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糸魚川静岡構造線 30年14〜30%で全国最大

今後30年以内に地震が起きる確率が国内でいちばん高い活断層は、長野県にあります。

糸魚川-静岡構造線(いといがわ-しずおかこうぞうせん)断層帯の中北部区間で、14%〜30%。安曇野市から諏訪湖の南までの約45kmです。全国の主要活断層帯を確率の高い順に並べた地震調査研究推進本部の一覧で、この区間が先頭に載っています。

南海トラフの地震とは別の話です。海のプレートの境目で起きる地震ではなく、内陸の浅いところで、足元の地面がずれて起きる地震のほうです。

この記事でわかること

  •  全国最大は糸魚川-静岡構造線断層帯の中北部区間で14%〜30%
  •  名古屋圏では養老-桑名-四日市断層帯の中部区間が0.04%〜14%
  •  1891年の濃尾地震で動いた濃尾断層帯は、いまZランク
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数字は地震調査研究推進本部「今までに公表した活断層及び海溝型地震の長期評価結果一覧」(令和8年1月14日現在)によるものです。確率の算定基準日は2026年1月1日。養老-桑名-四日市断層帯だけは、2026年8月28日に公表された一部改訂版の数字を使っています。
目次

中部・東海の活断層マップ

中部・東海の主な活断層帯の位置図

赤い線が主要な活断層帯です。図の中の断層名か、その下のボタンを押すと、その断層の詳細図と評価の節に移動します。詳細図には市や町の名前が入れてあります。

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この図は位置関係をつかむための概略図です。実際の断層線は数十メートル単位で曲がっているので、自宅の真下を通るかどうかの判定には使えません。判定に使える地図は最後の節で案内します。

揺れた瞬間に、部屋の中で起きることを減らすもの

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確率がいちばん高いのは長野県の糸魚川-静岡構造線

11本を、今後30年以内に地震が起きる確率の高い順に並べるとこうなります。区間が分かれている断層帯は、区間ごとに載せています。

断層帯(区間) 30年以内の確率 ランク 想定される規模
①糸魚川-静岡構造線断層帯(中北部区間) 14%〜30% S* M7.6程度
②富士川河口断層帯(ケースa・参考) 10%〜18% S* M8程度
①糸魚川-静岡構造線断層帯(北部区間) 0.01%〜16% S* M7.7程度
③養老-桑名-四日市断層帯(中部区間) 0.04%〜14% S* M6.9程度
④境峠・神谷断層帯(主部) 0.02%〜13% S* M7.6程度
⑤阿寺断層帯(主部・北部) 6%〜11% S* M6.9程度
①糸魚川-静岡構造線断層帯(中南部区間) 0.9%〜8% S* M7.4程度
⑥高山・大原断層帯(国府断層帯) ほぼ0〜5% S* M7.2程度
③養老-桑名-四日市断層帯(北部区間) ほぼ0〜4% S* M7.4程度
⑦木曽山脈西縁断層帯(主部・南部) ほぼ0〜4% S* M6.3程度
③養老-桑名-四日市断層帯(南部区間) 2% A M7.1程度
⑧恵那山-猿投山北断層帯 ほぼ0〜2% A* M7.7程度
⑨曽根丘陵断層帯 1% A M7.3程度
⑥高山・大原断層帯(高山断層帯) 0.7% A M7.6程度
⑧屏風山断層帯 0.2%〜0.7% A M6.8程度
③養老-桑名-四日市断層帯(鈴鹿沖区間) 0.4%〜0.6% A M6.8程度
①糸魚川-静岡構造線断層帯(南部区間) ほぼ0〜0.1% A M7.6程度
⑩濃尾断層帯(主部・根尾谷断層帯) ほぼ0% Z M7.3程度
⑪北伊豆断層帯 ほぼ0% Z M7.3程度
⑤阿寺断層帯(主部・南部) ほぼ0% Z M7.8程度
⑧猿投-高浜断層帯 ほぼ0% Z M7.7程度

