東北で活断層の地震発生確率がいちばん高いのは、仙台でも福島でもなく山形県です。山形盆地断層帯の北部が今後30年で0.003〜8%、新庄盆地断層帯の東部が5%以下。仙台市の中心部を貫く長町-利府線断層帯は1%以下です。
ただし、この数字だけを見て安心はできません。2011年4月11日に福島県浜通りで起きたM7.0(最大震度6弱・死者4人)で地表にずれが現れたのは、下に並べた8本のどれでもない断層でした。
この記事でわかること
- ✓ 最高は山形盆地断層帯の北部で8%
- ✓ 仙台を貫く長町-利府線は1%以下
- ✓ 2011年に動いたのは評価対象外の断層
数字は地震調査研究推進本部「今までに公表した活断層及び海溝型地震の長期評価結果一覧」(令和8年1月14日現在)と、断層ごとの長期評価によるものです。確率の算定基準日は2026年1月1日です。
東北の活断層マップ
赤い線が活断層です。図の中の断層名か、その下のボタンを押すと、その断層の詳細図と評価の節に移動します。
この図は位置関係をつかむための概略図です。実際の断層線は数十メートル単位で曲がっているので、自宅の真下を通るかどうかの判定には使えません。判定に使える地図は最後の節で案内します。
揺れた瞬間に、部屋の中で起きることを減らすもの
地震のけがの3〜5割は、屋内の家具類の転倒・落下・移動によるものです(東京消防庁)。壁にネジを打てない部屋でもできる手から並べます。
東京消防庁の実験では、L型金具で壁に直接ネジ止めするのが最も効果が高いとされています。賃貸で壁に穴を開けられない部屋での代わりがこれです。家具の両端の側板部を、できるだけ奥で突っ張ります。天井側にも強度が要ります。
突っ張り棒だけだと効きが落ちます。同じ資料が、ポール式にはストッパー式や粘着マット式の併用をすすめています。マット単独でも効果は小さいので、上の棒と2つで1組と考えてください。
お湯でも水でも作れて、袋のままおにぎりの形になります。断水すると鍋も食器も洗えません。洗い物の出ない形を先に入れておくと、水の減り方が変わります。
飲料水は1人1日3L。4人家族の1週間分で84L=2Lボトル42本なので、6本入りだと7ケースぶんです。5年保存タイプなら入れ替えの手間が減ります。
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確率が高いのは山形の2本
東北の8本を、今後30年以内に地震が起きる確率の高い順に並べるとこうなります。区間に分かれているものは区間ごとに載せています。
| 断層(区間) | 30年以内の確率 | ランク | 想定される規模 |
|---|---|---|---|
| ⑥山形盆地断層帯(北部) | 0.003〜8% | S* | M7.3程度 |
| ⑤新庄盆地断層帯(東部) | 5%以下 | S* | M7.1程度 |
| ⑥山形盆地断層帯(南部) | 1% | A | M7.3程度 |
| ④長町-利府線断層帯 | 1%以下 | A | M7.0〜7.5程度 |
| ⑤新庄盆地断層帯(西部) | 0.6% | A | M6.9程度 |
| ①青森湾西岸断層帯 | 0.5〜1% | A | M7.3程度 |
| ③北上低地西縁断層帯 | ほぼ0% | Z | M7.8程度 |
| ⑦福島盆地西縁断層帯 | ほぼ0% | Z | M7.8程度 |
| ⑧双葉断層 | ほぼ0% | Z | M6.8〜7.5程度 |
| ②折爪断層 | 不明 | X | 最大M7.6程度 |
ランクの意味はこうです。30年以内の確率が3%以上ならSランク、0.1〜3%がAランク、0.1%未満がZランク、データ不足で確率を出せないものがXランク。ランクに付く「*」は、前回の地震からの経過時間を平均活動間隔で割った「地震後経過率」が0.7以上であることを示します。
表の並びと、想定される地震の規模の並びが一致していないことに気づいたでしょうか。規模がいちばん大きいM7.8程度の2本(③北上低地西縁と⑦福島盆地西縁)は、確率ではどちらもほぼ0%です。活動の間隔が1万6千年から2万6千年と長く、前回からまだ数千年しか経っていないためです。確率は「規模の大きさ」ではなく「前回からどれだけ間隔が進んだか」で決まります。
そして確率が低いことは安全の保証ではありません。一覧の注記にはっきり「Zランクでも、活断層が存在すること自体、当該地域で大きな地震が発生する可能性を示す」と書かれています。1995年の兵庫県南部地震が起きる直前の確率は0.02〜8%、2016年の熊本地震はほぼ0〜0.9%でした。
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①青森湾西岸断層帯

