Yahoo!知恵袋に「中央構造線沿いで地震が相次いでいますか?大丈夫ですか?#至急」という質問が残っています。四国で活断層を調べる人の多くが、南海トラフと中央構造線を同じ心配として抱えています。
この2つは別の地震です。そして中央構造線そのものも、四国を通る5つの区間で評価がまったく違います。いちばん高い区間はほぼ0〜12%、いちばん低い区間はほぼ0%です。
この記事でわかること
- ✓ 四国の最高は石鎚山脈北縁西部区間でほぼ0〜12%
- ✓ 同じ中央構造線でも伊予灘区間はZランク
- ✓ 南海トラフと中央構造線は別々に評価されている
数字は地震調査研究推進本部「今までに公表した活断層及び海溝型地震の長期評価結果一覧」(令和8年1月14日現在)の四国地域の表によるものです。確率の算定基準日は2026年1月1日です。
四国の活断層マップ
赤い線が活断層です。図の中の断層名か、その下のボタンを押すと、その断層の詳細図と評価の節に移動します。この5本が、地震調査委員会が四国地域で詳しく評価している活断層のすべてです。
この図は位置関係をつかむための概略図です。実際の断層線は数十メートル単位で曲がっているので、自宅の真下を通るかどうかの判定には使えません。判定に使える地図は最後の節で案内します。
揺れた瞬間に、部屋の中で起きることを減らすもの
地震のけがの3〜5割は、屋内の家具類の転倒・落下・移動によるものです(東京消防庁)。壁にネジを打てない部屋でもできる手から並べます。
東京消防庁の実験では、L型金具で壁に直接ネジ止めするのが最も効果が高いとされています。賃貸で壁に穴を開けられない部屋での代わりがこれです。家具の両端の側板部を、できるだけ奥で突っ張ります。天井側にも強度が要ります。
突っ張り棒だけだと効きが落ちます。同じ資料が、ポール式にはストッパー式や粘着マット式の併用をすすめています。マット単独でも効果は小さいので、上の棒と2つで1組と考えてください。
お湯でも水でも作れて、袋のままおにぎりの形になります。断水すると鍋も食器も洗えません。洗い物の出ない形を先に入れておくと、水の減り方が変わります。
飲料水は1人1日3L。4人家族の1週間分で84L=2Lボトル42本なので、6本入りだと7ケースぶんです。5年保存タイプなら入れ替えの手間が減ります。
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中央構造線は区間で評価が違う
四国の5本を、今後30年以内に地震が起きる確率の高い順に並べるとこうなります。中央構造線断層帯は区間ごとに載せています。
| 断層(区間) | 30年以内の確率 | ランク | 想定される規模 |
|---|---|---|---|
| ①中央構造線(石鎚山脈北縁西部区間) | ほぼ0〜12% | S* | M7.5程度 |
| ①中央構造線(讃岐山脈南縁東部区間) | 1%以下 | A | M7.7程度 |
| ①中央構造線(讃岐山脈南縁西部区間) | ほぼ0〜0.4% | A | M8.0程度もしくはそれ以上 |
| ①中央構造線(石鎚山脈北縁区間) | 0.02%以下 | Z | M7.3程度 |
| ①中央構造線(伊予灘区間) | ほぼ0% | Z | M8.0程度もしくはそれ以上 |
| ②長尾断層帯 | ほぼ0% | Z | M7.3程度 |
| ③上法軍寺断層 | 不明 | X | M6.0程度 |
| ④上浦-西月ノ宮断層 | 不明 | X | M6.5程度 |
| ⑤綱附森断層 | 不明 | X | M6.7程度 |
ランクの意味はこうです。30年以内の確率が3%以上ならSランク、0.1〜3%がAランク、0.1%未満がZランク、データ不足で確率を出せないものがXランク。ランクに付く「*」は、前回の地震からの経過時間を平均活動間隔で割った「地震後経過率」が0.7以上であることを示します。
同じ1本の断層帯の中で、S*ランクとZランクが混ざっているのが四国の特徴です。松山市の北を通る石鎚山脈北縁西部区間は平均活動間隔が約700〜1,300年と短く、前回が15〜18世紀。いっぽう伊予灘区間は約2,900〜3,300年間隔で、前回が17〜19世紀です。「中央構造線の近くだから危ない」とは一概に言えません。
なお「Zランクだから当分来ない」とは読めません。同じ資料に、1995年の兵庫県南部地震が起きる直前の確率は0.02〜8%、2016年の熊本地震はほぼ0〜0.9%だったと書かれています。
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①中央構造線断層帯

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通る主な市町 | 松山市・伊予市・西条市・新居浜市・四国中央市(愛媛県)/三好市・美馬市・吉野川市・阿波市・徳島市(徳島県) |
| 四国の区間 | 伊予灘/石鎚山脈北縁西部/石鎚山脈北縁/讃岐山脈南縁西部/讃岐山脈南縁東部の5つ |
| 30年以内の確率 | 石鎚山脈北縁西部 ほぼ0〜12%(S*)が最も高い。伊予灘はほぼ0%(Z) |
| 想定される規模 | M7.3〜8.0程度(区間による) |
日本最大級の断層帯で、四国を東西に横断しています。四国で30年確率がいちばん高いのは石鎚山脈北縁西部区間のほぼ0〜12%で、全国の主要活断層帯のなかでも上位に入ります。松山市の北側から西条市にかけての区間です。
詳細図に、5つの区間の境目が入れてあります。自分の市がどの区間に近いかで、評価の意味が変わります。
②長尾断層帯