ランクの意味はこうです。30年以内の確率が3%以上ならSランク、0.1〜3%がAランク、0.1%未満がZランク、データ不足で確率を出せないものがXランク。ランクに付く「*」は、前回の地震からの経過時間を平均活動間隔で割った「地震後経過率」が0.7以上であることを示します。

糸魚川-静岡構造線断層帯の中北部区間は経過率1.0〜2.0。平均活動間隔600〜800年に対して前回が約1,200〜800年前なので、すでに間隔を過ぎた計算になります。

表の数字が上限ではない断層が2本ある

一覧の注5に、こう書かれています。

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平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震に伴い、糸魚川-静岡構造線断層帯(中北部区間)、立川断層帯、双葉断層、三浦半島断層群(主部)、阿寺断層帯(主部/北部)では、地震発生確率が表の値より高くなっている可能性がある。

5本のうち2本が中部の断層です。東日本大震災で地面が引き伸ばされ、断層にかかる力が変わったためで、①の14〜30%も、⑤の6〜11%も、これより高い可能性があるという注意書きが付いている状態です。

なお「Zランクだから当分来ない」とは読めません。同じ資料に、1995年の兵庫県南部地震が起きる直前の確率は0.02〜8%、2016年の熊本地震はほぼ0〜0.9%だったと書かれています。

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①糸魚川-静岡構造線断層帯

糸魚川-静岡構造線断層帯の詳細図。長野県小谷村から松本市・諏訪市を経て山梨県早川町まで延びる位置を示す

項目 内容
通る主な市町村 長野県小谷村・白馬村・大町市・安曇野市・松本市・塩尻市・岡谷市・諏訪市・茅野市/山梨県北杜市・韮崎市・南アルプス市・早川町
長さ 約158km(北部・中北部・中南部・南部の4区間)
30年以内の確率 中北部 14%〜30%(S*)/北部 0.01%〜16%(S*)/中南部 0.9%〜8%(S*)/南部 ほぼ0〜0.1%(A)
想定される規模 北部 M7.7程度/中北部 M7.6程度/中南部 M7.4程度/南部 M7.6程度
最新活動時期 中北部は約1,200年前以降、約800年前以前(平均活動間隔600〜800年程度)

本州の真ん中を南北に走る地質の境目で、フォッサマグナの西の縁にあたります。長さは約158kmあり、4つの区間に分けて評価されています。

確率が突出しているのは中北部区間(明科-諏訪湖南方区間)です。安曇野市から諏訪湖の南までの約45kmで、左横ずれが主体。動いたときには最大9m程度の横ずれが生じると推定されています。平均活動間隔が600〜800年程度と短いのに、前回は約1,200〜800年前です。

一方、山梨県側の南部区間(白州-富士見山区間)は平均活動間隔が4,600〜6,700年程度で、確率はほぼ0〜0.1%のAランク。同じ名前の断層でも、区間が違えば桁が3つ変わります。 関東地域の長期評価では、この断層帯の周辺を1つの区域として、マグニチュード6.8以上の地震が30年以内に起きる確率を30〜40%と見積もっています。

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②富士川河口断層帯

富士川河口断層帯の詳細図。静岡県富士宮市から富士市を経て静岡市清水区に至る位置を示す

項目 内容
通る主な市区 静岡県富士宮市・富士市・静岡市清水区(旧由比町・旧蒲原町)
長さ 約26km以上(南方の海域へ延びていると推定される)
30年以内の確率 ケースa 10%〜18%/ケースb 2%〜11%もしくはそれ以下(いずれもS*)
想定される規模 M8程度(駿河トラフの海溝型地震と連動する場合)。陸上部が単独で動く場合はM7.2程度
断層の型 西側が東側に対して相対的に隆起する逆断層

この断層帯だけは、一覧の本表ではなく末尾の「(参考)」に載っています。駿河トラフで起きる海溝型地震と一緒に動くと考えられていて、ほかの活断層と同じ物差しでは比べられないためです。

過去の活動の読み方に2つの可能性があるので、ケースaとケースbに分けて評価されています。ケースaは平均活動間隔が150〜300年と短く、前回が13世紀後半から18世紀前半。経過率は0.9から2より大で、30年確率は10〜18%になります。動いたときの段差はケースaで1〜2m程度、ケースbでは10m程度と推定されています。