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通る主な市町村 | 青森市・東津軽郡蓬田村(あおもりし・ひがしつがるぐんよもぎたむら) |
| 30年以内の確率 | 0.5〜1%(Aランク) |
| 想定される規模 | M7.3程度 |
| 平均活動間隔 | 3,000〜6,000年程度 |
| 最新の活動 | 不明 |
青森市の市街地のすぐ西側を、蓬田村から南北に約31km。西側が相対的に隆起する逆断層です。
注意したいのは最新活動時期が「不明」であることです。前回いつ動いたか分からないため、時間が経つほど確率が上がっていくモデルが使えず、確率は時間的に変わらないとみなす計算方法(ポアソン過程)で出されています。同じ理由で地震後経過率も出せません。0.5〜1%という数字は「前回からの経過を織り込んでいない値」だと受け取ってください。
②折爪断層

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通る主な市町村 | 三戸郡五戸町(旧・倉石村)・二戸市・岩手郡葛巻町(くずまきまち) |
| 30年以内の確率 | 不明(Xランク) |
| 想定される規模 | 最大M7.6程度(試算値) |
| 平均活動間隔 | 不明 |
| 最新の活動 | 不明 |
青森県から岩手県へ、最大47km程度の長さがある可能性があります。北部は辰ノ口撓曲(たつのくちとうきょく)と呼ばれるたわみです。
この断層について一覧はこう書いています。第四紀に活動した断層であることはほぼ確かだが、第四紀後期に活動を繰り返している確かな証拠は見つかっていない。そのため「M7.6程度」という数字も、断層全体が一つの区間として活動した場合の試算値に過ぎない、と明記されています。Xランクは「確率が低い」ではなく「計算できない」という意味です。
③北上低地西縁断層帯

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通る主な市町村 | 紫波郡矢巾町(しわぐんやはばちょう)・花巻市・北上市・奥州市(旧・胆沢町) |
| 30年以内の確率 | ほぼ0%(Zランク) |
| 想定される規模 | M7.8程度 |
| 平均活動間隔 | 16,000〜26,000年 |
| 最新の活動 | 4,500年前頃 |
盛岡市の南、矢巾町から奥州市まで62km。奥羽山地と北上低地の境目に沿って、西側が隆起する逆断層が並んでいます。想定されるM7.8程度は東北で最大級です。
確率がほぼ0%なのは、平均活動間隔が1万6千年から2万6千年と極端に長いからです。前回が4,500年前頃なので、地震後経過率は0.2〜0.3。間隔の2割から3割しか進んでいない計算になります。規模が大きいことと、いま起きやすいことは別の話だと分かる典型例です。
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④長町-利府線断層帯

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通る主な市町村 | 仙台市・宮城郡利府町・柴田郡村田町 |
| 30年以内の確率 | 1%以下(Aランク) |
| 想定される規模 | M7.0〜7.5程度 |
| 平均活動間隔 | 3,000年程度以上 |
| 最新の活動 | 約16,000年前以後 |
東北の8本で唯一、政令指定都市の市街地を貫いています。利府町から仙台市を通って村田町まで、長さは21〜40km。長町-利府線のほか、大年寺山断層、鹿落坂(ししおちざか)断層、坪沼断層、円田(えんだ)断層などから構成されます。
この断層帯も最新活動時期が「約1万6千年前以後」としか絞り込めていません。平均活動間隔が3千年程度以上なので、間隔に対して幅が広すぎて経過を計算できず、ポアソン過程で確率を出しています。地震後経過率は求められていません。
確率は1%以下ですが、直下の断層が動いた場合の揺れは震源からの距離が近いぶん強くなります。仙台市は、この断層帯が動いた場合の揺れの強さと液状化の危険度を 長町-利府断層による地震「地域の危険度マップ」 として公開しています。市内を約250m四方に区切った細かさなので、自分の地区を探せます。
⑤新庄盆地断層帯

