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仲介会社が買取再販に走るリスクと最悪の想定|「在庫を持つ」とはどういうことか

仲介会社が買取再販に走るリスクと最悪の想定|「在庫を持つ」とはどういうことか

囲い込み規制で両手仲介が難しくなり、「それなら自社で買い取って再販すればいい」と考える仲介会社が増えています。

たしかに買取再販は、仕入れと売却の差益がそのまま利益になり、仲介手数料の上限にも縛られません。ただし仲介と再販は、似ているようで別のビジネスです。仲介は在庫ゼロの手数料商売、再販は在庫を抱える商売。この違いを軽く見て参入すると、1件の失敗が会社全体を傾けます。

この記事では、仲介会社が買取再販に踏み出すときのリスクを、最悪の想定まで含めて整理します。

目次

リスク1:在庫リスク|「売れるまで」ではなく「売れなかったら」で考える

仲介なら、物件が売れなくても失うのは時間と広告費だけです。買取再販では、売れない物件は自社の在庫として残ります。

  • 保有している間も、借入金利・固定資産税・管理費・水道光熱費が毎月出ていく
  • 市況が反転すれば、仕入れ値を下回る価格でしか売れなくなる
  • 「値下げすれば売れる」は、仕入れと改装にかけた分だけ損失が確定するという意味

仲介の感覚で「このエリアなら3か月で売れる」と読んでいた物件が半年残ると、想定利益は保有コストで溶け、値下げで赤字になります。

リスク2:資金繰り|回転が止まると次が仕入れられない

買取資金の多くは借入です。1件の再販が完了して初めて資金が戻り、次の仕入れに回ります。つまり1件の塩漬けが、事業全体の回転を止めます

仲介業は入金が読みやすい商売ですが、再販は「売れた月にまとめて入る」商売です。仲介の資金繰り感覚のまま複数戸を仕入れると、売れ行きが少し鈍っただけで返済と保有コストが先行し、健全な物件まで投げ売りする羽目になります。

リスク3:売主になった瞬間、法律上の立場が変わる

見落とされがちですが、買取再販では自社が売主になります。宅建業者が自ら売主になると、仲介のときには無かった規制が一気にかかります。

規制 内容
契約不適合責任の特約制限 通知期間を引渡しから2年以上とする特約以外、買主に不利な特約は無効(宅建業法40条)。「免責」にはできない
クーリングオフ 事務所等以外で申込みを受けると8日間の解除対象
手付金の制限 代金の2割を超える手付は受領不可、一定額を超えると保全措置が必要
割賦販売・所有権留保等の制限 いわゆる8種制限がフルにかかる

とくに契約不適合責任は重く、再販後に雨漏りやシロアリ、給排水管の不具合が見つかれば、補修費用は売主である自社の負担です。リフォームで表面をきれいにした物件ほど、構造部分の不具合が引渡し後に出てきます。

特約の書き方を誤ると免責のつもりが無効になっている、という事故もあります。詳しくは同時公開の記事にまとめました:契約不適合責任の特約ミスで起きる最悪の想定

リスク4:リフォームコストと工事品質

改装費は高止まりしています。見積もり時点の想定を工事中の追加(構造補強・配管交換・アスベスト対応)が超えていくのは日常で、利益率の読みが甘いとここで消えます。また、工事の不具合はそのまま売主責任に跳ね返ります。

最悪の想定:1件の塩漬けから始まる連鎖

  • 3,000万円で仕入れ、500万円かけて改装。4,200万円で売り出し
  • 6か月売れず、保有コストと金利で毎月数十万円が流出
  • 3,900万円→3,600万円と値下げ。この時点で利益はほぼゼロ
  • その間、資金が寝ているので新規の仕入れができず、再販部門の売上が止まる
  • 返済原資を作るため、他の在庫も値下げ処分。仲介部門の利益で穴埋めが始まる

市況の反転期には、実際にこの形で在庫を抱えた不動産会社から資金繰りが崩れてきました。仲介専業なら不況期は「売上が減る」で済みますが、在庫を持っていると「損失が確定していく」に変わります。これが最悪の想定です。

それでもやるなら:参入前チェックリスト

買取再販 参入前チェック

☐ 同時に抱える在庫の上限戸数・上限金額を先に決めているか(相場観ではなくルールとして)
☐ 1件ごとに保有期間の上限と撤退価格を仕入れ前に決めているか
☐ 売れなかった場合の出口が2つ以上あるか(再販→賃貸化→業者間売却など)
☐ 8種制限・契約不適合責任に対応した売買契約書の雛形を整えたか
☐ 改装費の追加工事バッファ(2〜3割)を利益計算に入れているか
☐ 仕入れエリアを自社が仲介で反響数を実感できる範囲に絞っているか

まとめ

買取再販は「仲介の延長」ではなく、在庫と借入を抱える別の事業です。参入を否定はしませんが、撤退条件を仕入れ前に決められない会社は、最悪の想定のシナリオをなぞることになります。囲い込み規制からの逃げ道として消去法で選ぶのが、いちばん危険な入り方です。

※本記事は一般的な情報の整理であり、個別の経営判断・法的判断についてはそれぞれの専門家にご相談ください。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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