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地震のあと雨の警報が早く出る理由|熊本など25市町村で基準が7〜8割に

🗨️「地震の被災地で、そこまで強い雨ではないのに警報が出ると聞きました。誤報ではないのですか。」

誤報ではありません。地盤が緩み、堤防が沈下しているぶん、警報を出す基準そのものが通常の7〜8割に下げられています。熊本・長崎・鹿児島の25市町村が対象で、当分の間続きます。

[災害] この記事の要点

何が起きたか

気象庁と国土交通省は2026年7月28日から8月5日にかけて、令和8年熊本地震で揺れの大きかった地域の土砂災害・大雨・高潮・洪水の警報等について、発表基準を通常より下げた「暫定基準」の運用を順次はじめた。土砂災害は熊本・長崎・鹿児島の25市町村(気象庁の区分では26)が対象で、基準は通常の7割または8割。

発表日・更新日

2026年8月9日 発表

影響を受ける人
  • 熊本県を中心とする対象25市町村に住んでいる人・実家がある人
  • 被災した家の修理や建て替えを、これから業者に頼む人
  • 対象地域で賃貸や売買を扱う不動産の実務者
目次

この記事でわかること

  • 土砂災害・大雨・高潮・洪水の4種類で、それぞれ対象地域も引き下げ幅も違うこと
  • 同じ八代市でも西部と東部で基準が分かれていること
  • 「当分の間」が過去の地震で実際に何か月続いたか

先に結論

  • 警報が出やすくなったのは、雨が特別だからではなく、基準が通常の7〜8割に下げられているから
  • 下げられたのは土砂災害・大雨・高潮・洪水の4種類。理由も対象地域もそれぞれ違う
  • 八代市は西部と東部で基準が分かれている。市単位で「うちは対象」とまとめると読み違える
  • ハザードマップの区域指定は地震では変わっていない。変わったのは警報を出す雨量のライン

引き下げられたのは4種類。理由も対象の広さも違う

気象庁は7月28日の地震のあと、1週間かけて4種類の暫定基準を順に立ち上げました。まとめて発表されたのではなく、被害の確認が進むたびに1つずつ足されています。

種類運用開始対象引き下げ気象庁が挙げた理由
土砂災害7月28日熊本・長崎・鹿児島の26区分通常の7割または8割地震による地盤の緩み
高潮8月3日宇城市・氷川町・八代市西部潮位を一律0.2m下げ地盤変動等の影響
大雨8月4日熊本市・八代市西部・宇土市・宇城市・美里町・氷川町通常の7割堤防沈下や護岸ひび割れ等の確認
洪水(球磨川)8月5日萩原水位観測所(八代市)洪水予報の基準を引き下げ堤防の機能が低下

土砂災害だけが26区分と広く、大雨は6、高潮は3、洪水は球磨川の1地点です。理由が「地盤が緩んだ」ではなく「堤防が沈下した」「護岸にひびが入った」に変わると、対象は一気に狭くなります。壊れた場所の下流だけが危ないからです。

高潮は数字がはっきりしています。宇城市はレベル5の特別警報が標高3.6mから3.4mへ、レベル4の危険警報が3.1mから2.9mへ。八代市西部は3.4m→3.2m、2.9m→2.7m。氷川町は5.4m→5.2m、4.4m→4.2m。いずれも0.2mちょうど下げられています。20cmというのは、満潮と台風が重なった夜に、堤防の内側で立っている人には見分けのつかない差です。

同じ八代市でも、西と東で基準が違う

土砂災害の暫定基準は、市町村を2つのグループに分けています。7割のグループは通常の7割の雨量で警報が出るので、より早く発表されます。

基準対象
通常の
7割(14区分)
熊本県:熊本市、八代市西部、宇土市、宇城市、美里町、氷川町、益城町、合志市、大津町、西原村、御船町、上天草市、芦北町、嘉島町
通常の
8割(12区分)
熊本県:八代市東部、山鹿市、菊池市、菊陽町、水俣市、天草市、津奈木町、甲佐町
長崎県:南島原市
鹿児島県:薩摩川内市、さつま町、長島町

八代市が西部と東部に分かれて、それぞれ7割と8割に入っています。気象庁が警報を出す単位は市町村そのものではなく、市を分割した区域だからです。自治体の数で数えれば25市町村、気象庁の区分で数えれば26になります。

もう1つ見落とされやすいのが、熊本県だけの話ではないことです。長崎県南島原市と、鹿児島県の薩摩川内市・さつま町・長島町も8割の対象に入っています。この3県は震度5強を観測しました。海を挟んだ島原半島で「熊本の地震だから関係ない」と思っている人の家の裏山も、通常より早く警報の対象になります。

