🗨️「古い擁壁を造り替えたい。自治体の助成金はいくら出るの?」
出る額は住んでいる区市でまるで違います。港区は工事費の3分の2まで、土砂災害警戒区域の中なら上限5,000万円。同じ23区の目黒区は50パーセント以内で上限100万円です。ただし、どこの制度にも共通する条件があり、補修だけの工事や、交付の決定より前に業者と契約した工事は、ほとんどの自治体で対象外になります。
[不動産] この記事の要点
2026年9月24日 発表
- 港区は工事費の3分の2・上限5,000万円(土砂災害警戒区域内)、目黒区は50パーセント以内・上限100万円
- 世田谷区・港区・仙台市・鎌倉市は、補修だけの工事を対象にしていない
- 品川区は令和8年度の改修工事の受付を、予算に達したため終了している
国や東京都の助成金はなく、区市ごとの制度です
「擁壁 助成金」と調べると、国や都の制度を探したくなります。ところが、個人が国や東京都へ直接申し込む擁壁の助成は見当たりません。国土交通省の宅地耐震化推進事業は、地方公共団体の事業を支える仕組みです。
窓口はすべて、住んでいる区や市です。そして中身は、区市によって驚くほど違います。
じゃあ、だいたいどこも工事費の3分の1くらい?
3分の1の市もあれば、3分の2を出す区もあります。上限額になると、隣どうしの区で何十倍も開きます
13自治体・14制度を並べると、上限は100万円から5,000万円
2026年9月24日に、各区市の公式ページを1つずつ開いて確かめた数字です。上限額が2種類ある制度は、土砂災害警戒区域の中と外で分けています。
| 区市 | 助成率 | 上限額 | 主な条件 |
|---|---|---|---|
| 港区 | 3分の2以内 | 警戒区域内 5,000万円/区域外 1,200万円 | 擁壁の新設・築造替えに限る。予算に達したら受付終了 |
| 新宿区 | 3分の2 | 警戒区域内 3,500万円/それ以外 1,500万円 | 高さ1.5m以上の擁壁の築造工事 |
| 大田区 | 3分の2(居住する個人) | 公道に面する等 1,500万円/その他 750万円 | 居住していない個人・中小企業は2分の1 |
| 品川区 | 2分の1 | 警戒区域内 2,000万円/道路等に面する 600万円 | 令和8年度の改修工事は受付終了 |
| 北区 | 3分の1(条件で2分の1) | 400万円(特別警戒区域内600万円・ランクD/E 1,000万円) | 承認前の契約は不可 |
| 世田谷区 | 3分の1 | 300万円 | 公道に面した擁壁。補修は対象外 |
| 目黒区 | 50パーセント以内 | 100万円 | 高さ2m超、工作物確認済証を取る工事 |
| 横浜市 | 3分の1 | 400万円 | 高さ2m超・傾斜30度以上の崖地。工法別単価でも上限を計算 |
| 川崎市 | 3分の1 | 300万円(減災工事100万円) | 高さ2m超 |
| 横須賀市 | 2分の1 | 500万円 | 高さ2m以上。工事後5年間は譲渡・売買不可 |
| 鎌倉市 | 2分の1 | 500万円 | 新築後10年経過。補修・整形は対象外 |
| 福岡市 | 3分の1 | 擁壁・補強 300万円/補修 100万円 | 市内に事業所がある業者の施工 |
| 仙台市 | 100万円を超えた部分の3分の1 | 200万円 | 平成18年の法改正前に造られた擁壁 |
出典:各区市の公式ページ(2026年9月24日確認)。横浜市は別に「崖地減災対策工事助成金制度」(2分の1・上限100万円)もある
港区の5,000万円と目黒区の100万円は、同じ23区で50倍の差です。坂の多い区ほど手厚いわけでもなく、制度を作った年や、区が狙っている工事の種類で決まっています。
港区・新宿区・大田区が3分の2まで出すのは、崖崩れで道路や隣家に被害が出るのを区として止めたいからです。どの制度も、公道に面しているか、下に家があるかで条件や上限を変えています。

