「年収の何倍まで」「手取りの3割まで」——住まいの予算の話は、だいたいこの2つで済まされます。でも実際に家計を握っている人ならわかるはずです。同じ年収500万円でも、単身と子ども2人の家庭では、毎月自由になるお金がまったく違います。
この記事では、総務省の家計調査(2025年)の実際の生活費データを使って、「世帯の人数ごとに、毎月いくらまでなら家賃や住宅ローンに回せるか」を計算しました。銀行の審査基準ではなく、暮らしを回しながら払える額から逆算しているのが、よくある早見表との違いです。
この表の計算方法(3ステップ)
- 年収から税金・社会保険料を引いて手取りを出す
- 手取りから、同じ人数の世帯が実際に使っている生活費(家賃・住居費を除く)を引く
- 残った額の85%を「無理のない家賃・返済額」とする(15%は貯蓄・予備費に残す)
生活費は平均値をそのまま使うのではなく、家計調査の年収階級別データで「その年収帯の世帯が実際に使っている水準」に補正しています。詳しい前提は記事の最後にまとめました。
まず手取りの確認から
額面の年収と手取りは1〜3割違います。予算の話はすべて手取りベースで考えます。
| 年収(額面) | 手取り(年) | 手取り(月あたり) |
|---|---|---|
| 300万円 | 約239万円 | 約19.9万円 |
| 400万円 | 約315万円 | 約26.3万円 |
| 500万円 | 約389万円 | 約32.5万円 |
| 600万円 | 約462万円 | 約38.5万円 |
| 700万円 | 約530万円 | 約44.2万円 |
| 800万円 | 約592万円 | 約49.4万円 |
| 1000万円 | 約713万円 | 約59.4万円 |
※給与収入のみ・1人で稼いだ場合の概算です。共働きで同じ世帯年収なら、税金の仕組み上、手取りはこれより多くなります(表より余裕が出る方向です)。
ひとり暮らしの場合
| 世帯年収 | 手取り(月) | 生活費の目安 | 住まいに回せる額 | 無理のない家賃・返済 | 無理なく借りられる額 | (参考)フラット35の上限 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 19.9万円 | 14.1万円 | 5.8万円 | 5.0万円 | 約1,200万円 | 約1,900万円 |
| 400万円 | 26.3万円 | 15.4万円 | 10.9万円 | 9.3万円 | 約2,300万円 | 約2,900万円 |
| 500万円 | 32.5万円 | 17.0万円 | 15.4万円 | 13.1万円 | 約3,300万円 | 約3,700万円 |
| 600万円 | 38.5万円 | 18.4万円 | 20.0万円 | 17.0万円 | 約4,300万円 | 約4,400万円 |
| 700万円 | 44.2万円 | 20.3万円 | 23.9万円 | 20.3万円 | 約5,100万円 | 約5,100万円 |
単身は生活費が軽いぶん、年収が上がるほど住まいに回せる余裕が急激に増えます。年収600万円以上なら「銀行が貸してくれる上限」と「無理なく返せる額」がほぼ一致する、数少ないパターンです。
夫婦ふたり(子どもなし)の場合
| 世帯年収 | 手取り(月) | 生活費の目安 | 住まいに回せる額 | 無理のない家賃・返済 | 無理なく借りられる額 | (参考)フラット35の上限 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 400万円 | 26.3万円 | 19.2万円 | 7.1万円 | 6.0万円 | 約1,500万円 | 約2,900万円 |
| 500万円 | 32.5万円 | 21.3万円 | 11.2万円 | 9.5万円 | 約2,400万円 | 約3,700万円 |
| 600万円 | 38.5万円 | 23.1万円 | 15.4万円 | 13.1万円 | 約3,300万円 | 約4,400万円 |
| 700万円 | 44.2万円 | 25.3万円 | 18.8万円 | 16.0万円 | 約4,000万円 | 約5,100万円 |
| 800万円 | 49.4万円 | 26.7万円 | 22.6万円 | 19.2万円 | 約4,800万円 | 約5,800万円 |
| 1000万円 | 59.4万円 | 32.0万円 | 27.4万円 | 23.3万円 | 約5,800万円 | 約7,300万円 |
ふたり世帯はこの先の変化がいちばん大きい世帯でもあります。子どもを考えているなら、いまの数字ではなく、次の「子どもがいる世帯」の表で予算を組んでおくと後がラクです。
夫婦+子ども1人の場合
| 世帯年収 | 手取り(月) | 生活費の目安 | 住まいに回せる額 | 無理のない家賃・返済 | 無理なく借りられる額 | (参考)フラット35の上限 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 400万円 | 26.3万円 | 22.3万円 | 4.0万円 | 3.4万円 | 約900万円 | 約2,900万円 |
| 500万円 | 32.5万円 | 24.7万円 | 7.8万円 | 6.6万円 | 約1,700万円 | 約3,700万円 |
| 600万円 | 38.5万円 | 26.7万円 | 11.7万円 | 10.0万円 | 約2,500万円 | 約4,400万円 |
| 700万円 | 44.2万円 | 29.4万円 | 14.8万円 | 12.6万円 | 約3,100万円 | 約5,100万円 |
| 800万円 | 49.4万円 | 31.0万円 | 18.4万円 | 15.6万円 | 約3,900万円 | 約5,800万円 |
| 1000万円 | 59.4万円 | 37.1万円 | 22.3万円 | 18.9万円 | 約4,700万円 | 約7,300万円 |
夫婦+子ども2人の場合