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通る主な市町 | 高松市・さぬき市・綾川町(香川県) |
| 30年以内の確率 | ほぼ0%(Zランク) |
| 想定される規模 | M7.3程度 |
| 最新活動時期 | 8世紀以後、16世紀以前(平均活動間隔は概ね30,000年程度) |
高松市の市街地の南側を東西に通ります。平均活動間隔が概ね30,000年程度と非常に長く、地震後経過率は0.01〜0.04。前回の活動から、次までの数%しか進んでいない計算になります。
ただし規模はM7.3程度で、高松市の人口集中地区に近い位置にあります。確率と被害の大きさは別に見る必要があります。
うちに影響するのは、9本のどれですか?
住所を入れるだけ。影響の大きい活断層と、その地点の地盤増幅率・震度6弱以上の30年確率が出ます。会員登録も電話番号も要りません。
③上法軍寺断層

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通る主な市町 | 丸亀市・善通寺市・琴平町・綾川町・多度津町・まんのう町(香川県) |
| 30年以内の確率 | 不明(Xランク) |
| 想定される規模 | M6.0程度(断層の長さから計算した値) |
| 地表の長さ | 約5km |
地表で確認できる長さが約5kmと短い断層です。長さから計算するとM6.0程度になりますが、地域評価では規模の下限としてM6.8を用いて評価しています(一覧PDF 注4)。平均活動間隔が不明なので、確率は出せません。
④上浦-西月ノ宮断層

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通る主な市町 | 徳島市・鳴門市・板野町・上板町(徳島県) |
| 30年以内の確率 | 不明(Xランク) |
| 想定される規模 | M6.5程度(断層の長さから計算した値) |
| 位置 | 徳島市の北西、吉野川の北側にあたる山沿い |
中央構造線のすぐ北を並走する位置にあります。徳島市の市街地からは10km程度しか離れていません。こちらも平均活動間隔が不明で、確率は出せていません。
⑤綱附森断層

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通る主な市町 | 香美市・大豊町(高知県)/三好市(徳島県) |
| 30年以内の確率 | 不明(Xランク) |
| 想定される規模 | M6.7程度(断層の長さから計算した値) |
| 位置 | 高知県北東部、徳島県との県境に近い山地。物部川の上流側 |
高知県で唯一、地域評価の対象になっている活断層です。高知市街からは50km以上離れた山の中にあります。高知県で内陸の活断層の評価が1本しかないのは、それだけ地表で確認できる断層が少ないという意味で、地下に無いことの証明ではありません。
南海トラフと中央構造線は別の地震
知恵袋には「中央構造線が動くと、どのような地震が発生するのですか?某大学教授が四国…」という質問もあります。南海トラフより中央構造線のほうが大きいという説明を見かけて不安になった人の質問です。
この2つは、評価の枠組みからして別です。南海トラフの地震は、フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込む境目で起きる海溝型地震として評価されています。中央構造線断層帯は、陸の浅いところにある活断層として、区間ごとに評価されています。確率の数字も別々に出ていて、足したり比べたりするものではありません。
規模で見ると、中央構造線断層帯は区間ごとにM7.3〜8.0程度、南海トラフはM8〜9クラスです。ただし揺れの強さは規模だけでは決まらず、震源からの距離と地盤で変わります。内陸の活断層は真上の揺れが強くなるので、「規模が小さいから安心」とは言えません。
自宅の下を通っているか調べる
上の図は概略図なので、自宅の判定には使えません。番地の単位で見るなら次の3つです。どれも無料で、登録もいりません。
- 産業技術総合研究所 活断層データベース … 断層の線を地図上で確認できる
- 国土地理院 都市圏活断層図 … 地理院地図に重ねられる
- 自治体のハザードマップ … 断層が動いたときの想定震度が町丁目の単位で色分けされている
私は四国について、活断層より先に南海トラフの津波と、建物の建築年を見るべきだと考えています。内陸の活断層で確率が出ているのは中央構造線の一部だけで、残りは「わからない」だからです。わからないものを避けて土地を選ぶことはできません。1981年6月以降の新耐震基準か、2000年6月以降の現行基準か。そこを確認するほうが先に効きます。
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関西の9本は 関西の活断層マップ/地震のリスクと備え、関東の5本は 東京の活断層マップ/線が引けるのは立川断層帯だけ にまとめています。
よくある質問
Q. 中央構造線は南海トラフより大きいのですか
A. 規模で見ると南海トラフのほうが大きく、M8〜9クラスと想定されています。中央構造線断層帯は区間ごとにM7.3〜8.0程度です。ただし内陸の活断層は真上の揺れが強くなるので、規模だけでは比べられません。
Q. 高知県には活断層が1本しかないのですか
A. 地域評価の対象になっているのは綱附森断層だけです。ただしこれは「地表で確認できる断層が少ない」という意味で、地下に無いことの証明ではありません。高知県で想定が大きいのは南海トラフのほうです。
Q. Xランクの断層はどう受け止めればいいですか
A. 「確率が低い」ではなく「過去の活動データが少なく、確率を計算できない」という意味です。地震調査委員会は、Xランクを「すぐに地震が起きることが否定できない」と説明しています。
出典
- 地震調査研究推進本部「今までに公表した活断層及び海溝型地震の長期評価結果一覧」令和8年1月14日現在・確率の算定基準日2026年1月1日(四国地域の表)
- 地震調査研究推進本部「四国地域の活断層の地域評価」
- 産業技術総合研究所「活断層データベース」
図は当サイトが作成した概略図で、実際の断層の位置・長さを厳密に表したものではありません。長期評価は将来の発生可能性を示すもので、特定の場所・日時・被害を予測するものではありません。
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