地図で調べたあと、家に置いておくもの
色がついていても、白でも、家に置くものは変わりません。自治体の備蓄は数日分が前提なので、最初の3日をしのぐ分は各家庭で持っておくものとされています。
一から集めると抜けが出ます。まずセットで用意して、家族の人数分と常備薬だけ足すのが早いです。
飲料水は1人1日3L。4人家族の1週間分で84L=2Lボトル42本なので、6本入りだと7ケースぶんです。5年保存タイプなら入れ替えの手間が減ります。
断水で最初に困るのがトイレです。備蓄で見落とされやすい一方、代用が効きません。
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同じ220万円の工事で、戻ってくる額はこれだけ違う
数字の差を実感できるように、1つの工事で比べます。横浜市は助成額の計算に、擁壁築造工事1平方メートルあたり110,000円という令和8年度の単価を使っています。高さ2メートル・長さ10メートルの擁壁なら20平方メートルで、220万円です。
この220万円の工事を、それぞれの制度に当てはめるとこうなります。実際の見積もりではなく、率と上限だけで出した目安です。
| 制度 | 計算 | 助成の目安 | 自己負担 |
|---|---|---|---|
| 港区・新宿区・大田区(居住者) | 220万円×3分の2 | 146万円 | 約74万円 |
| 横須賀市・鎌倉市・品川区 | 220万円×2分の1 | 110万円 | 110万円 |
| 目黒区 | 220万円×50%=110万円→上限 | 100万円 | 120万円 |
| 横浜市・川崎市・世田谷区・北区・福岡市 | 220万円×3分の1 | 73万円 | 約147万円 |
| 仙台市 | (220万円−100万円)×3分の1 | 40万円 | 180万円 |
工事費は横浜市の令和8年度工法別単価(擁壁築造工事110,000円/㎡)×20㎡で仮に置いたもの。1万円未満を切り捨てる制度もある
同じ工事でも、自己負担は74万円から180万円まで開きます。仙台市の制度は「100万円を超えた部分の3分の1」なので、100万円までは必ず自分で払う仕組みです。市のページも、個人負担として100万円は必ずかかると明記しています。
擁壁の工事は高さと長さで一気に膨らみます。高さ3メートル・長さ20メートルなら60平方メートルで、同じ単価だと660万円です。上限の低い制度ほど、大きな工事で効きが薄くなります。
補修だけの工事は、多くの制度で対象外です
いちばん多い勘違いがここです。ひび割れを埋める、目地を詰めるといった補修にも助成が出ると考えがちですが、造り替えだけを対象にしている制度が目立ちます。
(注意)補修工事については補助の対象にはなりませんのでご注意下さい。
世田谷区「公道に面した擁壁改修等工事の補助制度」
鎌倉市も「仮設やがけ面の整形、補修等の工事は対象になりません」、仙台市も「部分的な補修や補強のみを行う場合は、助成対象外」と書いています。港区の対象は擁壁の新設と築造替えです。
逆に、補修に枠を用意している制度もあります。福岡市は補修工事に上限100万円、川崎市は崖の補修・補強を「宅地減災工事」として上限100万円、横浜市は減災対策工事に2分の1・上限100万円を出します。
自分の擁壁が補修で足りるのか、造り替えが要るのかの見当は、国土交通省と横浜市のチェックシートで付けられます。ひび割れの測り方と点数の付け方は擁壁 ひび割れ/国は1mm、横浜市は5mmにまとめました。
業者と先に契約すると、1円も出ません
もう1つの落とし穴は順番です。見積もりを取り、業者を決め、契約してから役所へ行くと、ほとんどの制度で対象から外れます。
交付決定前に工事契約または工事着手したものは助成の対象となりません。
福岡市「宅地防災対策助成金」