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③養老-桑名-四日市断層帯

養老-桑名-四日市断層帯の詳細図。岐阜県関ケ原町から三重県桑名市・四日市市を経て津市に至る位置を示す

項目 内容
通る主な市町 岐阜県関ケ原町/三重県東員町・桑名市・四日市市・鈴鹿市・津市
長さ 約64km(北部・中部・南部・鈴鹿沖の4区間)
30年以内の確率 中部 0.04%〜14%(S*)/北部 ほぼ0〜4%(S*)/南部 2%(A)/鈴鹿沖 0.4%〜0.6%(A)
想定される規模 北部 M7.4程度/中部 M6.9程度/南部 M7.1程度/鈴鹿沖 M6.8程度(全体が同時に動くとM7.8程度)
最新活動時期 中部区間は13世紀以後、16世紀以前(平均活動間隔800〜1,000年程度)

養老山地の東の縁から、濃尾平野と伊勢湾の西岸に沿って南へ延びる断層帯です。西側が東側に乗り上げる逆断層で、名古屋圏でいちばん確率が高いのはこの断層帯の中部区間、桑名市から四日市市までの区間になります。

ここは注意が必要です。2026年8月28日に長期評価が一部改訂され、それまで1本だった断層帯が4つの区間に分け直されました。一覧PDF(令和8年1月14日現在)には改訂前の「Aランク・0.7%」が載ったままですが、改訂後の中部区間は0.04%〜14%のS*ランクです。この記事では改訂版の数字を使っています。

中部区間の平均活動間隔は800〜1,000年程度で、前回は13世紀から16世紀。上下方向のずれの速度は1千年あたり2m以上と推定されています。南部区間(四日市市〜津市)は最新の活動時期が分かっていないため、ポアソン過程という別の計算方法で30年2%と出されています。

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うちに影響するのは、9本のどれですか?

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④境峠・神谷断層帯

境峠・神谷断層帯の詳細図。長野県松本市から木祖村・木曽町を経て伊那市に至る位置を示す

項目 内容
通る主な市町村 長野県松本市(安曇・奈川)・木祖村・木曽町日義・塩尻市奈良井・南箕輪村・伊那市
長さ 約47km(主部)。ほかに霧訪山-奈良井断層帯 約28km
30年以内の確率 主部 0.02%〜13%(S*)/霧訪山-奈良井断層帯 不明(X)
想定される規模 主部 M7.6程度(4m程度の左横ずれ)
最新活動時期 約4,900年前以後、約2,500年前以前(平均活動間隔1,800〜5,200年)

松本市の南西から木曽谷を通って伊那市へ抜ける、左横ずれが主体の断層帯です。0.02%から13%という幅の広さが目を引きますが、これには理由があります。

一覧の注7に「最新活動時期の年代幅が大きく、またそのため、平均活動間隔に関しても十分に時期を絞り込むことができなかった」と書かれています。幅が広いのは危険度が曖昧だからではなく、調査でまだ時期を絞り込めていないからです。上限の13%で読むならSランク、下限の0.02%ならZランクの領域に入ります。

北東へ延びる霧訪山-奈良井(むとうやま-ならい)断層帯は右横ずれで、過去の活動が分かっていないため確率が出せていません。

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⑤阿寺断層帯

阿寺断層帯の詳細図。岐阜県下呂市から中津川市に至る位置を示す

項目 内容
通る主な市町村 岐阜県下呂市・中津川市(旧加子母村・旧付知町・旧坂下町)/長野県木曽郡(旧山口村)
長さ 約66km(主部。北部と南部の2区間)。ほかに佐見断層帯 約25km、白川断層帯 約31km
30年以内の確率 主部・北部 6%〜11%(S*)/主部・南部 ほぼ0%(Z)
想定される規模 北部 M6.9程度/南部 M7.8程度(主部全体ではM7.9程度)
最新活動時期 北部は約3,400年前以後、約3,000年前以前(平均活動間隔1,800〜2,500年)