甲佐町については、7月30日の第2報で7割から8割へ変更されました。第1報は推計震度分布に基づいて設定されていて、その後に判明した実際の観測データで見直したものです。暫定基準は下げっぱなしではなく、データが出るたびに上げ下げされます。

「当分の間」は実際どれくらい続くのか

どの発表にも終了日は書かれていません。すべて「当分の間」です。ではどのくらい続くのか、直近の先例があります。

2024年8月8日の日向灘を震源とする地震では、震度5強を観測した宮崎県の串間市と都城市に、土砂災害警戒情報の暫定基準(通常の8割)が設定されました。この2市の暫定基準が廃止され、通常基準に戻ったのは2026年2月5日11時、地震から約1年6か月後です(宮崎県・宮崎地方気象台の発表)。

引き下げ幅が今回より小さい8割でも、1年半かかっています。今回の7割グループが今年の台風シーズンで解除される見込みは薄いと考えるほうが自然です。9月の台風、来年の梅雨、その次の梅雨まで、この基準のまま雨を迎えることになります。

廃止の理由も読んでおく価値があります。宮崎の発表には、暫定基準は「地震発生後の降雨の状況と土砂災害の発生状況等を勘案して、適切な見直しを行う」と書かれています。つまり、その後の雨で実際に何が起きたかを見て判断します。カレンダーで自動的に終わるものではありません。

ハザードマップの区域は、地震では変わっていない

ここを混同すると、家の判断を間違えます。土砂災害警戒区域(イエロー)や特別警戒区域(レッド)は、都道府県が地形や地質の調査にもとづいて指定するもので、今回の地震で線が引き直されたわけではありません。浸水想定区域も同じです。

変わったのは、その区域に対して警報を出す雨量のラインだけです。売買や賃貸の重要事項説明で説明されるのは区域の指定のほうなので、契約書類を見ても暫定基準のことは出てきません。被災地で家を借りる人が「重説に何も書いていなかったから通常どおり」と受け取ってしまう構造があります。

ここからは私の見方です。この暫定基準でいちばん効くのは、7割という数字よりも、線引きが市町村より細かいという事実だと考えています。

理由は3つあります。1つ目は、八代市が西部と東部で分かれていること。市の広報や回覧板は市全体に同じ内容が配られるので、自分がどちらなのかは自分で調べるしかありません。2つ目は、4種類の暫定基準で対象地域がすべて違うこと。宇城市は土砂・高潮・大雨の3つに入っていますが、山鹿市は土砂だけです。「うちの市は暫定基準の対象」という一言では、何が下がっているのか特定できません。3つ目は、長崎・鹿児島が入っていること。県外の人ほど自分が対象だと思っていません。

もう1つ、基準が通常に戻る日を「安全になった日」と読み替えないことです。宮崎の例のように、廃止は地盤が地震前の状態に戻ったことの証明ではなく、その後の降雨と災害の関係を調べた結果として判断されています。屋根を直し、壁を直し、暫定基準が解除されたあとの梅雨に、その斜面がどう振る舞うかは誰も保証していません。

いま対象地域で家の修理を頼んでいる人にできることは、業者との打ち合わせの席で「雨で止まる日を何日見ていますか」と一度聞いておくことです。警報が出れば足場の作業は止まります。基準が7割になっているぶん、止まる日は例年より増えます。工期の話は着工前にしかできません。

生活・仕事にどう効くか

  • 避難のタイミング:通常なら注意報どまりの雨量で、レベル3の警報まで上がることがある。基準が7割なら、これまで「まだ大丈夫」と判断していた雨で避難情報が出る。
  • 家の修理・工事:屋根にブルーシートをかけた状態や足場を組んだ状態で警報が出る回数が増える。工期は雨で止まる日を多めに見込む必要がある。
  • 不動産の仕事:重要事項説明で扱う土砂災害警戒区域・浸水想定区域の指定は、地震では変わっていない。変わったのは警報の運用なので、区域の説明とは分けて伝える。

結局どうすればよいか

  • 自分の市町村が7割か8割か、そもそも対象かを気象庁の発表資料で確認する(八代市は西部と東部で違う)
  • 土砂キキクル(大雨警報の危険度分布)をスマホのブックマークに入れ、雨の日に自宅周辺の色を見られるようにしておく
  • 自宅が土砂災害警戒区域・特別警戒区域に入っているかを、自治体のハザードマップで確認する

あわせて読む・調べる

くわしく知る(保存版の記事)

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公式出典

更新履歴

  • 2026年8月9日 初版を公開

※本記事は2026年8月9日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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