横浜市も交付決定前の契約・着手を認めていません。港区は「既に改修工事の契約をしたもの」は申請できないと書き、北区・大田区も承認の後に契約する流れです。鎌倉市は交付決定の通知が届いてから着手と決めています。
だから正しい順番は、担当課へ相談して現地を見てもらい、交付の決定を受けてから契約するです。多くの区市が事前相談や現地確認を必須にしていて、港区は契約・着工の2週間前までに事前協議の申請、新宿区は同じ年度のうちに工事と請求まで終える決まりです。
助成に付いてくる、見落としやすい条件
率と上限のほかにも、制度ごとに細かい条件があります。申請してから気づくと困るものを挙げます。
- 横須賀市:助成を使って工事をした土地は、5年間は譲渡や売買ができない。使えるのは一度限り
- 大田区:助成金の交付から5年間は、工事をしたがけ等を目的に反して使ったり譲渡したりできない
- 福岡市:施工する業者が市内に事業所を持っていること
- 鎌倉市:新築から10年を過ぎていること。造る構造物の高さが2.0メートル以上
- 仙台市:平成18年の宅地造成等規制法の改正より前に造られた擁壁が対象。分譲宅地など事業用は外れる
- 新宿区:高さ1.5メートル以上から対象になる。多くの区市が2メートル超を線にしている中では低い
売却を考えている人は、横須賀市と大田区の5年の条件に特に注意が要ります。擁壁を直してから売ろうとすると、助成を使ったぶん売れる時期が遅れます。
この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
擁壁の費用は誰が払うのか
「擁壁 費用 誰が払う」は、助成と同じくらい調べられている言葉です。法律は、上の家か下の家かを一律には決めていません。
宅地造成及び特定盛土等規制法の第22条は、規制区域の中の土地の「所有者、管理者又は占有者」に、土地を常時安全な状態に保つ努力を求めています。第23条では、知事が擁壁の所有者などに工事を命じることができ、原因が他人の不完全な工事にあるときは、その行為をした者に命じる道もあります。
擁壁が崩れて他人に損害を出したときは、民法第717条が効きます。まず擁壁を占有している人が責任を負い、その人が必要な注意をしていたときは所有者が賠償します。
じゃあ隣と半分ずつ、みたいな決まりはないの?
ありません。いつ誰が造ったか、どちらの土地を支えているかで変わります。助成を申請できるのは原則として土地や擁壁の所有者なので、まず区市の窓口に一緒に相談するのが近道です
そもそもがけから何メートル離せば家を建てられるかは、都道府県の条例で決まっています。擁壁を直さずに建て替えられるかどうかも、ここで変わります。詳しくはがけ条例 距離/同じ3mの崖で千葉6m、福岡0mにあります。
私はこう読みました
表を作っていちばん意外だったのは、手厚い制度ほど土砂災害警戒区域の内と外で上限を分けていることでした。港区も新宿区も品川区も、区域の中だけ上限を大きく引き上げています。区が本当に直したいのは、指定を受けた危ない斜面だということです。
だから自分の擁壁が区域の中にあるかどうかで、使える額が何倍も変わります。区域の中にあるかは市区の地図で確かめられますし、区域の意味は土砂災害警戒区域とは?家は建てられる?で整理しています。見積もりより先に、まずそこを見ることを私はすすめます。
よくある質問
Q. 自分の市に擁壁の助成制度がない場合はどうすればいいですか。
A. 八王子市や日野市の公式ページでは、擁壁の改修に使える市の助成を確認できませんでした。日野市は、宅地造成法の勧告や改善命令を受けた人向けに、住宅金融支援機構の宅地防災工事資金融資を案内しています。助成がなくても融資の道がある場合があるので、市の開発・宅地の担当課に聞いてみてください。
Q. 高さ2メートル以下の擁壁でも助成は出ますか。
A. 多くの制度は高さ2メートル超を条件にしています。新宿区と北区は1.5メートル以上から対象になる枠があります。2メートルを超える擁壁は建築基準法の工作物になり、造り替えには確認申請が要ります。