左横ずれが卓越する断層帯で、下呂市の北から中津川市の北東まで、北西から南東へ斜めに延びています。地表に段差がはっきり残っていることで知られる断層です。

確率が高いのは北部で6%〜11%。経過率は1.2〜1.9で、平均活動間隔をすでに過ぎています。さらに注5の対象でもあるので、この数字より高い可能性があるとされています。

対照的に南部はZランクです。1586年の天正地震で動いたばかりだからです。動いた直後の断層はしばらく力がたまらないので、確率は低く出ます。

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⑥高山・大原断層帯

高山・大原断層帯の詳細図。岐阜県高山市とその周辺に並ぶ断層の位置を示す

項目 内容
通る主な市 岐阜県高山市・飛騨市(旧国府町)・郡上市・下呂市
長さ 国府断層帯 約27km/高山断層帯 約48km/猪之鼻断層帯 約24km
30年以内の確率 国府断層帯 ほぼ0〜5%(S*)/高山断層帯 0.7%(A)/猪之鼻断層帯 不明
想定される規模 国府 M7.2程度/高山 M7.6程度/猪之鼻 M7.1程度
断層の型 いずれも右横ずれが卓越する

高山市の周辺、およそ40km四方の範囲に、北東から南西へ向かう断層が何本も並んでいます。そのうち3本が個別に評価されていて、確率が出ているのは国府断層帯と高山断層帯の2本です。

国府断層帯は最新の活動が約4,700年前から約300年前という広い幅でしか分かっておらず、その結果として確率もほぼ0から5%まで開いています。高山断層帯は最新活動時期そのものが不明なので、ポアソン過程で0.7%と計算されています。

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⑦木曽山脈西縁断層帯

木曽山脈西縁断層帯の詳細図。長野県木曽町から上松町・大桑村・南木曽町を経て岐阜県中津川市に至る位置を示す

項目 内容
通る主な市町村 長野県木曽町・上松町・大桑村・南木曽町/岐阜県中津川市東部
長さ 約46km(主部)。ほかに清内路峠断層帯 約34km
30年以内の確率 主部・南部 ほぼ0〜4%(S*)/主部・北部 ほぼ0%(Z)/清内路峠断層帯 不明
想定される規模 北部 M7.5程度/南部 M6.3程度(主部全体ではM7.6程度)
断層の型 北部の北半部は逆断層、南半部と南部は右横ずれが主体

木曽谷の東側、中央アルプスの西の麓に沿って南北に延びる断層帯です。北部と南部で確率が逆転していて、確率が高いのは規模の小さいほうの南部になります。

北部は13世紀頃に動いたと推定されていて、平均活動間隔6,400〜9,100年に対して経過率0.08〜0.1。まだ1割も経っていない計算です。南部はM6.3程度と想定される規模が小さく、そのぶん間隔が短いためSランクに入っています。規模が小さいから安心という話ではなく、M6.3でも真上の集落では震度6弱から6強になり得ます。

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⑧屏風山・恵那山断層帯及び猿投山断層帯

屏風山・恵那山断層帯及び猿投山断層帯の詳細図。岐阜県中津川市から愛知県豊田市・大府市を経て知多半島に至る位置を示す

項目 内容
通る主な市町 岐阜県中津川市・恵那市・瑞浪市/愛知県豊田市・大府市・西尾市・東海市・半田市・南知多町
長さ 恵那山-猿投山北 約51km/猿投-高浜 約51km/加木屋 約35km/屏風山 約15km
30年以内の確率 恵那山-猿投山北 ほぼ0〜2%(A*)/屏風山 0.2%〜0.7%(A)/加木屋 0.1%(A)/猿投-高浜 ほぼ0%(Z)
想定される規模 恵那山-猿投山北 M7.7程度/猿投-高浜 M7.7程度/加木屋 M7.4程度/屏風山 M6.8程度
最新活動時期 恵那山-猿投山北は約7,600年前以後、約5,400年前以前

名古屋の東から知多半島にかけて、5つの断層帯に分けて評価されています。数の多さのわりに、この一帯の確率はいずれも2%以下です。

規模で見ると話が変わります。恵那山-猿投山北断層帯と猿投-高浜断層帯は、どちらもM7.7程度。猿投-高浜断層帯は豊田市から大府市を通って西尾市まで、人口の多い地域を縦に貫いています。確率がほぼ0%なのは、最新の活動が約14,000年前頃と古く、平均活動間隔が4万年程度と長いためです。

