環太平洋火山帯は、太平洋の縁に地震と火山が多く並ぶ地域の通称です。リング・オブ・ファイアとも呼ばれますが、ひと続きの火山帯が連動して燃えているわけではありません。
地震のおよそ90%が集まる一方、最新のSmithsonian(スミソニアン協会)集計で環太平洋に含まれる完新世火山は世界の57%です。「地震90%」「最大級の地震81%」「火山57%」は、数えているものが違います。
この記事でわかること
- ✓ リング・オブ・ファイアは科学上の正式な一本線ではなく、複数の地域をまとめた通称
- ✓ 地震約90%・最大級の地震約81%・完新世火山57%は、分母がそれぞれ違う
- ✓ 日本は環太平洋の一部だが、海外の地震や噴火が続くだけで連鎖とは判断できない
この記事は2026年9月14日時点のUSGS(ユーエスジーエス・米国地質調査所)、Smithsonian Global Volcanism Program(スミソニアン・グローバル・ボルカニズム・プログラム)、NOAA(ノア・米国海洋大気庁)、気象庁の公開資料を確認して作成しています。
環太平洋火山帯はどこにある?
太平洋の周囲を馬蹄形にたどると、南米西岸、中米、北米西岸、アラスカ・アリューシャン列島、カムチャツカ、千島列島、日本、フィリピン周辺、ニューギニア、ニュージーランドへ続きます。

ただし、どこまでを含めるかは資料によって違います。Smithsonianは、インドネシアの多くはオーストラリアプレートとスンダプレートの境界にあり、主な太平洋盆地のプレートと直接つながらないとして、同機関の定義から除いています。伊豆・小笠原・マリアナの扱いにも条件があります。
地図の赤い線を国境のような確定線として読むのではなく、太平洋の周縁に複数の沈み込み帯や横ずれ境界が集まる、大きな地学的な帯として見るのが正確です。
リング・オブ・ファイアは科学用語ではない
Smithsonian Global Volcanism Programは、Pacific Ring of Fire(パシフィック・リング・オブ・ファイア)を科学用語ではなく、火山活動の高い太平洋周辺の多くの地域を示す通俗的な表現だと説明しています。
名前が広まったのはプレートテクトニクスが確立するより前です。Smithsonianの調査では、ドイツの地理学者カール・リッターが1859年に太平洋周辺の火山を「Circle of Fire(サークル・オブ・ファイア)」「Ring of Fire(リング・オブ・ファイア)」と表現した記録があります。
環太平洋の隣り合う火山が、地下の一つの巨大なマグマだまりでつながっているわけではありません。地域ごとにプレートと地殻の条件が異なります。
揺れた瞬間に、部屋の中で起きることを減らすもの
地震のけがの3〜5割は、屋内の家具類の転倒・落下・移動によるものです(東京消防庁)。壁にネジを打てない部屋でもできる手から並べます。
東京消防庁の実験では、L型金具で壁に直接ネジ止めするのが最も効果が高いとされています。賃貸で壁に穴を開けられない部屋での代わりがこれです。家具の両端の側板部を、できるだけ奥で突っ張ります。天井側にも強度が要ります。
突っ張り棒だけだと効きが落ちます。同じ資料が、ポール式にはストッパー式や粘着マット式の併用をすすめています。マット単独でも効果は小さいので、上の棒と2つで1組と考えてください。
お湯でも水でも作れて、袋のままおにぎりの形になります。断水すると鍋も食器も洗えません。洗い物の出ない形を先に入れておくと、水の減り方が変わります。
飲料水は1人1日3L。4人家族の1週間分で84L=2Lボトル42本なので、6本入りだと7ケースぶんです。5年保存タイプなら入れ替えの手間が減ります。
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地震の90%と最大級の81%は別の数字
USGSは、規模を限定しない世界の地震のおよそ90%が環太平洋地震帯で起きると説明しています。別のUSGS解説では、世界最大級の地震の約81%が環太平洋地震帯、約17%がアルプス・ヒマラヤ地震帯です。

