「活断層のSランク(エスランク)」を調べると、全国に32あると書いたページと、31だと書いたページが出てきます。数えているものが違うだけで、どちらも間違いではありません。
ただし、その一覧の中身は2026年8月28日に入れ替わりました。大阪の上町(うえまち)断層帯はSランクから2段階下のZランクへ、神戸の六甲・淡路島断層帯は逆にSランクへ上がっています。自分の住む場所が一覧に載るかどうかが、この日を境に変わりました。
この記事でわかること
- ✓ Sランクは本表で36区間、名寄せして31断層帯
- ✓ 32は参考扱いの富士川河口を足した数
- ✓ 近畿は2026年8月28日に入れ替わった
数字は地震調査研究推進本部「今までに公表した活断層及び海溝型地震の長期評価結果一覧」(令和8年1月14日現在・確率の算定基準日2026年1月1日)から数えました。近畿の断層だけは、より新しい「近畿地域の活断層の長期評価(第一版)」(2026年8月28日公表)の値を併記しています。
Sランクの活断層はどこにあるか
赤い線がSランクの活断層帯です。図の中の白い箱か、その下のボタンを押すと、その地方の活断層マップへ移動します。地方ごとの記事には、断層1本ずつの詳細図と、通る市区町村の一覧が入っています。
線が中部に集まって見えるのは目の錯覚ではありません。31本のうち5本が中部・東海にあり、糸魚川-静岡構造線断層帯だけで3区間を占めています。
この図は位置関係をつかむための概略図です。実際の断層線は数十メートル単位で曲がっているので、自宅の真下を通るかどうかの判定には使えません。判定に使える地図は最後の節で案内します。
31・32・36は、どれも同じ表から出ている
一覧の「1-1.活断層の長期評価」の表を1行ずつ数えると、Sランクは36ありました。S*ランクが34、Sランクが2(塩沢断層帯と琵琶湖西岸断層帯の北部)です。
この36は「評価単位区間」の数です。区間とは、一度にまとめて動くとみなされる区切りのことで、長い断層帯は複数に分かれています。糸魚川-静岡構造線断層帯は3区間、日奈久断層帯・三浦半島断層群・砺波平野断層帯呉羽山断層帯はそれぞれ2区間が別々に載っています。
この重複を断層帯の名前で寄せると、36から5を引いて31になります。31は断層帯で数えたとき、36は区間で数えたときの数です。
| 数え方 | 数 | 中身 |
|---|---|---|
| 区間で数える | 36 | 一覧の本表の行数。S*34+S2 |
| 断層帯で名寄せする | 31 | 同じ断層帯の区間をまとめたもの |
| 参考ぶんを足す | 32 | 31+表の外にある富士川河口断層帯 |
検索すると出てくる「全国に32カ所」は、いちばん下の数え方です。本数を比べるときは、区間か断層帯か、参考を含むかを先にそろえてください。
表に載っていない断層が、全国で2番目に高い
富士川河口断層帯(静岡県富士市・富士宮市)は、一覧の本表ではなく「(参考)」の見出しの下に別に置かれています。数字はこうです。
| 想定 | 30年以内の確率 | 規模 | 最新活動時期 |
|---|---|---|---|
| ケースa | 10%〜18% | M8.0程度 | 13世紀後半以後、18世紀前半以前 |
| ケースb | 2%〜11%もしくはそれ以下 | M8.0程度 | 6世紀以後、9世紀以前、もしくはそれ以後 |
ケースaの10%〜18%は、本表の2位(糸魚川-静岡構造線断層帯の北部区間・0.01%〜16%)を上回ります。それでも本表に入っていないのは、この断層帯が駿河トラフの海溝型地震と一緒に動く可能性があり、地震の起こり方が2通り考えられているからです。
確率が低いから外されているのではありません。順位表だけを眺めていると、いちばん危ない場所のひとつを見落とします。
揺れた瞬間に、部屋の中で起きることを減らすもの
地震のけがの3〜5割は、屋内の家具類の転倒・落下・移動によるものです(東京消防庁)。壁にネジを打てない部屋でもできる手から並べます。
東京消防庁の実験では、L型金具で壁に直接ネジ止めするのが最も効果が高いとされています。賃貸で壁に穴を開けられない部屋での代わりがこれです。家具の両端の側板部を、できるだけ奥で突っ張ります。天井側にも強度が要ります。