加木屋(かぎや)断層帯は東海市から半田市を経て南知多町まで、知多半島を南北に走ります。最新活動時期が分かっていないためポアソン過程で0.1%と計算されています。

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⑨曽根丘陵断層帯

曽根丘陵断層帯の詳細図。山梨県甲州市から甲府市・中央市を経て市川三郷町に至る位置を示す

項目 内容
通る主な市町 山梨県甲州市・笛吹市・甲府市・中央市・市川三郷町
長さ 約32km
30年以内の確率 1%(Aランク)
想定される規模 M7.3程度(2〜3m程度の段差やたわみ)
最新活動時期 約10,000年前以後(平均活動間隔2,000〜3,000年程度)

甲府盆地の南東の縁に沿って延びる逆断層です。南東側が北西側に対して相対的に隆起します。

最新の活動が「約10,000年前以後」としか分かっていません。平均活動間隔2,000〜3,000年に対して幅が大きすぎるため、時間がたつほど確率が上がる通常のモデルではなく、確率が時間によらず一定と考えるポアソン過程で計算しています。その結果が30年1%です。甲府市の市街地は、この断層帯と糸魚川-静岡構造線断層帯の南部区間にはさまれた位置にあります。

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⑩濃尾断層帯

濃尾断層帯の詳細図。福井県池田町から岐阜県本巣市・岐阜市北部を経て美濃加茂市に至る位置を示す

項目 内容
通る主な市町 福井県池田町・大野市/岐阜県本巣市・岐阜市北部・山県市・関市・美濃加茂市・揖斐川町
長さ 主部 約55km/温見断層 約36km/揖斐川断層帯 約24km/武儀川断層 約29km
30年以内の確率 根尾谷断層帯・梅原断層帯・温見断層(北西部) いずれもほぼ0%(Z)
想定される規模 根尾谷 M7.3程度/梅原 M7.4程度/温見 M7.4程度(主部全体ではM7.7程度)
最新活動時期 1891年濃尾地震

1891年(明治24年)の濃尾地震で動いた断層帯です。マグニチュード8.0、内陸で起きた地震としては国内最大級で、死者は7,000人を超えました。本巣市根尾には、このときにできた高さ6mの段差が「根尾谷断層」としていまも残り、国の特別天然記念物に指定されています。

確率はいずれもZランクです。根尾谷断層帯の平均活動間隔は約2,100〜3,600年で、前回から135年しか経っていません。経過率は0.04〜0.06です。

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⑪北伊豆断層帯

北伊豆断層帯の詳細図。静岡県三島市から函南町・伊豆の国市を経て伊豆市に至る位置を示す

項目 内容
通る主な市町 神奈川県箱根町・湯河原町/静岡県三島市・熱海市・函南町・伊豆の国市・伊豆市
長さ 約32km
30年以内の確率 ほぼ0%(Zランク)
想定される規模 M7.3程度(2〜3m程度の左横ずれ)
最新活動時期 1930年北伊豆地震(平均活動間隔1,400〜1,500年程度)

伊豆半島の北部を南北に走る左横ずれ断層です。1930年(昭和5年)の北伊豆地震で動きました。函南町の丹那盆地には、このとき約2.4mずれた跡が「丹那断層」として保存されています。

同じ年に貫通した丹那トンネルは、工事中にこの地震に遭い、掘っていた坑道がずれました。経過率は0.06〜0.07。濃尾断層帯と同じ理由でZランクです。

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動いたばかりの断層が、いちばん低いランクになる

この11本には、確率がほぼ0%のZランクが4つあります。並べてみると共通点がはっきりします。

断層 最後に動いた地震 30年確率
濃尾断層帯(根尾谷断層帯) 1891年 濃尾地震(M8.0) ほぼ0%
北伊豆断層帯 1930年 北伊豆地震(M7.3) ほぼ0%
阿寺断層帯(主部・南部) 1586年 天正地震 ほぼ0%
猿投-高浜断層帯 約14,000年前頃 ほぼ0%

