江東区で、大雨のときに水がたまるおそれがある道は3か所です。都道が1か所、区有通路が1か所、臨港道路が1か所。3か所とも、管理している役所が違います。
この3か所は、関東7都県の774か所のなかで種別がひとつも重なりません。「区有通路」と「臨港道路」にいたっては、774か所でここにしかない種別です。
この記事でわかること
- ✓ 3か所の管理者は東京都・江東区・東京港管理事務所。警察署も消防署も分かれます
- ✓ 国の都県別PDFには7行あり、地図の一覧に出てこない4か所は4つともトンネルです
- ✓ 区内159町丁目のうち46が標高0メートル未満。最低の東砂四丁目はマイナス2.8メートル、最高の海の森三丁目は28.0メートルです
箇所の数・種別・路線名・所在地・管理者は、国土交通省 関東地方整備局「道路冠水注意箇所」の東京都分と、箇所ごとの説明表から取りました。地図から開ける一覧が135か所、令和8年6月15日更新の都県別PDFが153か所です。関東7都県774か所の種別は、同じ一覧を全件集計した値。標高は国土地理院の標高データで、住所の代表点で引いた値です。浸水の記録は江東区の浸水履歴図、ハザードマップの土台と指定年月日は江東区と東京都下水道局、川の水位と江東内部河川の説明は東京都建設局、広域避難の文言は江東5区大規模水害ハザードマップから取りました。
3か所は、都道と区有通路と臨港道路です
地図から開ける一覧に載っている東京都の道路冠水注意箇所は135か所です。区市別に数えると江東区は3か所で、都内18番目でした。
| 管理番号 | 名称 | 種別 | 路線 | 所在地 | 標高 |
|---|---|---|---|---|---|
| 02-035 | 境川アンダーパス | 都道 | 特例都道474号 | 北砂二丁目 | -0.2m |
| 02-036 | 平成橋西側下 | 区有通路 | 6185号 | 東砂二丁目15番 | -1.3m |
| 02-119 | 湾岸アンダー | 臨港道路 | 東京湾岸アンダー線 | 青海一丁目〜港区台場一丁目 | 7.2m |
種別の欄が、3行とも違います。関東の774か所を種別で数えると、市道470、県道78、都道63、直轄国道36、町道30と続きます。
1か所しかない種別は5つあり、そのうち2つが江東区にあります。「区有通路」と「臨港道路」。774か所でここにしかない種別です。

区有通路が何なのかは、区が自分の言葉で書き分けています。土木部管理課の仕事のひとつが「江東区で管理している道路法上の道路(区道)、区有通路、準用道路の台帳の閲覧」。
区道と並べて、別のものとして数えられています。区有通路は、区が管理しているけれど道路法の道路ではない通路です。国のリストにある路線名は「6185号」で、区の道路番号図では6000番台が区有通路にあたります。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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電話をかける先が、3つとも違います
説明表には、箇所ごとに管理者と最寄りの警察署・消防署が書かれています。境川アンダーパスは東京都建設局道路管理部保全課(03-5320-5294)、平成橋西側下は江東区(03-3647-9111)、湾岸アンダーは東京港管理事務所港湾道路管理課(03-5463-0224)です。

警察署は城東警察署が2か所と東京湾岸警察署が1か所、消防署は城東消防署が2か所と深川消防署が1か所に分かれます。湾岸アンダーの所在地は「江東区青海1丁目〜港区台場1丁目」で、1か所で区をまたいでいます。
地図に出てこない4か所は、4つともトンネルです
同じ国土交通省が、同じ調査を2つの形で出しています。地図から箇所ごとの説明表を開ける一覧と、都県別のPDFです。
都県別PDFは令和8年6月15日更新で153か所。江東区はそこで6行あり、さらに「江東区・品川区」の1行が加わります。
一覧に出てこない4か所は、国道357号の東京港トンネル(江東区と品川区にまたがる)、第二航路海底トンネル、青海トンネル、東京港海の森トンネル。4つとも名前に「トンネル」が付いています。

このうち3つは、種別の欄が臨港道路です。PDFで臨港道路を数えると4か所あって、湾岸アンダーを含めた4か所とも江東区にあります。
地図側の一覧に無い箇所は、説明表も開けません。管理者も近くの消防署も、地図からはたどれないということです。

いちばん高い町にも、注意箇所があります
江東区の町丁目は159あります。代表点で標高を引くと、いちばん低いのが東砂四丁目のマイナス2.8メートル、いちばん高いのが海の森三丁目の28.0メートルでした。
159のうち46町丁目が、標高0メートルを下回っています。5メートル未満まで広げると141町丁目です。
冠水注意箇所のある町は、東砂二丁目がマイナス1.3メートル、北砂二丁目がマイナス0.2メートル、青海一丁目が7.2メートル。青海一丁目は、区内で高いほうから6番目です。
いちばん高い海の森三丁目は、都県別PDFに出てくる東京港海の森トンネルのある町です。区内でいちばん高い町と、海面より低い町が、同じ一覧に並んでいます。

この標高は、町丁目の代表点で引いた値です。道路の底そのものの高さではありません。くぐる道は前後より掘り下げてあるので、実際の路面はこれより低くなります。
川の水面は、機械で地面より低く保たれています
荒川と隅田川にはさまれた一帯を流れる11の川を、東京都は「江東内部河川」と呼んでいます。旧中川、小名木川、横十間川、大横川、仙台堀川などです。
その東側について、東京都建設局はこう書いています。「平常時は水位を周辺地盤より低い水位(A.P.-1.0m)に保っています。」
A.P.(エー・ピー)は荒川工事基準面という高さの基準で、荒川と東京湾のまわりで使われています。国土地理院の標高とは基準にしている面が違うので、2つの数字を並べて引き算はできません。
読み取れるのは、水門で締め切って、川の水面を周りの地面より低い位置に置いている、ということです。川が地面より低いのは、自然の条件ではなく機械で保っている状態です。