約90%と約81%の差は、片方が地震全体、もう片方が大きな地震に絞った割合だからです。ニュースや解説で割合を見るときは、数字より先に「何を数えたか」を確認します。
読者
地震の約90%なら、残りの地域では大地震は起きない?
起きます。アルプス・ヒマラヤ地震帯や大西洋中央海嶺があり、プレート内部でも地震は発生します。90%はゼロと100%を分ける境界ではありません。
火山は75%ではなく最新定義で57%
「世界の活火山の75%がリング・オブ・ファイア」という説明をよく見ます。しかし、活火山の定義、集計期間、環太平洋の範囲が示されなければ比較できません。
Smithsonianの「Volcanoes of the World(ボルケーノズ・オブ・ザ・ワールド)」2026年8月7日版では、同機関の環太平洋定義に入る完新世火山は687。世界全体1,214の57%です。1960年以降に噴火が確認された火山は196で世界の59%、噴火回数は1,543で世界の68%でした。
| 数え方 | 環太平洋 | 世界全体 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 完新世火山 | 687 | 1,214 | 57% |
| 1960年以降に噴火した火山 | 196 | 333 | 59% |
| 1960年以降の確認噴火 | 1,543 | 2,258 | 68% |
同じデータベースでも「火山の数」と「噴火の回数」で割合が変わります。75%を一律に否定するのではなく、この記事では定義と分母が公開された最新値を使います。
沈み込み帯で地震と火山が並ぶ理由
太平洋周辺では、海洋プレートが別のプレートの下へ沈み込む収束境界が多くあります。境界が固着してひずみを蓄え、急にずれると地震になります。海底が上下に動けば津波につながります。

沈み込む海洋プレートから供給される水などが上部のマントルの融点を下げ、マグマが生まれやすくなるため、海溝にほぼ平行な火山弧ができます。日本列島やアンデス山脈の火山列は、この仕組みの代表です。
一方、北米西岸のサンアンドレアス断層は横ずれ境界です。環太平洋の輪郭にあっても、全域が沈み込みだけでできているわけではありません。
相次ぐ地震や噴火は連鎖なのか
日本、アラスカ、南米などで地震や噴火が続くと、リング全体が活発化したように見えます。しかし、環太平洋は単一の装置ではありません。離れた地域は別々のプレート境界、断層、マグマ供給系で動いています。
短い期間に複数の現象が起きたことだけでは、因果関係は確認できません。少なくとも、発生時刻が近い、同じ「リング・オブ・ファイア」にある、という二点だけで連鎖を断定することはできません。
確認すべきなのは、各国の観測機関が震源の位置・深さ・発震機構、火山性地震・地殻変動・噴出物をどう評価しているかです。広い呼び名より、個別の観測結果が先です。
日本は環太平洋の西側にある
日本の東側では太平洋プレート、南側ではフィリピン海プレートが沈み込みます。そのため、日本海溝・千島海溝・伊豆小笠原海溝・相模トラフ・南海トラフなど、地震と津波を考える複数の境界があります。
日本が環太平洋火山帯に含まれることは、明日の地震を予測する情報ではありません。どの海溝・トラフに面するか、陸の浅い活断層がどこにあるか、自宅の地盤と建物はどうかへ順に絞り込む必要があります。
世界地図から自宅の備えへ戻る
環太平洋に住んでいる事実は変えられませんが、室内の被害、断水、避難の遅れは減らせます。世界地図の次に見るのは、自治体の想定震度・津波・液状化、住所付近の地盤、建物の耐震性能です。
| 段階 | 見る資料 | 判断すること |
|---|---|---|
| 世界 | 環太平洋・プレート地図 | 地震が集中する大きな理由 |
| 地域 | 海溝・活断層・震源分布 | どのタイプの地震を想定するか |
| 住所 | 地盤・液状化・津波・浸水 | 自宅周辺の弱点 |
| 室内 | 家具固定・備蓄・避難動線 | 今日変えられる被害要因 |
よくある質問
環太平洋火山帯と環太平洋造山帯の違いは?
火山帯は火山の分布に注目した呼び方、造山帯は地殻変動で山地や島弧が形成される広い帯に注目した呼び方です。日常的には重なる地域を指しますが、見ている現象が違います。
リング・オブ・ファイアにはどの国が入りますか?
南北アメリカ西岸、アラスカ、日本、フィリピン周辺、ニュージーランドなどが代表です。ただし、インドネシアやマリアナなどを含める範囲は資料によって違います。
環太平洋の地震が日本へ連鎖しますか?
同じ帯にあるだけでは連鎖と判断できません。離れた地域は別々の断層・プレート境界で動いているため、各観測機関の個別評価を確認します。
公式出典
- USGS「Where do earthquakes occur?」
- USGS「Ring of Fire」
- Smithsonian Global Volcanism Program「Pacific Ring of Fire」
- NOAA Ocean Exploration「Plate Boundaries」
- 気象庁「地震発生のしくみ」
※2026年9月14日確認。環太平洋の範囲と火山数はSmithsonian GVPの2026年8月7日版定義に基づきます。
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