活断層の確率は「前回からどれだけ時間が経ったか」を平均活動間隔で割って出します。だから近代に大地震を起こした断層ほど、いまの確率は低く出ます。濃尾断層帯が動いたのは135年前で、平均活動間隔は2千年以上。まだ5%ほどしか経っていません。

跡津川(あとつがわ)断層帯(1858年 飛越地震)や牛首断層帯も、同じ理由でZランクです。

逆に言えば、Zランクが並んでいる地域は「過去に大地震が起きた地域」です。 地盤の揺れやすさや、木造住宅の古さは変わりません。確率の数字だけを見て安心する場所ではないという読み方になります。

南海トラフと、この11本は数えているものが違う

静岡・愛知・三重で地震といえば南海トラフですが、この11本とは別のものを数えています。南海トラフ地震はフィリピン海プレートが沈み込む海のプレート境界で起きる地震で、陸の浅いところにある活断層の地震ではありません。

11本のうち例外は②富士川河口断層帯だけです。駿河トラフの海溝型地震と連動して動くと評価されているため、一覧でもほかの活断層と分けて「参考」に載っています。

つまり南海トラフの確率を見ても、自宅の下の活断層のことは分かりません。備える中身(建物の耐震性と室内の安全)は重なりますが、数字は別々に見る必要があります。揺れ方も違い、海溝型は遠くから長くゆっくり、直下型は近くで短く激しく揺れます。

自宅の下を通っているか調べる

上の図は概略図なので、自宅の判定には使えません。番地の単位で見るなら次の3つです。どれも無料で、登録もいりません。

  1. 産業技術総合研究所 活断層データベース … 断層の線を地図上で確認できる
  1. 国土地理院 都市圏活断層図 … 地理院地図に重ねられる。名古屋・岐阜・松本・諏訪・豊橋などが整備済み
  1. 自治体のハザードマップ … 断層が動いたときの想定震度が町丁目の単位で色分けされている

私はこの11本を、「避けて住む対象」ではなく建物の年代を決める材料だと見ています。158kmもある糸魚川-静岡構造線から完全に離れて住むのは現実的ではないし、南海トラフのほうは避けようがない。結局は建物の耐震性に戻ってきます。1981年6月以降の新耐震基準か、2000年6月以降の現行基準か。そこを先に確認するほうが、断層線との距離を測るより効きます。

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ほかのエリアは 関西の活断層マップ/地震のリスクと備え東京の活断層マップ/線が引けるのは立川断層帯だけ日奈久断層帯の割れ残り 八代海区間は動いていない にまとめています。

よくある質問

Q. 糸魚川-静岡構造線とフォッサマグナは同じものですか

A. 違います。フォッサマグナは本州の中央部にある溝状の広い地帯で、糸魚川-静岡構造線はその西の縁にあたる境目の線です。長期評価の対象になっているのは、この線に沿って分布する活断層のほうです。

Q. 名古屋市の下に活断層はないのですか

A. 名古屋市の市街地を通る主要活断層帯の線は引かれていません。ただし濃尾平野は厚い堆積層に覆われていて、断層があっても地表に痕跡が出にくい土地です。線が無いことは安全の証明ではありません。市の東には猿投-高浜断層帯、西には養老-桑名-四日市断層帯があります。

Q. 濃尾地震で動いた断層は、もう安全ということですか

A. その断層が次に動くまでには時間がかかると考えられていますが、地域として安全になるわけではありません。周辺には別の断層があり、地盤の揺れやすさも変わりません。

Q. 養老-桑名-四日市断層帯の確率が資料によって違うのはなぜですか

A. 2026年8月28日に長期評価が一部改訂され、4つの区間に分け直されたためです。それ以前の資料には1本の断層帯としての数字が載っています。この記事は改訂後の数字を使っています。

出典

図は当サイトが作成した概略図で、実際の断層の位置・長さを厳密に表したものではありません。長期評価は将来の発生可能性を示すもので、特定の場所・日時・被害を予測するものではありません。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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