理由も同じページにあります。「明治以降、産業の発展に伴って地下水の汲みあげが盛んに行われ地盤沈下した結果、高潮や大地震などの自然災害に対する危険性が高い地域となっています。」
その先の話には、区の公式文書の言葉があります。平成30年8月初版の江東5区大規模水害ハザードマップは「大規模水害が起きる可能性がある場合には、江東5区のほぼ全域に広域避難勧告が発令されます」と書いています。「避難勧告」は2021年の法改正で「避難指示」に一本化されました。
同じハザードマップの1ページ目には「江東5区の浸水想定区域には250万人もの人が暮らしているため、避難に時間がかかることが予想されます」とあります。墨田・江東・足立・葛飾・江戸川の5区のことです。
この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
区が拡大図を付けたのは、木場六丁目と亀戸九丁目です
江東区には「浸水履歴図」というページがあります。「平成18年度から本日までの台風や大雨による浸水被害を示しています」。図のない年度は被害がなかった、という書き方です。
一覧図の凡例は3つです。「△:(床下浸水)〇:(床上浸水)実線:(道路冠水)」。道路の冠水が、床下・床上と並んで実線で記録されています。
その一覧図で、わざわざ拡大図が用意されているのは2か所だけ。「①木場六丁目付近 拡大図」と「②亀戸九丁目付近 拡大図」です。
国が挙げた北砂二丁目・東砂二丁目・青海一丁目と、区が拡大した木場六丁目・亀戸九丁目。2つの地図は、同じ場所を指していません。

内水の地図は、この春に法律の図になりました
江東区の水害ハザードマップは3種類。洪水、大雨浸水(内水)、高潮です。大雨浸水版は「雨水の排水能力が追い付かず、内水氾濫が発生したとき」の地図だと説明されています。
この大雨浸水版の土台が、2026年3月25日に差し替わりました。隅田川及び新河岸川流域と、江東内部河川流域の「雨水出水浸水想定区域図」です。根拠は水防法第14条の2第2項。
前の土台だった「浸水予想区域図」は、東京都が独自に作っていた図です。東京都下水道局が2026年3月に出した質問集の表では、根拠法令の欄が「なし」となっています。
前提にしている雨は、1時間最大153ミリ・24時間で690ミリ。都内の観測所で実際に記録された最大は、2025年9月11日の工大橋観測所で1時間137ミリでした。
その質問集には、塗られていない場所についての一文もあります。「低地や浸水実績のある箇所などでは、雨水出水浸水想定区域として指定されていなくても注意が必要です。」
浅くても危ない理由も書かれています。深さ10〜20センチの場所で流れの速さが毎秒1.5メートル以上になる箇所があり、だから塗る下限を10センチにした、という説明です。

今どこが浸かっているかを見るページがありません
では大雨の夜、その3か所が今どうなっているかを見られるか。区にも都にも、そのページは見あたりませんでした。
東京都建設局の道路情報から冠水でたどれるのは、国土交通省の注意箇所の地図(PDF)1本だけ。今の状態ではなく、どこが危ないかを示した静止した図です。
区が案内している区内のライブ映像は1つ、荒川沿いの「新砂船着場」だけです。水位は南砂町観測所、雨は東京アメッシュ、東京湾の潮位は東京都高潮防災総合システムで見られます。
土のうは区が配っています。申し込みは5月11日から10月10日まで、電話は03-3647-2538。対象は住宅だけで、店舗・事務所・事業所・駐車場には配られません。
水に入ってしまった車から出るまで

3か所とも、国の一覧の「アンダーパス等名称」の欄に名前が載っている道です。手前から見ると水面は平らに見えて、いちばん深い底は見えません。進んだ先が急に深いのが怖いところです。
JAF(ジャフ)のテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほとんど同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。割れるのは横の窓で、フロントガラスは合わせガラスなので脱出用ハンマーでも割れません。
車が動かなくなったら110番と119番へ。ドアの高さの半分を超えると、内側からはほぼ開けられません。外に出られないときは、無理に移動せず高いところで待ってください。
ほかの市はどうなっているか
同じ手順で、ほかの市区も1つずつ調べています。同じ資料でも、出てくる答えは場所ごとに変わります。
- 道路冠水マップ どこで見られるの?
- 足立区 冠水 どこが危ないの?(東京都) 7か所とも標高2メートル未満、千住旭町は海面より下です
- 板橋区 冠水 どこが危ないの?(東京都)
- 大田区 冠水 どこが危ないの?(東京都)
- 世田谷区 冠水 どこが危ないの?(東京都) 7か所とも標高31メートルより高い台地の上にあります
- 市川市 冠水 どこが危ないの?(千葉県)
この記事のまとめ
江東区で道路が冠水しやすい場所は3か所。都道1か所、区有通路1か所、臨港道路1か所で、管理者も警察署も消防署も分かれます。関東の774か所のうち、区有通路と臨港道路はこの区の1か所ずつだけでした。
都県別PDFで数えると7行あり、地図の一覧に出てこない4か所は4つともトンネルです。区内159町丁目のうち46が標高0メートル未満で、いちばん高い海の森三丁目にも注意箇所があります。区が浸水履歴一覧図で拡大図を付けたのは木場六丁目と亀戸九丁目で、国のリストとは別の場所でした。内水の地図は水防法の図へ変わりましたが、今どこが浸かっているかを見るページはありません。
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