🗨️「景気は「改善」と発表されているのに、家計は楽になりません。どこがずれているの?」
景気動向指数の一致指数は10個の指標でできていますが、その中に賃金も物価も入っていません。生産と出荷と販売額を見ている指数なので、家計の実感とずれるのは当然の作りです。
[経済] この記事の要点
2026年9月14日 発表
- 住宅ローンの金利がこの先どうなるかを気にしている人
- 景気の発表と自分の生活の感覚が合わないと感じている人
- 設備投資や採用の判断を控えている事業者
7月分の数字
内閣府が9月7日に公表した令和8年7月分の速報値です。基準は2020年=100です。
| 指数 | 7月 | 前月差 | 連続 |
|---|---|---|---|
| 先行指数 | 117.9 | +1.7 | 2か月ぶりの上昇 |
| 一致指数 | 120.6 | +1.7 | 2か月連続の上昇 |
| 遅行指数 | 113.3 | +1.6 | 2か月連続の上昇 |
基調判断は「改善」で、前月から据え置かれました。判断は当月の数字だけでなく、3か月と7か月の後方移動平均の動きも合わせて機械的に決める仕組みです。7月は3か月平均が+0.77で7か月連続、7か月平均が+0.85で7か月連続の上昇でした。
上げたのは何か
一致指数は10個の個別指標を合成して作ります。7月に押し上げに効いたものを、寄与度の大きい順に並べます。
| 指標 | 7月の値 | 寄与度 |
|---|---|---|
| 投資財出荷指数(除輸送機械) | 109.0 | +0.68 |
| 商業販売額(小売業・前年同月比) | 4.0% | +0.47 |
| 鉱工業用生産財出荷指数 | 102.1 | +0.25 |
| 輸出数量指数 | 106.4 | +0.22 |
| 有効求人倍率(除学卒) | 1.18倍 | ▲0.01 |
機械や設備の出荷と、小売店の販売額が伸びた月です。一方で有効求人倍率は1.18倍で、4月からほとんど動いていません。
10指標に入っていないもの
ここが実感とずれる理由です。一致指数を作る10個の指標は、生産指数、生産財の出荷、耐久消費財の出荷、労働投入量、投資財の出荷、小売業と卸売業の販売額、営業利益、有効求人倍率、輸出数量です。
賃金は入っていません。消費者物価も入っていません。つまりこの指数は「どれだけ作って、どれだけ動かして、どれだけ売れたか」を測るもので、「手取りが増えたか」「買えるものが増えたか」は測っていません。改善と出ていても家計が楽にならないのは、そもそも見ているものが違うからです。
景気動向指数(CI一致指数)は、改善を示している。
内閣府 経済社会総合研究所「景気動向指数(令和8年7月分速報)結果の概要」2026年9月7日
家計の側を見たいなら、実質賃金(厚生労働省の毎月勤労統計)と消費者物価指数を並べるほうが早く分かります。景気動向指数は、そこへ行く前の「経済が動いているか」を見る道具です。
住宅ローンを借りている人にどう効くか
この指数が直接、金利を決めるわけではありません。ただし基調判断が「改善」で続いている間は、政策金利を上げる側の材料として扱われます。変動金利で借りている人にとっては、その先にある見直し月の適用金利が関係してきます。
いま確認できるのは、自分の契約が変動か固定か、次の見直しがいつか、5年ルールと125%ルールが付いているかの3つです。指数の発表を追うより、返済予定表を1回開くほうが確実です。
生活・仕事にどう効くか
- 金利:景気が改善と判断されている間は、政策金利を上げる側の材料になる。変動金利で借りている人は見直し月の適用金利に影響しうる。
- 家計:一致指数10指標に賃金も消費者物価も入っていない。指数が上がっても、手取りが増えたことを意味しない。
- 仕事:上昇に効いたのは投資財の出荷と小売業の販売額。設備投資と店頭の売上は動いているが、有効求人倍率は1.18倍で横ばい。
結局どうすればよいか
- 「改善」という言葉だけで判断せず、どの指標が押し上げたかを見る
- 家計の実感を測るなら、景気動向指数ではなく実質賃金と消費者物価を見る
- 変動金利で借りているなら、次の見直し月と適用金利を返済予定表で確認する
公式出典
- 内閣府 経済社会総合研究所「景気動向指数(令和8年7月分速報)結果の概要」(2026年9月7日発表)
更新履歴
- 2026年9月14日 初版を公開
※本記事は2026年9月14日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
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