は見えません。進んだ先で急に深くなるのが地下道の怖さです。
JAF(ジャフ)のテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほとんど同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。フロントガラスは合わせガラスなので、脱出用ハンマーでも割れません。
車が動かなくなったら110番と119番へ。ドアの高さの半分を超えると、内側からはほぼ開けられません。外に出られないときは、無理に移動せず高いところで待ってください。
ほかの市はどうなっているか
同じ手順で、ほかの市も1つずつ調べています。同じ資料でも、出てくる答えは場所ごとに変わります。
- 道路冠水マップ どこで見られるの?
- 藤沢市 冠水 どこが危ないの?(神奈川県) 13か所のうち10か所が「地下道」。市道の説明表には緯度経度が書いてあります
- 横浜市 冠水 どこが危ないの?(神奈川県) 30か所のうち6か所は、標高60メートルより高い場所です
- 川崎市 冠水 どこが危ないの?(神奈川県) 12か所のうち10か所は鉄道の下、北の3区にはありません
- 相模原市 冠水 どこが危ないの?(神奈川県) 11か所とも標高57.5メートル以上。市は別に41か所を公表しています
この記事のまとめ
茅ヶ崎市で道路が冠水しやすい場所は5か所、神奈川県119か所のうち9番目です。数は少ないのに、5か所とも名前に「地下道」が入ります。砂丘列が東西に6列並び、幹線道路がその頂を結ぶように走っているからです。標高は中島の2.0メートルから下寺尾の13.8メートルまで。
市の内水の区域は、令和8年3月31日に水防法第14条の2第2項に基づいて指定されました。想定は1時間153ミリ、年超過確率1000分の1の雨です。重要事項説明で示す地図は、これから作られます。大雨のときの知らせに町名も路線名も入らないので、様子を画面で見られるのは鳥井戸橋地下道の1か所だけです。
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