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重要事項説明書の書き方|35条書面に何を書くか、調査はどこから始めるか

重要事項説明書の書き方|35条書面に何を書くか、調査はどこから始めるか

重要事項説明書の作成で時間がかかるのは、書く作業そのものではありません。何を調べ、どこから資料を取ってくるかの部分です。

書式は会社ごとに用意されていることが多く、埋める欄も決まっています。それでも手が止まるのは、欄の名前を見ても「これはどの資料に載っているのか」がすぐ出てこないからです。

この記事では、宅地建物取引業法35条1項に定められた記載事項を並べたうえで、それぞれをどこで調べるのかを整理します。

目次

前提:説明するのは宅地建物取引士

作業の話に入る前に、役割を確認しておきます。

宅地建物取引業法35条1項は、宅地建物取引業者に対して、契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、記載事項を記載した書面を交付して説明をさせなければならないと定めています。

つまり、

  • 説明する人:宅地建物取引士
  • 時期:契約が成立するまでの間
  • 方法:記載事項を書いた書面を交付して説明する(一定の事項では図面が必要)

事務担当者が関われるのは、調査と下書きまでです。最終的な内容の確認と説明は宅建士が行います。ここを混同しないことが、作業の切り分けの出発点になります。

35条書面に書く14項目

35条1項に列挙されている記載事項を、条文の順に整理したものが次の表です。実務でよく使う言い方に置き換えていますので、正確な文言は条文をご確認ください。

記載する内容
1 登記された権利の種類・内容、登記名義人(表題部の所有者)
2 都市計画法・建築基準法その他の法令に基づく制限の概要
3 私道に関する負担(建物の貸借を除く)
4 飲用水・電気・ガスの供給、排水施設の整備状況(未整備なら見通しと負担)
5 工事完了前の物件のときは、完了時の形状・構造など
6 区分所有建物のときは、敷地に関する権利、共用部分の規約の定めなど
6の2 既存建物のときは、建物状況調査の実施の有無と結果の概要、設計図書・点検記録等の保存状況
7 代金・交換差金・借賃以外に授受される金銭の額と目的
8 契約の解除に関する事項
9 損害賠償額の予定または違約金に関する事項
10 手付金等を受領する場合の保全措置の概要
11 支払金・預り金を受領する場合の保全措置の有無と概要
12 代金・交換差金についての金銭の貸借(ローン)のあっせん内容と、不成立時の措置
13 契約不適合責任の履行に関する措置(保証保険契約等)の有無と概要
14 その他、命令で定める事項

2号と6号と14号には「政令で定めるもの」「国土交通省令・内閣府令で定めるもの」という書き方が出てきます。具体的な項目は施行令・施行規則の側にあるということで、ここが実務で分量の増える部分です。

また、契約の種類によって書く項目が変わります。条文自身が「契約内容の別(宅地か建物か、売買・交換か貸借か)に応じて」と書いています。売買用の書式をそのまま賃貸に使わないのは、このためです。

調査は「どこで取るか」で並べ替える

記載事項を条文の順に追うと、資料を取りに行く先が行ったり来たりします。取得先ごとにまとめ直すと、1か所あたり1回で済みます。

取得先 取る資料 埋まる項目
法務局 登記事項証明書、公図、地積測量図、建物図面 1号、私道の確認(3号)
市区町村(都市計画・建築指導) 都市計画図、用途地域、建ぺい率・容積率、道路種別、法令制限の照会 2号
市区町村(上下水道)・ガス事業者 上下水道の埋設図、ガスの供給状況 4号
管理会社・管理組合 管理規約、使用細則、管理費・修繕積立金、長期修繕計画、滞納の有無 6号
売主・所有者 建築確認済証、検査済証、建物状況調査の結果、設計図書、点検記録 5号、6の2号
自社(契約条件) 契約書案、授受される金銭、解除条項、違約金、ローン特約、保全措置 7〜13号

この並べ方だと、法務局と役所は同じ日にまとめて回れます。逆に管理組合と売主は返答待ちが発生しやすいので、先に依頼だけ出しておくと全体が早く終わります。

つまずきやすい5つ

1. 面積が資料ごとに違う

登記簿の面積、実測面積、販売図面の面積が一致しないことがあります。どれを書くかではなく、どの資料の数字なのかを明示するのが基本です。差があること自体を伏せてはいけません。

2. 住居表示と地番が混ざる

「所在」は地番、「住居表示」は別物です。販売図面には住居表示が載り、登記には地番が載ります。両方を確認せずに片方だけで進めると、対象物件がずれます。

3. 私道負担の見落とし

3号は建物の貸借以外で必要になります。接道が私道の場合、持分の有無、通行・掘削の承諾、負担金まで確認が要ります。公図だけでは分からないので、権利関係の確認が必要です。

4. 未完成物件と既存建物で書く欄が違う

5号は工事完了前の物件、6の2号は既存建物の項目です。同じ書式の中で、どちらを埋めるかが物件によって変わります。中古なのに5号を埋めようとして止まる、という形でつまずきます。

5. 区分所有は資料が多い

6号は分量が最も増えるところです。管理規約と使用細則に加えて、管理費・修繕積立金の額、滞納の有無、専用使用権(駐車場・専用庭・バルコニー)、ペットや楽器の制限まで見ます。管理会社への照会は最初に出すのが結局いちばん早く終わります。

「わからない」を空欄で出さない

調査が終わっていない欄を空欄のまま回すと、後工程で「調べたが無かった」のか「まだ調べていない」のかが区別できません。下書きの段階では、状態を書き分けておきます。

  • 未確認(これから調べる)
  • 調査中(照会済み・回答待ち)
  • 資料なし(探したが存在しない)
  • 該当なし(この物件には当てはまらない)
  • 要確認(資料同士が食い違っている)

「資料なし」と「該当なし」は意味が違います。ここを混ぜると、確認する側がもう一度同じ調査をすることになります。

最後に突き合わせる

下書きが終わったら、次の3つを並べて確認します。

  1. 原資料(登記・公図・役所の回答・管理規約)
  2. 重要事項説明書の記載
  3. 契約書案の条件

3が一致していないケースは意外と起きます。解除条項、違約金、ローン特約は、契約書側だけ更新されていることがあるためです。

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👉 レインズの「売外全」「売外一」とは?物件種目の読み方と使い分け

👉 SUUMO・HOME’S・athome、入稿作業の違いと注意点まとめ


この記事の情報について

記載事項の一覧は、宅地建物取引業法第35条第1項(e-Gov法令検索・2026年8月確認)の各号を実務上の言い方に整理したものです。正確な文言および施行令・施行規則で定められる具体的な項目については、必ず条文をご確認ください。重要事項の説明は宅地建物取引士が行うものであり、本記事は作成・調査の進め方を整理した参考情報です。個別の取引における記載内容の判断は、所属する宅地建物取引業者および宅地建物取引士にご確認ください。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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