枚方市で土地を探している人が最初に目にする数字は、たいてい地価公示の坪44.5万円です。ところが枚方市で実際に売れた土地の坪単価は、中央値で49.6万円。公示を土台に予算を組むと、最初の1軒を見に行った時点で資金計画を作り直すことになります。
この11.5%の差を「枚方市の土地が値上がりしている」と読まないでください。地価公示は国が選んだ住宅地の標準地を鑑定した価格、成約価格は実際に売買が成立した土地の値段です。数えている対象がそもそも別なので、2つを引き算しても値動きは出てきません。
この記事では、国土交通省が公表している枚方市の土地成約190件と、住宅地の地価公示60地点を同じ縮尺で並べます。町別に24町ぶんの成約データもあるので、市の中央値がどのくらい粗い数字なのかも合わせて見えます。
先に結論
- 枚方市の土地の成約中央値は坪49.6万円(190件)。地価公示(住宅地60地点)の中央値44.5万円との差は11.5%です
- この差は値動きではありません。公示は住宅地の標準地だけ、成約には条件のよい土地も悪い土地も混ざります
- 1区画の面積の中央値は138㎡(41.7坪)。土地だけの概算総額は2,070万円です
- 町別は、成約5件以上の三栗と南中振で1.8倍。3件の町まで入れると2.2倍まで開きます
- 建物込みなら中古戸建てが坪122.8万円、新築戸建てが坪139.2万円(どちらも建物の延床坪あたり)
枚方市の土地は坪49.6万円。公示価格は坪44.5万円
成約が4件以上あった町を坪単価の高い順に並べました。比較のために、枚方市全体の成約の中央値と、地価公示(住宅地)の中央値も同じ縮尺で入れています。
枚方市の土地の成約価格(坪単価の中央値・2024年4Q〜2025年4Q)。町別の集計は成約3件以上の24町で、グラフには成約4件以上あった町から9町を抜き出しました。「地価公示の中央値」は住宅地60地点の中央値です
自分の町の相場を調べる
この記事の数字は市全体の中央値です。町ごとの相場は住所を入れるとその場で出ます。グラフに載せたのは24町のうち9町だけなので、候補地の住所で確かめてください。
このツールは農地や山林が混ざった極端な取引も除かずに集計します。そのため市全体の数字はこの記事より低く出ます。町ごとの傾向を見るのに使ってください。
グラフの2本の濃い棒が、この記事の主題です。枚方市全体の成約の中央値が坪49.6万円、地価公示の中央値が坪44.5万円。その差が11.5%にあたります。
並べてみると、公示の44.5万円は養父丘の44.6万円と南中振の43.0万円のあいだに沈みます。グラフに載せた9町のうち8町が公示より上、下は南中振だけです。三栗の79.3万円や牧野本町の62.8万円を候補にしている人にとって、公示価格は予算の目安として機能していません。逆に南中振の43.0万円は公示より低く、公示を基準にすると土地代を多めに見積もることになります。
西禁野・星丘・香里ケ丘の3町は、いずれも坪49.6万円で枚方市全体の中央値とぴったり同じ値でした。成約件数は5件・9件・10件で、町別の中では厚いほうです。枚方市の相場を1点で言うならこのあたり、という位置づけの町が3つ並んでいます。
公示価格と成約価格がずれる理由
地価公示は、国が選んだ標準地を不動産鑑定士が評価して毎年公表する価格です。枚方市の住宅地は60地点あり、その中央値が坪44.5万円。一方の成約価格は、2024年第4四半期から2025年第4四半期までに実際に売れた190件で、中央値は坪49.6万円です。この190件からは、坪単価が極端に離れた3件をあらかじめ除いてあります。
違いは2つあります。1つは、公示の60地点が住宅地に限られていること。もう1つは、成約の190件には条件のよい土地も悪い土地も混ざっていることです。除外したあとでも、枚方市の成約の坪単価は1坪8.9万円から128.9万円まで開いています。
母集団が違う2つの数字を引き算しても、値上がり・値下がりは出てきません。公示価格と成約価格は、同じ土地を別の角度から測った数字ではなく、別の集団を測った数字です。
事実として、公示の中央値は坪44.5万円、成約の中央値は坪49.6万円、その差は11.5%です。そのうえで私は、この11.5%を街の評価ではなく集計対象の違いとして読むべきだと考えています。値上がりが理由なら公示を下回る成約が少ないはずですが、町別に見ると南中振43.0万円、上島町39.7万円、藤阪元町39.7万円、田口36.4万円と、公示の44.5万円より低い町が並んでいるからです。上に外れる取引と下に外れる取引の両方が、同じ190件の中に入っています。
1区画は41.7坪。土地だけで概算2,070万円
枚方市で成約した土地1区画の面積の中央値は138㎡、坪に直すと41.7坪です。坪単価の中央値49.6万円と掛け合わせると、土地代は概算で2,070万円になります。
これはあくまで概算です。41.7坪と49.6万円は別々に取った中央値なので、この値段で売れた1件が実在するわけではありません。桁を確かめるための数字として使ってください。ここに仲介手数料と登記費用が乗り、建物の代金は別に必要になります。