突っ張り棒だけだと効きが落ちます。同じ資料が、ポール式にはストッパー式や粘着マット式の併用をすすめています。マット単独でも効果は小さいので、上の棒と2つで1組と考えてください。
お湯でも水でも作れて、袋のままおにぎりの形になります。断水すると鍋も食器も洗えません。洗い物の出ない形を先に入れておくと、水の減り方が変わります。
飲料水は1人1日3L。4人家族の1週間分で84L=2Lボトル42本なので、6本入りだと7ケースぶんです。5年保存タイプなら入れ替えの手間が減ります。
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近畿だけ、この一覧はもう古い
一覧は令和8年1月14日現在のものです。そのあと2026年8月28日に「近畿地域の活断層の長期評価(第一版)」が公表され、近畿の主要活断層帯は約20年ぶりに全面的に見直されました。
| 断層帯(区間) | 一覧(1月) | 近畿地域評価(8月28日) |
|---|---|---|
| 上町断層帯(主部) | S*ランク 2%〜3% | Zランク ほぼ0%〜0.003% |
| 六甲・淡路島断層帯(六甲山地南縁-淡路島東岸) | Aランク ほぼ0%〜1% | S*ランク ほぼ0%〜7% |
| 琵琶湖西岸断層帯(北部) | Sランク 1%〜3% | S*ランク 3%〜14% |
| 奈良盆地東縁断層帯 | S*ランク ほぼ0%〜5% | 京都盆地-奈良盆地断層帯(南部)S*ランク ほぼ0%〜6% |
上町断層帯が落ちて、六甲・淡路島断層帯が入るので、31という数そのものは変わりません。変わったのは中身です。大阪市の中心部を南北に通る断層がSランクから外れ、神戸の市街地の北側を通る断層が入りました。
琵琶湖西岸断層帯の北部区間は3%〜14%になり、全国では5番目に高い数字になります。最新活動時期が新しいと分かったり、確率の計算方法が見直されたりすると、確率はこれだけ動きます。
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Sランク36区間の一覧
確率の高い順です。並び順は一覧の表そのままで、区間が分かれている断層帯は区間ごとに載せています。※印は2026年8月28日の近畿地域評価で値が変わったものです。
| # | 断層帯(区間) | 30年以内の確率 | 規模 | 地方 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 糸魚川-静岡構造線断層帯(中北部区間) | 14%〜30% | M7.6程度 | 中部 |
| 2 | 糸魚川-静岡構造線断層帯(北部区間) | 0.01%〜16% | M7.7程度 | 中部 |
| 3 | 日奈久断層帯(八代海区間) | ほぼ0%〜16% | M7.3程度 | 九州 |
| 4 | 境峠・神谷断層帯(主部) | 0.02%〜13% | M7.6程度 | 中部 |
| 5 | 中央構造線断層帯(石鎚山脈北縁西部区間) | ほぼ0%〜12% | M7.5程度 | 四国 |
| 6 | 阿寺断層帯(主部/北部) | 6%〜11% | M6.9程度 | 中部 |
| 7 | 三浦半島断層群(主部/武山断層帯) | 6%〜11% | M6.6程度もしくはそれ以上 | 関東 |
| 8 | 安芸灘断層帯 | 0.1%〜10% | M7.2程度 | 中国 |
| 9 | 糸魚川-静岡構造線断層帯(中南部区間) | 0.9%〜8% | M7.4程度 | 中部 |
| 10 | 森本・富樫断層帯 | 2%〜8% | M7.2程度 | 北陸 |
| 11 | 山形盆地断層帯(北部) | 0.003%〜8% | M7.3程度 | 東北 |
| 12 | 高田平野断層帯(高田平野東縁断層帯) | ほぼ0%〜8% | M7.2程度 | 北陸 |
| 13 | 宍道(鹿島)断層(ケース2) | 0.9%〜6% | M7.0程度もしくはそれ以上 | 中国 |
| 14 | 警固断層帯(南東部) | 0.3%〜6% | M7.2程度 | 九州 |
| 15 | 砺波平野断層帯・呉羽山断層帯(砺波平野断層帯東部) | 0.04%〜6% | M7.0程度 | 北陸 |
