3,000万円を35年で借りると、金利が1%上がるだけで総返済額は617万円増えます。月々の返済額で見ると14,693円の差ですが、35年分を積み上げるとこの金額になります。
住宅ローンの相談では「月々いくらになるか」ばかりが話題になり、「総額でいくら払うことになるか」はあまり見せられません。ここでは実際に計算して、金利1%の差がどれだけの重みを持つのかを数字で確認します。
総返済額はどう決まるか
住宅ローンの毎月の返済額は、住宅ローン利用者の大半が選ぶ「元利均等返済」の場合、次の式で決まります。
毎月の返済額 = 借入額 × 月利 × (1+月利)^返済回数 ÷ ((1+月利)^返済回数 − 1)
月利は年利を12で割った数字、返済回数は「返済年数×12」です。この式が示す通り、金利が上がると分子・分母の両方が変わり、月々の返済額は金利に対して直線的にではなく、じわじわ加速しながら増えていきます。総返済額は「月々の返済額×返済回数」なので、この効果がそのまま35年ぶんに積み上がります。
3,000万円・35年で試算した結果
借入額3,000万円、返済期間35年、全期間同じ金利が続くと仮定して、元利均等返済で計算した結果です。ボーナス払いは無しとしています。
| 金利 | 月々の返済額 | 総返済額 | うち利息分 |
|---|---|---|---|
| 0.5% | 77,876円 | 3,271万円 | 271万円 |
| 1.0% | 84,686円 | 3,557万円 | 557万円 |
| 1.5% | 91,855円 | 3,858万円 | 858万円 |
| 2.0% | 99,379円 | 4,174万円 | 1,174万円 |
| 2.5% | 107,249円 | 4,504万円 | 1,504万円 |
| 3.0% | 115,455円 | 4,849万円 | 1,849万円 |
| 3.5% | 123,987円 | 5,207万円 | 2,207万円 |
借入額3,000万円に対して、金利0.5%なら利息は271万円で済みますが、3.5%まで上がると利息だけで2,207万円、借入額の7割を超える金額を余分に払う計算になります。
金利1%の差が家計に与える影響
上の表で1.0%と2.0%を比べると、月々の差は14,693円、35年間の総返済額の差は617万円です。月々1万5千円弱という数字は「なんとかなりそう」に見えますが、35年間払い続けると617万円という金額に変わります。
これは新車を1台買って、さらに数年分の維持費を払えるくらいの金額です。住宅ローンの金利は0.1%刻みで語られることが多く、1%という数字自体はそれほど大きく見えませんが、実際に動くお金の大きさは、月々の数字だけを見ていると実感しにくいものです。
借入額・返済期間を変えると差はどう動くか
金利1%の影響は、借入額と返済期間が変わっても同じように出ます。借入額2,000万円・返済期間25年の場合で試算すると、金利1.0%の総返済額は2,261万円、2.0%では2,543万円で、差は282万円です。
借入額が3,000万円から2,000万円に減っても、金利1%の差だけで282万円という金額が動きます。借入額を抑えることは総返済額を下げる有効な手段ですが、それでも金利差の影響そのものはなくなりません。
なぜ月々の返済額だけを見ると危険か
私は、住宅ローンの説明で「月々の返済額」ばかりが強調されるのは、貸す側にとって都合のよい見せ方だと考えています。総返済額の差を先に見せられれば、借入額を減らす、返済期間を短くする、頭金を増やすといった判断につながりやすくなるはずです。月々の返済額だけを基準に「これなら払える」と判断すると、金利が上がったときに総額でどれだけ多く払うことになるかを見落とします。
住宅ローンを検討するときは、月々の返済額とあわせて、必ず総返済額のシミュレーションを金融機関か無料のツールで出してもらってください。
変動金利で借りている人が気をつけること
すでに変動金利で借りている場合、金利がすぐに上がっても返済額がすぐには変わらないことがあります。「5年ルール」(返済額自体の見直しは5年に1回)と「125%ルール」(見直し後の返済額は従来の1.25倍まで)が契約に含まれていれば、金利が上がっても返済額の見直しにタイムラグが生まれるためです。2026年8月には住信SBIネット銀行(現ドコモSMTBネット銀行)や楽天銀行が変動金利を引き上げており、ネット銀行の変動金利引き上げの詳細にまとめています。5年ルールがあっても、返済額のうち利息が占める割合は先に増えるため、返済額が変わらないからといって影響が無いわけではありません。
結局どうすればよいか
- 住宅ローンを検討する前に、月々の返済額だけでなく総返済額も金融機関や無料ツールで試算してもらう
- 固定金利と変動金利を検討するときは、「今の金利」ではなく「1%上がったときの総返済額の差」で比べる
- すでに借りている場合は、自分の契約に5年ルール・125%ルールがあるかを確認し、無くても返済額が上がる幅を把握しておく
年収を入れるだけで、借入可能額と返済額の目安が分かります
下のグラフは、この試算結果を金利ごとにまとめたものです。



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