同じ41.7坪を公示価格の坪44.5万円で見積もれば、当然これより安い額が出ます。土地を買って家を建てる計画では、土地代がずれたぶんを吸収する先が建物側しかありません。土地の価格は交渉の幅が小さく、後から動かせるのは建物の仕様だからです。
町別に並べると三栗と南中振で1.8倍
町別の集計は成約3件以上の24町ぶんあります。このうち成約が5件以上あった町どうしで比べると、三栗(5件)の79.3万円と南中振(5件)の43.0万円で1.8倍です。枚方市で予算を左右するのは、この1.8倍のほうだと考えてください。
3件の町まで含めると差はもう少し開いて、三栗(5件)と田口(3件)で2.2倍になります。ただし成約3件の中央値は、1件の取引が入れ替わるだけで動きます。だからこの記事は見出しにも結論ボックスにも、件数のある1.8倍を置いています。
村野本町の坪10.9万円は、枚方市の中央値の4分の1を下回る水準です。市街化調整区域や農地・山林が混ざっている可能性があります。成約は3件しかありません。ここを「枚方市でいちばん安い町」として候補に入れると、そもそも家を建てられない土地を見に行くことになります。売り出し中の土地で周辺よりはっきり安いものを見つけたときは、地目と都市計画上の区分を先に確かめる順番です。どちらも市の窓口か仲介会社に聞けばその場で分かります。
上の帯には、グラフに入れた三栗のほかに香里園町(3件・79.3万円)、船橋本町(3件・76.0万円)、町楠葉(3件・72.7万円)が並びます。いずれも成約3件なので、順位は幅を持って読んでください。グラフから外した渚西(4件・51.2万円)と出口(4件・43.0万円)も、成約4件以上の町です。
成約がいちばん多かったのは香里ケ丘の10件で、坪単価は49.6万円。市全体の中央値と同じ値です。次に多い星丘の9件も49.6万円でした。町名ごとの一覧から入りたい人は枚方市の町別ページを、市全体をならした数字は枚方市の不動産相場をどうぞ。
中古戸建て122.8万円と新築戸建て139.2万円
建物まで含めて買う場合の枚方市の数字を並べます。
| 種別 | 成約価格(中央値) | 件数 |
|---|---|---|
| 土地 | 49.6万円/坪(土地面積あたり) | 190件 |
| 中古戸建て | 122.8万円/坪(延床あたり) | 181件 |
| 新築戸建て | 139.2万円/坪(延床あたり) | 105件 |
| 中古マンション | 33.3万円/㎡ | 141件 |
| 賃貸 | 1,825円/㎡ | 42,490件 |
中古戸建ては下位25%が87.0万円、上位25%が146.6万円。新築戸建ては下位25%が122.8万円、上位25%が165.3万円です。中古の上位25%146.6万円は、新築の下位25%122.8万円を上回っています。2つの価格帯は重なっていて、坪単価だけでは新旧が分かれません。
表の1行目と2行目を引き算しても、建物の代金は出てきません。戸建ての坪単価は成約総額を建物の延床坪数で割った値、土地の坪単価は成約総額を土地面積の坪数で割った値で、分母が別のものだからです。土地から買う案と中古を買う案を比べるときは、坪単価どうしではなく総額どうしで並べてください。
新築マンションは成約が3件で、中央値は1㎡あたり60.0万円でした。3件は傾向を語れる件数ではないので、枚方市の新築マンション相場としては読まないでください。
枚方市の実家を相続したとき、いくらで売れるのか
枚方市の家を相続して、売るか持ち続けるかを決めかねている人にとって、この記事の数字は出発点になります。土地だけなら坪49.6万円、41.7坪で概算2,070万円。建物が残っているなら中古戸建ての中央値が延床坪あたり122.8万円で、成約181件の真ん中の半分は87.0万円から146.6万円の間に散らばっています。
ただし、この幅の広さがそのまま問題になります。延床坪あたり87.0万円と146.6万円では、同じ広さの家でも手取りが大きく変わります。中央値は市全体をならした1点であって、相続した家がその線の上か下かは、建物の状態と土地の条件を見ないと決まりません。相続の場面では固定資産税や維持費が毎年出ていくので、金額の当たりをつけないまま持ち続けるか売るかを決めると、判断を先送りしたぶんだけ費用が積み上がります。
実際の金額は、査定を取って初めて数字になります。1社だけだと出てきた額が高いのか安いのかを判定できないので、複数社に出してもらって幅を見るところからです。
査定額が出てはじめて、売る案と持ち続ける案を数字で比べられます
中古マンションは築年数で1㎡あたりが変わります
枚方市の中古マンションは141件で、中央値は1㎡あたり33.3万円でした。築年で分けると景色が変わります。
| 築年帯 | 件数 | 中央値 |
|---|---|---|
| 築0〜10年 | 17件 | 70.8万円/㎡ |
| 築11〜20年 | 21件 | 41.3万円/㎡ |
| 築21〜30年 | 68件 | 33.1万円/㎡ |