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通る主な市町村 | 新庄市・最上郡舟形町(東部)/最上郡鮭川村・大蔵村(西部) |
| 30年以内の確率 | 東部 5%以下(S*ランク)/西部 0.6%(Aランク) |
| 想定される規模 | 東部 M7.1程度/西部 M6.9程度 |
| 平均活動間隔 | 東部 4,000年程度/西部 4,700年程度 |
| 最新の活動 | 東部 約6,200年前以後/西部 不明 |
新庄盆地の東の縁と西の縁の、両方に断層があります。東部は新庄市から舟形町まで約22kmで東側が隆起。西部は鮭川村から大蔵村まで約17kmで西側が隆起。盆地が両側から挟まれて沈んでいる形です。
東部が東北で2番目に高い評価です。地震後経過率が「1.6以下」となっているのは、平均活動間隔4,000年に対して前回の活動が6,200年前以後と推定されているためで、間隔をすでに超えている可能性があるという意味になります。
⑥山形盆地断層帯

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通る主な市町村 | 北村山郡大石田町・村山市・西村山郡河北町・寒河江市・東村山郡中山町・山辺町・山形市・上山市 |
| 30年以内の確率 | 北部 0.003〜8%(S*ランク)/南部 1%(Aランク) |
| 想定される規模 | いずれもM7.3程度 |
| 平均活動間隔 | 北部 約2,500〜4,000年/南部 2,500年程度 |
| 最新の活動 | 北部 約3,900年前以後・約1,600年前以前/南部 不明 |
山形盆地の西の縁を、大石田町から上山市まで約60km。8つの市と町を通り、県庁所在地の山形市もその一つです。北部(大石田町〜寒河江市)と南部(寒河江市〜上山市)に分かれます。
北部の30年確率0.003〜8%は東北で最も高い数字です。地震本部は評価文の中で、この上限値を取ると「今後30年の間に地震が発生する可能性が、我が国の主な活断層の中では高いグループに属する」と書いています。幅が広いのは最新活動時期が約3,900年前以後・約1,600年前以前と幅を持って推定されているためで、経過率も0.4〜1.6と開きます。
南部は最新活動時期が分かっておらず、ポアソン過程で1%。同じ1本の断層帯でも、北と南で評価の前提が違います。
⑦福島盆地西縁断層帯

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通る主な市町村 | 福島市/宮城県刈田郡蔵王町・白石市 |
| 30年以内の確率 | ほぼ0%(Zランク) |
| 想定される規模 | M7.8程度 |
| 平均活動間隔 | 8,000年程度 |
| 最新の活動 | 約2,200年前以後、3世紀以前 |
名前は「福島」ですが、長期評価の本文では宮城県刈田郡蔵王町から白石市を経て福島市西部に至る断層帯とされています。県境をまたいで約57km。村田断層、白石断層、越河(こすごう)断層、藤田東断層、藤田西断層、桑折(こおり)断層、台山断層、土湯断層などから構成されます。
上の図では福島県の範囲だけを描いていますが、実際は宮城県側にも延びています。白石市や蔵王町にお住まいなら、この断層は「隣の県の話」ではありません。
想定はM7.8程度で③北上低地西縁と並ぶ東北最大級。ただし前回の活動から2,200年ほどで、平均活動間隔8,000年に対して経過率0.2〜0.3です。
⑧双葉断層

