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契約不適合責任の特約ミスで起きる最悪の想定|「免責にしたつもり」が無効になるパターン

契約不適合責任の特約ミスで起きる最悪の想定|「免責にしたつもり」が無効になるパターン

中古住宅の売買で引渡し後に雨漏りやシロアリが見つかったとき、責任の所在を決めるのは契約書の特約です。ところがこの特約、書き方を誤ると「免責にしたつもりが無効」になり、かえって重い責任が残ることがあります。

売主・買主の紛争は、仲介した会社の説明義務の問題に必ず波及します。特約設計は契約書の1条項ではなく、仲介会社自身のリスク管理です。

目次

前提の整理:契約不適合責任とは

2020年の民法改正で「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」に変わりました。引き渡された目的物が種類・品質・数量について契約の内容に適合しない場合、買主は追完請求・代金減額請求・損害賠償・契約解除を主張できます。

ポイントは「隠れた瑕疵かどうか」ではなく、契約の内容に適合しているかどうかで判断されることです。つまり、契約書と告知書に何をどう書いたかがすべての起点になります。

無効になるパターン1:宅建業者が売主で「2年未満」or「免責」

宅建業者が自ら売主になる場合、通知期間を引渡しから2年以上とする特約を除き、民法の原則より買主に不利な特約は無効です(宅建業法40条)。

怖いのはここからです。「引渡しから1年」「全部免責」と書いた特約は、その部分が丸ごと無効になり、民法の原則に戻ります。民法の原則は「買主が不適合を知った時から1年以内に通知」なので、引渡しから5年後に発覚した不具合でも責任を負い得る、特約を書かないより重い状態になります。

買取再販に参入する会社はこの規制が直撃します。あわせてこちらもどうぞ:仲介会社が買取再販に走るリスクと最悪の想定

無効になるパターン2:個人売主の「全部免責」でも消えない責任

個人が売主の場合は免責特約自体は有効ですが、売主が知りながら告げなかった事実については免責の効力が及びません(民法572条)。

過去の雨漏り、シロアリ被害の履歴、近隣トラブル。売主が知っていたのに告知書に書かず、免責特約で逃げ切る——この構図は特約では守れません。そして「売主は知っていたのか」の争いになったとき、仲介会社が売主からどんな聴き取りをしたかの記録が問われます。

無効ではないが危ないパターン:「現状有姿」と書いただけ

「現状有姿で引き渡す」という一文を免責特約のつもりで使っているケースがありますが、現状有姿の合意は引渡し時の状態のまま引き渡すことの合意であって、契約不適合責任を免除する合意と当然には解釈されません。免責にしたいなら、対象(雨漏り・シロアリ・給排水管の故障等)と範囲を特定して免責と明記する必要があります。

仲介会社自身のリスク:紛争は必ず仲介に波及する

売主・買主間の契約不適合トラブルでは、ほぼ例外なく「仲介会社はちゃんと調査・説明したのか」が争点に加わります。

  • 告知書・設備表の取得を省略した、または仲介側で代筆した
  • 特約の意味(免責の範囲・通知期間)を買主に説明した記録がない
  • 現地で認識できた不具合の兆候(雨染み・傾き)を確認していない

このあたりに穴があると、媒介契約上の調査・説明義務違反として仲介会社が損害賠償の共同被告になるのが実務の定番です。重要事項説明の作り方は別記事にまとめています:重要事項説明書の書き方

最悪の想定

  • 引渡し3か月後、台風で雨漏りが発覚。天井裏を開けると過去の補修跡
  • 売主は「昔直したから言わなかった」。告知書の該当欄は空欄のまま契約していた
  • 免責特約はあるが、知りながら告げなかった事実として効力が否定される
  • 買主は補修費と慰謝料を請求、売主は「仲介が告知書をちゃんと書かせなかった」と主張
  • 仲介会社は両者の板挟みのまま共同被告へ。補修費数百万円+弁護士費用+営業時間の消失

紛争の火種は契約時に全部そろっていて、引渡し後に発火する。これが契約不適合トラブルの典型です。

予防チェックリスト

特約設計チェック

☐ 物件状況報告書(告知書)と設備表を売主本人に記入してもらったか(代筆しない)
☐ 売主が宅建業者の場合、通知期間は引渡しから2年以上になっているか
☐ 免責にする場合、対象と範囲を特定して明記したか(「現状有姿」の一文で済ませていないか)
☐ 告知書の記載と契約書の特約に食い違いがないか
☐ 特約の意味を買主に説明し、記録を残したか
☐ 建物状況調査(インスペクション)のあっせんの可否を媒介契約時に案内したか

まとめ

契約不適合責任の実務は「免責と書けば守られる」ではなく、告知させて、特定して、記録するの3点セットです。告知して価格に織り込んだ取引は後から燃えません。燃えるのは、告知を省略して特約で蓋をした取引です。

※本記事は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。個別の契約書・特約の判断は弁護士等の専門家にご相談ください。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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