| 世帯年収 | 手取り(月) | 生活費の目安 | 住まいに回せる額 | 無理のない家賃・返済 | 無理なく借りられる額 | (参考)フラット35の上限 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 400万円 | 26.3万円 | 24.4万円 | 1.9万円 | 1.6万円 | 約400万円 | 約2,900万円 |
| 500万円 | 32.5万円 | 27.0万円 | 5.5万円 | 4.7万円 | 約1,200万円 | 約3,700万円 |
| 600万円 | 38.5万円 | 29.2万円 | 9.2万円 | 7.9万円 | 約2,000万円 | 約4,400万円 |
| 700万円 | 44.2万円 | 32.1万円 | 12.0万円 | 10.2万円 | 約2,600万円 | 約5,100万円 |
| 800万円 | 49.4万円 | 33.9万円 | 15.5万円 | 13.2万円 | 約3,300万円 | 約5,800万円 |
| 1000万円 | 59.4万円 | 40.6万円 | 18.8万円 | 16.0万円 | 約4,000万円 | 約7,300万円 |
夫婦+子ども3人の場合
| 世帯年収 | 手取り(月) | 生活費の目安 | 住まいに回せる額 | 無理のない家賃・返済 | 無理なく借りられる額 | (参考)フラット35の上限 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 400万円 | 26.3万円 | 24.7万円 | 1.6万円 | 1.4万円 | 約300万円 | 約2,900万円 |
| 500万円 | 32.5万円 | 27.3万円 | 5.1万円 | 4.4万円 | 約1,100万円 | 約3,700万円 |
| 600万円 | 38.5万円 | 29.6万円 | 8.9万円 | 7.5万円 | 約1,900万円 | 約4,400万円 |
| 700万円 | 44.2万円 | 32.5万円 | 11.6万円 | 9.9万円 | 約2,500万円 | 約5,100万円 |
| 800万円 | 49.4万円 | 34.3万円 | 15.0万円 | 12.8万円 | 約3,200万円 | 約5,800万円 |
| 1000万円 | 59.4万円 | 41.1万円 | 18.3万円 | 15.6万円 | 約3,900万円 | 約7,300万円 |
「借りられる額」を信じていいのは、実は単身だけ
表を横に見比べると、はっきりした傾向が出ています。
- 単身:借りられる上限と返せる額の差は小さい(年収600万円ならほぼゼロ)
- 夫婦のみ:差は1,000万〜1,500万円
- 子ども2人:差は2,400万〜3,300万円
つまり、家族が多い世帯ほど「銀行の審査に通る額」と「生活が回る額」がかけ離れます。年収600万円・子ども2人の世帯なら、フラット35の基準では約4,400万円まで借りられますが、平均的な生活水準を保ちながら返せるのは約2,000万円。差は2,400万円です。
審査に通ったことは「返せる保証」ではありません。金利が上がる局面ではなおさらです。実際に世帯年収620万円で6,000万円のマンションを買った家庭がどうなったかは、こちらの記事で紹介しています。
家を買う人は、返済額に「持ち家の維持費」を上乗せして考える
表の「無理のない家賃・返済」は、賃貸ならそのまま家賃(管理費・共益費込み)の上限として使えます。
家を買う場合は、ここからさらに固定資産税・修繕の積み立て(マンションなら管理費・修繕積立金)が毎月1〜3万円かかります。「無理のない返済13万円」の世帯なら、ローン返済そのものは10〜12万円に抑えるのが安全圏です。
自分の数字で計算し直すには
この表は「平均的な生活費」で計算した目安です。車の有無、保育料、奨学金の返済があるかどうかで、住まいに回せる額は大きく変わります。
当サイトの住宅ローン借入可能額シミュレーターなら、ご自身の収入と毎月の支払いを入れて、フラット35の基準に沿った借入可能額を無料で計算できます。
予算の見当がついたら、その予算で買えるエリアの相場も確認してみてください。土地・住宅の相場検索ツールでは、全国1,500以上の市区町村の実勢価格を無料で調べられます。例えば兵庫県神戸市の中古マンション相場や愛知県名古屋市の土地相場のように、開いた瞬間に結果が表示されます。
ひとり親で住宅購入を考えている方は、シングルマザーの住宅ローン審査の記事も参考になるはずです。
この表の前提(正直に書いておきます)
- 生活費は総務省「家計調査」2025年の実データです。二人以上の世帯は第3-1表(世帯人員別・勤労者世帯のうち世帯主60歳未満)、単身は勤労者世帯の数値から、住居費(家賃・修繕)を除いた消費支出を使っています
- 生活費の平均は年収の高い世帯に引っ張られるため、第2-5表(年間収入十分位階級別)の消費支出カーブで、各年収帯の実際の支出水準に補正しています
- 「3人世帯=子1人」「4人世帯=子2人」は近似です(家計調査の区分は世帯人数のみのため)
- 手取りは給与収入のみ・1人で稼いだ場合の概算(社会保険料率14.6%、2025年分以降の給与所得控除・基礎控除で計算)。児童手当は含めていません
- 借入額は金利年3.25%(フラット35の2026年8月の最頻金利)・35年・元利均等・ボーナス返済なしで逆算しています。変動金利ならもっと借りられますが、金利上昇リスクを負うことになります(フラット35の金利動向の記事)
- フラット35の上限は、年収に対する年間返済額の割合(年収400万円未満30%・400万円以上35%)で計算される公式基準です
出典:総務省統計局「家計調査(家計収支編)」2025年/住宅金融支援機構「フラット35 ご利用条件」/住宅金融支援機構「最新の金利情報」


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