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通る主な市町村 | 南相馬市(旧・原町市)・相馬市/宮城県亘理郡亘理町 |
| 30年以内の確率 | ほぼ0%(Zランク)※下記の注記あり |
| 想定される規模 | M6.8〜7.5程度 |
| 平均活動間隔 | 8,000〜12,000年程度 |
| 最新の活動 | 約2,400年前以後、2世紀以前 |
宮城県亘理町から相馬市を経て南相馬市まで、16〜40km。東北の8本のうち唯一、左横ずれが主体の断層です(西側が隆起する成分を伴います)。
この断層には、ほかの7本には付いていない注記があります。一覧の注5に、2011年の東北地方太平洋沖地震に伴って地震発生確率が表の値より高くなっている可能性があると書かれており、全国で5つ挙げられたそのうちの1本が双葉断層です。表の数字はほぼ0%ですが、その但し書きごと読む必要があります。
2011年に動いたのは、この8本ではない
2011年4月11日17時16分、福島県浜通りの深さ6kmでM7.0の地震が起きました。最大震度6弱、死者4人、負傷者10人。東北地方太平洋沖地震のちょうど1か月後です。
このとき地表にずれが現れたのは、井戸沢断層と湯ノ岳断層でした。どちらもこのページの8本には入っていません。地震本部が長期評価の対象としている主要活断層帯ではないからです。産業技術総合研究所の現地調査では、いわき市田人町から同市綱木まで約13kmにわたって地表の断層が確認されています。田んぼやあぜ道、舗装道路が系統的にずれ、山の中では木が倒れ、川がせき止められました。
さらに地震調査委員会の資料には、この震源周辺では東北地方太平洋沖地震より前はM3.0以上の地震がほとんど起きていなかったと書かれています。静かだった場所が、M9をきっかけに動いたということです。
同じ一覧には、参考として東北地方太平洋沖地震そのものの「発生直前の確率」も載っています。30年以内で10〜20%、平均発生間隔は600年程度、地震後経過率0.83〜1.00。このページのどの活断層より高い数字が、あの地震には付いていました。東北で先に想定されていたのは海溝型のほうで、実際にそちらが先に起きたことになります。
つまり、確率の表は「評価されている断層についての順位表」であって、「ここ以外では起きない」という地図ではありません。そして東北は、陸の活断層を地域全体でまとめて見直す「活断層の地域評価」がまだ公表されていない地方です。公表されているのは関東・近畿・中国・四国・九州の5地域で、東北はこれからになります。8本という数字は、東北に活断層が8本しかないという意味ではありません。
自宅の下を通っているか調べる
上の図は概略図なので、自宅の判定には使えません。番地の単位で見るなら次の3つです。どれも無料で、登録もいりません。
- 産業技術総合研究所 活断層データベース … 断層の線を地図上で確認できる
- 国土地理院 都市圏活断層図 … 地理院地図に重ねられる
- 自治体のハザードマップ … 断層が動いたときの想定震度が数百メートル四方の細かさで色分けされている
私は東北について、活断層の線から何メートル離れているかより、その土地の揺れやすさを先に見るべきだと考えています。2011年に動いたのが評価対象外の断層だった以上、線を避けて土地を選ぶという発想が成り立たないからです。同じ震度の揺れでも、盛り土や谷を埋めた造成地、川沿いの砂地では被害が変わります。地盤の増幅率は住所から無料で調べられます。
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ほかの地域は 関西の活断層マップ/地震のリスクと備え、東京の活断層マップ/線が引けるのは立川断層帯だけ、中央構造線 四国の5区間は評価が大きく違う にまとめています。
よくある質問
Q. 仙台の下に活断層はありますか
A. 長町-利府線断層帯が仙台市の中心部を北東から南西に横切っています。30年以内の確率は1%以下(Aランク)、想定はM7.0〜7.5程度です。
Q. M9のあと内陸の地震は増えたのですか
A. 2011年4月11日の福島県浜通りの地震(M7.0)について、地震調査委員会は「震源周辺では東北地方太平洋沖地震の発生以降、地震活動が活発化している」と評価しています。双葉断層は確率が表の値より高くなっている可能性があると注記されています。
Q. 東北の活断層は8本だけですか
A. 長期評価の対象になっている主要活断層帯が8本という意味です。東北は地域全体をまとめて見直す「活断層の地域評価」がまだ公表されていない地方で、2011年に動いた井戸沢断層のように対象外の断層もあります。
出典
- 地震調査研究推進本部「今までに公表した活断層及び海溝型地震の長期評価結果一覧」令和8年1月14日現在・確率の算定基準日2026年1月1日
- 地震調査研究推進本部「主要活断層帯の長期評価」各断層の評価文
- 地震調査研究推進本部 地震調査委員会「2011年4月の地震活動の評価」平成23年5月11日
図は当サイトが作成した概略図で、実際の断層の位置・長さを厳密に表したものではありません。長期評価は将来の発生可能性を示すもので、特定の場所・日時・被害を予測するものではありません。
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