| 16 | 弥栄断層 | ほぼ0%〜6% | M7.7程度 | 中国 |
| 17 | 日奈久断層帯(日奈久区間) | ほぼ0%〜6% | M7.5程度 | 九州 |
| 18 | 庄内平野東縁断層帯(南部) | ほぼ0%〜6% | M6.9程度 | 東北 |
| 19 | 新庄盆地断層帯(東部) | 5%以下 | M7.1程度 | 東北 |
| 20 | 黒松内低地断層帯 | 2%〜5%以下 | M7.3程度以上 | 北海道 |
| 21 | 櫛形山脈断層帯 | 0.3%〜5% | M6.8程度 | 北陸 |
| 22 | ※奈良盆地東縁断層帯 | ほぼ0%〜5% | M7.4程度 | 関西 |
| 23 | 砺波平野断層帯・呉羽山断層帯(呉羽山断層帯) | ほぼ0%〜5% | M7.2程度 | 北陸 |
| 24 | 高山・大原断層帯(国府断層帯) | ほぼ0%〜5% | M7.2程度 | 中部 |
| 25 | サロベツ断層帯 | 4%以下 | M7.6程度 | 北海道 |
| 26 | 塩沢断層帯 | 4%以下 | M6.8程度以上 | 関東 |
| 27 | 周防灘断層帯(周防灘断層帯主部区間) | 2%〜4% | M7.6程度 | 中国 |
| 28 | 菊川断層帯(中部区間) | 0.1%〜4% | M7.6程度 | 中国 |
| 29 | 雲仙断層群(南西部/北部) | ほぼ0%〜4% | M7.3程度 | 九州 |
| 30 | 木曽山脈西縁断層帯(主部/南部) | ほぼ0%〜4% | M6.3程度 | 中部 |
| 31 | 十日町断層帯(西部) | 3%以上 | M7.4程度 | 北陸 |
| 32 | ※上町断層帯 | 2%〜3% | M7.5程度 | 関西 |
| 33 | 三浦半島断層群(主部/衣笠・北武断層帯) | ほぼ0%〜3% | M6.7程度もしくはそれ以上 | 関東 |
| 34 | ※琵琶湖西岸断層帯(北部) | 1%〜3% | M7.1程度 | 関西 |
| 35 | 福智山断層帯 | ほぼ0%〜3% | M7.2程度 | 九州 |
| 36 | 長岡平野西縁断層帯 | 3%以下 | M8.0程度 | 北陸 |
※の4本の新しい値は、ひとつ上の節の表に書いたとおりです。上町断層帯(32番)はZランクへ下がったため、いまはSランクではありません。
日奈久断層帯の2区間(3番と17番)は、2026年7月28日の令和8年熊本地震より前の値です。この地震では日奈久断層帯の一部が動いています。次の改訂で数字は変わります。
うちに影響するのは、9本のどれですか?
住所を入れるだけ。影響の大きい活断層と、その地点の地盤増幅率・震度6弱以上の30年確率が出ます。会員登録も電話番号も要りません。
Sランクは「大きい地震」の順位ではない
この表には、直感と逆に見える並びが出てきます。
| 断層帯(区間) | 規模 | 30年確率 | 平均活動間隔 |
|---|---|---|---|
| 長岡平野西縁断層帯 | M8.0程度 | 3%以下 | 約1,200〜3,700年 |
| 弥栄(やさか)断層 | M7.7程度 | ほぼ0%〜6% | 約4,000〜13,000年 |
| 糸魚川-静岡構造線断層帯(中北部) | M7.6程度 | 14%〜30% | 600〜800年程度 |
| 阿寺(あてら)断層帯(主部/北部) | M6.9程度 | 6%〜11% | 約1,800〜2,500年 |
規模が最大の長岡平野西縁断層帯より、ひとまわり小さい糸魚川-静岡構造線断層帯のほうが確率は10倍近く高くなっています。差は動く間隔です。600年から800年ごとに動く断層は、1万年ごとに動く断層より「次」が近い。
30年確率は、揺れの大きさではなく、次の順番がどれだけ近いかを表しています。どのくらい揺れるかを知りたいときに見る数字ではありません。
確率が低いことは、安全という意味ではない

同じ一覧の冒頭に、確率値の留意点として2つの数字が書かれています。1995年の兵庫県南部地震は発生直前の確率が0.02%〜8%、2016年の熊本地震はほぼ0%〜0.9%でした。
熊本地震のほうは、起きる前の時点でSランクではありませんでした。それでも起きています。