| 築31〜40年 | 31件 | 21.7万円/㎡ |
成約が集まっているのは築21〜30年の68件で、1㎡あたり33.1万円。市全体の中央値33.3万円とほぼ同じ位置です。枚方市の中古マンション市場の中心はこの帯にあると読めます。1つ下の築31〜40年は21.7万円、1つ上の築11〜20年は41.3万円なので、帯をまたぐだけで1㎡あたりの単価が動きます。
この築年は2026年を基準にした区切りです。築21〜30年は1996年から2005年に建った物件、築31〜40年は1986年から1995年に建った物件を指します。1982年(新耐震)より前に建った物件は元のデータから外してあるので、この表には入っていません。
広さで分けると、様子がまるで違います。
| 面積帯 | 件数 | 中央値 |
|---|---|---|
| 50〜70㎡ | 53件 | 32.3万円/㎡ |
| 70〜90㎡ | 77件 | 33.8万円/㎡ |
| 90㎡以上 | 8件 | 33.4万円/㎡ |
32.3万円・33.8万円・33.4万円と、3つの帯がほとんど同じ値に並びました。枚方市の中古マンションでは、広さは1㎡あたりの単価をほとんど動かしていません。動かしているのは築年数のほうです。部屋の広さを1段階変えるより、築年帯を1つ動かすほうが単価への効き方が大きい、という形になっています。ただし90㎡以上は8件しかないので、この行だけは傾向として見るにとどめてください。
私はこう見ています
公示価格は、予算の出発点ではなく答え合わせに使う数字だと考えています。枚方市では公示44.5万円に対して成約49.6万円。町別に降りると三栗の79.3万円から南中振の43.0万円まで開き、成約3件の町まで入れれば田口の36.4万円まで下がります。公示の1点で予算を組むと、上の帯の町では候補が出てこず、下の帯の町では土地に払いすぎます。
私はこの11.5%を、枚方市の土地が値上がりした証拠ではなく、公示の60地点が拾いきれていない土地が成約データに入っている結果だと見ています。根拠は、成約の坪単価が1坪8.9万円から128.9万円まで開いていることと、公示より低い町が複数あることです。ここは私の読みなので、持ち帰ってほしいのは根拠にした数字のほうにしてください。
枚方市で予算を決める前にやる3つのこと
1. 公示価格を予算の基準に使わない。 枚方市では成約の中央値との差が11.5%あります。ニュースで見た坪44.5万円ではなく、成約側の49.6万円で組んでください。
2. 町名まで決めてから坪単価を当てる。 市の49.6万円は、三栗の79.3万円では足りず、南中振の43.0万円では余ります。候補を2つか3つに絞ってから計算したほうが早く終わります。成約3件の町の数字は1件の取引で動くので、資金計画の基準には三栗と南中振の1.8倍のほうを使ってください。
3. 安すぎる町は理由を確かめる。 村野本町の坪10.9万円のように市の中央値を大きく下回る町は、市街化調整区域や農地・山林が混ざっている可能性があります。値段だけで候補にせず、家を建てられる土地かどうかを先に確認してください。
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同じやり方で成約データを町別に並べ直した記事は明石市の町別の坪単価にもあります。
この記事の数字の出どころ
- 成約価格:国土交通省「不動産情報ライブラリ」の不動産取引価格情報。集計期間は2024年第4四半期から2025年第4四半期。土地190件、中古戸建て181件、新築戸建て105件、中古マンション141件、新築マンション3件
- 土地190件は、坪単価が極端に離れた3件を除いた集計です。除いたあとの幅は1坪8.9万円から128.9万円
- 町別の集計は成約3件以上の町のみで24町。3件の町の中央値は1件の取引に動かされるため、見出しの1.8倍は成約5件の三栗と5件の南中振で取っています
- 1区画の面積の中央値138㎡(41.7坪)と坪単価の中央値49.6万円は別々に取った値です。掛け合わせた2,070万円は概算で、実在する1件の価格ではありません
- 中古戸建て・新築戸建ての坪単価は、成約総額を建物の延床坪数で割った値です。成約総額を土地面積で割った土地の坪単価とは分母が違うため、そのまま引き算はできません
- 中古マンションの築年帯はデータ作成時(2026年)が基準です。築21〜30年は1996年から2005年築、築31〜40年は1986年から1995年築にあたります。1982年より前に建った物件は元データから除外されています
- 新築マンションは成約3件のみのため、参考値として載せています
- 地価公示:国土交通省の地価公示。枚方市内の住宅地60地点の中央値。成約価格とは母集団が違うため、両者の差は値上がり・値下がりを示すものではありません
- 賃貸:枚方市の42,490件から算出した1㎡あたりの中央値


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