Q. 神奈川県でほかに制度がある市はありますか。
A. 神奈川県は、県内の市町の擁壁・がけ防災工事の制度を一覧にして公開しています。相模原市・秦野市・厚木市などにも制度があります。助成率と上限額は一覧に載っていないので、各市のページで確かめてください。横須賀市と鎌倉市でがけ崩れが起きやすい場所は横須賀市 土砂崩れ/上町・長沢・野比に多いと鎌倉市 土砂崩れ/危ない場所は谷戸の奥で地図にしています。
自分の土地が崖や盛土の上にあるのかは、住所からまとめて確認できます。下のフォームに住所を入れると、浸水と土砂と地盤をひとまとめに見られます。
生活・仕事にどう効くか
- 古い擁壁の上に家が建っている人:造り替えの見積もりを取る前に、市区の担当課へ相談に行きます。多くの制度は事前相談や現地確認が申請の前提になっていて、契約の順番を間違えると1円も出ません
- 擁壁付きの土地や中古住宅を買おうとしている人:その区市に助成制度があるか、上限がいくらかで、将来の持ち出しが数百万円単位で変わります。横須賀市のように、助成を使った土地は5年間売れないという条件が付く制度もあります
- 隣の家の擁壁が気になっている人:助成を申請できるのは原則として擁壁やがけの土地の所有者です。費用の分担は法律で一律に決まっていないので、まず市区の窓口に一緒に相談するのが近道です
結局どうすればよいか
- 自分の区市の擁壁・がけの助成制度のページを開き、助成率・上限額・対象工事(造り替えだけか、補修も含むか)を確かめる
- 業者と契約する前に、担当課へ事前相談と現地確認を申し込む
- 年度の受付期限と、予算が尽きたら締め切る制度かどうかを確認する
あわせて読む・調べる
くわしく知る(保存版の記事)
- 横須賀市 土砂崩れ/上町・長沢・野比に多い
- 鎌倉市 土砂崩れ/危ない場所は谷戸の奥
- 目黒区 擁壁崩れる/土砂が車を直撃
- 「ハザードマップ、気にしすぎでしょうか」——色のない場所から、被害報告の55.7%が届きました
- 土砂災害警戒区域の解除、工事が終わっても消えない区域があるのはなぜ?
ほかに使える無料ツール
- 不動産相場検索 — 市区町村ごとの土地・戸建て・マンション相場を見る
公式出典
- 港区「がけ・擁壁改修工事等支援事業」(2026年9月24日発表)
- 目黒区「がけ・擁壁改修助成制度」(2026年9月24日発表)
- 新宿区「擁壁・がけの安全化の総合的な支援」(2026年9月24日発表)
- 大田区「がけ等の整備工事助成制度」(2026年9月24日発表)
- 品川区「がけ・擁壁の安全化対策支援について」(2026年9月24日発表)
- 北区「擁壁等安全対策支援事業」(2026年9月24日発表)
- 世田谷区「公道に面した擁壁改修等工事の補助制度」(2026年9月24日発表)
- 横浜市「崖地防災対策工事助成金制度」(2026年9月24日発表)
- 川崎市「宅地防災工事助成金制度」(2026年9月24日発表)
- 横須賀市「既成宅地防災工事等助成制度」(2026年9月24日発表)
- 鎌倉市「既成宅地等防災工事資金助成制度」(2026年9月24日発表)
- 福岡市「宅地防災対策助成金」(2026年9月24日発表)
- 仙台市「宅地擁壁の支援制度」(2026年9月24日発表)
- 宅地造成及び特定盛土等規制法 第22条・第23条(e-Gov法令検索)(2026年9月24日発表)
- 民法 第717条(e-Gov法令検索)(2026年9月24日発表)
- アイキャッチ写真 Pexels(2026年9月24日発表)
更新履歴
- 2026年9月24日 初版を公開(13自治体・14制度の公式ページを同日に確認したもの)
※本記事は2026年9月24日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
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