一覧には「Zランクでも、活断層が存在すること自体、当該地域で大きな地震が発生する可能性を示す」とも書かれています。ランクは順番の近さの目安であって、安全証明ではありません。
上町断層帯がZランクに下がったからといって、大阪市の地下に断層が無くなったわけではないのと同じです。
海の活断層は、別の数え方で出ている
ここまでの31断層帯は、陸と沿岸の活断層です。海の活断層は別の評価として公表されていて、区域ごとの確率になっています。
| 評価 | 公表 | 区域ごとの30年確率(M7.0以上) |
|---|---|---|
| 日本海南西部(鳥取沖〜対馬〜五島) | 2022年3月 | 東部3〜7%/中部3〜6%/西部1〜3%(全体8〜13%) |
| 日本海中南部(近畿北方沖〜能登〜富山トラフ) | 2025年6月27日 | 東部12〜14%/西部4〜6%(全体16〜18%) |
陸の確率は断層1本のもの、海の確率は区域内のどれかが動くものなので、並べて大小を比べられません。日本海中南部の東部が12〜14%と高く見えるのは、その区域に14本の断層が入っているからです。
2024年の能登半島地震で動いた能登半島北岸断層帯は、この2025年6月の評価で初めて長さと位置が公表されました。それまでは、どの一覧にも載っていない断層でした。新潟県沖から北の日本海側は、これから順次公表される予定です。
自分の家の下を調べる
上の図は概略図なので、自宅の判定には使えません。番地の単位で見るなら次の3つです。どれも無料で、登録もいりません。
- 産業技術総合研究所 活断層データベース … 断層の線を地図上で確認できる
- 国土地理院 都市圏活断層図 … 地理院地図に重ねられる。主要な都市圏が整備済み
- 自治体のハザードマップ … 断層が動いたときの想定震度が町丁目の単位で色分けされている
私は、順位表で自分の地方を探すより先に、建物がいつの基準で建っているかを確かめるほうが効くと考えています。1981年6月以降の新耐震基準か、2000年6月以降の現行基準か。Sランクの断層から離れていても、旧耐震の建物は震度6弱で危なくなります。
長期評価の対象になっているのは、長さ20km程度以上といった条件を満たす主要活断層帯だけです。表に名前が無い地域が安全だという意味ではありません。
\この地図で終わりにしない/住所だけで30秒・無料
地方ごとの詳しい記事は 北海道・東北・北陸・関東・中部・東海・関西・中国・四国・九州 にあります。
よくある質問
Q. Sランクの活断層は全国にいくつありますか
A. 一覧の本表で36区間、断層帯の名前で寄せると31です。参考扱いの富士川河口断層帯を足すと32になります。どれも同じ表から出た数で、数える単位が違うだけです。
Q. 上町断層帯はまだSランクですか
A. いいえ。2026年8月28日の近畿地域の長期評価で、Zランク(ほぼ0%〜0.003%)に変わりました。最新活動時期が従来より新しいと分かったためで、断層が消えたわけではありません。
Q. 活断層が無い都道府県はどこですか
A. この31断層帯は北海道から九州まで9つの地方すべてにあります。表に名前が無い県は「長期評価の対象になる主要活断層帯が無い」という意味で、活断層が無いという意味ではありません。
Q. 一覧はいつ更新されますか
A. 確率の算定基準日は毎年1月1日で、年に一度は数字が動きます。このほかに地域評価や海域評価が出ると、その地域だけ先に書き換わります。近畿がまさにその状態です。
出典
- 地震調査研究推進本部「今までに公表した活断層及び海溝型地震の長期評価結果一覧」令和8年1月14日現在・確率の算定基準日2026年1月1日
- 地震調査研究推進本部「近畿地域の活断層の長期評価(第一版)」2026年8月28日
- 地震調査研究推進本部「日本海中南部の海域活断層の長期評価(第一版)」2025年6月27日
- 地震調査研究推進本部「日本海南西部の海域活断層の長期評価」2022年3月
- 産業技術総合研究所「活断層データベース」
図は当サイトが作成した概略図で、実際の断層の位置・長さを厳密に表したものではありません。長期評価は将来の発生可能性を示すもので、特定の場所・日時・被害を予測するものではありません。
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